男性の顔に増える盛り上がったシミは?脂漏性角化症との違いと治療法|名古屋
- 2026.9.18
目次
男性の顔に増える盛り上がったシミは?脂漏性角化症との違いと治療法
40代・50代以降の男性で、「昔は平らなシミだったのに最近盛り上がってきた」「こめかみや頬に茶色いイボのようなものが増えた」という場合、脂漏性角化症の可能性があります。脂漏性角化症は表皮の角化細胞が増殖してできる良性腫瘍で、一般には「老人性イボ」と呼ばれることもあります。男性の顔では老人性色素斑と脂漏性角化症が混在していることも多く、平らなシミと盛り上がった病変を同じ治療で一括して扱わないことが重要です。
盛り上がったシミは脂漏性角化症かもしれない
脂漏性角化症は、肌色〜茶色〜黒色までさまざまな色をとり、平坦なものから明らかに隆起したものまであります。典型例では、表面がざらざらしていたり、皮膚の上に貼り付いたように見えたりします。
特に、
・シミに厚みが出てきた
・表面がざらついてきた
・徐々に隆起してきた
・髭剃りで引っかかる
といった変化がある場合には、老人性色素斑だけでなく脂漏性角化症を考えます。
男性では顔のどこにできやすい?

脂漏性角化症は顔だけでなく、頭皮、首、胸、背中などにも生じます。顔ではこめかみ、額、頬などに目立つことがあります。男性を対象とした研究では、紫外線曝露が脂漏性角化症の発生に関与する可能性も報告されています。ただし、脂漏性角化症は日光が当たりにくい体幹にもできるため、紫外線だけで説明できる病変ではありません。
老人性色素斑との違いは「盛り上がり」だけではない
老人性色素斑はsolar lentigo(日光黒子)とも呼ばれ、通常は平坦な茶色いシミとしてみられます。一方、脂漏性角化症では角化細胞が増殖するため、厚み、ざらつき、隆起が出てくることがあります。
ただし、初期の脂漏性角化症はほとんど平坦なことがあり、老人性色素斑との鑑別が難しい場合があります。つまり、
老人性色素斑
→ 基本的には平坦な色素斑
脂漏性角化症
→ 平坦〜隆起、角化・ざらつきを伴うことがある
という違いはありますが、見た目だけで100%分けられるとは限りません。
「昔のシミが盛り上がってきた」は実際にある
患者さんからよくあるのが、「昔は普通のシミだったのに、年々盛り上がってきた」という相談です。老人性色素斑と脂漏性角化症は別の病変として扱われますが、一部には臨床・病理学的な連続性が示唆されています。そのため「シミがイボになった」と感じる経過はありますが、すべての老人性色素斑が脂漏性角化症へ進行するわけではありません。
男性の顔では老人性色素斑と脂漏性角化症が混ざりやすい
40代・50代以降では、同じ顔の中に、平坦な老人性色素斑、薄い脂漏性角化症、厚みのある脂漏性角化症、PIH、肝斑などが混在することがあります。
この場合、茶色い病変を全部「シミ」として同じレーザーで治療するのではなく、それぞれを見分けて治療を変えます。
ダーモスコピーも診断の参考になる
脂漏性角化症では、ダーモスコピーでmilia-like cysts、comedo-like openings、cerebriform patternなどがみられることがあります。ただし、顔の色素性病変にはsolar lentigo、色素性母斑、pigmented actinic keratosis、lentigo malignaなど鑑別が必要な病変もあるため、診断が難しい場合には病理検査を検討します。
急に変化した病変は「ただのイボ」と決めつけない
典型的な脂漏性角化症は良性ですが、
・急に大きくなった
・形が不規則
・色が不均一
・出血する
・潰瘍化している
場合には、他の皮膚腫瘍との鑑別が必要です。美容レーザーで除去する前に、診断を優先することが重要です。
男性の脂漏性角化症はどうやって取る?
当院では主にピコスポットとCO2レーザーを使い分けます。
・ピコスポット

脂漏性角化症でも、色素成分がしっかりしている病変ではピコスポットで除去できることがあります。当院では平坦な脂漏性角化症だけでなく、ある程度厚みや隆起がある病変でも、色素成分と反応を確認しながら出力を調整してピコスポットで治療することがあります。
・CO2レーザー

角化が非常に強い、隆起が大きい、色素レーザーだけでは十分な除去が難しい病変では、CO2レーザーで病変組織を蒸散します。
2025年に公表されたscoping reviewでは22研究・1,492例が解析され、CO2・Erなどの蒸散系レーザーでは1回の治療で最大90%の病変クリアランスが報告され、ピコ秒レーザーなどの色素選択性非蒸散レーザーでは平均1〜3回の治療が報告されています。レーザー治療は、特に美容的な仕上がりを重視する場合に有効な選択肢とされています。
厚い脂漏性角化症でもピコスポットで取れることがある
「薄ければピコ、厚ければCO2」と単純に分けているわけではありません。当院では、色素成分、厚み、隆起、角化、表面性状、部位を見ながら判断します。
厚みがあっても色素成分が強く、十分な反応が期待できる場合には、病変に合わせてピコスポットの出力を調整して治療することがあります。一方、色素が薄く角化主体の病変や非常に隆起が強い病変ではCO2レーザーを選びます。
液体窒素・電気焼灼・CO2レーザーはどう違う?
脂漏性角化症の治療には、液体窒素による凍結療法、電気焼灼、掻爬、CO2レーザーなど複数の方法があります。液体窒素や電気焼灼も医学的には有効な治療法ですが、顔の脂漏性角化症では「取れるかどうか」だけでなく、治療後の色調や皮膚表面の仕上がりまで考えて方法を選ぶことが重要です。
2021年には、30人の患者それぞれにある4つの類似した顔面脂漏性角化症を、液体窒素、電気乾燥法、CO2レーザー、Erレーザーの4種類で比較した臨床研究があります。その結果、治療8週間後の病変改善度は、CO2レーザー、Erレーザー、電気乾燥法の3群が液体窒素群より有意に高く、患者満足度も液体窒素群で有意に低かったと報告されています。一方、治療後の色素変化や皮膚表面の質感には4群間で有意差を認めませんでした。つまり液体窒素も有効ですが、少なくともこの研究では、顔面脂漏性角化症の除去効果と患者満足度ではCO2レーザーなどが上回りました。
また、Erレーザーと液体窒素を比較した別のランダム化研究では、1回目の治療後にEr群では100%、液体窒素群では68%で完全治癒が認められ、Er群では色素沈着も有意に少なかったと報告されています。
液体窒素は病変を凍結して壊死させる治療で、保険診療でも広く用いられています。ただし、凍結の深さを病変ごとに細かく調整しにくく、水疱、色素沈着、色素脱失などが生じることがあります。そのため当院では、特に顔のように美容的な仕上がりを重視する部位では、液体窒素を第一選択にはしていません。
電気焼灼も脂漏性角化症を除去できる治療です。実際、前述の比較研究でも電気乾燥法は良好な病変改善を示しています。 ただし当院では、顔面の脂漏性角化症については、病変を単純に焼灼するよりも、CO2レーザーで病変の厚みを確認しながら表面から少しずつ丁寧に蒸散していくことを重視しています。
CO2レーザーは10,600nmの波長が組織中の水分に吸収され、病変を少しずつ蒸散できます。そのため当院では、必要以上に深く削らないよう、病変の厚みや反応を確認しながら丁寧に除去します。
つまり当院では、
・ピコスポットで十分に取れる病変 → ピコスポット
・角化や隆起が強く、病変組織を直接除去する必要がある → CO2レーザー
と使い分けています。
液体窒素や電気焼灼も医学的には有効ですが、顔の脂漏性角化症では、除去率だけではなく治療後の色調、凹凸、瘢痕、ダウンタイムまで含めて治療方法を選ぶことが重要と考えています。
髭剃りで引っかかる脂漏性角化症
頬、フェイスライン、顎周囲など髭剃りをする範囲に脂漏性角化症があると、カミソリに引っかかり、出血や炎症を繰り返すことがあります。
脂漏性角化症自体は良性でも、日常生活で繰り返し刺激される場合には、見た目だけでなく機能的な理由から除去を検討することがあります。
ただし、髭剃り後にできる平坦な茶色い跡はPIHの可能性もあるため、盛り上がった脂漏性角化症とは分けて考えます。
顔中にたくさんある場合は「取り放題」も選択肢
脂漏性角化症は複数個できることがあり、40代・50代以降の男性では、こめかみ、頬、額などに多数みられることがあります。
病変ごとにピコスポットとCO2レーザーを使い分けますが、CO2レーザーで除去するのが適している脂漏性角化症がかなり多い場合には、当院の「イボ・ほくろ取り放題」を選択した方が費用面で合うことがあります。
1個ずつ何回にも分けて治療するより、適応となる病変を一度にまとめて除去することで、通院回数だけでなく、赤みやかさぶたなどのダウンタイムも一度にまとめやすいというメリットがあります。特に仕事の都合などで何度もダウンタイムを取りにくい男性では、一度に治療した方が予定を立てやすい場合があります。
ただし、顔にある茶色い病変がすべてCO2レーザー適応とは限りません。ピコスポットでより侵襲を抑えて除去できる脂漏性角化症や、老人性色素斑、PIH、肝斑などが混在していることもあります。そのため、まず病変を見分けたうえで、CO2適応の病変が多数ある場合に取り放題を検討するという考え方になります。
治療後はPIHにも注意
CO2レーザーでもピコスポットでも、治療後に赤み、痂皮、PIHが生じる可能性があります。特に男性では治療後も毎日髭剃りを行う方がいるため、治療部位への摩擦を避けることが重要です。
治療直後は保湿、紫外線対策、摩擦回避を行い、痂皮を無理に剥がさないようにします。
よくある質問(Q&A)
まとめ|男性の「盛り上がったシミ」は平らなシミと分けて考える
40代・50代以降の男性で、茶色いシミに厚みやざらつき、隆起が出てきた場合には脂漏性角化症の可能性があります。
男性の顔では老人性色素斑と脂漏性角化症が混在していることもあり、さらにPIHや肝斑など別の色素性病変が加わることもあります。そのため、茶色い病変を全部同じシミとして治療するのではなく、平坦か、隆起しているか、色素成分が強いか、角化が強いかを確認することが重要です。
当院では、脂漏性角化症だから一律にCO2レーザーを使用するのではなく、ピコスポットで十分に反応する病変はピコスポット、病変組織を直接除去する必要があるものはCO2レーザーというように使い分けています。また、CO2適応の病変が多数ある場合には、「イボ・ほくろ取り放題」でまとめて治療することで、費用とダウンタイムの両面で合理的になる場合があります。顔の脂漏性角化症では、単に「取れるか」だけでなく、治療後の仕上がりまで考えて治療方法を選ぶことが重要です。
【文責】
まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤 成貴
【参考文献】
- Stirrat T, et al. Advances in Laser Treatments for Seborrheic Keratosis: A Scoping Review of Efficacy, Safety, and Patient Outcomes. Dermatol Surg. 2026;52(4):338-343.
- Zaresharifi S, Robati RM, Dadkhahfar S, et al. Efficacy and safety of cryotherapy, electrodesiccation, CO2 laser, and Er laser in the treatment of seborrheic keratosis. Dermatol Ther. 2021;34(5).
- Gurel MS, et al. Effectiveness of erbium laser and cryosurgery in seborrheic keratoses: randomized, prospective intraindividual comparison study. J Dermatolog Treat. 2015;26(5):477-480.
- Scott R, Oakley A. Benign Keratosis: A Useful Term? Dermatol Pract Concept. 2023;13(2).
- Goncharova Y, Attia EAS, Souid K, Vasilenko IV. Dermoscopic features of facial pigmented skin lesions. ISRN Dermatol. 2013;2013:546813.
- Lallas A, et al. Diagnosis and management of facial pigmented macules. Clin Dermatol. 2014;32(1):94-100.
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
わからないことや不安なことがあれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。医師の視点から、科学的根拠に基づいて丁寧にお応えします。








