脂漏性角化症はどうやって取る?CO2レーザーとピコスポットの違い・使い分け|名古屋
- 2026.9.17
目次
脂漏性角化症はどうやって取る?CO2レーザーとピコスポットの違い・使い分け
脂漏性角化症の治療では、CO2レーザーで病変を蒸散して削る方法が代表的です。しかし、すべての脂漏性角化症をCO2レーザーで削る必要があるわけではありません。色素成分がしっかりしている病変では、ピコスポットで反応させて除去できることがあります。当院では、平坦な病変だけでなく、ある程度厚みや隆起がある脂漏性角化症でも、ピコスポットの出力を病変に合わせて調整し、多くの症例を治療しています。重要なのは「脂漏性角化症だからCO2」と決めるのではなく、厚み・隆起・角化・色素成分・場所・PIHリスクを見て治療を選ぶことです。

CO2レーザーとピコスポットは治療の仕組みが違う
CO2レーザーは10,600nmの波長を持ち、水分に強く吸収されます。レーザーエネルギーで病変組織を蒸散させ、脂漏性角化症そのものを削って除去する治療です。
一方、ピコスポットは非常に短いピコ秒単位のパルスで、主に病変内のメラニン色素へエネルギーを与えます。CO2レーザーのように病変全体を蒸散するのではなく、色素成分を利用して病変へ反応させます。
つまり、
CO2レーザー
→ 組織そのものを蒸散・削除する
ピコスポット
→ 色素成分を利用して病変へ反応させる
という違いがあります。
CO2レーザー|厚み・角化・隆起を直接除去できる
脂漏性角化症は表皮角化細胞が増殖した良性腫瘍です。そのため、厚みや角化が強い病変では、病変組織そのものを蒸散できるCO2レーザーは非常に合理的な治療です。
2025年の脂漏性角化症レーザー治療に関するscoping reviewでは、CO2レーザーやErレーザーなどのablative laserで、1回の治療によって最大90%程度の病変クリアランスが報告されています。
特に、
・角化が非常に強い
・隆起が大きい
・表面が疣状
・色素成分だけを狙っても十分な除去が難しい
と判断した場合にはCO2レーザーが適しています。
CO2レーザーの治療後
CO2レーザーでは病変を蒸散するため、治療後は一時的に皮膚表面に創傷ができます。赤み、びらん、かさぶたなどを経て皮膚が再生します。
日本人を含むアジア人では、その炎症後にPIH(炎症後色素沈着)が出ることがあります。そのため、治療後の紫外線対策、保湿、摩擦回避などのケアも重要です。
ピコスポット|脂漏性角化症にも使える
ピコレーザーは一般にシミやそばかすなどの色素性病変に使用されますが、脂漏性角化症に対する治療報告もあります。2024年にはアジア人3例の脂漏性角化症にピコ秒レーザーを使用し、良好な治療結果が得られた症例報告が発表されています。また、755nmピコ秒アレキサンドライトレーザーを用いた研究では、脂漏性角化症を含む隆起性色素病変に平均約3回照射し、隆起性色素病変全体で平均67%程度のクリアランスが報告されています。
2025年のscoping reviewでも730nm・755nmピコ秒レーザーは脂漏性角化症に使用されたnonablative pigment-selective laserとして取り上げられています。
つまり、「脂漏性角化症にはCO2レーザーしか使えない」というわけではありません。
☑当院では多くの脂漏性角化症をピコスポットで除去しています
まゆりなclinic名古屋栄では、脂漏性角化症の色、厚み、隆起、表面性状を確認し、ピコスポットで十分に反応すると判断した病変には積極的にピコスポットを使用しています。
平坦なものだけではなく、ある程度厚みがある脂漏性角化症でも、色素成分がしっかりしている場合には、ピコスポットの出力を病変に合わせて調整することで除去できることがあります。
そのため当院では、
「薄い=ピコ」
「厚い=CO2」
と単純に分けていません。
厚みがあってもピコスポットで取れると判断すればピコスポットを選択し、ピコスポットだけでは十分な除去が難しいと判断した病変にはCO2レーザーを使用します。
なぜピコスポットを選ぶことがあるのか
ピコスポットで病変を除去できる場合、CO2レーザーのように皮膚表面を大きく蒸散する必要がありません。
そのため当院では、同程度に病変を除去できると判断した場合には、治療後の創傷、赤み、PIHなども考慮してピコスポットを検討します。
ただし、脂漏性角化症においてピコスポットとCO2レーザーを直接比較し、「ピコスポットの方がPIHが少ない」と証明した大規模比較試験は現時点では十分ではありません。そのため、これは病変の状態と当院での臨床経験を踏まえた治療選択です。
厚い脂漏性角化症でもピコスポットで取れる?
病変によっては可能です。
ピコスポットでは照射条件を調整できるため、厚みがある脂漏性角化症でも色素成分が強い場合には十分に反応することがあります。
実際、過去の755nmピコ秒レーザー研究でも、平坦な色素性病変だけでなく脂漏性角化症などの隆起性色素病変に治療効果が報告されています。
一方で、色が薄く角化だけが強い、大きく盛り上がっている、非常に厚い病変などでは、色素へのレーザー照射だけでは十分に除去できないことがあります。その場合にはCO2レーザーの方が適しています。
「厚さ」だけでなく「色素成分」が重要
脂漏性角化症をピコスポットで治療できるかを考えるとき、厚みだけではなく色素成分も重要です。同じ程度の厚みでも、メラニンを多く含む茶色〜黒色の病変と、色の薄い角化性病変ではピコスポットへの反応が異なります。
そのため、
・厚み
・隆起
・色
・角化の程度
・表面性状
・場所
などを総合して判断します。
目の近くや顔面では治療後の仕上がりも重要
顔の脂漏性角化症では、「取れるかどうか」だけでなく、治療後の赤みやPIH、傷の期間まで考える必要があります。ピコスポットで十分な除去が期待できる場合には、創傷をできるだけ小さくしたい顔面病変で検討しやすい治療です。一方、厚みや角化が強ければ、無理にピコスポットだけで治療を繰り返すよりCO2レーザーで病変そのものを除去する方が合理的です。
CO2レーザーとピコスポットの比較
CO2レーザー
主な作用:病変組織を蒸散
得意な病変:厚い・隆起・角化が強い
厚みのある病変:得意
治療回数:1回で取れることが多い
治療後:創傷・赤み・かさぶた
PIH:起こる可能性あり
当院での考え方:ピコで十分取れない病変に使用
ピコスポット
主な作用:色素へ選択的にアプローチ
得意な病変:色素成分が強く反応が期待できる病変
厚みのある病変:病変によっては可能
治療回数:1回で取れることもあるが追加治療する場合あり
治療後:比較的創傷を抑えやすい
PIH:起こる可能性あり
当院での考え方:十分取れると判断した病変では積極的に検討
※病変の状態によって適応は異なります。
ピコスポットで1回で取れなかったら?
一度の照射で完全に除去できない場合には、病変の状態を確認して追加照射することがあります。
残っているものが色素成分なのか、角化した組織なのかによって次の治療方法は変わります。追加のピコスポットで取れる場合もあれば、残存した隆起部分をCO2レーザーで除去することもあります。
最初からCO2とピコを組み合わせることもある
同じ顔の中に複数の脂漏性角化症がある場合、すべて同じ治療にする必要はありません。
例えば、
・ピコスポットで反応しやすい茶色い病変 → ピコスポット
・角化・隆起が非常に強い病変 → CO2レーザー
と病変ごとに治療を変えることがあります。
顔中に多数ある場合ほど、病変ごとの使い分けが重要になります。

CO2レーザー以外の治療方法もある
脂漏性角化症には、凍結療法、電気焼灼、掻爬、Erレーザーなどさまざまな治療があります。CO2レーザー・Erレーザー・凍結療法・電気乾燥法を比較した臨床研究もあり、いずれも治療選択肢になります。美容目的の顔面治療では、「取れること」だけではなく、治療後の色素変化や仕上がりも考えて治療方法を選ぶことが重要です。
治療後のPIHは治療法だけで決まらない
CO2レーザーでもピコスポットでもPIHが出る可能性はあります。
PIHには肌質、炎症の程度、照射条件、紫外線曝露、摩擦、治療後の保湿など複数の要因が関係します。
そのため、「どの機械なら絶対にPIHが出ない」というものではありません。適切な治療方法と照射条件を選び、その後の紫外線対策・保湿・摩擦回避まで含めて治療と考えます。
よくある質問(Q&A)
まとめ|脂漏性角化症は「CO2かピコか」ではなく病変を見て選ぶ
CO2レーザーは脂漏性角化症治療の代表的な方法で、特に角化や隆起が強い病変では病変組織を直接蒸散できるという大きなメリットがあります。一方、脂漏性角化症にはピコスポットで除去できる病変もあります。当院では平坦なものだけでなく、厚みがある脂漏性角化症でも、色素成分がしっかりしており十分な反応が期待できる場合には、病変に合わせて出力を調整しピコスポットで治療しています。実際に多くの脂漏性角化症をピコスポットで除去しています。そのため「厚いからCO2、薄いからピコ」と単純に決めるのではなく、色、厚み、隆起、角化、表面性状、場所、PIHリスクなどを総合して判断します。ピコスポットで十分に取れる病変ではできるだけ侵襲を抑え、病変組織を直接除去する必要がある場合にはCO2レーザーを使うというように、それぞれの特徴を生かして治療を使い分けることが重要です。
【文責】
まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤 成貴
【参考文献】
- Advances in Laser Treatments for Seborrheic Keratosis: A Scoping Review of Efficacy, Safety, and Patient Outcomes. Dermatol Surg. 2025.
- Swallow MA, Elgash M, Kim SR, Suozzi KC. Successful use of picosecond laser treatment for seborrheic keratosis in three Asian patients. JAAD Case Rep. 2024;48:46-48.
- Treatment of flat and elevated pigmented disorders with a 755-nm alexandrite picosecond laser: clinical and histological evaluation. 2018.
- Efficacy and safety of cryotherapy, electrodesiccation, CO2 laser, and Er laser in the treatment of seborrheic keratosis. Dermatol Ther. 2021.
- Update of pathophysiology and treatment options of seborrheic keratosis. Dermatol Ther. 2022.
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
わからないことや不安なことがあれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。医師の視点から、科学的根拠に基づいて丁寧にお応えします。








