PIHとシミの違いは?老人性色素斑・ADM・肝斑・そばかすの見分け方|名古屋
- 2026.9.17
顔に茶色い色素があると、すべて同じ「シミ」に見えることがあります。しかし、PIH(炎症後色素沈着)、老人性色素斑、ADM、肝斑、そばかすは、発生する仕組みも色素の深さも異なります。PIHを見分けるうえで特に重要なのは、その前にニキビ、湿疹、摩擦、外傷、レーザーなどの炎症や刺激があったかどうかです。見た目では、そばかすは一つ一つが比較的くっきりした点状、PIHや肝斑は境界がややぼんやりして「もやっと」見えることが多いという違いも手がかりになります。
目次
PIHの特徴|炎症があった場所に「もやっと」色が残る

PIHは、ニキビ、湿疹、摩擦、やけど、外傷、レーザー治療などのあと、その炎症が起きた場所に一致して茶色〜褐色の色素が残る状態です。表皮性PIHでは茶色〜濃褐色、メラニンが真皮まで落ち込むと灰褐色〜青灰色に見えることがあります。炎症が起きた範囲に沿って色素が広がるため、一つ一つの輪郭がくっきりしたシミというより、境界がやや不明瞭で「もやっと」見えることが多いのも特徴です。ただし、炎症の形によっては比較的境界がはっきりするPIHもあります。
老人性色素斑との違い
老人性色素斑(日光黒子)は、長年の紫外線曝露によって生じる代表的なシミです。顔、こめかみ、手の甲など日光が当たりやすい場所に生じ、淡褐色〜濃褐色で、円形・楕円形など比較的境界がはっきりしていることが多く、数mmから数cmまで大きさはさまざまです。PIHのように「炎症のあとにできた」という経過は通常なく、冬になっても基本的には残ります。
シミ取り後に茶色くなった場合は老人性色素斑の再発とは限らない
老人性色素斑にレーザーを照射したあと、一度薄くなった場所が数週間〜数か月後に再び茶色くなることがあります。この場合、元のシミがすぐ再発したとは限らず、PIHが重なっている可能性があります。治療前にどのようなシミがあったのか、レーザー直後にどこまで反応していたのか、その後いつから色が濃くなったのかを確認することが重要です。
ADMとの違い
ADMはAcquired Dermal Melanocytosis(後天性真皮メラノサイトーシス)の略で、顔面に左右対称に出現するタイプはABNOM、Hori nevusとも呼ばれます。ADMでは真皮内にメラノサイトが存在するため、茶色というより灰褐色、青褐色、青灰色など、少し青みを帯びて見えることがあります。頬骨周囲、こめかみ、まぶた、鼻周囲などに小さな斑点が左右対称に現れ、成人以降に目立つことが多い病変です。
真皮性PIHも灰褐色〜青灰色になることがあるため、色だけでADMとPIHを区別することはできません。成人以降に左右対称の頬骨周囲へ点状に出現し、明らかな炎症歴がない場合にはADMを疑いやすくなります。一方、ニキビ、湿疹、摩擦、レーザーなどのあとに同じ場所が灰褐色になった場合には真皮性PIHを考えます。
肝斑との違い
肝斑は、頬骨周囲、額、鼻周囲、口周囲などに左右対称に淡褐色〜褐色の色が広がることが多い色素異常です。そばかすのような細かな点状ではなく、境界がやや不明瞭で「もやっと」「面状」に広がって見えることが多いため、PIHと見た目が似ることがあります。
違いを考えるうえで重要なのは経過と分布です。PIHは炎症や刺激があった場所に一致して生じるのに対し、肝斑は頬骨周囲など一定の部位に左右対称に広がることが多く、紫外線、ホルモン、摩擦など複数の要因が関係します。肝斑の上に摩擦や治療後のPIHが重なることもあり、その場合は見た目だけで判断しにくくなります。
そばかすとの違い
そばかす(雀卵斑)は、幼少期から鼻背をまたいで左右の頬へ細かな淡褐色〜褐色の斑点が多数みられるのが典型的です。PIHや肝斑が「もやっと」見えることが多いのに対し、そばかすは一つ一つの斑点の輪郭が比較的くっきりしていることが多いのが特徴です。また紫外線で濃くなり、秋から冬には薄くなる傾向があります。成人になって突然細かな茶色い点が増えた場合には、そばかすだけでなくPIHや老人性色素斑なども考えます。
見た目の違い|「くっきり」と「もやっと」も手がかり
色素の輪郭は鑑別のヒントになります。そばかすは細かな点状の色素が一つずつ比較的くっきりしていることが多く、老人性色素斑も境界が比較的明瞭です。一方、PIHは炎症した範囲に沿ってぼんやり広がることがあり、肝斑も左右の頬に面状・もやっと広がることが多くなります。ADMは点状ですが、色が灰褐色〜青褐色で、そばかすとは色調が異なることが多いのが特徴です。ただし、見た目だけで診断するのではなく、発症時期、炎症歴、左右対称性、経過まで合わせて判断します。
5つを比較するとどう違う?
PIH
主なきっかけ:炎症・摩擦・外傷・治療
出やすい時期:炎症後
色:茶〜褐色、灰褐色
見え方:もやっとすることが多い
分布:炎症部位に一致
左右対称:必須ではない
主な色素の位置:表皮〜真皮
経過:徐々に薄くなることが多い
老人性色素斑
主なきっかけ:慢性紫外線曝露
出やすい時期:成人以降
色:淡褐色〜濃褐色
見え方:比較的くっきり
分布:日光露出部
左右対称:必須ではない
主な色素の位置:主に表皮
経過:基本的に残る
ADM
主なきっかけ:真皮メラノサイトーシス
出やすい時期:主に成人
色:灰褐色〜青褐色
見え方:点状
分布:頬骨・こめかみなど
左右対称:多い
主な色素の位置:真皮
経過:自然消退しにくい
肝斑
主なきっかけ:紫外線・ホルモン・摩擦など
出やすい時期:主に成人
色:淡褐色〜褐色
見え方:面状・もやっと
分布:頬骨周囲など
左右対称:多い
主な色素の位置:表皮優位+真皮変化
経過:増悪・軽快を繰り返す
そばかす
主なきっかけ:遺伝的素因+紫外線
出やすい時期:幼少期〜
色:淡褐色〜褐色
見え方:細かな点状・比較的くっきり
分布:鼻背〜両頬
左右対称:多い
主な色素の位置:主に表皮
経過:季節変化あり
※実際には複数の色素性病変が同じ顔に混在することがあります。
「茶色いからPIH」とは限らない
PIHを疑うときに重要なのは、色そのものより経過です。「ニキビがあった」「レーザーを受けた」「湿疹が続いた」「強くこすっていた」などの炎症や刺激があり、その場所に一致して色素が出ている場合にはPIHを考えます。一方、明らかな炎症歴がなく、数年かけて徐々に濃くなっている場合には老人性色素斑、ADM、肝斑などを考えます。
「灰色だからADM」とも限らない
ADMは灰褐色〜青褐色に見えることが多い病変ですが、真皮性PIHでも灰色〜青灰色になることがあります。そのため色だけでは判断できません。炎症歴、発症時期、左右対称性、色素の配置を確認することが重要です。
PIHと他のシミが混ざっていることも多い
実際の診療ではPIHだけが単独で存在するとは限りません。老人性色素斑をレーザー治療したあとにPIHが重なる、肝斑の上に摩擦によるPIHが加わる、ADMと肝斑が同じ頬に存在するといったケースがあります。そのため、一つの色だけを見て診断するのではなく、治療前の状態、経過、分布、色調を総合して考えます。
他院でシミ取り後、茶色い色が残っている場合
当院には、他院でシミ取りレーザーや光治療を受けたあと、茶色い色素がなかなか引かず相談に来られる方も少なくありません。この場合、PIHなのか、元の老人性色素斑が残っているのか、肝斑やADMが混在しているのかを改めて整理します。PIHなら経過観察やPIHに合わせた治療が必要ですが、元のシミが残っている場合には治療方針が異なります。そのため治療歴と経過を確認することが重要です。
肌診断器のUV画像で治療前後を比較すると分かりやすい

PIHは数か月かけて徐々に変化するため、毎日鏡を見ていると「本当に薄くなっているのか」「同じシミが残っているのか」が分かりにくいことがあります。当院では診察に加え、必要に応じて肌画像診断機Neo Voir I PLUSも参考にしています。特に治療前と治療後のUV画像を同じ条件で比較すると、色素の分布や変化を客観的に確認しやすくなります。
見た目ではまだ茶色く見えていても、以前の画像と比較すると色素が徐々に薄くなっていることがあります。逆に同じ場所に色素が残っている場合には、PIHだけでなく元のシミの残存や別の色素性病変も考えます。肌診断器だけで診断を確定するわけではありませんが、治療前の状態を画像として残し、数か月後に同じ条件で比較することは経過を判断するうえで有用な補助になります。特に他院で治療を受けたあとに来院された場合、治療前の画像が残っていないと「元のシミがどこまであったのか」「現在の色がPIHなのか取り残しなのか」を判断しにくいことがあります。この点でも、治療前から画像を記録し、その後まで一貫して経過を診てもらえることが重要です。
なぜ正しく見分けることが重要?
PIH、老人性色素斑、ADM、肝斑では治療方法が異なるからです。老人性色素斑ではスポットレーザーでしっかり治療することがありますが、PIHでは肌状態を確認しながらトラネキサム酸、C-OPERA、外用、ピコトーニング、OPトーニングなどを組み合わせます。ADMは真皮の色素を狙う治療が必要で、肝斑には肝斑に合わせた治療設計が必要です。「茶色いシミだから同じレーザー」という考え方ではなく、まず何の色素なのかを整理することが重要です。
シミ治療は診断から経過観察まで一貫して診られることが大切
シミ治療では、治療前の診断だけでなく、治療後にPIHが出た場合まで継続して確認できることが重要です。治療前の写真やUV画像が残っていれば、数か月後に色が見えた際にも、元のシミが残っているのか、PIHなのか、新しい色素なのかを比較しやすくなります。シミ取りはレーザーを照射して終わりではなく、診断→治療→PIHを含めた経過観察→必要に応じた追加治療まで一貫して対応できるクリニックを選ぶことも大切です。
よくある質問(Q&A)
まとめ|PIHは「色」だけでなく「経過」を見る
PIHを見分けるうえで最も重要なのは、その前に炎症や刺激があったかどうかです。ニキビ、湿疹、摩擦、外傷、レーザーなどのあとに同じ場所が茶色くなった場合にはPIHを考えます。見た目では、そばかすや老人性色素斑は比較的くっきりしていることが多く、PIHや肝斑はもやっと見えることがあります。ADMは灰褐色〜青褐色の点状斑として現れることが多いのが特徴です。ただし、実際には複数の色素性病変が混在することも珍しくありません。まゆりなclinic名古屋栄では、炎症歴、治療歴、色、分布、経過を確認し、必要に応じてNeo Voir I PLUSのUV画像も参考にしながら治療前後を比較します。正しく見分け、その後のPIHまで一貫して経過を確認することが、シミ治療では重要です。
【文責】
まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤 成貴
【参考文献】
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- DermNet. Solar lentigo.
- DermNet. Melasma.
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
わからないことや不安なことがあれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。医師の視点から、科学的根拠に基づいて丁寧にお応えします。








