老人性色素斑にIPLは効く?ピコスポット・ルビーフラクショナルとの使い分けを解説|名古屋
- 2026.9.19
老人性色素斑(日光黒子/solar lentigo)にIPLは有効です。しかし、「老人性色素斑がある=IPLを受ければよい」と単純には考えていません。
老人性色素斑は、濃さ、大きさ、数によって治療への反応が異なります。当院では基本的に、濃く境界が明瞭なシミにはピコスポット、薄い老人性色素斑や薄いシミが多数ある場合にはルビーフラクショナル、シミに加えて赤みやくすみ、肌全体の色調まで整えたい場合にはIPLというように使い分けています。どの治療が優れているかではなく、何を優先したいかで治療を選ぶことが重要です。
目次
老人性色素斑にIPLは効く

IPLは複数の波長を含む光を皮膚へ照射し、メラニンへ反応させることで老人性色素斑やそばかすなどを改善する治療です。
老人性色素斑に対するIPLの有効性は複数の臨床研究で報告されています。日本人40例を対象とした研究でも、500〜635nmのIPLを1回照射した後に有意な改善が認められています。一方で、IPLはすべての老人性色素斑に同じように反応するわけではありません。
大きな老人性色素斑はIPLだけでは難しいことがある
老人性色素斑とそばかすにIPLを3〜5回行った研究では、小さな老人性色素斑は比較的良好に反応した一方、大きな老人性色素斑を含む症例では治療反応が弱い傾向が報告されています。つまり、IPLは老人性色素斑に効きますが、大きくはっきりしたシミを確実に狙う治療としては限界があります。
当院でも、大きく濃い老人性色素斑をIPLだけで取り切ろうとすることは基本的にはありません。
濃く境界がはっきりしたシミはピコスポット
濃い老人性色素斑では、標的となるメラニン量が多く、スポット照射への反応を得やすい傾向があります。このような病変には、当院ではピコスポットを使用することが多くあります。
アジア人の老人性色素斑43病変を532nm・750ピコ秒レーザーで治療した研究では、93.02%が1回で75%以上のクリアランスを示しました。
当院でも、典型的な濃く境界が明瞭な老人性色素斑では、1回でほぼ取り切れるケースがあります。
1回で大きな効果を期待するならピコスポット

治療を選ぶ際には、シミの状態だけでなく、「何回通えるか」「いつまでに改善したいか」も重要です。
例えば、
・できれば1回で治したい
・1回で大きな変化を出したい
・複数回通院するのが難しい
という場合には、ピコスポットが適していることがあります。
一方、回数がかかってもPIHをできるだけ避けながら薄いシミを整えたい場合には、ルビーフラクショナルを選ぶことがあります。
一時帰国中など、通院回数を確保しにくい方はピコスポットを選ぶこともある
海外在住で一時帰国中の方や、近いうちに海外へ戻る予定があり、複数回の通院が難しい方では、1回でできるだけ大きな改善を目指せるピコスポットを選ぶことがあります。
一方、通院回数を確保でき、PIHをできるだけ避けながら薄いシミを段階的に改善したい場合には、ルビーフラクショナルを選ぶことがあります。
このように治療法はシミの濃さだけでなく、何回通えるか、いつまでに改善したいか、PIHをどこまで避けたいかといった生活背景まで含めて決めます。
ただしピコスポットにはPIHがある
ピコ秒レーザーは従来のQスイッチレーザーと比較して周囲組織への影響を抑えられる可能性がありますが、PIH(炎症後色素沈着)が起こらないわけではありません。
アジア人を対象とした研究でも、ピコ秒レーザー後のPIHは報告されています。
特に、
・色素が非常に薄い
・病変が多数ある
・PIHをできるだけ避けたい
という場合には、1個ずつ強くスポット照射することが最善とは限りません。
老人性色素斑を取ることだけでなく、治療後のPIHまで含めて仕上がりを考えることが重要です。
薄いシミに無理にピコスポットを当てない
非常に薄い老人性色素斑では、標的となるメラニン量が少なくなります。
そのため十分な反応を出そうとすると、正常皮膚への炎症とのバランスが難しくなることがあります。「薄いシミだから簡単」と思われがちですが、実際には薄い病変ほど繊細な治療設計が必要です。当院では、薄い老人性色素斑を無理にピコスポットで強く反応させるより、ルビーフラクショナルを選択することがあります。
薄いシミや多発例ではルビーフラクショナル
当院では、
・薄い老人性色素斑
・細かいシミが多数ある
・顔全体に薄い色素が散在している
場合に、694nmルビーフラクショナルを選択することがあります。
694nmはメラニンへの吸収性が高く、色素性病変治療に長く使用されてきた波長です。
ルビーフラクショナルでは、この波長を細かなドット状に分散して照射します。当院では、一つのシミに強い反応を集中させるより、薄い色素を複数回かけて段階的に改善したい場合に使用しています。
PIHをできるだけ避けたい方にもルビーフラクショナルを検討する
「シミは取りたいけれど、治療後に濃いPIHが出るのはできるだけ避けたい」という方もいます。この場合、濃いシミを1回で取ることだけを優先するのではなく、数回かけて穏やかに改善する治療設計を選ぶことがあります。
当院では、薄い老人性色素斑や多発する色素に加えて、PIHをできるだけ避けながら治療したい方では、ピコスポットよりルビーフラクショナルを選択することがあります。
ただし、ルビーフラクショナルであればPIHが絶対に起こらないという意味ではありません。重要なのは、病変の濃さと、希望する治療回数・ダウンタイム・PIHリスクのバランスから治療方法を選ぶことです。
IPLが向くのは「シミだけではない」場合
IPLのメリットは、老人性色素斑だけを一点狙いすることではありません。
例えば、
・頬の赤みもある
・細かいそばかすもある
・くすみが気になる
・顔全体の色むらを整えたい
・肌質も一緒に改善したい
という場合にはIPLが向いています。
IPLはメラニンだけでなく、血管内のヘモグロビンにも反応する波長を含むため、赤みと色素を同時に治療できることがメリットです。当院ではライムライトなどを、「シミを一個取る治療」というより、顔全体の色調を整える治療として使用します。
「ダウンタイムが少ない=IPLが一番いい」とは限らない
IPLは比較的ダウンタイムが少なく、顔全体を治療できることから選ばれることがあります。しかし、老人性色素斑の治療目的が「この濃いシミをしっかり取りたい」「できれば1回で大きく改善したい」であれば、数回IPLを繰り返すより、最初からピコスポットを選ぶ方が合理的なことがあります。反対に、「薄いシミがたくさんあり、PIHをできるだけ避けたい」という方ではルビーフラクショナルを検討します。つまり、ダウンタイムの短さだけで治療を決めるのではなく、効果・回数・PIHリスクまで含めて考えることが重要です
3つの治療をどう選ぶ?
当院での考え方をシンプルに整理すると、次のようになります。

これは絶対的なルールではありません。実際には、病変の濃さ・大きさ・数、肝斑やPIHの混在、治療後のPIHリスクなどを確認して治療を決めます。
特に、多少PIHの可能性があっても、できるだけ1回で大きく改善したい場合にはピコスポット、回数がかかってもPIHをできるだけ避けながら薄いシミを治したい場合にはルビーフラクショナルという選び方もあります。
濃いシミと薄いシミが混ざっているなら組み合わせる
実際の顔では、
・濃いシミ
・薄いシミ
・細かい色素
・赤み
が混在していることがあります。
この場合、一つの治療ですべて解決しようとする必要はありません。
濃い老人性色素斑にはピコスポット
薄い老人性色素斑にはルビーフラクショナル
赤みや肌全体の色調にはIPL
というように役割を分けます。
多数の老人性色素斑ほど、「どの機械が一番いいか」ではなく、どの病変にどの治療を使うかが重要です。
PIHが怖いから老人性色素斑を治療できないわけではない
PIHはアジア人のシミ治療で重要な問題ですが、PIHが怖いからレーザー治療そのものを避けなければならないわけではありません。
病変を見ながら、
・濃いシミはスポットでしっかり治療する
・薄い病変では無理にスポット照射しない
・PIHをできるだけ避けたい場合は治療方法を変更する
・治療後は紫外線や摩擦を避ける
といった設計を行います。
PIHが出た場合でも、自然経過をみるだけでなく、早めに改善したい場合にはOPトーニングやピコトーニングなどで治療する選択肢があります。
Q&A

まとめ|「IPLが効くか」ではなく、何を優先するかで治療を選ぶ
IPLは老人性色素斑に有効な治療ですが、すべての老人性色素斑をIPLで治療する必要はありません。
当院では、
濃く境界が明瞭なシミ
→ ピコスポット
1回で大きな効果を期待したい・通院回数を確保しにくい
→ ピコスポット
薄いシミ・薄いシミが多数ある
→ ルビーフラクショナル
PIHをできるだけ避けたい
→ ルビーフラクショナルを検討
シミに加えて赤み・くすみ・肌全体の色むらもある
→ IPL
というように治療を分けています。
ピコスポットは濃い老人性色素斑を1回で大きく改善できる可能性がある一方、PIHが起こることがあります。だからといってピコスポットが悪い治療なのではなく、短期間で大きな改善を求める方には非常に有用な治療です。一方、非常に薄いシミや多発する色素、PIHをできるだけ避けながら治療したい場合には、1回で強く反応させることより、ルビーフラクショナルで段階的に改善する方が適していることがあります。IPLには、シミだけでなく赤みやくすみ、肌全体を同時に整えられるという別のメリットがあります。治療法を先に決めるのではなく、シミの濃さ・大きさ・数・希望する治療回数・PIHリスク・生活背景まで確認してから治療法を決める。老人性色素斑をきれいに治療するためには、この考え方が重要です。
【文責】
まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤 成貴
【参考文献】
- Negishi K, Akita H, Matsunaga Y. Prospective study of removing solar lentigines in Asians using a novel dual-wavelength and dual-pulse width picosecond laser. Lasers Surg Med. 2018;50(8):851-858.
- A Prospective Study in the Treatment of Lentigines in Asian Skin Using 532 nm Picosecond Nd Laser. Lasers Surg Med. 2019.
- Vachiramon V, et al. Randomized, evaluator-blinded comparative study of a potassium titanyl phosphate 532-nm picosecond laser and an alexandrite 755-nm picosecond laser for the treatment of solar lentigines in Asians. J Cosmet Dermatol. 2022;21(10):4370-4377.
- Sadighha A, Saatee S, Muhaghegh-Zahed G. Efficacy and adverse effects of Q-switched ruby laser on solar lentigines: a prospective study of 91 patients. Dermatol Surg. 2008.
- Clinical improvement of solar lentigines and ephelides with an intense pulsed light source. Dermatol Surg. 2002.
- Mardani G, et al. Treatment of Solar Lentigines: A Systematic Review of Clinical Trials. J Cosmet Dermatol. 2025.
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
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