①良い睡眠とは?睡眠時間・睡眠の質・睡眠休養感を医師が解説|名古屋・栄
- 2026.9.7
目次
良い睡眠とは?睡眠時間だけでは分からない“眠りの質”を医師が解説
良い睡眠は「長く寝ること」だけではありません
「毎日何時間寝ればいいですか?」
「7時間寝れば十分ですか?」
「休日にたくさん寝れば、平日の睡眠不足は取り戻せますか?」
睡眠について考えるとき、多くの方がまず気にするのが睡眠時間です。
もちろん、必要な睡眠時間を確保することは大切です。
しかし現在は、睡眠を単純に「何時間眠ったか」だけで考えるのではなく、
- 睡眠時間
- 睡眠の規則性
- 睡眠によって休養がとれた感覚
- 朝の目覚め
- 日中の眠気や集中力
- 睡眠中の状態
など、複数の視点から睡眠を考えることが重要とされています。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、成人では必要な睡眠時間を確保するとともに、睡眠休養感を高めることが推奨されています。
つまり、良い睡眠を考えるときには、
「どれくらい寝たか」だけでなく、「どのように眠れたか」
まで見ることが大切です。
良い睡眠は「量・質・規則性」に注目
睡眠を考えるときには、大きく次の3つの視点があります。
① 睡眠の量
必要な睡眠時間を確保できているか。
② 睡眠の質
眠ったことで、しっかり休めたと感じられているか。
③ 睡眠の規則性
寝る時間・起きる時間が大きく乱れていないか。

さらに、
- 朝すっきり起きられるか
- 日中に強い眠気がないか
- 集中力が保たれているか
- 夜中に何度も目が覚めていないか
なども重要です。
したがって、
「7時間寝たから良い睡眠」
あるいは、
「6時間だから悪い睡眠」
と、一つの数字だけで判断することはできません。
1.睡眠の「量」|何時間眠るかはやはり大切
まず基本となるのが、睡眠時間です。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人について、
6時間以上を目安として、必要な睡眠時間を確保する
ことが推奨されています。
ただし、これは
「全員が6時間寝れば十分」
という意味ではありません。
必要な睡眠時間には個人差があります。
年齢、体質、生活環境、仕事内容などによっても異なるため、一律に「何時間が正解」と決めることはできません。実際、UK Biobankの約48万人を対象とした2022年の研究では、中高年において約7時間の睡眠がより良い認知機能などと関連していたと報告されています。ただし、これは観察研究です。したがって、「7時間眠ればすべての人が健康になる」という意味ではありません。睡眠時間は重要ですが、それだけで良い睡眠が決まるわけではないということです。
| 観点 | 目安・研究結果 | どう考える? |
|---|---|---|
| 厚生労働省
睡眠ガイド2023
|
6時間以上
を目安に
必要な睡眠時間を確保 |
成人では、まず 必要な睡眠時間を確保すること が大切です。 ただし「6時間眠れば全員十分」という意味ではありません。 |
| 大規模研究
UK Biobank
|
約7時間
の睡眠と良好な
認知機能などとの関連 |
中高年を対象とした研究では、 約7時間の睡眠が良好な認知機能などと関連 していました。 ただし観察研究であり、すべての人の「正解」を示すものではありません。 |
| 大切な考え方
睡眠時間の個人差
|
一律ではない
年齢・体質・生活環境
などによって異なる |
睡眠時間だけで判断せず、 睡眠の質・規則性・朝の目覚め・日中の状態 まで含めて考えることが重要です。 |
POINT
も、良い睡眠を考える大切なポイントです。
2.睡眠の「質」|寝た時間と「休めた感覚」は違う
睡眠時間と同じくらい重要なのが、
「眠ったことで休養がとれたと感じられるか」
ということです。これを厚生労働省では「睡眠休養感」と表現しています。たとえば、同じ7時間眠ったとしても、「朝すっきり起きられた」という人もいれば、「寝たはずなのに疲れている」「起きてもまだ眠い」という人もいます。つまり、睡眠時間が同じでも、睡眠によって得られる休養感は同じとは限りません。5,804人のSleep Heart Health Studyのデータを解析した研究でも、睡眠時間だけではなく、睡眠によって十分に休めたと感じられているかを合わせて評価する重要性が示されています。特に、「十分寝ているつもりなのに疲れが取れない」という方では、睡眠時間だけを見るのではなく、睡眠休養感にも目を向ける必要があります。

3.睡眠の「規則性」|寝る時間・起きる時間も重要
近年、睡眠時間とともに注目されているのが睡眠の規則性です。例えば、
平日は0時に寝て6時に起きる。
金曜日は2時まで起きる。
土曜日は昼まで寝る。
日曜日はまた早く寝る。
というように、日によって睡眠時間帯が大きく変わっている方も少なくありません。
日本人81,382人を対象としたJ-MICC Studyでは、平均約9年間の追跡により、不規則な睡眠習慣と全死亡リスク上昇との関連が報告されています。
さらにUK Biobankを用いた研究でも、睡眠の規則性が健康リスクと関連する可能性が示されています。もちろん、「毎日まったく同じ時間に寝なければいけない」
という意味ではありません。重要なのは、睡眠時間だけではなく、日々のリズムも含めて睡眠を考えることです。

なぜ睡眠は必要なのでしょうか?
睡眠は単なる「休憩時間」ではありません。
睡眠中にも、私たちの身体ではさまざまな調整が行われています。
睡眠は、
- 脳と身体の休息
- 記憶や学習に関する情報整理
- 自律神経の調整
- ホルモン分泌
- 免疫機能
- 心身の回復
などと関係しています。
そのため、慢性的な睡眠不足が続くと、「眠い」だけではなく、
「集中できない」
「仕事の効率が落ちる」
「疲れが取れない」
「なんとなく体調が優れない」
といった変化を感じることがあります。
睡眠は、翌日の身体と脳を整えるための大切な時間と考えることができます。
「朝どう感じるか」を確認してみてください
睡眠を考えるうえで、とても分かりやすい指標があります。
それが、「朝起きたとき、自分がどう感じているか」です。
例えば、
「よく眠れた」
「今日はすっきりしている」
「疲れがある程度取れた」
という感覚があるでしょうか。
一方、
「寝たはずなのに疲れている」
「朝から頭が重い」
「起きてもまだ眠い」
という状態が続いているのであれば、一度睡眠について振り返ってみてもよいでしょう。
この睡眠休養感については、次回のコラムでさらに詳しく解説していきます。
睡眠は「夜」だけを見ても分かりません
良い睡眠を考えるには、昼間の生活も大切です。
例えば、
- 朝起きる時間
- 朝の光
- 日中の運動量
- 食事の時間
- カフェインの摂取
- 飲酒
- 夜のスマートフォン
- 入浴
- 寝室の光・温度・音
など、日常生活の多くが睡眠に関係します。
厚生労働省の睡眠ガイドでも、生活習慣や寝室環境を見直し、睡眠休養感を高めることが推奨されています。睡眠をよくしたいときは、寝る直前だけではなく、1日全体の生活リズムを見ることが大切です。

自分では分からない「睡眠中の状態」
もう一つ、睡眠について知っておきたいことがあります。
それは、
眠っている本人には、自分の睡眠中の状態が分かりにくい
ということです。
例えば、
- 寝言
- 歯ぎしり
- 寝返り
- いびき
- 睡眠中の呼吸
などは、家族やパートナーから指摘されて初めて気づくことがあります。
特にいびきは、その代表例です。「自分はいびきをかいていないと思っていた」という方でも、「毎晩かなり大きないびきをかいている」と家族から言われて初めて知ることがあります。もちろん、いびきをかく=睡眠が悪いという意味ではありません。
飲酒、疲労、鼻づまり、寝る姿勢などによって、一時的にいびきが出ることもあります。
しかし、睡眠中にどのように呼吸しているかという視点は、自分の睡眠を考えるうえで大切です。今後のコラムでは、睡眠の基本を押さえたうえで、いびきと睡眠の関係についても順番に解説していきます。

自分の睡眠を5つの視点から確認してみましょう
睡眠について気になる方は、まず次の5つを確認してみてください。
1.睡眠時間
自分に必要な睡眠時間を確保できているでしょうか。
2.睡眠の規則性
寝る時間・起きる時間が日によって大きく変わっていないでしょうか。
3.朝の目覚め
起きたときに、ある程度「休めた」と感じられているでしょうか。
4.日中の状態
仕事中や運転中などに、強い眠気が出ていないでしょうか。
5.睡眠中の状態
家族から、いびきや睡眠中の呼吸について何か指摘されたことはないでしょうか。
良い睡眠を考えるときには、
この5つを総合的にチェックすること
が重要です。
確保できていますか?
日によって大きく乱れていませんか?
「休めた」と感じられていますか?
強い眠気が出ていませんか?
いびきや睡眠中の呼吸
について指摘されたことはありませんか?
「眠れている」と「休めている」は同じではありません。
毎日6〜7時間はベッドに入っている。
だから、「睡眠は十分取れている」と思っている方もいるでしょう。
しかし、ベッドに入っている時間と、身体や脳が十分に休めていることは必ずしも同じではありません。近年の研究からも、睡眠時間だけでなく、
• 睡眠休養感
• 睡眠の規則性
• 日中の状態
まで含めて睡眠を考える重要性が示されています。したがって、「私は何時間寝ているか?」だけでなく、「私はどのように眠れているか?」を考えてみることが大切です。
今後、睡眠といびきについて順番に解説していきます
睡眠は、誰にとっても身近なものです。しかし、
「何時間眠ればいいのか」
「寝ても疲れが取れないのはなぜか」
「休日の寝だめは意味があるのか」
「お酒と睡眠にはどんな関係があるのか」
「いびきと睡眠は関係しているのか」
「年齢とともに眠りはどう変わるのか」
など、意外と分からないことも多い分野です。
まゆりなclinic名古屋栄では、このコラムを通して、
睡眠を単なる「寝る時間」の問題ではなく、毎日の体調や健康を考える大切なテーマとして、医学的な知見や研究データも交えながら分かりやすく解説していきたい
と考えています。
今後は、
- 睡眠時間
- 睡眠休養感
- 朝の疲労感
- 日中の眠気
- アルコールと睡眠
- 年齢と睡眠
- いびき
- 睡眠中の呼吸
について、順番に取り上げていきます。
よくある質問
まとめ
良い睡眠を考えるとき、「何時間寝たか」だけを見るのでは不十分です。
大切なのは、
• 必要な睡眠時間を確保できているか
• 睡眠・起床時間が大きく乱れていないか
• 寝たことで休養がとれたと感じるか
• 日中に強い眠気が残っていないか
• 睡眠中について周囲から何か指摘されていないか
という点です。近年の研究からも、睡眠時間だけでなく、睡眠の規則性や睡眠休養感まで含めて睡眠を考える重要性が示されています。そして睡眠には、
自分では見ることのできない時間があります。その代表的なものの一つが、いびきや睡眠中の呼吸です。まずは、「何時間寝たか」だけでなく、「どのように眠れているか」
という視点で、自分の睡眠を振り返ってみてください。次回は、「寝ても疲れが取れないのはなぜ?睡眠の質と睡眠休養感について」を詳しく解説します。
関連記事|睡眠コラムシリーズ
- 第1回|良い睡眠とは?睡眠時間・睡眠の質・睡眠休養感を医師が解説
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- 第7回|いびきのレーザー治療とは?切らない治療の仕組み・効果・注意点を医師が解説
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- 第10回|名古屋でいびき治療を検討している方へ|治療法とクリニック選びを医師が解説
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参考文献
1. 厚生労働省.健康づくりのための睡眠ガイド2023.
2. Omichi C, et al. Irregular sleep and all-cause mortality: A large prospective cohort study. Sleep Health. 2022;8(6):678-683.
3. Windred DP, et al. Sleep regularity is a stronger predictor of mortality risk than sleep duration: A prospective cohort study. Sleep. 2024;47(1).
4. Yoshiike T, et al. Mortality associated with nonrestorative short sleep or nonrestorative long time-in-bed in middle-aged and older adults. Sci Rep. 2022;12:189.
5. Tai XY, et al. Impact of sleep duration on executive function and brain structure. Commun Biol. 2022.
文責:まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤成貴
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院などで内科・循環器内科・救急医療の診療経験を積み、2022年にまゆりなclinic名古屋栄を開院。
循環器内科では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療にも携わり、ポリソムノグラフィー(PSG)による睡眠検査、CPAP療法、マウスピース治療などを行っています。
いびきは単なる音の問題ではなく、睡眠中の呼吸や睡眠時無呼吸症候群が関係していることもあります。
当院では、こうした睡眠医学・内科的な視点から状態を確認したうえで、切らないいびきレーザー治療「ナイトレーズ」を行っています。
すべての方にレーザー治療を勧めるのではなく、口腔・咽頭の状態や症状を医師が確認し、必要に応じて睡眠時無呼吸症候群の評価も行いながら、その方に適した治療をご提案します。
「いびきを止める」だけでなく、「睡眠中にどのように呼吸しているか」まで考える診療を大切にしています。








