レーザー後のPIHはいつ消える?1〜2か月・6〜9か月の経過と長引く原因|名古屋
- 2026.9.17
目次
レーザー後のPIHはいつ消える?1〜2か月・6〜9か月の経過と長引く原因
シミ取りレーザー後に一度きれいになった部分が数週間後から茶色くなり、「シミが戻った」と心配されることがあります。その代表的な原因がPIH(Post-Inflammatory Hyperpigmentation:炎症後色素沈着)です。PIHは治療直後に完成するのではなく、レーザー後の炎症反応をきっかけにメラニン産生が増え、数週間かけて目立ってくることがあります。実臨床では1〜2か月頃に濃く見えやすく、その後徐々に薄くなり、多くの表皮性PIHでは6〜9か月頃が経過を評価する一つの目安になります。ただし経過には個人差があり、紫外線、摩擦、乾燥、炎症の持続、色素の深さなどによって1年以上、場合によっては1〜2年程度残ることもあります。

レーザー後すぐではなく、数週間してから濃くなることがある
PIHは、レーザー照射による炎症をきっかけにメラノサイトが活性化し、メラニン産生が増えることで生じます。そのため治療直後よりも、数週間経ってから茶色い色が目立つことがあります。アジア人を対象としたレーザー研究でもPIHは治療4週後や8週後に評価されており、別の研究では治療1か月後にPIHが確認され、その後6か月までに消失しています。
1〜2か月頃が「一番濃く見える」ことが多い
当院では、レーザー後のPIHが治療後1〜2か月頃に目立つケースをよく経験します。ただし、「PIHは必ず○日目にピークになる」と証明されたわけではありません。研究でも4週、8週などの時点でPIHが評価されていることから、治療後数週間〜2か月程度はPIHが目立ちやすい時期と考えると分かりやすいでしょう。治療から1か月程度で色が濃くなってきても、それだけで元のシミの再発や治療失敗と判断する必要はありません。
その後は徐々に薄くなり、6〜9か月頃が一つの評価時期
表皮性PIHは、皮膚のターンオーバーやメラニンの排出に伴って徐々に薄くなります。レーザー治療後PIHが6か月以内に自然軽快した研究もあり、別の臨床研究でもPIHは1〜6か月以内に自然消退しています。当院では、シミ取り後に茶色い色が残っている場合、6〜9か月以降を一つの目安として「PIHなのか、元のシミが残っているのか」を改めて評価します。それ以前はPIHがまだ薄くなっている途中であることがあり、早い段階で「取り残し」と判断しないことが重要です。
6〜9か月経っても残っている=必ず取り残しではない
6〜9か月経過するとPIHはかなり薄くなることが多いですが、その時点で茶色い色が見えていても、すべてが元のシミの取り残しとは限りません。PIHがまだ残っている場合、新しいシミが出てきた場合、紫外線で色素が再び濃くなった場合、老人性色素斑や肝斑など別の色素が混在している場合があります。そのため、治療前の写真と現在の状態を比較することが重要です。
PIHが1年以上、場合によっては2年程度続くこともある
PIHの経過は色素の深さによって異なります。表皮性PIHは比較的薄くなりやすい一方、強い炎症によってメラニンが真皮まで落ち込み、メラノファージとして残った真皮性PIHは長期化します。アジア人を対象としたレビューでもPIHは「数か月から年単位」続くことがあるとされています。特に治療後も強い日焼けを繰り返す、肌をこする、乾燥や皮膚炎を放置する、新しい炎症を繰り返すとメラノサイトへの刺激が続くため、PIHが長引く可能性があります。こうした条件が重なると、1〜2年程度色素が残るケースもあります。

長引かせないために重要なのは治療後のケア
PIHの経過はレーザー照射だけで決まるものではありません。照射後の紫外線、摩擦、乾燥、炎症管理も重要です。特に紫外線対策はエビデンスが比較的明確で、skin of colorを対象としたPIH予防のsystematic reviewでは、サンスクリーンが最も一貫して有効性を示した予防策でした。治療後は、日焼け止めを使用する、強い日差しを避ける、帽子や日傘を使う、こすらない、十分に保湿する、刺激の強いスキンケアを重ねない、といった基本的なケアを続けることが大切です。
照射条件もPIHの出方に関係する
同じレーザーでも照射方法によってPIHの発生率は変わります。アジア人の老人性色素斑355病変を対象とした研究では、強い反応を目標に照射した群ではPIHが23〜33%程度だったのに対し、より穏やかな照射群では約7〜8%でした。一方、シミの改善度には大きな差がありませんでした。
つまり、PIHを考えるうえでは「どのレーザーか」だけではなく、肌質やシミの状態に合わせて適切な照射条件を選ぶことが重要です。
PIHが濃くなったら、すぐ追加レーザーをする?
必ずしもすぐ追加照射する必要はありません。治療後1〜2か月頃の茶色い色はPIHが目立っている時期である可能性があり、その段階で元のシミの取り残しと判断するのは早いことがあります。まず紫外線対策、保湿、摩擦回避などを行い、必要に応じてトラネキサム酸、C-OPERA、システアミン、ピコトーニング、OPトーニングなどを組み合わせながら経過をみます。レーザー治療を行う場合も、現在の色素の状態に合わせた出力・治療間隔を選び、治療中の紫外線対策を徹底します。
「PIHなのか、シミが残っているのか」を客観的に見る
PIHは数か月単位で変化するため、患者さん自身では「薄くなっているのか分からない」と感じることがあります。当院では診察に加え、必要に応じて肌画像診断機Neo Voir I PLUSも参考にし、治療前後の色調や分布を比較します。肌診断機だけで診断するわけではありませんが、数か月前の画像と現在を客観的に比較することで、PIHが薄くなっているのか、同じ場所に元のシミが残っているのかを判断する補助になります。
他院でシミ取り後、PIHが長引いている方も診察できます
当院には、他院でシミ取りを受けたあと数か月経っても茶色い色素が残り、「このまま治らないのでは」と相談に来られる方もいます。この場合も、すぐ追加レーザーをするのではなく、治療前のシミの種類、受けた治療、治療からの期間、現在の色調を確認します。PIHなのか、取り残したシミなのか、肝斑・ADMなど別の色素が混在しているのかによって治療は変わります。シミ治療は照射して終わりではなく、治療後のPIHまで継続して経過を確認できるクリニックを選ぶことも重要です。
PIHの経過を簡単に整理すると
治療直後〜数週間:炎症やかさぶたなどの治療直後の反応が中心
1〜2か月頃:PIHが目立ちやすい時期
3〜6か月頃:徐々に薄くなってくることが多い
6〜9か月頃:PIHか取り残しなのかを評価しやすくなる一つの目安
1年以上:真皮性PIH、紫外線・摩擦・炎症の持続などで長引くことがある
1〜2年程度:条件によっては色素が残ることもある
※経過には個人差があり、すべての方がこの順序・期間になるわけではありません。

よくある質問(Q&A)
まとめ|PIHは1〜2か月頃に目立ち、その後ゆっくり薄くなる
レーザー後のPIHは、治療直後より数週間経ってから目立ち、実臨床では1〜2か月頃に濃く見えることが多くあります。その後は徐々に薄くなり、表皮性PIHでは6〜9か月頃が経過を評価する一つの目安です。一方、真皮性PIHや紫外線・摩擦・炎症が続く場合には1年以上、場合によっては1〜2年程度残ることもあります。大切なのは、治療後に色が濃くなってもすぐ「シミが戻った」「取り残した」と判断せず、紫外線対策・保湿・摩擦回避などのケアを続けながら経過を見ることです。まゆりなclinic名古屋栄では、必要に応じてNeo Voir I PLUSも参考にし、治療前後を比較しながらPIHなのか、残ったシミなのかを確認して治療方針を決めています。
【文責】
まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤 成貴
【参考文献】
- Eimpunth S, Wanitphadeedecha R, Manuskiatti W. A focused review on acne-induced and aesthetic procedure-related postinflammatory hyperpigmentation in Asians. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2013;27 Suppl 1:7-18.
- Negishi K, et al. Comparative study of treatment efficacy and the incidence of post-inflammatory hyperpigmentation with different degrees of irradiation using two different quality-switched lasers for removing solar lentigines on Asian skin. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2013;27(3):307-312.
- Mar K, et al. Prevention of Post-Inflammatory Hyperpigmentation in Skin of Colour: A Systematic Review. Australas J Dermatol. 2025.
- Clinical Evaluation of Safety and Efficacy of a 670-nm Picosecond Laser for Treatment of Benign Pigmented Lesions in Asians. Dermatol Surg. 2021.
- Treatment of Post-Inflammatory Hyperpigmentation in Skin of Colour: A Systematic Review. J Cutan Med Surg. 2024.
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
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