ニキビ跡とは?赤み・色素沈着・クレーターの違いと治療法を解説|名古屋
- 2026.9.21
目次
ニキビ跡とは?赤み・色素沈着・クレーターの違いと治療法を解説|名古屋

「ニキビ跡を治したい」と受診される方の肌を診ると、実際には同じ“ニキビ跡”でも状態はかなり異なります。
赤い跡、茶色い跡、浅い凹凸、深いクレーター、皮膚の下から引き込まれたような凹み。これらをすべて同じ方法で治療することはできません。
医学的には、ニキビ後に残る変化を大きく、
・赤み:PIE/post-acne erythema
・茶色い色素沈着:PIH/post-inflammatory hyperpigmentation
・凹凸:萎縮性瘢痕/atrophic acne scar
・盛り上がり:肥厚性瘢痕・ケロイド
などに分けて考えます。
特に凹凸のニキビ跡は、さらにice pick、boxcar、rollingという形態に分類され、それぞれ皮膚内部で起きていることが違います。現在のレビューでも、萎縮性ニキビ跡はこの3型を基本に評価し、瘢痕構造に応じてレーザー、マイクロニードリング、フィラー、サブシジョンなどを選択する考え方が中心です。
つまりニキビ跡治療で最初に必要なのは、施術を選ぶことではありません。今残っているものは赤みなのか、色素なのか、凹みなのか。凹みなら何型で、どの深さに線維があり、皮膚をどの方向へ引っ張っているのかを診断することが重要です。
「ニキビ跡」は一つの病態ではない
患者さんが「ニキビ跡」と呼んでいるものには、異なる病態が混在しています。
見え方 主に考える状態 主な問題
赤い跡 PIE・post-acne erythema 炎症後の血管性紅斑
茶色い跡 PIH メラニン増加
凹み・クレーター 萎縮性瘢痕 真皮構造の破壊・線維化・癒着
盛り上がり 肥厚性瘢痕・ケロイド 過剰な瘢痕形成
赤みやPIHは時間とともに自然改善することがあります。一方、すでに真皮構造そのものが変化した萎縮性瘢痕は、単なる色の問題ではありません。このコラム集では、主に凹凸・クレーターとして残る萎縮性ニキビ跡を詳しく扱います。赤みニキビ跡については、別のコラム集で詳しく解説します。
クレーターはなぜできる?

炎症性ニキビが強くなると、毛包周囲だけでなく真皮のコラーゲンや細胞外マトリックスにも炎症が及びます。炎症によって組織が破壊された後、正常な皮膚構造が十分に再生されず、コラーゲンが不足した状態で治癒すると皮膚表面が陥没します。これが萎縮性ニキビ跡です。さらに治癒過程で線維性組織が形成され、皮膚表面と深部組織が癒着すると、皮膚が下方向へ引っ張られます。
したがって凹凸ニキビ跡には、
皮膚そのものが欠損している問題
と
線維性癒着によって下から引っ張られている問題
が同時に存在することがあります。
ここを見分けることが治療選択の出発点です。
凹凸ニキビ跡は大きく3種類に分ける
萎縮性ニキビ跡は、代表的にice pick、boxcar、rollingの3型に分類されます。
・Ice pick scar
入口が狭く、奥に向かって深く入り込むタイプです。針で刺したような細く深い凹みに見えます。深さそのものが問題となるため、皮膚の下の線維を横方向に切るサブシジョンだけでは改善しにくいタイプです。
・Boxcar scar
比較的境界が明瞭で、四角くくぼんだように見えるタイプです。浅いものから深いものまであります。当院では、rolling型と比較するとより浅い位置の線維や瘢痕構造の影響が大きい病変が多いと考え、キュアジェットなどを治療に組み込むことがあります。
・Rolling scar
境界がなだらかで、皮膚表面が波打つように見えるタイプです。
皮膚の比較的深い位置にある線維性癒着によって広く引き込まれていることが多く、サブシジョンの重要性が高いタイプです。サブシジョンは萎縮性ニキビ跡に対する代表的な治療で、特にtetheringを伴う瘢痕に使用されます。
実際には浅い線維と深い線維が混在していることが多い
「rolling型だから深い線維だけ」「boxcar型だから浅い線維だけ」と完全に分かれているわけではありません。実際のニキビ跡では、一つの瘢痕の中に浅い線維と深い線維が混在していることが多くあります。そのため、rolling型では深部の癒着をサブシジョンで解除したうえで表層側の瘢痕へ別の治療を加えることがありますし、boxcar型でも深いtetheringを伴っていればサブシジョンを行う意味があります。
実際、fractional CO2 laser単独とsubcision併用を比較した研究でも、boxcar・rollingではsubcision併用群の改善が良好で、ice pickでは明確な上乗せ効果がみられませんでした。
つまり、瘢痕の名前だけで治療を決めず、その下にある線維の深さまで見る必要があります。
サブシジョンは「深い線維」を解除する治療
サブシジョンは、針やカニューレを瘢痕下へ挿入し、皮膚を深部へ引っ張っている線維性索状組織を切離する治療です。当院では特に、深い線維性癒着の影響が大きいrolling scarを中心にサブシジョンを重要視しています。深い癒着を残したまま皮膚表面だけを刺激しても、下方向へ引っ張る力が残っているため、凹みが十分に持ち上がらないことがあります。
サブシジョンはその「引っ張る力」を先に解除する治療です。
キュアジェットは「浅い線維」へアプローチする
当院では、比較的浅い位置にある線維性癒着や局所的な瘢痕に対してキュアジェットを使用します。特にboxcar型では、rolling型ほど深部のtetheringが主体ではなく、より浅い位置の線維性組織が凹みの形に影響しているケースがあります。
このような病変では、キュアジェットによって局所的な線維へアプローチしながら、薬剤を真皮へ導入する治療を行います。
ただし、キュアジェットとサブシジョンは完全に別々の患者さんへ使う治療ではありません。浅い線維と深い線維が混在していることが多いため、キュアジェットを予定している病変でも、深い癒着があれば先にサブシジョンを行っておく方が治療反応を引き出しやすいと考えています。
深部のtetheringを残したまま浅い線維だけへアプローチするより、
サブシジョンで深い線維を解除
→ キュアジェットで浅い線維へアプローチ
という順番で治療した方が合理的なケースが多くあります。
ジュベルックは「癒着を剥がした後の皮膚を再構築する」ために使う
凹凸ニキビ跡は、線維を切ればそれだけで治療が完成するわけではありません。
サブシジョンで深い線維を切離し、キュアジェットで浅い線維へアプローチした後には、失われた真皮構造そのものを再構築していく工程が必要です。
当院では、その目的でジュベルックを組み合わせることがあります。
ジュベルックはPDLLA(poly-D,L-lactic acid)と非架橋ヒアルロン酸を含む製剤で、真皮へ作用しコラーゲン産生を促すことで、萎縮性瘢痕の凹みや皮膚質感の改善を目指します。
PDLLAを用いたニキビ跡治療については、microneedle fractional RFを用いて真皮内へ導入した前向き試験でも、scar gradingの改善が報告されています。
また2026年には、PDLLA(Juvelook)を用いたgas subcisionによる萎縮性ニキビ跡治療も報告され、症例数は少ないものの、機械的な癒着解除と生物学的な真皮再構築を組み合わせる考え方が示されています。
当院では特にキュアジェットとジュベルックを組み合わせ、
浅い線維へのアプローチ
と
真皮再構築
を同時に狙います。
サブシジョン・キュアジェット・ジュベルックは競合する治療ではない
この3つは、どれが一番優れているかを比べる治療ではありません。
役割が違います。
・深い線維
→ サブシジョン
・浅い線維
→ キュアジェット
・癒着解除後の真皮再構築
→ ジュベルック
という考え方です。
実際には浅い線維と深い線維が混在していることが多いため、サブシジョンとキュアジェットを両方行い、ジュベルックで皮膚そのものを再構築するという治療設計になることがあります。つまり、ニキビ跡治療では「一つの施術を繰り返す」よりも、深さごとに役割の違う治療を重ねることが重要です。
サブシジョン後にヒアルロン酸を入れる理由
サブシジョンで癒着を切離すると、皮膚が持ち上がります。
しかし、治癒過程で組織同士が再び癒着すると、陥凹が戻る可能性があります。
そのため当院では、サブシジョン後に非架橋ヒアルロン酸を使用し、切離したスペースを維持する治療を行うことがあります。
サブシジョンとヒアルロン酸フィラーの併用については、レビューでも再陥凹を防ぎ治療成績を高める可能性が報告されています。
当院では単に「凹みにヒアルロン酸を入れて膨らませる」のではなく、深い癒着を解除した後の再癒着を抑える目的を重視しています。
フラクショナル治療は「表面と真皮の再構築」を担う
サブシジョンやキュアジェットだけですべての凹凸を治すわけではありません。
CO2フラクショナル、ピコフラクショナル、ダーマペン、シルクロなどは、皮膚へ微細な刺激を与え、創傷治癒反応を利用してコラーゲン再構築を促す治療です。
特に、
・細かい凹凸
・皮膚表面のtexture
・毛穴状の凹み
・瘢痕周囲の真皮再構築
では重要な役割があります。
CO2フラクショナルは萎縮性ニキビ跡に高い改善効果が期待できる一方、2026年のRCTメタ解析ではmicroneedling RFより疼痛、PIH、紅斑期間が大きいことも報告されています。つまり、強い治療ほど常に優れているわけではなく、効果とダウンタイムのバランスで選ぶことが重要です。
ダーマペンだけでクレーターは治る?
ダーマペンは真皮再構築を促す治療として有効です。
しかし、深い線維性癒着によって皮膚が強く引き込まれている場合には、その癒着を解除せず表面から刺激を続けても改善に限界があります。
このような場合には、
深い癒着をサブシジョンで解除
→ 浅い線維をキュアジェットで治療
→ ジュベルックやフラクショナル系で真皮を再構築
というように、問題となっている深さごとに治療を分ける方が合理的です。
アイスピック型はサブシジョンだけでは改善しにくい
ice pick scarでは、狭く深い瘢痕そのものが問題です。そのため、深い線維を切離するだけでは十分な改善につながりにくく、別の方向から真皮を再構築する必要があります。
当院では、瘢痕の深さや形態に応じて、
・CO2フラクショナル
・ピコフラクショナル
・シルクロ
・キュアジェット
などを組み合わせます。
重要なのは、「深いニキビ跡だからサブシジョン」ではなく、「何が深いのか」を見ることです。
実際には複数の治療を組み合わせることが多い
実際の顔では、
・rolling
・boxcar
・ice pick
・赤み
・PIH
・毛穴
が同時に存在することがあります。
そのため、一つの機械だけで治療を完結させるより、病変ごとに役割を分けて治療することが重要です。
当院では、
深い線維性癒着
→ サブシジョン
浅い線維性癒着
→ キュアジェット
深い癒着解除後の再癒着対策
→ 非架橋ヒアルロン酸
真皮再構築
→ ジュベルック
表面texture・細かな凹凸
→ ピコフラクショナル、CO2フラクショナル、シルクロ、ダーマペンなど
というように治療を組み立てます。
萎縮性ニキビ跡には一つの治療だけでなく、scar typeに合わせて複数治療を組み合わせるmultimodal approachが合理的とされています。
活動性ニキビが残っている場合は新しい瘢痕を増やさない
クレーター治療をしていても、新しい炎症性ニキビが繰り返しできれば、新しい瘢痕が追加される可能性があります。そのため、活動性ニキビが強く残っている場合には、ニキビそのものの治療も並行して考えます。今あるクレーターを治療することと、新しいクレーターを作らないことは同時に行う必要があります。
ニキビ跡は何回で治る?

萎縮性ニキビ跡は、すでに失われた皮膚構造を再構築する治療です。そのため、1回ですべて元通りにするというより、複数回の治療で段階的に改善していくケースが多くなります。
必要回数は、
・瘢痕の種類
・深さ
・数
・線維性癒着の強さ
・治療歴
・肌質
によって異なります。
また、施術直後の腫れで凹みが浅く見えることもあるため、治療効果は腫れが落ち着き、コラーゲン再構築が進んだ後に評価します。
当院では「皮膚再構築」としてニキビ跡を考える
当院ではクレーターニキビ跡治療を、単に凹みを一時的に持ち上げる治療とは考えていません。
必要に応じて、
深い線維を解除する
→ サブシジョン
再癒着を抑える
→ 非架橋ヒアルロン酸
浅い線維へアプローチする
→ キュアジェット
真皮を作り直す
→ ジュベルック
表面の凹凸を整える
→ フラクショナル治療・シルクロ・ダーマペン
という工程を組み合わせます。
つまりニキビ跡を皮膚の深さごとに分解し、必要な層を一つずつ再構築するという考え方です。
ニキビ跡治療を簡単に整理すると
状態 主な問題 当院で検討する治療例
赤いニキビ跡⇒ PIE・血管性の赤み ライムライト、ジェネシス、C-OPERAなど
茶色いニキビ跡⇒ PIH OPトーニング、ピコトーニング、C-OPERA、外用など
Rolling scar 深い線維性癒着の影響が大きい ⇒サブシジョン+必要に応じて非架橋HA、ジュベルック
Boxcar scar 浅い線維・真皮欠損の影響が比較的大きい ⇒キュアジェット+ジュベルック、必要に応じてサブシジョン
浅い+深い線維が混在 多層の癒着 ⇒サブシジョン+キュアジェット、ジュベルック
Ice pick scar 狭く深い瘢痕 ⇒CO2フラクショナル、ピコフラクショナル、シルクロ、キュアジェット、ジュベルックなど
表面の細かな凹凸 texture・真皮再構築 ⇒ダーマペン、ピコフラクショナル、CO2フラクショナル、シルクロなど
これは絶対的な対応表ではありません。実際には一つの瘢痕の中にも浅い線維と深い線維が混在することが多く、複数治療を組み合わせます。
Q&A

まとめ|ニキビ跡治療は「施術名」ではなく「線維の深さと瘢痕構造」から考える
ニキビ跡という言葉には、赤み、色素沈着、凹凸など異なる状態が含まれます。
凹凸ニキビ跡ではさらにice pick、boxcar、rollingに分類されますが、重要なのは名前だけではありません。
どの深さに線維性癒着があるのかを見ることが重要です。
当院では、
rolling型
→ 深い線維性癒着の影響が大きいためサブシジョン
boxcar型
→ 比較的浅い線維・真皮構造へキュアジェット+ジュベルック
という考え方を基本にしています。
ただし実際には、浅い線維と深い線維が混在していることが多いため、boxcar型でも深い癒着があればサブシジョンを行います。深い線維をサブシジョンで解除したうえで、キュアジェットで浅い線維へアプローチし、ジュベルックで真皮を再構築する。このように皮膚の深さごとに役割を分けて治療することで、より合理的な治療設計ができます。そのうえで必要に応じて、非架橋ヒアルロン酸、ピコフラクショナル、CO2フラクショナル、シルクロ、ダーマペンなどを組み合わせます。ニキビ跡治療で重要なのは、一番強い施術を選ぶことでも、一つの施術を繰り返すことでもありません。なぜ凹んでいるのか、どの深さの線維が皮膚を引っ張っているのか、その後の真皮をどう再構築するのか。この構造を診断してから治療を組み立てることが、凹凸ニキビ跡を改善していくための基本だと当院では考えています。
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
わからないことや不安なことがあれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。医師の視点から、科学的根拠に基づいて丁寧にお応えします。
【文責】
まゆりなclinic名古屋栄
院長 加藤 成貴
【参考文献】
1. Jacob CI, Dover JS, Kaminer MS. Acne scarring: a classification system and review of treatment options. J Am Acad Dermatol. 2001;45(1):109-117.
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3. Vempati A, et al. Subcision for Atrophic Acne Scarring: A Comprehensive Review of Surgical Instruments and Combinatorial Treatments. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2023;16:125-134.
4. Ahramiyanpour N, et al. Subcision in acne scarring: A review of clinical trials. J Cosmet Dermatol. 2023.
5. Fractional carbon dioxide laser combined with subcision for the treatment of three subtypes of atrophic acne scars: a retrospective analysis. 2023.
6. Clinical evaluation of needle-free electronic pneumatic hyaluronic acid injection treatment for facial atrophic acne scars: A prospective, randomized comparative trial. J Dermatol. 2023.
7. Intradermal Injection of Poly-D,L-Lactic Acid Using Microneedle Fractional Radiofrequency for Acne Scars: An Open-Label Prospective Trial. Dermatol Surg. 2023.
8. Gas subcision with PDLLA (Juvelook): Evaluating a hybrid mechanical-biologic approach for atrophic acne scars. JPRAS Open. 2026.
9. Fractional CO2 Laser Versus Micro Needling Radiofrequency for Post Acne Scarring: A Meta-Analysis of RCTs. 2026.








