赤いニキビ跡と茶色いニキビ跡は何が違う?PIEとPIHの見分け方|名古屋
- 2026.9.23
ニキビが治った後に残る跡には、「赤い跡」と「茶色い跡」があります。一見するとどちらもニキビ跡ですが、原因は異なります。赤〜赤紫色の跡は主にPIE(炎症後紅斑)、茶〜褐色の跡は主にPIH(炎症後色素沈着)です。PIEでは炎症後に残った毛細血管拡張などの血管性変化、PIHでは炎症によって刺激されたメラノサイトから産生されたメラニンが中心になります。そのため、同じニキビ跡でも治療方法は同じではありません。まず「血管性の赤みなのか」「メラニンによる茶色なのか」を見分けることが重要です。
目次
PIEとPIHを簡単に比較

実際にはPIEとPIHが同じ場所に混在することも多く、見た目だけで完全に分けられない場合があります。
赤いニキビ跡はPIE

PIEは、ニキビの炎症が治まった後にも残る赤みです。ニキビの炎症によって毛細血管が拡張し、その血管性変化が残ることで赤〜赤紫色に見えます。
ニキビ後紅斑についてのsystematic reviewでも、ニキビ治療後にも残る紅斑や毛細血管拡張がPAEとして定義されています。赤い跡をメラニン性のシミと同じように治療しても、標的が違うため十分な改善につながらないことがあります。
茶色いニキビ跡はPIH

PIHは、炎症によってメラノサイトが刺激され、メラニン産生が増加することで生じます。
ニキビの炎症で放出された炎症性メディエーターがメラノサイトを刺激すると、炎症が治まった後にも茶〜褐色の色素が残ることがあります。PIHは濃い肌色の方で目立ちやすいことが知られていますが、肌色にかかわらず起こる可能性があります。
見た目で最も分かりやすい違いは「色」
まず確認したいのは色です。
赤、ピンク、赤紫色
→ PIEを考えやすい
薄茶色、茶色、褐色
→ PIHを考えやすい
ただし、ニキビ跡が赤茶色に見える場合にはPIEとPIHが重なっている可能性があります。この「赤茶色」は実際の診療でもよくみられます。
押したときに赤みが薄くなるかも参考になる
PIEでは、皮膚を軽く押すと一時的に赤みが薄くなることがあります。これは圧迫によって毛細血管内の血液が一時的に押し出され、ヘモグロビン由来の赤色が見えにくくなるためです。
一方、PIHは皮膚内に存在するメラニンによる色なので、押しても基本的には茶色い色は消えません。
PIEとPIHが混在している場合には「赤みだけ薄くなり、茶色が残る」という見え方になることがあります。圧迫による変化は判断材料の一つですが、これだけで確定診断するものではありません。
赤紫色だからPIHとは限らない
赤みが長く残ると、鮮やかな赤ではなく赤紫〜暗赤色に見えることがあります。そのため「茶色っぽく見えるからPIH」とは限りません。
特に皮膚の深い位置の血管が透けている場合や、PIEにPIHが重なっている場合には暗い色に見えることがあります。写真だけでの診断が難しい理由の一つです。
PIEとPIHが同じ場所にあることは珍しくない
ニキビの炎症では、血管とメラノサイトの両方が影響を受けます。そのため、一つのニキビ跡にPIEとPIHが同時に存在することがあります。
例えば、最初は鮮やかな赤だった跡が、時間とともに赤茶色になり、さらに赤みが薄くなると茶色だけが残るという経過をとることがあります。
この場合、血管性のPIEが改善してもメラニン性のPIHは残るため、「赤み治療をしたのに跡がまだある」と感じることがあります。治療効果を評価するときにも、どちらが残っているのかを分けて見る必要があります。
PIEとPIHでは治療が違う
PIEでは主に血管性変化を治療します。当院ではライムライトやジェネシスを中心に使用します。ライムライトは赤みに加えてPIHや色むらが混在する場合にも使いやすく、ジェネシスは赤みに毛穴や肌質の問題が加わっている場合に使用します。
一方、PIHではメラニンが治療標的になります。当院では肌状態によってOPトーニング、ピコトーニング、C-OPERA、外用治療などを検討します。
PIHに対する治療をまとめたsystematic reviewでは、外用治療、レーザー・エネルギーデバイス、組み合わせ治療などで部分的改善が報告される一方、レーザー・エネルギーデバイスによってPIHが悪化した症例も報告されています。
そのため、茶色い跡だから強くレーザーを当てればよいというものではありません。
当院ではPIHにピコスポットは基本的に行わない
PIHは老人性色素斑のような「シミ」とは病態が異なります。
炎症後にメラニンが増えている状態へ高出力のスポットレーザーを追加すると、さらに炎症を加えて色素沈着を悪化させる可能性があります。
そのため当院では、ニキビ後のPIHに対してピコスポットを基本的には使用しません。OPトーニング、ピコトーニング、C-OPERA、外用など、炎症を増やしにくい治療を中心に考えます。
PIEとPIHが混在する場合にライムライトを使うことがある
PIEとPIHが同じ部位に混在している場合、当院では赤み治療を主目的としてライムライトを使用することがあります。
IPLにはヘモグロビンだけでなくメラニンにも吸収される波長が含まれているため、赤みを治療する過程で表在性の色むらが同時に改善することがあります。
ただし、PIH単独に対する第一選択としてライムライトを積極的に使用しているわけではありません。
PIHが主体の場合には、OPトーニング、ピコトーニング、C-OPERA、外用などを中心に考えます。
赤い跡・茶色い跡・クレーターが全部ある場合もある
実際のニキビ跡では、PIEとPIHだけでなくクレーターが同時に存在することがあります。
赤み
→ 血管性変化
茶色
→ メラニン
凹み
→ 真皮萎縮・線維性癒着
と原因が異なります。
赤みや色素が改善すると肌全体はきれいに見えますが、凹みそのものは残ります。その場合にはサブシジョン、キュアジェット、ジュベルック、フラクショナル治療など、凹凸に対する治療を別に考えます。
紫外線は特にPIHを悪化させやすい
ニキビ跡がある時期には紫外線対策も重要です。
紫外線はメラニン産生を促すため、特にPIHを濃くする原因になります。また、ニキビにおける太陽光曝露についてのレビューでは、紫外線が炎症反応を誘導し、PIHやPIEの発生・増悪に関係する可能性が指摘されています。
日焼け止めを使用し、長時間の強い紫外線曝露を避けることは、ニキビ跡を濃くしないためにも重要です。
新しいニキビが続いている場合は先に炎症を減らす
PIEやPIHを治療しても、新しい炎症性ニキビが次々にできていれば新しい赤み・色素沈着が増えます。
そのため活動性ニキビが多い場合には、ニキビ跡治療だけでなく新しい炎症を抑える治療を並行します。
PIE・PIH・クレーターを簡単に整理すると

見た目だけで完全に分類できない場合もあるため、治療前にどの病態が主体なのかを確認します。
Q&A
まとめ|赤は血管、茶色はメラニンをまず考える
赤いニキビ跡と茶色いニキビ跡は、同じ炎症後に起こっていても病態が違います。赤〜赤紫色のPIEでは、炎症後の毛細血管拡張など血管性変化が主体です。茶〜褐色のPIHでは、炎症によって刺激されたメラノサイトが作ったメラニンが主体になります。
実際のニキビ跡ではPIEとPIHが混在して赤茶色に見えることも少なくありません。その場合には、どちらが主体なのかを確認して治療を組み立てます。
当院では、PIEにはライムライトやジェネシス、PIHにはOPトーニング、ピコトーニング、C-OPERA、外用などを使用します。PIEとPIHが混在する場合には、赤み治療を主目的としてライムライトを使用し、表在性の色むらも同時に改善することがありますが、PIH単独に対する第一選択としてIPLを使用しているわけではありません。
ニキビ跡治療では、「赤いか茶色いか」を見分けることが治療選択の第一歩です。そのうえでクレーターや活動性ニキビの有無まで確認し、それぞれの原因に合った治療を選ぶことが重要です。
【文責】
まゆりなclinic名古屋栄
院長 加藤 成貴
【参考文献】
- Kalantari Y, Dadkhahfar S, Etesami I. Post-acne erythema treatment: A systematic review of the literature. J Cosmet Dermatol. 2022;21(4):1379-1392.
- Taylor SC, et al. The Pathogenesis and Management of Acne-Induced Post-inflammatory Hyperpigmentation. Am J Clin Dermatol. 2022.
- Kashetsky N, et al. Post-inflammatory hyperpigmentation: A systematic review of treatment outcomes. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2024.
- Practical Therapeutic Strategies for Acne-Induced Hyperpigmentation Across all Skin Types. Am J Clin Dermatol. 2026.
- Sun exposure, a relevant exposome factor in acne patients and how photoprotection can improve outcomes. J Cosmet Dermatol. 2023.
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
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