シミ取り後に濃くなった?炎症後色素沈着(PIH)・戻りジミの原因と対処法|名古屋
- 2025.9.13
目次
シミ取り後に濃くなった?それは「シミの再発」とは限りません
「シミ取りをした直後は薄くなったのに、数週間したらまた茶色くなってきた」「レーザーを当てる前より濃くなったように見える」「これはシミが取り切れていなかったのでしょうか?」。名古屋・栄でシミ治療を行っていると、このようなご相談をいただくことがあります。まず知っていただきたいのは、シミ取りレーザー後に茶色く見えるものが、すべて「シミの再発」ではないということです。考えられる代表的な状態には、「元のシミが一部残っている」「炎症後色素沈着(PIH)が生じている」「同じ場所に新しい色素斑ができた」「肝斑など別の色素が重なって見えている」などがあります。
中でも、シミ取りレーザー後に一度シミが薄くなったあと、数週間かけて茶色く見えてくる場合に考えたいのが、炎症後色素沈着(Post-inflammatory Hyperpigmentation:PIH)です。一般には「戻りジミ」と呼ばれることもあります。PIHはレーザーが失敗したから起こるものではなく、皮膚が炎症を受けたあとにメラニンが増えることで生じる反応です。特に日本人を含むアジア人の肌では、レーザー治療後のPIHは比較的起こりやすいことが知られています。重要なのは、PIHを「シミが残っている」と勘違いして、すぐにもう一度強いレーザーを当てないことです。
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炎症後色素沈着(PIH)とは?

PIHは、皮膚に炎症やダメージが起きたあと、その部分にメラニンが増えて茶色〜灰褐色に見える状態です。レーザー治療だけでなく、ニキビ、湿疹、やけど、虫刺され、かぶれ、強い摩擦などでも起こります。炎症が起こると、炎症に関係するさまざまなシグナルによってメラノサイトが刺激され、メラニン産生が増えることがあります。その結果、炎症が治まったあとにもメラニンが表皮や真皮側に残り、茶色い色素沈着として見えるようになります。つまりPIHは、「元のシミが戻ってきた」のではなく、「治療による炎症をきっかけに新しく生じた色素」である場合があります。
シミの取り残し・PIH・再発はどう違う?
ここは非常に重要なので整理します。
シミの取り残し
→ 元々あったシミの色素が一部残っている状態
PIH
→ レーザーなどの炎症後に新たに生じた色素沈着
再発
→ 一度改善した病変が再び目立ってきたり、紫外線などの影響で同じ周辺に新たな色素斑が生じたりする状態
この3つは見た目が似ることがありますが、対応は異なります。
例えば取り残しであれば、肌状態が十分に落ち着いたあとに再照射を検討することがあります。一方、PIHが生じている状態で強いスポット照射を追加すると、さらに炎症を起こして色素沈着を長引かせる可能性があります。
だからこそ、「茶色いものがあるからもう一度レーザー」ではなく、その茶色が何なのかを見極める必要があります。そのために肌診断器による経過観察を行う必要があるのです。
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シミ取り直後に濃く見えるものはPIHとは限らない
レーザー直後からシミが黒っぽく見えることがありますが、それがすべてPIHというわけではありません。レーザー照射後には、色素が反応して一時的に濃く見えたり、薄い痂皮のような状態になったりすることがあります。このような治療直後の変化と、その後に炎症をきっかけとして生じるPIHは分けて考える必要があります。PIHは、治療直後ではなく数日〜数週間経過してから目立ってくることがあります。
「照射直後に黒くなった」
「一度薄くなったあとに茶色くなった」
では、意味が違う可能性があります。
治療後の時間経過を見ることも診断の一部です。
PIHはどのくらいで薄くなる?
PIHは時間とともに自然に薄くなることがありますが、改善までに時間がかかることがあります。特に表皮側にメラニンが存在するPIHでは、6〜9か月程度で徐々に改善することがあります。一方、炎症が深く、真皮側までメラニンが落ち込んでいる場合には、さらに長期間かかることがあります。そのため、「3か月経ってまだ茶色いから失敗」とは限りません。逆に、短期間で完全に消そうとして治療を重ねることが、かえってPIHを長引かせる場合があります。
PIH治療では、
「何かをすること」
だけではなく、
「余計な炎症を起こさず、待つこと」
も重要です。
これが、当院がシミ治療で「取る・待つ・守る」という考え方を重視している理由の一つです。
なぜ日本人はPIHが問題になりやすい?
PIHはどの肌タイプでも起こりますが、メラニン量の多い肌ではより目立ちやすく、長く残る傾向があります。日本人を含むアジア人では、色素レーザー治療後のPIHがシミ治療における重要な問題の一つです。アジア人の老人性色素斑を対象としたQスイッチレーザーの研究では、強い照射を行った群でPIHがより多く生じたことが報告されています。
つまり、シミ治療では、「強く反応させればよい」というわけではありません。
特に元のシミが薄い場合には、シミそのものよりPIHの方が濃く見えてしまう可能性があります。
この考え方は、当院が薄いシミにピコスポットではなくルビーフラクショナルを選択することがある理由にもつながります。
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薄いシミほどPIHが目立つことがある
例えば、濃いシミを「10」の濃さと考えます。レーザー後に「2」程度のPIHが出たとしても、元々のシミよりは薄く見えます。一方、元々のシミが「1」程度の非常に薄い色素だった場合、同じように「2」のPIHが出れば、治療前より濃く見えることになります。
この違いは非常に重要です。ピコスポットは濃く境界のはっきりした老人性色素斑に非常に有用ですが、薄い老人性色素斑では、治療後のPIHまで含めると必ずしもスポット照射が最適とは限りません。そのため当院では、薄いシミではルビーフラクショナルを選び、694nmルビーレーザーをドット状に分散して照射しながら少しずつ色素を減らす方法を選択することがあります。シミを取れるかだけではなく、「取ったあとにどう見えるか」まで考えることが大切です。
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どんな人がPIHを起こしやすい?
PIHの起こり方には個人差があります。特に注意したいのは、もともと色素沈着が起こりやすい方、過去のレーザー治療でPIHが強く出たことがある方、肝斑がある方、日焼けしている方、慢性的に摩擦が強い方、治療部位に炎症がある方などです。また、レーザー治療による炎症の強さや深さもPIHに影響します。そのため、まゆりなclinic名古屋栄では「シミがあるからすぐ照射する」という考え方ではなく、治療前の肌状態も確認します。
必要に応じて、まず肝斑や炎症を整えてからシミ取りを行う場合もあります。
PIHが出たら、すぐレーザーを当てた方が早く消える?
必ずしもそうではありません。PIHに対するレーザー・エネルギーデバイス治療には改善が報告されているものがありますが、一方でレーザー治療そのものによってPIHが悪化した症例も報告されています。2024年の系統的レビューでも、PIH治療ではレーザー、外用治療、複合治療などで部分的な改善が多く報告されている一方、「完全に消える」割合は高くありません。つまり、PIHができたらすぐに強い治療を追加するというより、
炎症が残っているか
色素がどの程度深いか
どのくらい経過しているか
肝斑が混在していないか
を確認し、必要な治療を選ぶことが重要です。
PIHでは「待った方がよい時期」と「治療を始めてもよい時期」を見極めることが大切です。
まゆりなclinic名古屋栄ではPIHをどう治療する?
当院では、PIHだから一律に同じ治療を行うわけではありません。
まず、治療後どのくらい経過しているか、赤みや炎症が残っていないか、元のシミが残っているのか、肝斑が混在していないかを確認します。そのうえで、必要に応じてOPトーニング、ピコトーニング、C-OPERA、外用・内服治療などを組み合わせます。
OPトーニング
当院のOPトーニングは、Discovery PICO VarioPulseのQスイッチモードを使用します。
PIHでは、強く色素を反応させることよりも、再び大きな炎症を起こさないことが重要です。
そのため当院では、PIHや刺激に反応しやすい肌では、肌状態を確認しながら照射条件を調整できるOPトーニングを積極的に選択することがあります。
ただし、PIHであれば必ずOPトーニングを行うという意味ではありません。
まず経過観察を優先した方がよい場合もあります。
「シミ・肝斑・色素沈着はどう治療する?刺激に配慮したOPトーニングという選択肢」
ピコトーニング

ピコトーニングは、ピコ秒レーザーを低出力で顔全体に照射し、色むらやくすみ、肝斑などへ徐々にアプローチする治療です。PIHについても肌状態によって選択することがあります。重要なのは、スポット照射のように一度に色素を強く反応させる治療ではなく、炎症に配慮しながら少しずつ色調を整えるということです。OPトーニングとピコトーニングのどちらを選ぶかは、肌状態、肝斑の有無、過去の治療歴などを確認して判断します。
C-OPERA

C-OPERAは、シミ治療後の鎮静や保湿、美容成分導入の補助として使用する
ことがあります。当院ではトラネキサム酸やビタミンCなどを使用することがあり、レーザー後の肌状態を整える目的で治療計画に組み込む場合があります。
C-OPERAを行えばPIHを必ず防げる、あるいはPIHが必ず早く消えるという意味ではありません。シミ治療ではレーザーそのものだけでなく、照射後の皮膚を必要以上に刺激しないことも重要と考えています。
トラネキサム酸

トラネキサム酸は肝斑などの色素治療で使用される薬剤で、レーザー後のPIH予防についても研究されています。
2026年のレーザー・エネルギーデバイス治療後のPIH予防に関する系統的レビュー・ネットワークメタ解析では、皮内トラネキサム酸や経口トラネキサム酸などがPIH発生を抑える可能性が報告されました。
特に皮内トラネキサム酸は良好な結果を示していますが、含まれる研究数や症例数はまだ限定的であり、すべての方に行えばPIHを防げると結論づけるものではありません。
当院でも、水光注射などで使用する薬剤にトラネキサム酸を組み合わせる場合があります。
過去にPIHが強く出た方や、肝斑を伴う肌などでは、レーザーだけを急ぐのではなく、こうした治療を含めて肌状態を整えてからシミ取りを検討することがあります。
ただし、使用する薬剤や治療方法は患者さまごとの状態によって判断します。
ニードルRF(シルクロ)はPIH予防になる?
ニードルRF(シルクロ)を行えばPIHを直接予防できると断定できるだけのエビデンスは、現時点では十分ではありません。
一方で、肝斑では真皮環境や基底膜の変化などが関係していることが分かってきており、RFマイクロニードリングについては肝斑の改善や比較的低いPIH発生率を報告した研究があります。
そのため当院では、肝斑が強い方や肌全体の状態を整えたい場合に、シルクロを補助的に治療計画へ組み込むことがあります。
これは「シルクロをすればPIHが出ない」という意味ではなく、シミだけを直接狙うのではなく、肌状態全体を見ながら治療するという考え方です。
PIH予防では紫外線対策と摩擦対策も重要
治療後は紫外線対策を行い、皮膚を強く擦らないことが重要です。
ただし、「日焼け止めを塗ればPIHを完全に予防できる」という意味ではありません。
近年のPIH予防に関する研究では、日焼け止め単独だけでPIHを完全に防げるとは言えない結果も報告されています。それでも紫外線は色素沈着を悪化させる要因の一つであり、治療後の肌を紫外線から守ることは基本的なケアです。洗顔、クレンジング、スキンケアも、強く擦らずに行います。「何かをたくさん塗る」よりも、「余計な炎症を起こさない」ことを優先する場合もあります。
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シミ取り後のPIHを減らすために、治療前からできること
PIH対策は、レーザーを照射した後だけに始めるものではありません。
治療前に日焼けしている、肌に炎症がある、肝斑が強く出ている、摩擦が強い、といった状態であれば、まずその肌状態を整えてからシミ取りを行う方がよいことがあります。
例えば肝斑が強い方では、OPトーニングやピコトーニング、必要に応じてC-OPERA、内服・外用治療、ニードルRF(シルクロ)、水光注射などを組み合わせたうえで、スポット治療のタイミングを考えることがあります。
重要なのは、
「レーザーを当てる前に何かをすればPIHを必ず防げる」
ということではありません。
PIHリスクが高そうな肌に、いきなり強い治療を行わない。
これが一番大切な考え方です。
再照射はいつする?
「PIHなのか、元のシミが残っているのか分からないけれど、いつもう一度レーザーを当てればよいですか?」という質問もよくいただきます。再照射の時期に一律の答えはありません。治療後の赤みや炎症が落ち着いているか、PIHが薄くなってきているか、元のシミがどの程度残っているか、肝斑が出ていないかなどを確認して判断します。PIHが強く出ている時期に、「シミが残っている」と考えて追加照射を急ぐことはおすすめしません。
色素の状態が安定してから、残っているものが本当に老人性色素斑なのかを再評価します。
シミ取りレーザーでは、
照射する
→ 経過を見る
→ PIHか残存シミか判断する
→ 必要なら次の治療
という順序が重要です。
これが当院の「取る・待つ・守る」の「待つ」にあたります。
ピコスポットはPIHがあるから避けた方がいい?
いいえ。ピコスポットは濃く境界が比較的はっきりした老人性色素斑に対して、非常に有用な治療の一つです。PIHが起こる可能性があるからといって、ピコスポット自体を避ける必要はありません。大切なのは「どのシミにピコスポットを使うか」です。濃い老人性色素斑では、ピコスポットで一度に治療するメリットが大きい場合があります。一方、非常に薄い老人性色素斑では、PIHが出ると元のシミより目立つ可能性があるため、当院ではルビーフラクショナルなど別の治療を選択することがあります。
つまり、
濃いシミ
→ ピコスポット
薄いシミ
→ PIHとのバランスを考えてルビーフラクショナル
肝斑・PIH
→ OPトーニングやピコトーニングなど
というように、シミの種類と状態によって治療を使い分けます。
「ピコスポットとは?シミ取りレーザーの効果・経過・ダウンタイムを医師が解説|名古屋」
「戻りジミ」という言葉に振り回されないこと
「戻りジミ」という言葉は分かりやすい一方で、少し注意が必要です。
なぜなら、「戻った」という表現から、「取ったシミが復活した」「レーザーが失敗した」
という印象を持ちやすいからです。
実際には、レーザー後に見える茶色がPIHであれば、元のシミとは別の色素です。
そのため当院では、「戻りジミ」という言葉だけで説明するのではなく、
元のシミの残存なのか
PIHなのか
肝斑なのか
新しい色素斑なのか
を確認することを大切にしています。
「また茶色くなった=もう一度取る」ではありません。
何が茶色く見えているのかを確認することが、次の治療を決める第一歩です。
名古屋でシミ取り後の色素沈着に悩んでいる方へ
シミ取り後に茶色くなってくると、「失敗したのではないか」と不安になる方は少なくありません。しかし、レーザー治療後のPIHは、特にアジア人の肌では珍しい反応ではありません。大切なのは、焦って追加照射をすることではなく、それがPIHなのか、元のシミの残存なのかを判断することです。まゆりなclinic名古屋栄では、シミの種類だけでなく、レーザー後の経過まで含めて治療を考えています。取るべきシミは適切に取る。治療後の色素変化は必要な期間待つ。紫外線や摩擦を避けて肌を守る。必要であればOPトーニング、ピコトーニング、C-OPERA、内服・外用治療などを組み合わせる。シミ
取りは、「レーザーを当てた日」で終わる治療ではありません。
まとめ
シミ取りレーザー後に茶色く見えてきても、それがシミの再発とは限りません。
レーザーなどによる炎症後に新たにメラニンが増えて生じる炎症後色素沈着(PIH)の可能性があります。特に日本人を含むアジア人では、レーザー治療後のPIHは重要な問題の一つです。PIHは時間とともに薄くなることがありますが、表皮性でも6〜12か月程度かかる場合があり、深い色素沈着ではさらに長くかかることがあります。
そのため、PIHが強い時期に「シミが残っている」と判断して強いレーザーを追加するのではなく、まず色素の状態を確認することが重要です。
当院では必要に応じて、OPトーニング、ピコトーニング、C-OPERA、内服・外用治療などを組み合わせます。また、肝斑や肌状態によってはニードルRF(シルクロ)や、使用薬剤を選んだ水光注射などを治療計画に組み込むことがあります。ただし、どの治療を行ってもPIHを100%防げるわけではありません。だからこそ、シミ治療では、
取る
→ 待つ
→ 守る
という流れが重要です。
シミを取る技術だけではなく、治療後の色素変化を正しく判断することまで含めて、シミ治療だと考えています。
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文責:まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤成貴
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
わからないことや不安なことがあれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。医師の視点から、科学的根拠に基づいて丁寧にお応えします。








