PIHは治療した方が早く消える?自然に待つ場合と積極的に治療する場合の違い|名古屋
- 2026.9.17
目次
PIHは治療した方が早く消える?自然に待つ場合と積極的に治療する場合の違い

PIH(炎症後色素沈着)は、時間とともに自然に薄くなることが多い色素沈着です。しかし、自然に任せると数か月〜1年以上かかることがあり、真皮まで色素が落ちている場合にはさらに長期化することがあります。そのため、早く改善したい場合には、原因となる炎症を落ち着かせたうえで、メラニン産生を抑える治療や色素の排出を促す治療を積極的に組み合わせる方法があります。PIHに関するレビューでも、原因となる炎症を治療したうえで早期に治療を開始することは、色素沈着の改善を早めるために推奨されています。
PIHは放っておいても消える?
表皮性PIHの多くは自然に薄くなります。ただし、改善までに数か月〜年単位かかることがあり、その間に紫外線、摩擦、乾燥、新しい炎症などが加わると長引くことがあります。PIHは「必ず治療しなければ消えない」病変ではありませんが、「自然に消えるから何もしなくてよい」とも限りません。
積極的に治療すると何が違う?
PIH治療では、すでにできたメラニンを徐々に減らすだけでなく、新しくメラニンが作られる経路を抑えることができます。つまり、自然にメラニンが排出されるのを待つだけでなく、メラニン産生を抑えながら排出を促すことで、改善までの期間を短くすることを目指します。代表的には、トラネキサム酸、システアミン、ハイドロキノン、アゼライン酸、レチノイドなどの外用・内服、C-OPERAなどの導入治療、ピコトーニングやOPトーニングなどを肌状態に応じて組み合わせます。PIH治療のsystematic reviewでも、外用、レーザー・エネルギーデバイス、複合治療の多くで部分的な改善が認められています。
まず炎症を止めることが最優先
積極的に治療するといっても、炎症が続いている状態で色素治療だけを重ねればよいわけではありません。ニキビが新しくでき続けている、湿疹がある、肌をこすっている、刺激の強いスキンケアで赤みが出ている場合には、まず原因となる炎症を改善します。炎症が続いている限り、新しいPIHが作られるからです。
トラネキサム酸|新しいメラニン産生を抑える

トラネキサム酸は、プラスミン系を介した炎症やメラノサイトへの刺激を抑える方向に働きます。PIHに対するsystematic reviewでも、外用、内服、導入など複数の投与方法が検討されています。自然経過だけを待つのではなく、メラニン産生を抑える治療を加えることで、色素沈着の改善を促すことを目指します。内服の場合は血栓症などのリスクがあるため、既往歴や内服薬を確認して使用します。
シスペラ・メラブライト|ホームケアでも積極的に治療する


シスペラやメラブライト[C+]に使用されるシステアミンは、チロシナーゼなどメラニン産生に関係する経路へ作用します。PIHはクリニックでの治療だけでなく、毎日のホームケアを継続できる点が重要です。待つだけではなく、自宅でもメラニン産生を抑えることで改善を促します。
C-OPERA|刺激を抑えながら治療を追加
C-OPERAでは、トラネキサム酸やビタミンCなどを肌状態に合わせて導入します。PIHでは毎回強い刺激を加える必要はなく、刺激を抑えながら継続的に色素へアプローチする方法も有効です。レーザー治療の間に組み合わせることもあります。
ピコトーニング・OPトーニング|色素を少しずつ減らす

広範囲に薄くPIHが残っている場合には、ピコトーニングやOPトーニングを使用することがあります。低出力で広い範囲のメラニンへ少しずつアプローチし、色調を整えていきます。レーザー治療では、現在の色素の濃さや深さ、肌質に合わせた照射条件が重要です。適切な条件で治療し、治療期間中に日焼けをしない、こすらない、乾燥させないといったケアを組み合わせます。レーザー治療はPIHの補助的治療として使用されており、適切なパラメータを選ぶことが重要とされています。
日焼け止めは「待つ場合」でも「治療する場合」でも必須

PIHを積極的に治療しても、治療中に紫外線を多く浴びればメラニン産生が刺激されます。2025年のPIH予防に関するsystematic reviewでは、skin of colorの患者において、サンスクリーンが最も一貫して有効性を示した予防方法でした。
UVA・UVBだけでなく可視光も色素沈着に関係するため、日焼け止めに加えて帽子、日傘などを使用し、必要に応じて酸化鉄を含む色付きの日焼け止めも検討します。
保湿・摩擦回避も治療の一部

皮膚バリアが低下すると、わずかな刺激でも炎症が起こりやすくなります。洗顔やクレンジングで強くこする、スクラブを使用する、乾燥したまま放置すると、新しい炎症がPIHを長引かせる原因になります。PIHを早く改善したい場合ほど、保湿と摩擦回避を徹底することが重要です。
自然に待つ方がいいケースは?
PIHが非常に薄い、すでに明らかに改善傾向にある、治療を急いでいない場合には、保湿と遮光を中心に経過を見る選択もあります。逆に、色素沈着が目立つ、顔の広い範囲にある、仕事や生活上早く改善したい、数か月経過しても改善が遅い場合には、積極的な治療を検討するメリットがあります。
治療を始めるタイミングも重要
PIHがあるからといって、必ず何か月も何もせず待つ必要はありません。原因となる炎症が落ち着いていれば、外用、導入治療、トーニングなどを早い段階から組み合わせることができます。古くからのレビューでも、PIH治療は早期に開始することで改善を早めることが推奨されています。一方、湿疹や強い赤みなど活動性の炎症が続いている場合には、まず炎症を治療します。重要なのは「PIHができてから何か月経ったか」だけではなく、「現在も炎症が続いているか」です。
レーザー後のPIHも積極的に治療できる
シミ取りレーザー後にPIHが出た場合も、必ず自然に消えるまで待つ必要はありません。紫外線対策、保湿、トラネキサム酸、システアミン、C-OPERAなどを早い段階から組み合わせ、必要に応じてピコトーニングやOPトーニングを追加します。
ただし、治療後1〜2か月頃はPIHが目立ちやすい時期でもあります。PIHなのか元のシミが残っているのかを見ながら治療方法を選びます。
積極的治療でも「全部を一度に強く治療する」という意味ではない
PIHの積極的治療とは、強いレーザーを何度も照射するという意味ではありません。炎症の原因を取り除き、保湿・紫外線対策を行い、外用・内服・導入・レーザーなどを適切に組み合わせることです。現在の肌状態に必要な治療を早い段階から組み合わせることで、「ただ自然に薄くなるのを待つ」より早い改善を目指します。
他院でシミ取り後のPIHが長引いている場合も治療できる
まゆりなclinic名古屋栄には、他院でシミ取り治療を受けたあと、数か月経ってもPIHが残り相談される方もいます。この場合、現在見えている色が本当にPIHなのか、元のシミの残存、肝斑、ADMなどが混在しているのかを確認します。PIHであれば、状態に応じてトラネキサム酸、システアミン、C-OPERA、ピコトーニング、OPトーニングなどを組み合わせます。治療前後を継続して確認することも重要です。
Neo Voir I PLUSで前後を比較する
PIHは徐々に変化するため、毎日鏡を見ていると改善が分かりにくいことがあります。当院では必要に応じて肌画像診断機Neo Voir I PLUSを参考にし、治療前後のUV画像などを比較します。肌診断器だけで治療効果を判断するわけではありませんが、治療前の色素分布を記録しておくことで、数か月後に「本当に薄くなっているか」を客観的に比較しやすくなります。
PIH治療は「待つ」か「治療する」かではなく、どこまで早く改善したいか
PIHは自然軽快する可能性があります。そのため治療を必ずしなければならないわけではありません。一方で、色素沈着が目立つ期間をできるだけ短くしたい場合には、自然経過だけに任せず、炎症を抑え、メラニン産生を抑制し、すでにある色素へ治療を行うことで早い改善を目指すことができます。
どちらを選ぶかは、PIHの濃さ、範囲、原因、肌状態、どの程度早く改善したいかによって変わります。
よくある質問(Q&A)
まとめ|PIHは自然に待つだけでなく、積極的に治療して早い改善を目指せる
PIHは時間とともに自然に薄くなることがありますが、数か月〜年単位かかる場合があります。早く改善したい場合には、原因となる炎症を抑え、紫外線・摩擦・乾燥を避けながら、トラネキサム酸、システアミン、C-OPERA、ピコトーニング、OPトーニングなどを組み合わせることで改善を促すことができます。
積極的な治療とは、強い治療を繰り返すことではありません。現在のPIHの状態に合わせ、外用・内服・導入・レーザー・ホームケアを適切に組み合わせることです。
まゆりなclinic名古屋栄では、PIHの原因、濃さ、範囲、炎症の状態を確認し、必要に応じてNeo Voir I PLUSのUV画像などで経過を比較しながら、自然経過だけに任せる場合と積極的に治療する場合を患者さんごとに判断しています。
【文責】
まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤 成貴
【参考文献】
- Davis EC, Callender VD. Postinflammatory hyperpigmentation: a review of the epidemiology, clinical features, and treatment options in skin of color. J Clin Aesthet Dermatol. 2010.
- Mar K, et al. Treatment of Post-Inflammatory Hyperpigmentation in Skin of Colour: A Systematic Review. J Cutan Med Surg. 2024.
- Kashetsky N, Feschuk A, Pratt ME. Post-inflammatory hyperpigmentation: A systematic review of treatment outcomes. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2024.
- Taylor SC, et al. Topical treatment for postinflammatory hyperpigmentation: a systematic review. J Dermatolog Treat. 2022.
- Alsharif SH, et al. Efficacy and Best Mode of Delivery for Tranexamic Acid in Post-Inflammatory Hyperpigmentation: A Systematic Review. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2022.
- Mar K, et al. Prevention of Post-Inflammatory Hyperpigmentation in Skin of Colour: A Systematic Review. Australas J Dermatol. 2025.
- Shenoy A, Madan R. Post-Inflammatory Hyperpigmentation: A Review of Treatment Strategies. J Drugs Dermatol. 2020.
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
わからないことや不安なことがあれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。医師の視点から、科学的根拠に基づいて丁寧にお応えします。








