日焼け止めを塗っても肝斑が濃くなるのはなぜ?可視光・UVA1・酸化鉄まで解説|名古屋
- 2026.10.3
目次
日焼け止めを塗っても肝斑が濃くなるのはなぜ?可視光・UVA1・酸化鉄まで解説|名古屋
「毎日日焼け止めを塗っているのに肝斑が濃くなる」「SPF50+を使っているのに夏になると悪化する」という方は少なくありません。
肝斑では紫外線対策が非常に重要ですが、現在ではUVBや一般的なUVAだけでなく、長波長側のUVA1や可視光も色素沈着に関係することが分かってきています。
特に肝斑のような慢性的な色素異常では、「SPFが高い日焼け止めを塗っているから十分」とは限りません。
紫外線と可視光が皮膚にどのような影響を与えるのかを理解すると、なぜ日焼け止めを使っていても肝斑が濃くなることがあるのかが分かりやすくなります。
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まず知っておきたい「太陽光」の種類
地表に届く太陽光には、紫外線だけでなく可視光や赤外線などが含まれています。
皮膚の色素に関係する光として特に重要なのが、
・UVB
・UVA2
・UVA1
・可視光
です。
UVBは主に280~315nm、UVAは315~400nm程度で、さらにUVA2とUVA1に分けられます。UVA1は一般に340~400nmの長波長側のUVAを指しますが、研究によっては370~400nm付近を長波長UVA1として扱うこともあります。可視光はおよそ400~700nmで、私たちの目に見える光です。従来の日焼け止めは主にUVBとUVAを防ぐことを目的として発展してきました。しかし近年、肝斑や炎症後色素沈着などでは可視光も重要な色素刺激になることが分かってきました。

SPFが高くても「すべての光」を防いでいるわけではありません。
日焼け止めに記載されているSPFは、主にUVBによる日焼け、特に紅斑をどの程度防ぐかを示す指標です。
一方、PAはUVAに対する防御の目安です。
そのため、
SPF50+
PA++++
と書かれている製品でも、それだけで可視光まで十分に防げているとは限りません。
肝斑ではUVBだけでなくUVA1や可視光も関与するため、「SPFが高い=肝斑に必要な光をすべて防いでいる」と考えない方がよいでしょう。
UVA1は皮膚のより深い部分まで届きやすい
UVAはUVBよりも波長が長く、皮膚のより深い部分まで届きやすい光です。
その中でもUVA1は長波長で、真皮まで到達しやすい特徴があります。
UVA1は急激な日焼けを起こしにくいため、UVBほど「焼けた」という感覚が出ないことがあります。しかし、酸化ストレスや光老化、色素反応に関係します。
肝斑では、表皮のメラノサイトだけでなく、基底膜、真皮、血管、線維芽細胞なども病態に関与しています。
そのため、真皮側まで作用するUVA1は、肝斑を考えるうえでも無視できません。
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可視光でも皮膚は黒くなる
可視光は、文字どおり人間の目で見ることができる光です。
長い間、可視光は皮膚の色素形成にはそれほど大きな影響を与えないと考えられてきました。しかし現在では、可視光でも色素沈着が起こることが分かっています。
特にFitzpatrick skin type III以上の比較的色素反応が起こりやすい肌では、短波長側の可視光によって持続的な色素沈着が生じることが報告されています。
肝斑では、この可視光による色素刺激が悪化因子の一つになる可能性があります。
可視光とUVA1が合わさると色素反応が強くなることがあります
可視光だけでなく、可視光とUVA1が同時に照射されることで、より強い色素反応が起こることも報告されています。
実際の日光では、UVB、UVA、可視光が別々に皮膚へ届くわけではありません。
複数の波長を同時に浴びています。
そのため肝斑の光対策では、UVBだけを防ぐのではなく、UVAや可視光まで含めて考えることが重要です。
可視光の中でも青~紫に近い短波長側が注目されています
可視光は約400~700nmという広い範囲をもちます。
そのすべてが同じように皮膚へ影響するわけではありません。
特に400~500nm付近の短波長側の可視光、いわゆるhigh-energy visible light、HEVLが色素形成との関係で注目されています。
一般的には青色光あるいはブルーライトと表現されることもあります。
ただし、「ブルーライト=スマートフォンが肝斑の主原因」という意味ではありません。
日常生活で皮膚が受ける可視光の主要な光源は太陽光です。
スマートフォンやパソコンの画面からの光と、屋外で浴びる太陽光を同じ強さとして考える必要はありません。
メラノサイトには可視光を感知する仕組みがあります
なぜ可視光でメラニンが増えるのでしょうか。
その一つとして注目されているのが、メラノサイトに存在するOpsin-3、OPN3という光受容体です。
OPN3は短波長側の可視光を感知し、細胞内カルシウムの変化を介して、CaMKII、CREB、ERK、p38などのシグナルを活性化すると考えられています。
その結果、メラニン産生を調節する重要な転写因子MITFが活性化し、チロシナーゼなどのメラニン産生関連酵素が増加します。
つまり可視光は、単に皮膚を温めているのではなく、メラノサイトの情報伝達経路を通してメラニン産生を促す可能性があります。
可視光による色素沈着は長く残ることがあります
可視光によって生じた色素沈着は、一時的な反応だけとは限りません。
特に色素反応が起こりやすい肌では、短波長可視光による色素沈着が持続しやすいことが報告されています。
肝斑ではもともとメラノサイトが刺激を受けやすい状態にあり、紫外線、可視光、炎症、ホルモンなど複数の刺激が重なることで色調が変化すると考えられます。
そのため、「強い日焼けをしていないのに、何となく肝斑が濃くなった」ということも起こり得ます。
一般的な透明の日焼け止めでは可視光を十分に防げないことがあります
UVBやUVAを防ぐ紫外線吸収剤・散乱剤の多くは、可視光に対して十分な遮光効果を持つとは限りません。
そのため、透明あるいはほぼ透明になるタイプの日焼け止めでは、紫外線防御性能が高くても可視光が皮膚まで到達することがあります。
ここで重要になるのが「色のついた顔料」です。
酸化鉄が可視光対策で注目される理由
可視光防御で特に研究されているのが酸化鉄です。
酸化鉄は、
・赤色酸化鉄
・黄色酸化鉄
・黒色酸化鉄
などがあり、ファンデーションや色付き日焼け止めなどに広く使用されています。
これらの顔料は可視光を吸収・散乱するため、通常の透明な日焼け止めでは防ぎにくい可視光に対する防御を補うことができます。
肝斑やPIHのような色素沈着が問題になる肌では、UVB・UVA対策だけでなく、酸化鉄を含む色付き製品を使用することが選択肢になります。
ちなみに、酸化亜鉛や酸化チタンはどう違う?
日焼け止めによく使われる酸化亜鉛(ZnO)や酸化チタン(TiO₂)も、肝斑対策で重要な成分です。これらは主に紫外線を散乱・吸収して、UVAやUVBから皮膚を守る無機系UVフィルターとして使われています。
一方、今回説明している可視光対策では、酸化鉄の役割がより重要になります。一般的な酸化亜鉛や酸化チタンを中心とした透明~白色の日焼け止めは、紫外線防御には優れていても、可視光まで十分に防げるとは限りません。
そのため肝斑が濃くなりやすい方では、SPF・PAによる紫外線防御を基本にしつつ、酸化鉄などの顔料を含む色付き日焼け止めやベースメイクを組み合わせる考え方があります。
ただし、酸化チタンも配合形態や粒子特性によっては顔料として可視光防御に寄与することがあります。したがって、成分名だけで単純に「酸化鉄は良い、酸化チタンや酸化亜鉛は意味がない」と分けるものではありません。
分かりやすくまとめると、

という役割で考えると理解しやすいでしょう。
肝斑の光対策では、どれか一つの成分だけを見るのではなく、紫外線防御と可視光防御を組み合わせて考えることが重要です。
酸化鉄を含む日焼け止めは実際に肝斑で研究されています
可視光対策は理論だけではありません。
肝斑患者を対象としたランダム化比較試験では、通常の広域紫外線防御の日焼け止めと、可視光防御を加えた酸化鉄含有の日焼け止めが比較されています。
両群ともハイドロキノン治療を行ったうえで比較すると、UVだけでなく可視光まで防御した群で、MASI、色彩計による評価、メラニン評価の改善がより大きかったと報告されています。
これは、肝斑治療では「日焼け止めを塗るか塗らないか」だけでなく、「どの波長まで防御するか」が治療結果に影響する可能性を示しています。
近年の研究でも、酸化鉄を含む色付き製品が可視光による色素沈着の抑制に役立つことが報告されています。
「酸化鉄入りなら何でもいい」わけではありません
ここは注意が必要です。
酸化鉄と書かれていれば、すべての製品が同じ可視光防御性能を持つわけではありません。
酸化鉄の種類、濃度、配合バランス、製品の色、塗布量などによって可視光防御性能は異なります。また、ファンデーションに酸化鉄が入っていても、非常に薄く塗るだけでは十分な光防御にならない可能性があります。重要なのは、「酸化鉄という成分名があるか」だけを見るのではなく、紫外線防御と可視光防御を組み合わせて考えることです。
色付き日焼け止めが肝斑に向いている理由
肝斑の光対策では、
・UVB
・UVA
・UVA1
・可視光
まで幅広く考える必要があります。
そのため、SPF・PAの高い日焼け止めを基本にしながら、肝斑が濃くなりやすい方では、酸化鉄などの顔料を含む色付き日焼け止めやベースメイクを組み合わせる方法があります。
特に屋外で過ごす時間が長い方、夏に肝斑が悪化しやすい方、治療後に再発しやすい方では、可視光対策まで考える意味があります。
おすすめのコラム👉「肝斑は治っても再発する?治療後のホームケアとメンテナンス|名古屋」
日焼け止めは塗る量が少ないと本来の性能が出ません
どれだけ性能の高い日焼け止めでも、使用量が少なければ表示されている防御性能を十分に得られません。
実際の日常使用では、試験時に使用される量よりもかなり少なく塗っている人が多いことが知られています。
特に、
・少量を薄く伸ばす
・朝に一度塗って終わる
・汗をかいても塗り直さない
・頬の外側や生え際を塗り忘れる
・ファンデーションだけで済ませる
といった使い方では、十分な光防御ができない場合があります。
肝斑は頬骨周辺など日光が当たりやすい部位に出やすいため、塗りムラにも注意が必要です。
日焼け止めだけで完全に防ぐ必要はありません
光対策というと日焼け止めばかりに注目しがちですが、物理的に光を避ける方法も非常に有効です。
例えば、
・帽子
・日傘
・サングラス
・日陰を利用する
・強い日差しの時間帯に長時間屋外にいない
などです。

日焼け止めを厚く塗り続けることだけが対策ではありません。
肝斑では摩擦も悪化因子になる可能性があるため、何度も強くこすりながら日焼け止めを塗り直すことは避けた方がよいでしょう。
日焼け止め、色付きベース、帽子や日傘などを無理なく組み合わせる方が実際的です。
おすすめのコラム👉「肝斑は摩擦で悪化する?洗顔・クレンジング・マスク・美顔器と皮膚バリアの関係|名古屋」
窓ガラスがあれば安心とは限りません
UVBは一般的な窓ガラスでかなり遮られますが、UVAは一部が透過します。
そのため、窓際で長時間過ごす場合や、自動車の運転時間が長い場合には、屋内だから紫外線対策が不要とは言い切れません。
ただし、窓ガラスの種類やフィルムによって透過率は大きく異なります。
「家の中にいるだけで肝斑がどんどん悪化する」と過度に心配する必要はありませんが、長時間強い光が入る環境では光対策を考える価値があります。
スマートフォンのブルーライトで肝斑は悪化する?
患者さんからよく聞かれる質問です。
可視光、特に青色光がメラニン産生に関係すること自体は研究で示されています。
しかし、ここで重要なのは光の「量」です。太陽光とスマートフォンやパソコンの画面から出る光では、皮膚が受ける照射量が大きく異なります。現在のところ、通常のスマートフォン使用を肝斑悪化の主要因として過度に恐れる必要はありません。
肝斑の光対策では、まず屋外での太陽光対策を優先する方が現実的です。
夏だけ日焼け止めを頑張ればよい?
肝斑では季節によって色調が変化することがあります。
夏は紫外線量が多いため悪化しやすいのは確かですが、UVAは季節を問わず地表へ届きます。また、治療中の肝斑では、季節によって対策を完全にやめるよりも、年間を通して基本的な光対策を継続する方が安定しやすいと考えます。ただし冬でも夏とまったく同じ対策をしなければならないという意味ではありません。屋外活動時間や季節、生活環境に合わせて調整します。
光対策をしても肝斑が濃くなることはあります
ここも大切です。
肝斑は光だけで起こる病気ではありません。
ホルモン、炎症、摩擦、皮膚バリア、血管、肥満細胞、線維芽細胞、遺伝的素因など複数の要素が関係しています。
そのため、紫外線と可視光をしっかり防いでも、肝斑が完全に変化しなくなるわけではありません。
光対策は肝斑治療の基本ですが、それだけですべてを解決する治療ではありません。
おすすめのコラム👉「名古屋で肝斑治療を受けるなら?レーザー・内服・外用治療の選び方を医師が解説」
肝斑治療中こそ光対策が重要です
OPトーニングやピコトーニングなどで肝斑が薄くなっても、光刺激が続けば再び色調が濃くなる可能性があります。
そのため治療期間中は、
レーザー治療
+
内服・外用
+
肌状態を整える治療
+
光対策
を並行して考えることが重要です。
まゆりなclinic名古屋栄では、肝斑の濃さや刺激への反応を確認しながら、OPトーニング、ピコトーニング、C-OPERA、トラネキサム酸、外用治療などを使い分けています。
光対策が不十分な状態でレーザーだけを繰り返すよりも、毎日の光刺激を減らしながら治療を進めた方が、治療後の色調を安定させやすくなります。

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肝斑の光対策で当院が重視すること
肝斑の光対策では、「SPF50+を使っているから大丈夫」と数字だけを見るのではなく、実際にどのように使っているかを確認することが重要です。
当院では、
・UVBだけでなくUVAも防ぐ
・必要に応じて可視光対策も考える
・酸化鉄を含む色付き製品も選択肢にする
・十分な量を使用する
・塗りムラを減らす
・屋外では必要に応じて塗り直す
・帽子や日傘も組み合わせる
・塗る際に強くこすらない
といった点を重視しています。
すべてを完璧に行う必要はありません。
毎日の生活の中で継続できる対策を行うことが重要です。
よくある質問
Q1.SPF50+の日焼け止めを使っていれば肝斑対策は十分ですか?
SPFは主にUVBに対する防御を示す指標です。PAによるUVA対策も重要ですが、肝斑では可視光も関与するため、SPFとPAだけですべての光対策を評価することはできません。
Q2.可視光でも肝斑は濃くなりますか?
可視光、特に短波長側の可視光は、色素反応が起こりやすい肌で持続的な色素沈着を起こすことが報告されています。肝斑の悪化因子の一つと考えられています。
Q3.酸化鉄は肝斑に効果がありますか?
酸化鉄自体が肝斑を治療する薬ではありません。可視光を吸収・散乱することで光による色素刺激を減らす役割があります。肝斑患者を対象とした研究では、可視光防御を加えた日焼け止めの有用性が報告されています。
Q4.ファンデーションでも可視光対策になりますか?
酸化鉄などの顔料が含まれていれば可視光防御に役立つ可能性があります。ただし、配合量や塗布量などによって効果は異なるため、ファンデーションだけで十分とは限りません。
Q5.ブルーライトカットの日焼け止めを選んだ方がよいですか?
「ブルーライトカット」という表示だけで判断する必要はありません。肝斑ではまずSPF・PAによる紫外線防御を基本とし、必要に応じて酸化鉄などによる可視光防御を加える考え方が実際的です。
Q6.スマートフォンのブルーライトも肝斑の原因になりますか?
可視光がメラニン産生に関係することは分かっていますが、通常のスマートフォン使用と太陽光では照射量が大きく異なります。現時点ではスマートフォンを主要な悪化因子として過度に避ける必要はなく、まず太陽光対策を優先します。
Q7.曇りの日も日焼け止めは必要ですか?
雲があってもUVAなどは地表へ届きます。肝斑治療中は天候だけで判断せず、日中の基本的な光対策を継続することをおすすめします。
Q8.肝斑が薄くなったら日焼け止めをやめても大丈夫ですか?
肝斑は再び濃くなることがあるため、改善後も光対策は重要です。治療回数を減らしていく時期も、日焼け止めや摩擦対策などの基本的なケアは継続します。
まとめ|肝斑ではSPFだけでなく「どの光を防ぐか」まで考える
肝斑と光の関係を考えるとき、紫外線だけを見るのでは不十分です。
UVBはもちろん重要ですが、UVA、とくに長波長側のUVA1、さらに可視光も肝斑の色素形成に関係することが分かってきています。可視光の短波長側はOPN3などを介してメラノサイトを刺激し、持続的な色素沈着を起こす可能性があります。そのため、肝斑の光対策ではSPF・PAの高い日焼け止めを基本に、肝斑が濃くなりやすい方では酸化鉄を含む色付き日焼け止めやベースメイクによる可視光対策も選択肢になります。ただし、光だけが肝斑の原因ではありません。肝斑には基底膜、真皮、血管、炎症、ホルモン、摩擦など複数の要素が関係しています。日焼け止めを塗ることをゴールにするのではなく、紫外線・可視光による刺激を減らしながら、その時点の肝斑の状態に合わせた治療を行うことが重要です。
文責
まゆりなclinic名古屋栄
院長 加藤成貴
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