肝斑にシミ取りレーザーを当てても大丈夫?スポット照射との違いと注意点|名古屋
- 2026.9.14
目次
肝斑があってもシミ取りレーザーはできます
「肝斑があると、シミ取りレーザーはできないのでしょうか?」診察でよく聞かれる質問です。結論からいうと、肝斑があってもシミ取りレーザーはできます。ただし、肝斑そのものに通常のシミ取り用スポットレーザーを照射することと、肝斑の上や周囲に混在している老人性色素斑をピコスポットで取ることは、まったく別の話です。
実際の診療では、頬全体には肝斑があり、その中に境界のはっきりした濃い老人性色素斑が複数混在している方は珍しくありません。当院では、そのような場合に肝斑までまとめてスポット照射するのではなく、取るべき老人性色素斑を選んで治療します。つまり、「肝斑があるからシミ取りはできない」ではなく、「肝斑と取るべきシミを見分けること」が重要です。
肝斑そのものにピコスポットを当てる治療ではありません
肝斑は、境界のはっきりした1個のシミをレーザーで破壊するタイプの色素ではありません。そのため、一般的な老人性色素斑と同じように、肝斑全体へ強いスポット照射を行う治療は基本的に行いません。近年の国際コンセンサスでも、肝斑に対するレーザーは慎重に患者を選んで使用する補助的治療として位置づけられており、単純に強く照射すればよい疾患ではないとされています。当院で肝斑そのものを治療する場合には、OPトーニングやピコトーニングなどを中心に、必要に応じてダブルピコ、C-OPERA、内服、ホームケアなどを組み合わせます。一方、その肝斑の中に老人性色素斑が混在していれば、その部分だけをピコスポットで治療することがあります。
肝斑の上にある濃いシミは取れる?
取れる場合があります。例えば、頬全体には淡い肝斑があり、その上に直径数mmの濃く境界がはっきりした老人性色素斑があるケースです。この場合、背景にある肝斑はトーニングなどで治療し、目立つ老人性色素斑だけをピコスポットで照射するという治療設計ができます。実際の診療でも、「肝斑があるのでシミ取りはできないと言われた」と相談に来られる方がいますが、診察してみると、肝斑とは別にスポット照射できる老人性色素斑が多数混在していることがあります。こうした方では、濃いシミを先に整理することで顔全体の印象が大きく変わり、その後に肝斑治療を続けるという方法もあります。肝斑があることと、老人性色素斑を取れないことは同じではありません。
シミ取り放題も受けられる?
肝斑があっても、シミ取り放題を受けられる場合があります。当院のシミ取り放題では、顔にある茶色い部分を無条件にすべて照射するわけではありません。肝斑は肝斑として残し、その中や周囲にある老人性色素斑、そばかす、ADMなど、レーザー治療が適している色素を診察で選びます。そのため、「肝斑がある=取り放題不可」ではありません。
むしろ肝斑が混在している方ほど、どの色素を照射し、どの色素を別治療にするかを見分けることが重要です。
薄いシミが肝斑の上にある場合はどうする?
薄い老人性色素斑でも治療できますが、濃いシミより治療後のPIHが目立ちやすい場合があります。当院では、薄いシミを1回でしっかり変化させたい場合にはピコスポット、複数回でもよくPIHに配慮しながら少しずつ治療したい場合にはルビーフラクショナルを選ぶことがあります。背景に肝斑がある場合も、考え方は同じです。肝斑の状態、シミの濃さ、患者さまが希望する治療回数を見ながら方法を選びます。
PIHが起きる可能性があるから薄いシミを治療しない、という考え方ではありません。PIHは適切にケアしながら経過を見ることで基本的には徐々に薄くなっていくため、その可能性を理解したうえで治療を選択します。
ADMを肝斑と間違えないことも大切

両頬に左右対称の色素があると、「全部肝斑」と思われることがあります。
しかし、ADMは真皮側に色素が存在する病変で、肝斑とは治療方法が異なります。ADMではピコ秒レーザーなどを用いた治療が行われており、近年の比較研究でもピコ秒レーザーによる改善が報告されています。そのため、肝斑治療を長く続けても灰色〜青みを帯びた色素だけが残る場合には、ADMが混在していないかを確認することがあります。
「肝斑がレーザーで治らない」のではなく、そもそも残っている色素が肝斑ではなかった、というケースもあります。
スポット照射後にPIHが出ても、すぐ「肝斑が悪化した」とは考えない
肝斑がある肌へ老人性色素斑のスポット照射を行ったあと、一時的に茶色い色素が出ることがあります。これはPIHの可能性があります。治療後に茶色くなった部分を見て「肝斑が悪化した」「シミが再発した」と考え、すぐに追加レーザーを行う必要はありません。
PIHは炎症後に生じる色素沈着で、適切な紫外線対策・摩擦対策・保湿、必要に応じた外用治療などを行いながら経過を見ることで、基本的には徐々に薄くなっていきます。
肝斑、残っている老人性色素斑、PIHを区別して次の治療を決めることが大切です。
実際には「シミを取ってから肝斑を整える」こともあります
肝斑と濃い老人性色素斑が混在している場合、患者さまが最も気にしているのは濃いシミであることも少なくありません。そのような場合には、老人性色素斑をピコスポットで治療しながら、肝斑にはOPトーニングやピコトーニング、C-OPERA、内服、ホームケアなどを組み合わせることがあります。当院でも、肝斑とシミが混在している方に対して、スポット治療と肝斑治療を分けて行い、数か月かけて顔全体の色調がかなり整ってきた症例を経験しています。一つのレーザーで顔全体を同じように治療するより、「取るべきシミ」と「整えるべき肝斑」を分けた方が、治療方針も分かりやすくなります。

「肝斑と老人性色素斑が混在していた症例。目立つシミはスポット照射、肝斑は別の治療として組み合わせています。治療内容・回数・効果には個人差があります。」
肝斑がある人のシミ取りで大切なのは「打つ・打たない」の二択ではない
肝斑がある肌のシミ取りでは、「レーザーを打っていいか、悪いか」だけで考えると治療選択が狭くなります。実際には、肝斑そのものにはスポット照射を行わず、混在する老人性色素斑にはピコスポットを行い、ADMには深さに合ったレーザーを使い、薄いシミでは患者さまの希望に応じてピコスポットまたはルビーフラクショナルを選ぶ、といった治療が可能です。現在のレーザー治療では、病変の種類や深さに応じて波長・パルス幅・出力・スポットサイズなどを調整することが重要とされています。
大切なのは、肝斑があるという理由だけでシミ治療をすべて諦めることではなく、何をどの方法で治療するかを分けて考えることです。
まゆりなclinic名古屋栄ではどう治療する?
当院では、肝斑がある患者さまでも、スポット治療が適している老人性色素斑があればピコスポットを行います。肝斑そのものにはOPトーニングまたはピコトーニングを中心に、ダブルピコ、C-OPERA、トラネキサム酸、システアミンなどを必要に応じて組み合わせます。
老人性色素斑、肝斑、ADM、PIHを全部同じ治療にするのではなく、それぞれに役割を分けることがポイントです。「肝斑があるからレーザーはできません」で終わらせるのではなく、その肌の中で何が治療できるのかを考えます。
よくある質問

Q.肝斑があるとシミ取りレーザーはできませんか?
A.できます。肝斑そのものには通常のピコスポットを照射しませんが、混在している老人性色素斑などは選んで治療できます。
Q.肝斑の上にある濃いシミも取れますか?
A.老人性色素斑と診断できれば、スポット照射を検討します。背景の肝斑は別の治療として考えます。
Q.肝斑があってもシミ取り放題はできますか?
A.できます。診察でスポット照射が適している色素を選んで治療します。肝斑そのものは取り放題のスポット照射対象にはしません。
Q.肝斑のある肌にレーザーを当てると必ず悪化しますか?
A.肝斑そのものへの強いスポット照射は適していませんが、混在する老人性色素斑を選んで治療することは可能です。肝斑の状態を確認しながら治療を分けることが重要です。
Q.薄いシミも取れますか?
A.はい。1回でしっかり変化を出したい場合にはピコスポット、複数回でもよくPIHに配慮しながら治療したい場合にはルビーフラクショナルを選ぶことがあります。
Q.レーザー後に濃くなったら肝斑が悪化したのですか?
A.PIHの可能性があります。すぐに肝斑悪化と判断せず、肌が落ち着くまで経過を確認します。
Q.ADMも肝斑と一緒に治療できますか?
A.できます。ただしADMは真皮性色素病変なので、肝斑とは別のレーザー治療として考えます。
まとめ|肝斑があっても「取るべきシミ」は取れる
肝斑があるからといって、シミ取りレーザーをすべて避ける必要はありません。
大切なのは、肝斑そのものと、そこに混在している老人性色素斑やADMなどを分けて考えることです。
肝斑には肝斑の治療を行い、取るべき老人性色素斑にはピコスポットを行う。薄いシミでは治療回数の希望に応じてピコスポットまたはルビーフラクショナルを選ぶ。ADMには真皮側の色素に合ったレーザーを使う。
このように、同じ顔の中でも治療方法を分けることができます。
まゆりなclinic名古屋栄では、「肝斑があるからレーザーはできない」という考え方ではなく、何を取るのか、何を別治療にするのかを診察で判断します。
肝斑があるけれど濃いシミも一緒に取りたい、シミ取り放題を受けたいという方も、まずはご相談ください。
【参考文献】
1.Sarkar R, Desai SR, Sinha S, et al. Delphi consensus on melasma management by international experts and Pigmentary Disorders Society. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2026;40(4):680-692. PMID: 40996222.
2.Lasers in Melasma: A Review with Consensus Recommendations by Indian Pigmentary Expert Group. Indian J Dermatol. PMID: 29263531.
3.Efficacy and Safety of Laser-Based Therapies for Melasma: A Systematic Review and Meta-Analysis. PMID: 42064496.
4.Comparison of the Efficacy of 1064- and 730-nm Picosecond Lasers for Acquired Dermal Melanocytosis. J Cosmet Dermatol. PMID: 40087990.
5.Strategic selection of multi-parametric laser settings and clinical endpoints in dermatology: an engineering-to-clinical review. PMID: 42377614.
文責:まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤成貴








