レーザートーニングで肝斑を治療するときの考え方と注意点|名古屋
- 2022.4.11
目次
レーザートーニングは肝斑に使える?
「肝斑にはレーザートーニングがいい?」「ピコトーニングを続ければ肝斑はなくなる?」「何回くらい受ければいい?」。
肝斑治療について、このような質問をよくいただきます。
結論からいうと、レーザートーニングは肝斑治療の選択肢の一つです。
ただし、肝斑は老人性色素斑のように「強く照射して取る」病変ではありません。慢性・再発性で、紫外線、炎症、ホルモン、基底膜、真皮の光老化、血管など複数の要因が関係しています。そのため、レーザートーニングは「肝斑を削り取る治療」ではなく、刺激を抑えながらメラニンへ少しずつアプローチし、色調を整える治療として考えます。
そして最も重要なのは、回数を重ねれば重ねるほどよいわけではないという点です。
レーザートーニングとは?
レーザートーニングは、比較的低い出力のレーザーを顔全体に繰り返し照射し、メラニンへ少しずつアプローチする治療です。代表的には、1064nmのQスイッチYAGレーザーを低フルエンスで照射する方法が広く研究されてきました。また、ピコ秒レーザーを低出力で照射するピコトーニングも、肝斑・くすみ・色むらなどに使用されます。まゆりなclinic名古屋栄では、肝斑治療としてピコトーニングだけでなく、Discovery PICO VarioPulseのQスイッチモードを使用するOPトーニングも選択しています。つまり「レーザートーニング」という一つの治療名でも、使用する機器や波長、パルス幅、設定は同じではありません。
どのトーニングを使うかは、肝斑の濃さ、刺激への反応、過去の治療歴、PIHの出やすさなどを見て判断します。
なぜ低い出力で治療する?
肝斑では、強い炎症そのものが色素を悪化させる可能性があります。そのため、老人性色素斑に対するスポットレーザーのように、目に見える強い反応を一度に起こすことを目的にはしません。低出力のトーニングでは、一度の治療で大きく色を変えるのではなく、複数回に分けて色調を整えていきます。低フルエンスQスイッチ1064nm YAGレーザーについては、多数の研究で肝斑の改善が報告されています。一方で、研究条件にはばらつきがあり、単独治療で他の薬物治療を明確に上回るとは限らないという解析もあります。
そのため当院では、「低出力だから安全」「回数を重ねれば必ず改善する」とは考えません。
重要なのは、治療中の肌の変化を毎回確認することです。
何回やればいい?
レーザートーニングには「全員5回」「10回やれば完成」という決まった回数はありません。肝斑の濃さ、治療への反応、紫外線曝露、ホームケア、内服・外用治療の有無などによって必要な回数は変わります。数回の治療で改善がみられる方もいれば、反応が乏しい方もいます。一方で、治療回数を増やし続けることにも注意が必要です。
低フルエンスQスイッチYAGレーザーのメタ解析では、治療回数が増えるほど色素脱失・白斑様変化との関連が強くなることが報告されています。そのため、毎回同じ設定で「とりあえず続ける」のではなく、
色調が改善しているか
刺激が増えていないか
まだトーニングを続ける意味があるか
を確認しながら治療します。
肝斑が薄くなったらどうする?
肝斑が十分に薄くなってきたら、治療頻度を減らす、間隔を空ける、一度レーザーを休む、という判断をすることがあります。
レーザートーニングは「受け続けること」が目的ではありません。
必要な時期に治療し、肌が落ち着いている時期には紫外線対策、スキンケア、外用治療などを中心に維持することも重要です。
肝斑は再発・再燃しやすい病態なので、完全にゼロを目指してレーザーを永遠に続けるより、状態をコントロールするという考え方が現実的です。2025年に発表された国際的なDelphiコンセンサスでも、肝斑では紫外線防御と外用治療が治療の基本で、レーザーは特に難治例などで補助的に使う位置づけとされています。
レーザートーニングをやりすぎるとどうなる?
最も注意したいのが、過剰な反復照射です。レーザートーニングは低出力だからといって、何回でも安全に続けられるわけではありません。短期間に繰り返し照射によって、まだらな色素脱失、白斑様変化、炎症後色素沈着などが生じることがあります。
特に低フルエンスQスイッチYAGレーザーでは、高い累積エネルギーと色素脱失との関連が報告されています。肝斑が十分に改善しているにもかかわらず、「もっと白くしたい」「もう少し薄くしたい」という理由だけで治療を強くしたり回数を増やしたりすると、かえって色むらを作る可能性があります。肝斑治療では、「どこまで続けるか」だけでなく「いつ止めるか」も重要です。
どんな変化が出たら治療を見直す?
レーザートーニング中に次のような変化がみられた場合には、治療内容を見直します。
・治療後の赤みが以前より長く続く
・肝斑がむしろ濃くなってきた
・一部だけ白く抜けたように見える
・まだらな色むらが出てきた
・数回続けてもほとんど変化がない
このような場合、単純に出力を上げるのではなく、レーザーを一度休む、設定を変える、別の治療へ切り替えるなどの対応を考えます。肝斑が濃くなった=レーザーが弱い、とは限りません。
炎症が増えている可能性も考える必要があります。
ピコトーニングとOPトーニングはどう使い分ける?
まゆりなclinic名古屋栄では、ピコトーニングとOPトーニングを肌状態に応じて使い分けています。ピコトーニングは、ピコ秒レーザーを低出力で照射し、肝斑・くすみ・色むらなどへアプローチします。OPトーニングはDiscovery PICO VarioPulseのQスイッチモードを使用し、当院では特に刺激への配慮を重視したい肝斑、PIH、刺激に反応しやすい肌などで積極的に選択します。
つまり、
ピコトーニング
→ 肝斑・くすみ・色むらを広く整えたい
OPトーニング
→ 肝斑の中でも特に刺激への配慮を重視したい
という考え方で使用することがあります。どちらか一方が絶対に優れているということではありません。
レーザーだけで肝斑を治療する?
当院では、肝斑治療をレーザーだけで完結させるとは考えていません。
肝斑は紫外線、炎症、摩擦、ホルモン、真皮環境など複数の要因が関係しています。
そのため、肌状態に応じて、
トラネキサム酸などの内服・外用
C-OPERA
ニードルRF(シルクロ)
水光注射
スキンケア
紫外線対策
摩擦を減らす生活習慣
などを組み合わせます。
肝斑治療では、レーザーを強くするよりも、刺激を減らしながら複数の要因を整える方が重要な場合があります。2026年のレーザー治療メタ解析でも、低フルエンスQスイッチYAGは有効な補助治療となり得る一方、再発率と治療結果のばらつきが大きいため、紫外線対策や外用治療を含む複合的治療へ組み込むべきとされています。
レーザーを休む=治療をやめる、ではない
肝斑治療では、レーザーを一度休むことがあります。これは「治療を諦める」という意味ではありません。刺激が強くなっている肌にさらにレーザーを重ねるより、保湿、紫外線対策、C-OPERA、内服・外用などで肌状態を整える方がよい時期があります。肝斑は長期的にコントロールしていく病態です。照射する時期と、肌を休ませる時期を分けることも治療設計の一部です。
レーザートーニング中に濃いシミが残ったら?
肝斑治療を続けていると、顔全体のもやっとした色調は薄くなったのに、濃いシミだけが残ることがあります。
この場合、「ピコトーニングが効かないから強くする」のではなく、その色素が本当に肝斑なのかを見直します。
例えば、
濃く境界のはっきりした老人性色素斑
→ ピコスポット
薄い老人性色素斑
→ ルビーフラクショナル
ADM
→ 色素の深さを考えたレーザー治療
というように、別の治療が必要な可能性があります。
同じトーニングを延々と続けるのではなく、治療途中で診断を見直すことが重要です。
ピコトーニングとダブルピコ
まゆりなclinic名古屋栄では、ピコトーニングとピコフラクショナルを組み合わせた「ダブルピコ」も行っています。ピコトーニングで色調へアプローチしながら、ピコフラクショナルを比較的マイルドな設定で組み合わせ、毛穴・キメ・ざらつきなど肌質も同時に整える治療です。肝斑だけでなく、くすみや肌質も一緒に整えたい方では選択肢になります。
ただし、ダブルピコを行えば必ず肝斑が早く治るという意味ではありません。
色調だけを治療すればよいのか、肌質まで一緒に整えたいのかを考えて選択します。
レーザートーニングが向いていない場合もある?
あります。例えば、赤みや皮膚炎が強い、肌のバリア状態が非常に悪い、直前に強い日焼けをしている、過去のトーニングで色素脱失が出ている、といった場合にはレーザー治療を控えることがあります。また、肝斑と思っていた色素が実際にはADMや老人性色素斑だった場合には、トーニング自体が適切ではないこともあります。「肝斑だからレーザートーニング」という一律の判断ではなく、今の肌がレーザーを受けられる状態かどうかまで確認します。
まゆりなclinic名古屋栄が肝斑トーニングで大切にしていること
当院では、肝斑治療でレーザートーニングを使用するとき、「何回当てるか」より「今の肌に次の照射が必要か」を重視しています。
必要に応じてNeo Voir I PLUSによる肌撮影も補助的に使用しながら、肝斑の濃さ、赤み、色むら、老人性色素斑やADMの混在、過去の治療反応などを確認します。
そして、
続ける
間隔を空ける
設定を変える
別の治療に切り替える
一度休む
という選択を行います。
レーザートーニングを続けること自体が治療の目的ではありません。
肝斑をコントロールしながら、肌全体をよりよい状態へ持っていくことが目的です。
よくある質問
まとめ
レーザートーニングは肝斑治療の有用な選択肢の一つです。
しかし、低出力だから何回でも続ければよい治療ではありません。
肝斑では、
必要以上に炎症を起こさない
治療効果を毎回確認する
色素脱失やPIHに注意する
反応が乏しければ治療を見直す
改善したら間隔を空ける
必要に応じてレーザーを休む
内服・外用や紫外線対策を組み合わせる
という考え方が重要です。
まゆりなclinic名古屋栄では、ピコトーニング、OPトーニング、ダブルピコなどを肌状態に応じて使い分けます。
大切なのは、「何回やったか」ではありません。今の肝斑に、今の治療がまだ必要なのか。
そこを毎回確認しながら治療を続けることです。
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文責:まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤成貴
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
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