ピコレーザーを何回してもシミが取れない理由は?診断・機種・設定から解説|名古屋
- 2026.9.24
ピコレーザーを何回受けてもシミが取れない、むしろ前より濃くなった、同じ場所へ何度もレーザーを当てているのに改善しないという相談があります。このような場合、単純に治療回数を増やせばよいとは限りません。診断が違う、レーザーの種類や設定が病変に合っていない、治療後のPIHを残ったシミと判断しているなど、どこかで治療方針を見直す必要があります。特に重要なのは最初の診断と1回目の治療反応です。何回しても取れない状態になる前に、一度立ち止まって経過を評価することが大切です。
目次
ピコレーザーを何回してもシミが取れない主な理由
シミが取れない原因は一つではありません。当院では主に次のような可能性を考えます。
1.そもそもの診断が違う- 2.病変に対して設定が弱すぎる
- 3.反対に強すぎてPIHが目立っている
- 4.波長・パルス幅・機種が病変に合っていない
- 5.元のシミの残存とPIHが混在している
- 6.PIHを残ったシミと誤認して追加照射している
- 7.肝斑・ADM・そばかすなど別の病変が混在している
- 8.もともと治療反応が乏しい難治性の色素性病変である
何回当てたかより、今見えている色素が何なのかを確認することが先です。
まず診断が違えば、何回レーザーをしても治療は合わない
老人性色素斑、肝斑、ADM、そばかす、PIHの見分け方については、「老人性色素斑と肝斑・ADM・そばかす・PIHの違いは?見分け方を解説|名古屋」で詳しく解説しています。
顔にある茶色い色素がすべて老人性色素斑ではありません。肝斑、ADM、そばかす、PIHなどは見た目が似ることがありますが、病変の深さや原因が異なります。例えば肝斑を老人性色素斑と思って強いスポット照射を繰り返せば、炎症によって色調が悪化する可能性があります。ADMであれば表皮性の老人性色素斑とは治療の深さや回数が異なります。レーザー後のPIHであれば、残ったシミと同じように扱うべきではありません。レーザー機器を選ぶ前に、何を治療しているのかを診断することが最も重要です。
設定が弱すぎると、何回してもシミが十分に反応しないことがある
ピコレーザーだから照射すれば必ずシミが取れるわけではありません。同じ機種でも、波長、パルス幅、フルエンス、スポットサイズなどによって皮膚へ与える作用は変わります。当院の臨床経験では、病変に対して照射条件が弱すぎると、炎症反応は起きているのに老人性色素斑そのものが十分に反応せず、色素が残るケースがあります。その状態で治療を繰り返すと、元のシミが残ったままPIHが重なり、治療前より複雑に見えることがあります。弱い設定を何回繰り返しても、適切な1回の治療と同じ結果になるとは限りません。重要なのは回数を増やすことではなく、その病変に必要な反応が1回目から得られているかを確認することです。
だからといって強く照射すればよいわけでもない
弱すぎる設定が問題になることがある一方、出力を強くすればよいわけでもありません。アジア人の老人性色素斑をQスイッチレーザーで治療した比較研究では、強い照射と穏やかな照射でクリアランスに大きな差がない一方、強い照射群でPIHが多くみられました。必要以上に強い照射は、治療効果を上げずにPIHを増やす可能性があります。弱すぎても取れず、強すぎてもPIHが増える可能性があります。シミ治療では、その病変に必要な治療域を見極めることが重要です。
シミ治療は機械だけでは決まらない
ピコレーザーを何回してもシミが取れない場合、機械そのものだけが原因とは限りません。同じピコレーザーを使用していても、診断、波長、パルス幅、フルエンス、スポットサイズ、照射方法によって皮膚への反応は変わります。さらに重要なのが照射直後の反応です。シミの色や厚み、照射直後の白色変化や反応の程度、周囲皮膚の状態などを確認しながら、その病変に必要な設定を判断します。シミ治療は、機械を選んでボタンを押せば終わる治療ではありません。 同じ老人性色素斑に見えても、一つひとつ濃さや厚み、メラニン量、周囲の肌状態が異なります。そのため、すべてのシミへ同じ設定で照射すればよいわけではありません。病変を診断し、設定を決め、照射直後の反応を見て、さらに治療後の経過を追う。この細かな調整には、ある意味で職人技に近い部分があります。
PIHを残ったシミと間違えると治療が迷走する

レーザー後に残った茶色い色素がPIHなのか、元のシミの残存なのかを見分けるポイントについては、「PIHとシミの違いは?老人性色素斑・ADM・肝斑・そばかすの見分け方|名古屋」で詳しく解説しています。
シミ取りレーザー後にはPIHが生じることがあります。レーザー直後は一度薄くなったように見えても、数週間後から茶色くなり、1~2か月頃に目立つことがあります。この時点で元のシミが戻ったと判断し、同じ場所へ追加のスポット照射を行うと、さらに炎症を加えることになります。PIHと分かっていれば、経過観察、紫外線対策、摩擦を避けること、必要に応じたトーニングや外用など、PIHに合わせた対応を考えられます。問題は、PIHなのか残存病変なのか分からないまま、とりあえず追加照射を繰り返すことです。PIHを残存シミと誤認してスポット照射を繰り返すことは避けるべきです。治療後の茶色い色素ほど、治療前の写真と経過を確認する必要があります。
PIHなら時間をかけて薄くなることも多い
レーザー後のPIHが濃くなる時期や、6~9か月までの経過については、「レーザー後のPIHはいつ消える?1〜2か月・6〜9か月の経過と長引く原因|名古屋」で詳しく解説しています。
レーザー後のPIHは永久に残るものではありません。表皮性PIHでは徐々に薄くなることが多く、当院では1~2か月頃に濃く見え、6~9か月頃を一つの評価時期として考えています。ただし、紫外線、摩擦、乾燥、炎症の持続、色素の深さなどによって長引くことがあります。そのため、治療後すぐに残った色素を見て次々とスポット照射を追加するのではなく、待つべき色素なのか、追加治療するべき病変なのかを区別することが重要です。
1回目の治療反応を確認することが非常に重要
シミ治療では、1回目が単なる1回目ではありません。診断と設定が合っているかを確認する重要な情報になります。老人性色素斑であれば、治療直後の反応、痂皮の形成、色素の抜け方、その後のPIHなどを追うことで、次に何をすべきかが見えてきます。思ったように反応しなければ、同じ設定をそのまま繰り返すのではなく、診断、波長、パルス幅、エネルギーなどを見直します。同じ治療を何回続けるかではなく、1回ごとの反応から次の治療を決めることが大切です。
当院では、初回から漫然と複数回照射する前提にはしていません。治療後の経過を確認しながら、必要であれば機種、波長、パルス幅、出力、治療方法そのものを変更します。
普通の老人性色素斑でも、普通に治らないことはある
老人性色素斑はレーザー治療の適応になりやすい代表的なシミですが、だからといって何も考えず照射すれば必ずきれいになるわけではありません。治療成績には幅があり、シミの濃さ、厚み、部位、肌質、照射条件、PIHの出やすさなどが関係します。よくあるシミだから簡単だと考えて治療を始めるのではなく、一般的な老人性色素斑でも診断と治療設計を丁寧に行う必要があります。
機種が同じでも結果が同じとは限らない
ピコレーザーの機種、波長、パルス幅、照射モードまで含めたクリニックの選び方については、「ピコレーザーはどこのクリニックがいい?機種・波長・パルス幅・メンテナンスで見る選び方|名古屋」で詳しく解説しています。
同じピコレーザーという名称でも、機種によって波長、パルス幅、ピークパワー、スポットサイズなどが異なります。また、同じ機種でも設定や照射エンドポイントが異なれば、治療内容は変わります。そのため、ピコレーザーを受けたという情報だけでは、なぜ取れなかったのかを判断できません。具体的な機種、波長、照射設定、直後の反応、経過まで確認する必要があります。シミ治療は機械の性能だけでは決まらず、診断と設定を積み重ねる職人技のような側面があります。
難治性のシミもある
すべての色素性病変が典型的な経過をたどるわけではありません。治療への反応が乏しい病変、複数の色素性病変が重なっているケース、真皮側の色素が関係する病変などでは、複数回の治療や別のアプローチが必要になることがあります。当院では、難治性である可能性は初診時の診断である程度分かることもあります。また、初診では典型的に見えても、1回目の治療反応を見ることで通常とは異なることが分かるケースもあります。難治性であること自体が問題なのではなく、反応が悪いのに同じ診断・同じ治療を漫然と繰り返すことが問題です。
取れないシミほど治療歴が重要
他院で何回か治療している場合、現在の色だけを見ても判断が難しいことがあります。元々どのようなシミだったのか、何のレーザーを何回受けたのか、照射直後にどのような反応があったのか、一度薄くなったのか、いつから濃くなったのかなどを確認します。治療直後からずっと残っている、一度取れた後に数週間して濃くなった、照射するたびに範囲がぼんやり広がった、では考える原因が異なります。治らないシミを診るときは、現在の写真だけでなく治療経過そのものが診断材料になります。
再照射を急がない方がよいケース
シミ取り後の再照射時期や、残存・PIH・再発の考え方については、「シミ取りは1回で終わる?治療回数・経過・再照射・再発を医師が解説|名古屋」で詳しく解説しています。
以下のような場合は、すぐに同じ場所へスポット照射を追加する前に再評価が必要です。

同じ場所へレーザーを重ねる前に、なぜ残っているのかを説明できる状態にすることが重要です。
当院では取れない理由を確認してから次の治療を決めます
まゆりなclinic名古屋栄では、何回しても取れないシミに対して、いきなり同じレーザーを追加することは基本的にしません。まず、元の診断は何だったのか、どのレーザー・波長で治療したのか、どの程度反応したのか、現在見えている色素は残存なのかPIHなのか、肝斑やADMが混在していないかを確認します。必要に応じてピコスポット、ルビーフラクショナル、OPトーニング、ピコトーニング、IPLなどへ治療を変更します。老人性色素斑であれば、適切な診断と治療条件で良好な改善が期待できます。何回も治療したからもう治らないと決めつける必要はありません。
治らないシミほど、とりあえずもう1回照射するのではなく、なぜ治らなかったのかを整理することが治療の第一歩です。
シミ治療で大切なのは診断・設定・経過確認
シミ治療では、最新機種を使えば自動的にきれいになるわけではありません。まず何の病変なのかを診断し、その病変に合ったレーザーと設定を選び、照射直後の反応を確認し、その後の経過まで追う必要があります。
診断
→ 機種・波長の選択
→ パルス幅・出力・スポットサイズの調整
→ 照射直後の反応確認
→ 治療後の経過判定
→ 次回治療の調整
シミ治療は機械任せではなく、診断と細かな設定、経過確認を積み重ねていく治療です。そこには医師の経験や、職人技ともいえる細かな調整が必要になります。
まとめ
ピコレーザーを何回してもシミが取れない場合、回数不足だけが原因とは限りません。診断、機種、波長、パルス幅、エネルギー、治療後の経過判定などを見直す必要があります。弱すぎる設定では病変が十分に反応しないことがあり、強すぎる照射ではPIHが増える可能性があります。そして最も注意したいのが、レーザー後のPIHを残ったシミと誤認し、さらにスポット照射を繰り返すことです。最初の診断と1回目の治療反応が非常に重要です。 普通の老人性色素斑であっても、適切な診断や設定がなければ思うように改善しないことがあります。一方で、なぜ治らないのかを整理できれば、PIHなのか、残存なのか、別の病変なのか、難治性なのかを判断し、次の治療につなげることができます。治らないシミほど、とりあえずもう1回レーザーをするのではなく、なぜ治らなかったのかを考えることが大切です。 まゆりなclinic名古屋栄では、他院で何回治療しても取れなかったシミ、レーザー後に濃くなった色素、PIHか残存シミか分からないケース、難治性の色素性病変についてもご相談いただけます。
Q&A
【文責】
まゆりなclinic名古屋栄
院長 加藤 成貴
【参考文献】
- Negishi K, et al. Comparative study of treatment efficacy and the incidence of post-inflammatory hyperpigmentation with different degrees of irradiation using two different quality-switched lasers for removing solar lentigines on Asian skin. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2013.
- Negishi K, et al. Prospective study of removing solar lentigines in Asians using a novel dual-wavelength and dual-pulse width picosecond laser. Lasers Surg Med. 2018.
- Vachiramon V, et al. Randomized, evaluator-blinded comparative study of a potassium titanyl phosphate 532-nm picosecond laser and an alexandrite 755-nm picosecond laser for the treatment of solar lentigines in Asians. J Cosmet Dermatol. 2022.
- Mardani G, et al. Treatment of Solar Lentigines: A Systematic Review of Clinical Trials. J Cosmet Dermatol. 2025.
- Davis EC, Callender VD. Postinflammatory hyperpigmentation: a review of the epidemiology, clinical features, and treatment options in skin of color. J Clin Aesthet Dermatol. 2010.
- Treatment of Post-Inflammatory Hyperpigmentation in Skin of Colour: A Systematic Review. 2024.
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
わからないことや不安なことがあれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。医師の視点から、科学的根拠に基づいて丁寧にお応えします。








