④いびきと睡眠時無呼吸は何が違う?注意したい症状を医師が解説|まゆりなclinic名古屋栄
- 2026.9.9
目次
いびきと睡眠時無呼吸は何が違う?注意したい症状を医師が解説
名古屋でいびきが気になる方へ。睡眠コラム第4回では、単純性いびきと睡眠時無呼吸の違い、注意したい症状、医師に相談する目安について解説します。
「いびき=睡眠時無呼吸」ではありません
「家族からいびきを指摘されたけれど、睡眠時無呼吸なのでしょうか?」
いびきについてご相談される方から、よく聞かれる疑問の一つです。結論からいうと、
いびきをかいているからといって、必ず睡眠時無呼吸というわけではありません。
疲れている日や飲酒後、鼻が詰まっているときなど、一時的にいびきをかくこともあります。
また、睡眠中に空気の通り道が狭くなって音は出ているものの、呼吸そのものは大きく妨げられていない「単純性いびき」と呼ばれる状態もあります。一方で、睡眠時無呼吸の方では大きないびきを伴うことが多く、いびきが病気を見つけるきっかけになることもあります。
そのため大切なのは、「いびきをかいているか」だけではなく、「いびき以外にどのような症状があるか」を見ることです。いびきが起こる仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。
そもそも「いびき」とは?
いびきは、睡眠中に空気の通り道である上気道が狭くなり、その周囲の軟らかい組織が振動することで生じる音です。眠っている間は、起きているときよりも舌やのど周囲の筋肉がゆるみます。
そのため、
- 舌がのど側へ落ち込む
- 軟口蓋が振動する
- 鼻づまりがある
- 仰向けで寝る
- 飲酒する
- 体重が増える
などの条件が加わると、空気の通り道がさらに狭くなり、いびきが出やすくなります。
つまり、いびきは、「睡眠中に空気の通り道が狭くなっているサイン」と考えることができます。
ただし、狭くなっている程度は人によって大きく異なります。
睡眠時無呼吸では「呼吸そのもの」が妨げられます
この記事では、いびきと関わりの深い「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)」を中心に説明します。睡眠時無呼吸には、呼吸を調節する脳の働きに関わる「中枢性睡眠時無呼吸」もあります。
いびきと睡眠時無呼吸の大きな違いはここです。単純ないびきでは、空気の通り道が狭くなって音が出ていても、呼吸は保たれています。一方、閉塞性睡眠時無呼吸では、睡眠中に上気道がさらに狭くなったり、一時的に塞がったりすることで、呼吸が弱くなったり止まったりする状態を繰り返します。つまり、
NHLBI(米国国立心肺血液研究所)でも、睡眠時無呼吸の代表的な症状として、睡眠中の呼吸停止と再開、頻繁な大きないびき、息をあえぐような呼吸などを挙げています。

なぜ睡眠時無呼吸では「寝たのに疲れる」のでしょうか?
睡眠時無呼吸では、睡眠中に呼吸が妨げられるたびに、身体は呼吸を再開しようとします。
その際、本人がはっきり目を覚ましたと認識していなくても、脳が短時間覚醒することがあります。そのため、
睡眠が分断される流れ
- 眠る
- 気道が狭くなり、呼吸が妨げられる
- 脳が短時間覚醒し、呼吸が再開する
- 再び眠る
この流れが一晩の中で繰り返されることがあります。
本人としては、
「夜中に一度も起きなかった」
と思っていても、実際には睡眠が細かく分断されていることがあるのです。
その結果、
- 朝すっきりしない
- 十分寝ても疲れが取れない
- 熟睡した感じがしない
- 日中眠くなる
- 集中力が続きにくい
といった症状につながることがあります。
「いい睡眠」といびきの関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。
注意したい症状② 毎晩のように大きないびきをかく
時々いびきをかくこと自体は珍しくありません。
例えば、
- 飲酒した日
- 強く疲れている日
- 鼻が詰まっている日
- 仰向けで寝たとき
だけいびきをかくこともあります。
一方で、ほぼ毎晩、大きないびきをかいているという場合には、慢性的に上気道が狭くなっている可能性があります。
特に、
大きないびき+呼吸停止がセットになっている場合には、一度睡眠時無呼吸について考えてみる必要があります。
ただし、いびきの「音量」だけで睡眠時無呼吸を診断することはできません。
大きないびきでも単純性いびきのことがありますし、逆にいびきがそれほど目立たない睡眠時無呼吸もあります。
注意したい症状③ 日中の強い眠気
夜のいびきとは一見関係なさそうですが、日中の眠気も重要なポイントです。
睡眠時間を十分確保しているにもかかわらず、
- 会議中に眠ってしまう
- 電車ですぐ寝てしまう
- テレビを見ながら頻繁に寝落ちする
- 仕事中に強い眠気がある
- 運転中に眠くなる
といった症状がある場合には、睡眠が細かく分断されるなど、夜間の睡眠に問題がある可能性があります。
運転中に眠気を感じる場合は運転を控え、早めに医療機関へ相談してください。
睡眠時無呼吸では、日中の眠気や疲労、集中力や反応速度への影響がみられることがあります。
注意したい症状④ 朝起きても疲れが取れない
「7時間寝たのに、なぜか疲れている」
「朝から身体が重い」
「昔より熟睡した感じがしない」
こうした症状も、睡眠を振り返るきっかけになります。
もちろん、疲労感の原因は睡眠時無呼吸だけではありません。
睡眠不足、ストレス、飲酒、生活リズム、ほかの病気など、さまざまな原因があります。
しかし、
大きないびき+朝の疲労感
が続いている場合には、睡眠中の呼吸が睡眠の質に影響していないかという視点も必要です。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、睡眠時間だけではなく、睡眠によって休養が得られたと感じる「睡眠休養感」が重要とされています。
注意したい症状⑤ 起床時の頭痛・口の乾き
睡眠時無呼吸の方では、
- 起床時の頭痛
- 朝の口の乾き
などがみられることがあります。ただし、これらの症状だけで睡眠時無呼吸と判断することはできません。口の乾きについては、いびきに伴う口呼吸や鼻づまりでも起こります。
そのため、一つの症状だけを見るのではなく、いびき、呼吸停止、眠気、疲労感などをまとめて考えることが大切です。
注意したい症状⑥ 高血圧などがある
睡眠時無呼吸は、単に睡眠だけの問題ではありません。
繰り返す低酸素や覚醒反応によって交感神経が活性化し、高血圧をはじめとした心血管系への影響とも関連することが知られています。
AASM(米国睡眠医学会)の診断ガイドラインでは、日中の強い眠気に加えて、習慣的な大きないびき、目撃された無呼吸・あえぎ・窒息様呼吸、高血圧という情報を、OSAのリスク評価に用いています。診断には、医師による評価と適切な睡眠検査が必要です。
特に、
高血圧がある+大きないびきを指摘されているという方は、一度睡眠についても意識してみるとよいでしょう。

「太っていないから大丈夫」とは限りません
睡眠時無呼吸というと、「肥満の男性がなる病気」
というイメージを持っている方もいるかもしれません。
確かに肥満は重要なリスク因子です。しかし、日本人を含むアジア人では、顎の大きさや顔面骨格、舌・軟口蓋などの形態が関係し、肥満が目立たなくても気道が狭くなりやすい人がいます。したがって、「自分は痩せているから大丈夫」とは言い切れません。
いびきをかきやすい人の特徴については、以下の記事で詳しく解説しています。
では、「ただのいびき」と睡眠時無呼吸はどう見分けるのでしょうか?
自宅で完全に見分けることはできません。いびきの音だけを聞いて、「これは単純性いびき」「これは睡眠時無呼吸」と判断することもできません。
まずは医師が、
- いびきの頻度
- 呼吸停止を指摘されたことがあるか
- 日中の眠気
- 睡眠時間
- 朝の休養感
- 体型
- 血圧
- 鼻や口腔・咽頭の状態
などを確認します。
そのうえで、睡眠時無呼吸が疑われる場合には、自宅で行う簡易睡眠検査や、必要に応じて医療機関で行う終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)などを検討します。
AASMも、OSAの診断は問診だけで行うものではなく、疑われる患者では医療者による評価と適切な睡眠検査を組み合わせることを推奨しています。
簡易睡眠検査で異常がはっきりしなくても、症状などから睡眠時無呼吸が疑われる場合には、PSGなどによる追加の評価が必要になることがあります。
いびきがあるからといって、すべての方に大がかりな検査が必要なわけではありません
ここも重要です。いびきをかいている方すべてに、最初から精密な睡眠検査が必要というわけではありません。例えば、
「パートナーからいびきを指摘された」
というだけで、
- 呼吸停止を指摘されていない
- 日中の強い眠気がない
- 朝の強い疲労感がない
といった場合には、まずいびきそのものについて相談するという考え方もあります。
一方、
「いびき+呼吸停止」
「いびき+強い日中の眠気」
「いびき+息をあえぐような呼吸」
などがある場合には、睡眠時無呼吸が隠れていないか確認することが大切です。
つまり、すべてのいびきを「病気」と考える必要はありませんが、すべてのいびきを「ただの音」と考えるのも適切ではありません。
このバランスが重要です。
いびきを改善することと、睡眠時無呼吸を治療することは同じではありません
ここは、いびき治療を考えるうえで大切なポイントです。
いびきの治療では、生活習慣の見直し、寝姿勢、鼻の治療、マウスピース、口腔・咽頭への治療、レーザー治療など、原因や状態によってさまざまな方法があります。
一方、睡眠時無呼吸では、その重症度や原因に応じて適切な治療を考える必要があります。
したがって、
いびき治療は「いびき」という症状に対する治療として考え、睡眠時無呼吸が疑われる場合には、必要に応じて別途評価することが大切です。
いびきの改善方法については、次の記事で詳しく解説します。
呼吸停止や強い眠気などがある場合は、いびき治療の効果を待つのではなく、治療前に睡眠時無呼吸の評価を受けることが大切です。
いびきが気になる方は、まず「ほかの症状がないか」を確認してみましょう
いびきを指摘されたら、まず次の項目を振り返ってみてください。
- 毎晩のように大きないびきをかいている
- 呼吸が止まっていると言われた
- 寝ているときに息苦しそうと言われる
- 十分寝ているのに日中眠い
- 朝起きても疲れが取れない
- 起床時に頭痛がある
- 高血圧がある
一つ当てはまったからといって、睡眠時無呼吸と決まるわけではありません。
ただし、呼吸停止を指摘された場合や日中の眠気が強い場合には、その症状だけでも医師に相談してください。複数の症状が重なっている場合も、睡眠中の呼吸の評価が大切です。
まとめ|いびきは「音」、睡眠時無呼吸では「呼吸」にまで影響します
いびきと睡眠時無呼吸は同じものではありません。
分かりやすく整理すると、
という違いがあります。そのため、いびきをかいているからといって過度に心配する必要はありません。
一方で、
- 大きないびき
- 呼吸停止
- 強い日中の眠気
- 朝の強い疲労感
などが重なっている場合には、単純ないびきだけではなく、睡眠時無呼吸が隠れていないか考えることも大切です。いびきは、本人よりも家族やパートナーが先に気づくことの多い症状です。
「最近いびきが大きくなった」
「呼吸が止まっていると言われた」
という場合には、単に「うるさいから」と考えるのではなく、自分の睡眠や呼吸を振り返るきっかけにしてみてください。
まゆりなclinic名古屋栄では、今後も「睡眠」「いびき」「いびき治療」について、医師の立場からわかりやすく情報を発信していきます。
よくある質問
Q. いびきをかいていると睡眠時無呼吸ですか?
Q. 呼吸が止まっていると言われたら検査した方がいいですか?
Q. いびきだけで、日中の眠気がなければ大丈夫ですか?
Q. 痩せていても睡眠時無呼吸になりますか?
Q. いびきを治療すれば睡眠時無呼吸も改善しますか?
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- 第10回|名古屋でいびき治療を検討している方へ|治療法とクリニック選びを医師が解説
参考資料
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(睡眠対策ページ)
- National Heart, Lung, and Blood Institute(NHLBI)「Sleep Apnea – Symptoms」
- Kapur VK, et al. Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea. J Clin Sleep Med. 2017;13(3):479–504.
- Rosen IM, et al. Clinical Use of a Home Sleep Apnea Test: An Updated American Academy of Sleep Medicine Position Statement. J Clin Sleep Med. 2018;14(12):2075–2077.

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院などで内科・循環器内科・救急医療の診療経験を積み、2022年にまゆりなclinic名古屋栄を開院。
循環器内科では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療にも携わり、ポリソムノグラフィー(PSG)による睡眠検査、CPAP療法、マウスピース治療などを行っています。
いびきは単なる音の問題ではなく、睡眠中の呼吸や睡眠時無呼吸症候群が関係していることもあります。
当院では、こうした睡眠医学・内科的な視点から状態を確認したうえで、切らないいびきレーザー治療「ナイトレーズ」を行っています。
すべての方にレーザー治療を勧めるのではなく、口腔・咽頭の状態や症状を医師が確認し、必要に応じて睡眠時無呼吸症候群の評価も行いながら、その方に適した治療をご提案します。
「いびきを止める」だけでなく、「睡眠中にどのように呼吸しているか」まで考える診療を大切にしています。
※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたもので、個別の診断・治療を行うものではありません。睡眠中の呼吸停止、大きないびき、強い日中の眠気などがある場合は、医療機関へご相談ください。








