トレチノインとは?シミ・くすみ・小じわへの効果と注意点|名古屋
- 2022.8.15
目次
トレチノインとは?

トレチノインは、ビタミンA誘導体の一つで、皮膚のターンオーバーや角化に作用する外用成分です。美容皮膚科では、ニキビ、毛穴、光老化、シミ・くすみ、炎症後色素沈着(PIH)、細かな小じわなどを目的として使用されることがあります。
トレチノインは「メラニンを漂白する薬」ではありません。表皮細胞の入れ替わりを促しながら、色素沈着の改善や肌質の変化を目指す治療です。
また、光老化した皮膚では真皮のコラーゲンなどにも作用することが知られており、色調だけでなく、細かなシワや肌のざらつき、キメなどの改善にも使われます。
一方で、赤み・皮むけ・ヒリつきが出やすい成分でもあります。そのため、まゆりなclinic名古屋栄では「皮がむけるほど効いている」とは考えず、肌状態を見ながら使用します。
トレチノインはシミに効く?
トレチノインは、特に表皮側の色素沈着で効果が期待できます。
1993年のランダム化比較試験では、0.1%トレチノインを使用した炎症後色素沈着で、治療4週以降から改善がみられ、40週後には色調改善が確認されています。ただし、治療群の約半数でレチノイド皮膚炎がみられました。肝斑でも改善効果が報告されています。0.1%トレチノインを40週間使用した試験では、治療群の68%で改善または著明改善がみられた一方、赤み・皮むけなどの刺激反応も高頻度に起こっています。
つまり、トレチノインは有効性のある治療ですが、効果だけでなく刺激とのバランスを見ることが重要です。
どんな色素沈着に使う?

当院では、主に次のような場合にトレチノインを検討します。
肝斑
→ 外用治療の一つとして検討します。
炎症後色素沈着(PIH)
→ ニキビ、湿疹、摩擦などのあとに残った茶色い色素沈着で使用することがあります。
くすみ・光老化
→ 色調だけでなく肌質も整えたい場合に検討します。
一方、濃く境界のはっきりした老人性色素斑を短期間で取りたい場合には、トレチノインを長期間塗るよりピコスポットの方が適することがあります。薄い老人性色素斑にはルビーフラクショナルを検討します。
トレチノインも「シミなら何でも塗ればよい薬」ではありません。
おすすめコラム👉「濃いシミと薄いシミでは治療が違う?シミの種類・濃さで変わる治療の選び方|名古屋」
トレチノインは小じわにも効果がある?
トレチノインは、シミ・色素沈着だけでなく、光老化による細かな小じわや肌質改善にも使用されます。表皮のターンオーバーに作用するだけでなく、真皮のコラーゲン産生などにも関与し、長期使用によって細かなシワ、肌のざらつき、キメ、光老化した皮膚の質感改善が報告されています。
特に向いているのは、
・細かな小じわ
・肌のざらつき
・キメの乱れ
・光老化による肌質変化
・くすみや色むら
などです。
一方、深い表情ジワや強いたるみを大きく改善する治療ではありません。
トレチノインは、「シミ治療の塗り薬」だけではなく、色調と肌質の両方へアプローチできる外用治療と考えると分かりやすいでしょう。
ハイドロキノンとは何が違う?
トレチノインとハイドロキノンは、作用が異なります。
トレチノイン
→ 表皮のターンオーバー・角化に作用し、色素排出や肌質改善を助ける
ハイドロキノン
→ チロシナーゼを抑え、メラニン生成を抑える
そのため、以前から両者を組み合わせた治療が行われてきました。さらにステロイドを加えた3剤併用療法も、肝斑治療で研究されています。
ただし、トレチノインもハイドロキノンも刺激が出ることがあります。
当院では、ハイドロキノンで赤みが出やすい方に無理に併用することはせず、システアミン、トラネキサム酸、レーザートーニングなど別の治療を組み合わせることがあります。
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赤み・皮むけは「効いている証拠」?
トレチノインを使用すると、赤み、ヒリつき、乾燥、皮むけなどが出ることがあります。いわゆるレチノイド反応です。ただし、反応が強いほど効果が高いわけではありません。
強い炎症を起こすと、その炎症自体がPIHにつながる可能性があります。特に肝斑や色素沈着が起こりやすい肌では、刺激を出しすぎないことが重要です。当院では、皮むけを起こすこと自体を治療目標にはしていません。
皮むけが強い場合はどうする?
強い赤み・ヒリつき・皮むけが出た場合には、使用頻度を減らす、一度休薬する、保湿を増やすなどの対応を検討します。
特に、
・赤みが強い
・痛みがある
・ジュクジュクする
・皮膚炎が広がっている
・色素沈着が濃くなってきた
という場合には、無理に続けず肌状態を確認します。
「毎日塗らなければ効果がない」という薬ではありません。
トレチノインはどのくらいで効果が出る?
トレチノインは短期間でシミを消す治療ではありません。
炎症後色素沈着の臨床試験では約4週から改善がみられていますが、肝斑では明確な改善が出るまで数か月かかった研究もあります。
小じわや光老化の肌質改善も、数日で起こる変化ではありません。数か月単位で皮膚の変化を見ます。一方で、刺激が強く出ているにもかかわらず「効果が出るまで我慢する」という使い方はしません。
肝斑では積極的に使う?
トレチノインには肝斑改善のエビデンスがありますが、まゆりなclinic名古屋栄では、肝斑治療をトレチノインだけで進めることは多くありません。肝斑では、刺激や炎症を増やさないことも重要だからです。
当院では、
OPトーニング
ピコトーニング
ダブルピコ
トラネキサム酸
C-OPERA
システアミン
紫外線・摩擦対策
などから、肌状態に合った方法を組み合わせます。
トレチノインは有効な選択肢の一つですが、刺激が出やすい肌に無理に使う治療ではありません。
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「トラネキサム酸は肝斑・色素沈着にどう使う?効果・飲み方・注意点|名古屋」
PIHにはどう使う?
ニキビ・湿疹・摩擦・レーザーなどの炎症後に残った茶色いPIHでは、トレチノインを使用することがあります。
ただし、炎症がまだ残っている時期に使用すると、刺激を追加してしまう可能性があります。
まず赤みや皮膚炎を落ち着かせ、その後に茶色い色素沈着が残っている場合に外用治療を検討します。
赤いニキビ跡そのものを治療する薬ではありません。
おすすめコラム👉「シミ取り後に濃くなった?炎症後色素沈着(PIH)・戻りジミの原因と対処法|名古屋」
レーザー治療と一緒に使える?
使うことはありますが、レーザー直前・直後に自己判断で続けることはおすすめしません。
トレチノインによって赤みや皮むけが出ている状態でレーザーを照射すると、肌への刺激が強くなる可能性があります。
そのため、治療内容や肌状態によってはレーザー前後に一時的に休薬し、皮膚が落ち着いてから再開します。
休薬期間は使用濃度や治療内容によって異なるため、一律の日数では決めません。
おすすめコラム👉「シミ取り後のスキンケアは何を使う?保湿・美白・日焼け止めの選び方|名古屋」
レチノールとは何が違う?

トレチノインとレチノールは、どちらもビタミンA系ですが同じものではありません。
トレチノインはレチノイン酸そのもので、皮膚へ直接作用します。一方、レチノールは皮膚内で段階的に変換されてレチノイン酸になります。そのため一般的には、トレチノインの方が作用が強く、その分、赤み・皮むけなどの刺激も出やすくなります。
日常的なエイジングケアで使用するレチノールと、医師管理下で使用するトレチノインは分けて考えます。
妊娠中・妊娠を考えている場合は?
トレチノインはビタミンA誘導体です。
外用剤は内服レチノイドとは全身曝露量が大きく異なりますが、妊娠中や妊娠を予定している方では自己判断で使用せず、医師へ相談してください。
妊娠・授乳中に使用しているスキンケアや薬については、診察時にお伝えください。
個人輸入のトレチノインには注意
インターネットでは、海外製トレチノインを購入できることがあります。
しかし、濃度、品質、保管状態などが不明な製品を自己判断で使用すると、強い皮膚炎を起こすことがあります。厚生労働省でも、インターネット等で購入したトレチノイン・ハイドロキノン配合製品による接触性皮膚炎や色素沈着悪化の健康被害例が公表されています。
高濃度を使用すれば早く効果が出るというものではありません。
トレチノインは「肌が若返る薬」?
いろいろな記事では「肌が若返る」という表現を使用していることもありますが、もう少し正確に考える必要があります。トレチノインには、光老化による細かなシワ、ざらつき、キメ、色むらなどを改善する研究があります。これは、表皮のターンオーバーや角化に作用するだけでなく、真皮のコラーゲンなどにも変化を与えるためと考えられています。
つまり、「塗れば若返る」というより、「光老化によって変化した肌の質感や細かなシワを改善する外用治療」と考える方が適切です。
まゆりなclinic名古屋栄での位置づけ
当院では、トレチノインを「皮をむいてシミを出す薬」として積極的に使うわけではありません。効果が期待できる方には使用しますが、赤みや皮むけが強い場合には無理に続けません。特に肝斑・PIHでは炎症を増やさないことを重視します。
一方、肌が耐えられる方では、
色素沈着
+
小じわ
+
キメ・ざらつき
+
光老化
を同時に整えられることが、トレチノインのメリットです。
そのため、
トレチノインが合う
→ 必要な期間使用
刺激が強い
→ 使用頻度を減らす、休薬、別治療へ変更
肝斑・色素沈着の長期管理
→ システアミン、トラネキサム酸、OPトーニング、C-OPERAなども検討
というように使い分けます。
トレチノインは有効性のある外用薬ですが、強く反応させることが目的ではありません。
よくある質問
Q.トレチノインはシミに効果がありますか?
A.肝斑やPIHなど表皮側の色素沈着で改善が報告されています。ただし濃い老人性色素斑を1回で除去する治療ではありません。
Q.トレチノインはシワにも効きますか?
A.光老化による細かな小じわ、肌のざらつき、キメなどの改善が期待できます。ただし深い表情ジワやたるみを大きく改善する治療ではありません。
Q.皮がむけないと効いていませんか?
A.いいえ。強い皮むけは治療目標ではありません。炎症が強すぎるとPIHにつながる可能性があります。
Q.ハイドロキノンと一緒に使った方がいいですか?
A.併用する治療法はありますが、両方とも刺激が出る可能性があります。当院では肌状態を見て使用し、無理に併用しません。
Q.肝斑にも使えますか?
A.有効性は報告されていますが、当院では肝斑治療をトレチノインだけで行うことは多くありません。刺激への反応を見ながら使用します。
Q.ニキビ跡にも使えますか?
A.茶色いPIHには使用することがあります。赤みや凹みとは治療方法が異なります。
Q.レチノールとは同じですか?
A.同じビタミンA系ですが、トレチノインの方が直接作用し、一般的に作用も刺激も強くなります。
Q.ネットで購入して使ってもいいですか?
A.濃度や品質が不明な製品による皮膚炎などのリスクがあるため、医師管理下で使用することをおすすめします。
まとめ
トレチノインは、皮膚のターンオーバーや角化、真皮のコラーゲンなどに作用するビタミンA誘導体です。肝斑、PIHなどの色素沈着だけでなく、光老化による細かな小じわ、ざらつき、キメなどの肌質改善にも使用されます。一方で、赤み・ヒリつき・乾燥・皮むけが起こりやすい治療でもあります。特に肝斑やPIHでは、炎症を起こしすぎると治療しにくくなることがあります。大切なのは、皮をむくことではありません。肌が耐えられる範囲で、色調と肌質を少しずつ整えること。それがトレチノインを上手に使うポイントです。
【参考文献】
1.Bulengo-Ransby SM, Griffiths CEM, Kimbrough-Green CK, et al. Topical tretinoin therapy for hyperpigmented lesions caused by inflammation of the skin in black patients. N Engl J Med. 1993;328(20):1438-1443. PMID: 8479462. DOI: 10.1056/NEJM199305203282002.
2.Griffiths CEM, Finkel LJ, Ditre CM, et al. Topical tretinoin improves melasma. A vehicle-controlled clinical trial. Br J Dermatol. 1993. PMID: 8217756.
3.Kimbrough-Green CK, Griffiths CEM, Finkel LJ, et al. Topical retinoic acid (tretinoin) for melasma in black patients. Arch Dermatol. 1994. PMID: 8002642.
4.Griffiths CEM, Russman AN, Majmudar G, et al. Restoration of collagen formation in photodamaged human skin by tretinoin. N Engl J Med. 1993;329(8):530-535. PMID: 8336758.
5.Kafi R, Kwak HSR, Schumacher WE, et al. Improvement of naturally aged skin with vitamin A (retinol). Arch Dermatol. 2007;143(5):606-612. PMID: 17515510.
6.Kashetsky N, Feschuk A, Pratt ME. Post-inflammatory hyperpigmentation: A systematic review of treatment outcomes. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2024;38(3):470-479. PMID: 37843491.
7.Topical treatment for postinflammatory hyperpigmentation: a systematic review. J Dermatolog Treat. 2022. PMID: 34525885.
8.厚生労働省「インターネット等で購入した未承認医薬品等・健康食品の健康被害情報」。トレチノイン・ハイドロキノン配合製品による接触性皮膚炎・色素沈着悪化事例。
文責:まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤成貴








