毛穴に見えるけど実はニキビ跡?開き毛穴・アイスピック型・浅いクレーターの見分け方│名古屋
- 2026.9.26
「毛穴治療を何回しても同じ凹みだけ残る」「頬の毛穴が深く見える」「毛穴だと思っていたけれどニキビ跡と言われた」という相談があります。頬では、普通の開き毛穴と小さな萎縮性ニキビ跡が非常によく似て見えることがあります。特にアイスピック型や浅いボックスカー型は、遠目では毛穴のように見えるため、自分で区別するのは簡単ではありません。
萎縮性ニキビ跡は一般にアイスピック型、ボックスカー型、ローリング型に分類され、それぞれ形・深さ・原因となる構造が異なります。[1]
毛穴治療を何回しても改善しない場合には、「本当に毛穴なのか」を一度見直すことが重要です。
目次
開き毛穴とニキビ跡は何が違う?
普通の開き毛穴は、皮脂分泌、毛包容積、毛穴周囲の弾力低下などによって目立ちます。一方、ニキビ跡の凹みは、炎症によって真皮が損傷し、治癒過程で組織が失われたり、線維性組織によって皮膚が引き込まれたりして生じます。つまり、見た目は似ていても構造が違います。

開き毛穴は「毛包が目立つ状態」、ニキビ跡は「真皮が傷ついた瘢痕」です。
アイスピック型は最も毛穴に見えやすい

アイスピック型ニキビ跡は、入り口が小さく、奥へ細く深く落ち込むタイプです。表面だけを見ると直径の小さな毛穴のように見えるため、開き毛穴と間違えられやすいタイプです。ただし、よく見ると普通の毛穴より深く、針で刺したような点状の凹みとして見えます。
2025年の組織学的研究では、アイスピック型はボックスカー型より平均的に深かったと報告されており、表面から見える穴が小さくても、実際には深い瘢痕であることがあります。[6]
小さいから軽いとは限らず、毛穴のように見えて実は深い瘢痕ということがあります。
浅いボックスカー型も開き毛穴に似て見える

ボックスカー型は、比較的明確な縁を持つ円形〜楕円形の凹みです。深いボックスカー型であればニキビ跡と分かりやすいですが、浅く小さいものは「大きな毛穴」に見えることがあります。萎縮性ニキビ跡の分類は肉眼だけでは必ずしも一致率が高くなく、小さな瘢痕ほど評価者間で分類が一致しにくいことが報告されています。[4]
ローリング型は「毛穴」というより広い凹みとして見えやすい

ローリング型は、皮膚が深部の線維によって引っ張られ、なだらかに波打つような凹みです。一つひとつの穴というより、頬全体がでこぼこして見えるため、典型例では毛穴とは区別しやすいタイプです。ただし、浅いローリング型と開き毛穴が混在すると、頬全体が「毛穴がすごく多い」ように見えることがあります。
見分けるポイント① 深さが不揃いか
普通の毛穴は、ある程度似た大きさ・深さで分布することが多いです。一方、ニキビ跡が混在している場合には、浅い凹みの中に数個だけ深い穴が混ざる、同じ頬でも凹みの大きさがバラバラ、という特徴が出やすくなります。
「均一な毛穴の中に、明らかに深い穴が混ざっている」場合には、ニキビ跡を疑います。
見分けるポイント② ニキビがよくできていた場所か
ニキビ跡は、過去に炎症性ニキビが多かった部位に生じやすくなります。特に頬に赤ニキビや膿疱性ニキビを繰り返していた方で、その後から「毛穴が急に増えた」と感じた場合には、実際には一部が萎縮性瘢痕になっている可能性があります。
見分けるポイント③ 頬を引っ張ったときの変化
皮膚を横方向や上方向へ軽く伸ばしたときの変化も参考になります。単純な開き毛穴や軽いたるみ毛穴では、皮膚を伸ばすと目立ちにくくなることがあります。一方、深いアイスピック型では引っ張っても穴が残りやすく、線維性癒着のあるローリング型では周囲を伸ばしても凹みが残ることがあります。ただし、この方法だけで診断することはできません。あくまで診察時の参考所見です。
見分けるポイント④ 毛穴治療をしても同じ穴だけ残る
これは実臨床で非常に分かりやすいポイントです。皮脂や角栓、真皮のハリを治療して顔全体の毛穴が改善してきたのに、同じ場所の数個の穴だけ残る場合があります。その場合、残っているものは単純な毛穴ではなく、アイスピック型、浅いボックスカー型、浅い線維性瘢痕などの可能性があります。
治療後に何が残ったかを見ることも、毛穴とニキビ跡を見分ける手がかりになります。
肌診断や写真で経過を見ることも重要
小さな毛穴・瘢痕は、その日の光の当たり方や肌の乾燥によって見え方が変わります。そのため、治療前後の写真を同じ条件で比較することが重要です。必要に応じて肌診断器などを使い、毛穴の分布や肌状態を記録することで、全体の毛穴が改善しているのか、特定の凹みだけ残っているのかを確認しやすくなります。ただし、肌診断器だけでニキビ跡の深さや癒着を完全に判断できるわけではなく、最終的には実際の皮膚を診察して判断します。
毛穴だと思ってニキビ跡を治療するとどうなる?
ニキビ跡を普通の毛穴として扱うと、治療が弱すぎることがあります。例えば、深いアイスピック型に毛穴洗浄だけを行っても瘢痕そのものは改善しません。また、深い線維性癒着がある凹みに表面のレーザーだけを繰り返しても、十分に持ち上がらないことがあります。
治療法は「毛穴かニキビ跡か」だけでなく、ニキビ跡ならどの深さ・形なのかまで見て決める必要があります。
ニキビ跡だった場合、治療はどう変わる?

当院のキュアジェットでは、表面付近の線維性組織へマイクロサブシジョン的にアプローチし、より深い線維性癒着にはサブシジョンを使い分けています。
アイスピック型なら全部同じ治療?
いいえ。アイスピック型でも、深さや大きさ、周囲の瘢痕状態によって治療を変えます。一般的な萎縮性ニキビ跡治療では、フラクショナルレーザー、ケミカルピーリング、マイクロニードリング、サブシジョン、フィラーなど複数の方法が使われますが、瘢痕タイプによって反応は異なります。
実際、非アブレーショナルフラクショナルレーザーではボックスカー型の方がアイスピック型より改善率が高かった研究もあります。[5]
「ニキビ跡ならフラクショナルレーザー」ではなく、瘢痕の形によって治療を変える必要があります。
毛穴とニキビ跡が混在している場合
実際にはこれが非常に多いです。例えば、全体には開き毛穴、一部にアイスピック型、数個の浅いボックスカー型、皮脂も多い、ということがあります。この場合、毛穴全体にはシルクロやピコフラクショナル、目立つ凹みにはキュアジェット+ジュベルック、深い癒着があればサブシジョンというように治療を分けます。
顔全体へ一つの毛穴治療を行うより、毛穴と瘢痕を分けて治療した方が合理的です。
当院では「残った凹み」を再評価する
毛穴治療では、初診時にすべてを完璧に分類するだけでなく、治療経過も重要です。全体の毛穴が改善したあとに、特定の凹みだけ残ってくることがあります。その段階で、普通の毛穴ではなくニキビ跡の要素が強いと判断し、キュアジェット、ジュベルック、サブシジョンなどへ治療を変更することがあります。
毛穴治療をしても残る穴は「もっと同じ治療をする」のではなく、一度瘢痕として見直すことが重要です。
まとめ
頬の毛穴に見えるものが、すべて普通の毛穴とは限りません。開き毛穴は毛包・皮脂・真皮弾力の問題、アイスピック型は小さい入口から深く落ち込む瘢痕、浅いボックスカー型は毛穴より大きく境界が比較的明確な浅い凹み、ローリング型は深部の線維に引かれた広い凹み、という違いがあります。
特に、毛穴治療をしても同じ穴が残る、凹みの深さがバラバラ、過去に強いニキビがあった、数個だけ明らかに深い穴がある場合には、ニキビ跡が混在している可能性があります。
毛穴治療で改善しないときは、治療を強くする前に「これは本当に毛穴なのか」を見直すことが重要です。
Q&A
Q1. アイスピック型ニキビ跡は毛穴に見えますか?
見えることがあります。入口が小さいため、特に遠目では深い毛穴のように見えます。
Q2. 毛穴とニキビ跡は自分で見分けられますか?
典型例ならある程度分かりますが、小さなアイスピック型や浅いボックスカー型は区別が難しいことがあります。
Q3. 毛穴治療でニキビ跡も改善しますか?
浅い瘢痕ではピコフラクショナルやシルクロなどで両方改善することがありますが、深い瘢痕では別の治療が必要です。
Q4. キュアジェットは毛穴とニキビ跡の両方に使えますか?
使うことがあります。当院では開き毛穴そのものや、浅い線維・浅い瘢痕に使用します。
Q5. 深い凹みには何をしますか?
深い線維性癒着があればサブシジョンを検討します。真皮萎縮や表面凹凸もあれば別治療を組み合わせます。
Q6. フラクショナルレーザーなら全部のニキビ跡に効きますか?
瘢痕タイプによって反応が異なります。研究でもボックスカー型の方がアイスピック型より反応しやすかった報告があります。
Q7. 毛穴とニキビ跡が両方ある場合はどうしますか?
顔全体の毛穴と個別の瘢痕を分けて治療します。一つの治療ですべてを改善しようとしないことが重要です。
Q8. 毛穴治療を何回しても改善しない場合は?
同じ治療を続ける前に、ニキビ跡、毛、色素、たるみなど別の原因が混在していないか再評価します。
【文責】
まゆりなclinic名古屋栄
院長 加藤 成貴
【参考文献】
- Evidence-based management of cutaneous scarring in dermatology part 2: atrophic acne scarring. 2023.
- Jacob CI, et al. Acne scarring: a classification system and review of treatment options. J Am Acad Dermatol. 2001.
- Acne Scars: An Update on Management. Skin Therapy Lett. 2022.
- New Atrophic Acne Scar Classification: Reliability of Assessments Based on Size, Shape, and Number. 2016.
- Clinical Factors Affecting the Effectiveness of 1550-nm Erbium-Doped Fractional Photothermolysis Laser for Individual Atrophic Acne Scar Types. 2023.
- A cross-sectional pilot study evaluating the histopathology of atrophic acne scars. 2025.








