脂漏性角化症はピコレーザーで取れる?CO2レーザーを使わないケースと適応を解説|名古屋
- 2026.9.17
脂漏性角化症の治療というと、CO2レーザーで病変を削る方法をイメージする方が多いと思います。しかし、脂漏性角化症のすべてにCO2レーザーが必要なわけではありません。
色素成分がしっかりしている病変では、ピコスポットを用いて除去できることがあります。まゆりなclinic名古屋栄でも、多くの脂漏性角化症をピコスポットで治療しています。
また、ピコスポットが使えるのは「薄く平坦な脂漏性角化症だけ」ではありません。ある程度厚みや隆起がある病変でも、色素成分が強く、レーザーへの反応が期待できる場合には、病変に合わせて照射条件を調整することで除去できることがあります。
目次
脂漏性角化症にもピコ秒レーザーの治療報告がある
脂漏性角化症に対するピコ秒レーザー治療は、近年いくつか報告されています。
2018年の755nmピコ秒アレキサンドライトレーザーの研究では、平坦な色素性病変だけでなく、脂漏性角化症を含む隆起性色素病変も治療され、隆起性病変では平均67%のクリアランスが報告されています。さらに2024年には、アジア人3例の脂漏性角化症に532nmピコ秒レーザーを使用し、良好な改善を認めた症例報告が発表されています。2025年に公表された脂漏性角化症レーザー治療のscoping reviewでも、22研究・1,492例を対象とした解析の中で、730nm・755nmピコ秒レーザーを含む色素選択性非蒸散レーザーが脂漏性角化症の治療選択肢としてまとめられています。
ピコスポットは何に反応している?
ピコ秒レーザーは極めて短い時間で高いピークパワーを与え、主にメラニンなどの色素へ選択的に作用します。メラノソームを破壊するために必要なfluenceは波長によって異なることも実験的に検討されており、532nm、730nm、755nm、785nm、1064nmなど、それぞれメラニンへの作用特性が異なります。脂漏性角化症は角化細胞が増殖した病変ですが、茶色〜黒色の病変ではメラニンを豊富に含むことがあります。この色素成分がピコスポットによる治療を成立させる重要な要素の一つになります。
薄い脂漏性角化症だけがピコ適応ではない
一般には「薄い脂漏性角化症ならピコ、厚い脂漏性角化症ならCO2」と説明されることがあります。しかし、当院では厚みだけで治療法を決めていません。ある程度厚みがあっても、
・色素成分が十分にある
・レーザーへの反応が期待できる
・病変の形態からピコスポットで除去可能と判断できる
場合には、ピコスポットを使用します。
実際に当院でも、隆起や厚みのある脂漏性角化症をピコスポットで除去できるケースを多く経験しています。
厚みがある場合は照射条件を調整する
平坦な老人性色素斑と、厚みのある脂漏性角化症では同じように照射するわけではありません。脂漏性角化症の厚み、色、反応を確認しながら、病変に合わせてピコスポットの照射条件を調整します。特に厚みがある脂漏性角化症では、十分な反応を得るために、平坦なシミとは異なる出力設定が必要になることがあります。
ただし、単純に出力を上げればよいという意味ではありません。出力が強すぎれば水疱、痂皮形成、炎症、PIHなどのリスクも高まるため、病変の性質と照射反応を見ながら調整することが重要です。
ピコスポットに向いているかは「厚さ+色」を見る

ピコスポット治療では病変の厚み以上に、色素成分が重要になることがあります。
例えば、同じ程度の隆起がある脂漏性角化症でも、
茶色〜黒色で色素成分が強い
→ ピコスポットに反応しやすい可能性
肌色に近く角化主体
→ ピコスポットだけでは反応しにくい可能性
があります。
そのため当院では、
・色
・厚み
・隆起
・角化
・表面性状
・病変の大きさ
・部位
を総合的に確認します。
CO2レーザーを使わないケースとは?
当院では、ピコスポットで十分な除去が期待できる脂漏性角化症では、必ずしも最初からCO2レーザーを使用しません。CO2レーザーは10,600nmのレーザーで、水分に吸収され病変組織を蒸散します。脂漏性角化症を直接削れるため非常に有効ですが、治療後には皮膚表面に創傷ができます。一方、ピコスポットで十分な反応が得られる病変であれば、組織全体を大きく蒸散させずに治療できます。
そのため、
・色素成分が十分にある
・ピコスポットで反応すると判断できる
・顔など治療後の創傷をできるだけ抑えたい
といった場合には、ピコスポットを検討します。
どんな脂漏性角化症ならCO2レーザーを選ぶ?
一方、以下のような病変ではCO2レーザーを選択することがあります。
・色素が薄く角化成分が主体
・非常に厚い
・大きく隆起している
・疣状の増殖が強い
・ピコスポットでは十分に除去できない
・残った病変組織を直接蒸散した方がよい
CO2レーザーは病変組織そのものを削れるため、色素の強さに依存しないことが大きな特徴です。つまり、ピコスポットとCO2レーザーは競合する治療ではなく、病変の性質によって使い分ける治療です。
ピコスポットなら傷にならない?
CO2レーザーのように病変全体を蒸散する治療ではありませんが、ピコスポットでも高いエネルギーを照射するため、治療部位に白色変化、赤み、水疱、痂皮などが生じることがあります。755nmピコ秒レーザーによる隆起性色素病変の研究でも、一部で治療後2〜5日程度の軽度水疱が報告されています。したがって「ピコスポットなら完全にノーダウンタイム」という意味ではありません。
ピコスポットでもPIHは起こる
ピコスポットでも治療後の炎症が起こる以上、PIH(炎症後色素沈着)が生じる可能性があります。2025年のレビューでも、脂漏性角化症に対するレーザー治療の有害事象として、一過性の紅斑、浮腫、炎症後の色調変化などが報告されています。
ピコスポットは1回で取れる?

病変によります。当院では1回のピコスポット照射で除去できる脂漏性角化症もあります。一方、厚みや色素の状態によっては一部が残り、追加照射が必要になることがあります。
文献上も、色素選択性の非蒸散レーザーでは平均1〜3回の治療が報告されています。
1回で完全に取ることだけを目的に過度に強く照射するのではなく、病変の反応とPIHリスクを考えて治療することも重要です。
ピコスポット後に少し隆起が残ったら?
色素成分は取れても、一部の角化や隆起が残る場合があります。
その場合には、
・追加でピコスポットを照射する
・残った隆起をCO2レーザーで除去する
など、残存病変の状態に合わせて判断します。
最初から一つの機械だけに限定するのではなく、治療後の状態まで見て調整できることが重要です。
顔に多数ある場合にもピコスポットは選択肢になる
顔に脂漏性角化症が多数ある場合、すべてをCO2レーザーで蒸散すると治療後の創傷面積も大きくなります。そのため当院では、ピコスポットに反応する病変はピコスポット、角化や隆起が強いものはCO2レーザーというように、同じ顔の中でも病変ごとに使い分けることがあります。多数あるからこそ、「全部同じ方法で取る」のではなく、1個ずつ病変を見て治療方法を選択することが重要です。
よくある質問(Q&A)
まとめ|脂漏性角化症のピコ治療は「薄いか厚いか」だけでは決まらない
脂漏性角化症はCO2レーザーで蒸散する治療が代表的ですが、ピコスポットで除去できる病変もあります。当院では平坦な病変だけでなく、ある程度厚みや隆起がある脂漏性角化症でも、色素成分がしっかりしていて十分な反応が期待できる場合には、病変に合わせて照射条件を調整してピコスポットで治療しています。
重要なのは「薄い=ピコ、厚い=CO2」という単純な分類ではありません。色、厚み、隆起、角化、表面性状、部位などを確認し、ピコスポットで十分に取れる病変にはピコスポットを選び、色素レーザーでは除去が難しい病変にはCO2レーザーを使用します。
脂漏性角化症の治療では、機械を先に決めるのではなく、病変を診てから治療方法を決めることが重要です。
【文責】
まゆりなclinic名古屋栄院長 加藤 成貴
【参考文献】
- Stirrat T, et al. Advances in Laser Treatments for Seborrheic Keratosis: A Scoping Review of Efficacy, Safety, and Patient Outcomes. Dermatol Surg. Epub 2025 Sep 12; print 2026.
- Swallow MA, et al. Successful use of picosecond laser treatment for seborrheic keratosis in three Asian patients. JAAD Case Rep. 2024;48:46-48.
- Treatment of flat and elevated pigmented disorders with a 755-nm alexandrite picosecond laser: clinical and histological evaluation. 2018.
- Shimojo Y, et al. Wavelength-dependent threshold fluences for melanosome disruption to evaluate the treatment of pigmented lesions with 532-, 730-, 755-, 785-, and 1064-nm picosecond lasers. Lasers Surg Med. 2024;56:404-418.
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
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