ピコスポットしていいシミ・してはいけないシミは?適応と注意点を医師が解説|名古屋
- 2026.9.24
ピコスポットはシミ取りに非常に有効な治療ですが、顔にある茶色いものなら何でも照射してよいわけではありません。当院では、老人性色素斑、そばかす、ADMなどをピコスポットの適応として考えます。一方、PIHには基本的にスポット照射を行いません。肝斑についても、肝斑そのものをピコスポットで取る治療は基本的に行いませんが、肝斑上に明確な老人性色素斑などが重なっている場合には、肝斑治療をしっかり行うことを前提として状況に応じてピコスポットを選択することがあります。
また、厚い老人性色素斑や脂漏性角化症ではピコレーザーだけで十分に取れないことがあり、その場合にはCO2レーザーを検討します。悪性を疑う色素性病変には美容レーザーを行わず、精査を優先します。

ピコスポットで最も重要なのは、照射する前に、この病変へ本当にスポット照射してよいのかを診断することです。
目次
ピコスポットしていいシミ・慎重に考えるシミ

茶色く見えるという理由だけでピコスポットを選ぶことはできません。
老人性色素斑はピコスポットの適応になる
老人性色素斑は、紫外線曝露などによって生じる代表的なシミです。平坦で境界が比較的明瞭な茶色い病変で、ピコスポットの適応になります。特に濃く境界がはっきりした老人性色素斑では、当院ではピコスポットを選択することが多く、基本的には1回で大きく改善させることを目標にします。一方、非常に薄い老人性色素斑や細かなシミが多数ある場合には、PIHとのバランスを考えてルビーフラクショナルを選択することがあります。老人性色素斑はピコスポットの代表的な適応ですが、濃さや数によって照射方法を変えることがあります。
そばかすもピコスポットの適応になる
そばかすは、鼻から両頬に細かな色素斑が多数みられることが多い病変です。ピコスポットで多数のそばかすを照射すると、当院では1回でかなり改善するケースがあります。ただし、照射数が多くなるためPIHやダウンタイムとのバランスを考える必要があります。当院では通常のそばかすではルビーフラクショナルを第一候補にすることも多く、赤みやくすみ、肌質まで一緒に改善したい場合にはIPL(ライムライト)を選択することがあります。そばかすはピコスポットの適応ですが、目的やPIHリスクによってルビーフラクショナルやIPLを選ぶこともあります。
ADMもピコスポットの適応になる
ADMは、頬骨周囲などに灰褐色~青褐色の色素斑としてみられることが多く、真皮側にメラニンが存在する病変です。表皮性の老人性色素斑とは異なりますが、ADMもレーザー治療の適応になります。当院ではピコスポットまたはルビーフラクショナルを検討します。1回でかなり改善する場合もありますが、色素の深さや濃さによって3~5回程度必要になることもあります。一方、ADMではIPLだけで十分な改善を得ることは難しく、当院では基本的にIPLを治療の中心として使用しません。ADMは深い色素だからスポット照射を避ける病変ではなく、ピコスポットの適応になる病変です。
肝斑そのものには基本的にピコスポットを行わない
肝斑は老人性色素斑とは治療の考え方が異なります。刺激や炎症によって色調が悪化することがあるため、肝斑そのものを取る目的で強いピコスポットを照射することは基本的に行いません。
ただし、実際の診療では肝斑の上に老人性色素斑が重なっていることがあります。この場合、肝斑があるから顔全体のスポット照射が一切できないというわけではありません。当院では、肝斑をOPトーニング、ピコトーニング、内服・外用などでしっかり治療・管理することを前提として、肝斑上に重なった明確な老人性色素斑などへ、状況に応じてピコスポットを行うことがあります。
重要なのは、肝斑と老人性色素斑を区別せず、見えている茶色い部分をまとめて強く照射しないことです。どこまでが肝斑で、どこがスポット照射の対象なのかを見極め、照射後のPIHや肝斑の変化も含めて経過を確認します。肝斑があるからピコスポットは絶対にできないのではなく、肝斑治療をきちんと行いながら、適応のある病変だけを選択して治療することが重要です。
PIHには基本的にピコスポットを行わない
PIHは、レーザー治療、ニキビ、湿疹、摩擦、外傷などの炎症後にメラニンが増えて残った色素沈着です。PIHは老人性色素斑とは病態が異なります。元のシミの残存と誤認してピコスポットを追加すると、さらに炎症を起こしてPIHが長引いたり濃くなったりする可能性があります。当院ではPIHの状態に応じて、経過観察、外用、OPトーニング、ピコトーニング、C-OPERAなどを検討します。PIHは茶色く見えていても、老人性色素斑と同じようにピコスポットで取りにいく病変ではありません。
厚い老人性色素斑・脂漏性角化症はピコだけで不十分ならCO2レーザー

老人性色素斑が長期間経過すると、角質が厚くなり、ざらつきや盛り上がりが出てくることがあります。また、脂漏性角化症は色素だけでなく角質の増殖や厚みを伴います。このような病変でも、色素成分にはピコレーザーが反応することがあります。しかし、ピコスポットで色が薄くなっても、厚みや隆起そのものが残る場合があります。そのため当院では、まず病変の状態を確認し、ピコレーザーだけで十分に取れない場合にはCO2レーザーを検討します。CO2レーザーでは色素だけでなく盛り上がった病変そのものを削ることができるため、厚みのある病変では治療目的が異なります。厚い老人性色素斑や脂漏性角化症では、ピコにこだわらず、ピコだけで不十分ならCO2レーザーへ切り替えることが重要です。
診断がつかないシミには、まずピコスポットをしない
シミ治療で避けたいのは、何の病変か分からないまま、とりあえずピコスポットを照射することです。老人性色素斑、肝斑、ADM、PIH、そばかすでは治療方法が異なります。老人性色素斑ならスポット照射が適していても、肝斑そのものなら刺激を増やす可能性があります。PIHであれば時間経過をみるべきケースがあります。分からないから一度打って反応を見るのではなく、まず診断してから照射することが基本です。
悪性を疑う色素性病変には美容レーザーをしない
最も重要な例外が、悪性を疑う色素性病変です。左右非対称、境界が不規則、色調が均一でない、短期間で大きくなる、出血や潰瘍を伴うなど、通常の良性のシミとは異なる所見がある場合には、美容目的のレーザー治療を優先しません。レーザーで病変の色や形を変えてしまうと、その後の診断が難しくなる可能性があります。悪性を疑う病変には美容レーザーを行わず、皮膚科での精査や必要に応じた病理診断を優先します。
同じ顔でもピコスポットしていい場所・しない場所がある
実際の診療では、一人の顔に一種類の色素性病変しかないとは限りません。例えば、濃い老人性色素斑にはピコスポット、薄い老人性色素斑にはルビーフラクショナル、背景の肝斑にはOPトーニングやピコトーニング、肝斑上の明確な老人性色素斑には肝斑治療を行いながら状況に応じてピコスポット、PIHには経過観察やトーニング系治療、厚い老人性色素斑・脂漏性角化症にはピコだけで不十分ならCO2レーザー、というように同じ顔の中でも治療を分けます。
顔全体に同じレーザーを当てるのではなく、一つひとつの病変を見てスポット照射の適応を判断します。
ピコスポットはシミ取り放題でも診断が必要
顔中のシミをまとめて治療する場合でも、見えている茶色い色素をすべてピコスポットするわけではありません。老人性色素斑やそばかすはスポット照射の対象になりますが、PIHは避けます。肝斑があれば、肝斑そのものへスポット照射するのではなく、背景の肝斑を治療しながら、明確に区別できる老人性色素斑などだけを選択して照射することがあります。厚い老人性色素斑や脂漏性角化症は、ピコだけで不十分であればCO2レーザーへ変更します。ADMも病変の深さや分布を確認しながら治療します。シミ取り放題では、たくさん照射することより、どこに照射し、どこに照射しないかを判断することが重要です。
ピコスポットの適応判断は治療結果にも関わる
ピコスポットは、適応を正しく選べば非常に有用な治療です。しかし、治療対象を間違えると、何回照射しても改善しない、PIHが残る、肝斑が悪化するなど、治療が長期化する原因になります。そのため当院では、照射前に病変の種類、濃さ、厚み、分布、背景に肝斑がないか、過去の治療歴などを確認します。ピコスポットは機械の性能だけで結果が決まる治療ではありません。適応を見極める診断そのものが治療の一部です。
まとめ
ピコスポットは、茶色い色素なら何でも照射してよい治療ではありません。

最も重要なのは、レーザーを照射する技術より前に、どこへ打ってよいか、どこへ打たないかを診断することです。
まゆりなclinic名古屋栄では、シミの種類、濃さ、厚み、分布、背景の肝斑などを確認し、ピコスポット、ルビーフラクショナル、OPトーニング、ピコトーニング、IPL、CO2レーザーなどから治療を選択しています。
Q&A
【文責】
まゆりなclinic名古屋栄
院長 加藤 成貴
【参考文献・資料】
- Efficacy of Q-Switched and Picosecond Lasers for Acquired Bilateral Nevus of Ota-Like Macules: A Systematic Review and Exploratory Dose-Response Meta-Analysis.
- Efficacy and Safety of Picosecond Laser for the Treatment of Acquired Dermal Melanocytosis.
- Efficacy and safety of picosecond laser for the treatment of melasma: a systematic review and meta-analysis.
- Lasers for Melasma. Dermatol Clin.
- Davis EC, Callender VD. Postinflammatory hyperpigmentation: epidemiology, clinical features, and treatment options. J Clin Aesthet Dermatol.
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
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