女性の抜け毛が急に増えた原因は?休止期脱毛を解説|名古屋
- 2026.10.2
目次
女性の抜け毛が急に増えたのはなぜ?休止期脱毛の原因・症状・治療を解説|名古屋
「最近、シャンプーのときに抜ける髪が急に増えた」「ドライヤーの後、床に落ちている髪が多い」「数か月前までは気にならなかったのに、急に髪全体が少なくなった気がする」。このような場合に考えられる代表的な脱毛症の一つが休止期脱毛です。休止期脱毛は、毛髪を作る多くの毛包が一斉に休止期へ移行することで、通常より多くの毛が抜ける状態です。出産、発熱や感染症、手術、急激なダイエット、強いストレス、鉄欠乏など、何らかの身体的・精神的な変化をきっかけに起こることがあります。女性の薄毛でよくみられるFPHL(女性型脱毛症)とは経過が異なりますが、FPHLと休止期脱毛が同時に存在することもあります。
💡関連コラムはこちら⇒「女性の薄毛の原因は?FPHL・FAGA・休止期脱毛の違いと治療法を解説|名古屋」
休止期脱毛とは?

髪の毛には、成長期、退行期、休止期という毛周期があります。健康な頭皮では、それぞれの毛包が異なるタイミングで毛周期を繰り返しているため、すべての髪が同時に抜けることはありません。休止期脱毛では、何らかのきっかけによって通常より多くの毛包が成長期から休止期へ移行します。休止期に入った髪はしばらく頭皮に残ったあと抜け落ちるため、原因となる出来事が起きた直後ではなく、一般的には数か月たってから抜け毛が増えることがあります。
例えば、2~3か月前に高熱が出た、手術を受けた、急激に体重を落としたといった出来事が、現在の抜け毛と関係している場合があります。そのため診察では、「最近何があったか」だけでなく、数か月前までさかのぼって体調や生活の変化を確認します。
休止期脱毛ではどんな症状が出る?
休止期脱毛の特徴は、比較的広い範囲から抜け毛が増えることです。よくみられるのは、シャンプー時の抜け毛が急に増える、枕や床に落ちている髪が増える、髪をとかしたときに多く抜ける、ポニーテールが以前より細く感じる、頭髪全体のボリュームが減る、といった変化です。特定の場所だけが丸く抜けるというより、頭部全体からびまん性に毛髪が減ったように見えることがあります。ここで使う「びまん性」は病名ではなく、広い範囲で薄く見える状態を表す言葉です。FPHLでもびまん性に薄く見えることがあるため、見た目だけで両者を判断できない場合があります。
FPHLと休止期脱毛は何が違う?
FPHLでは、髪を作る毛包が徐々に小さくなり、太く長い毛を作りにくくなる「毛包のミニチュア化」が進みます。分け目の広がりや頭頂部の透け感が徐々に目立つようになります。
休止期脱毛では、毛包そのものが徐々に小さくなることが中心ではなく、多くの毛髪が休止期へ移行することで抜け毛が増えます。

ただし、FPHLと休止期脱毛が同時に存在するケースもあります。
💡関連コラムはこちら⇒「FPHLとは?女性型脱毛症の原因・症状・進行パターン・治療を解説|名古屋」
休止期脱毛の主な原因
休止期脱毛は一つの原因だけで起こるものではありません。代表的なきっかけには次のようなものがあります。
〇発熱・感染症
高熱を伴う感染症や大きな体調変化のあとに、休止期脱毛が起こることがあります。感染症が治ったあと数か月してから抜け毛が増えることがあるため、患者さん自身が両者を結びつけて考えていない場合もあります。
〇手術や大きな病気
手術、入院、大きな病気など身体への強い負担が毛周期に影響し、その後に抜け毛が増えることがあります。
〇出産
出産後の抜け毛も、休止期脱毛の代表的な例です。妊娠中はホルモン環境の影響で成長期の毛髪が維持されやすくなり、出産後にその毛髪がまとまって休止期へ移行することで抜け毛が増えます。
多くの場合は時間とともに毛周期が整っていきますが、もともとFPHLがある方では、出産後の休止期脱毛をきっかけに薄毛が目立つようになることもあります。
〇急激なダイエット・体重減少
短期間で大きく体重を落とした場合、エネルギー不足や栄養状態の変化によって休止期脱毛が起こることがあります。特に極端な食事制限では、たんぱく質、鉄、亜鉛など毛髪の成長に関係する栄養素が不足する可能性があります。薄毛が気になっている時期にさらに食事量を減らすと、抜け毛を悪化させることがあるため注意が必要です。
〇鉄欠乏
女性では月経などの影響から鉄欠乏がみられることがあります。鉄欠乏が休止期脱毛に関連するケースもあるため、経過によっては血液検査でヘモグロビンやフェリチンなどを確認します。ただし、フェリチンの値だけで休止期脱毛を診断できるわけではありません。症状や食生活、月経、その他の検査所見などと合わせて評価します。
〇甲状腺疾患など内科的な原因
甲状腺機能の異常など、全身状態に関係する疾患が脱毛の背景にあることがあります。
抜け毛だけでなく、疲労感、体重変化、寒がり・暑がり、動悸など他の症状がある場合には、必要に応じて内科的な評価も行います。
〇薬剤
使用している薬剤によって毛周期が変化し、抜け毛が増えることがあります。
新しい薬を開始した時期と抜け毛が増えた時期の関係を確認します。ただし、自己判断で処方薬を中止することは避け、処方した医師へ相談してください。
〇強い精神的ストレス
心理的ストレスも休止期脱毛の誘因として考えられています。ただし、「ストレスがあるからすべて休止期脱毛」と判断することはできません。
女性の薄毛にはFPHL、鉄欠乏、甲状腺疾患、円形脱毛症などさまざまな原因があるため、他の要因も含めて確認します。
原因が分からない休止期脱毛もある
休止期脱毛では、明らかなきっかけが見つからない場合もあります。本人には特別な出来事と思えなかった体調変化が影響していることもありますし、複数の要因が重なっていることもあります。また、「慢性休止期脱毛」という言葉も使われますが、慢性的な抜け毛については定義が完全に統一されているわけではありません。近年のレビューでは、慢性休止期脱毛と考えられていたケースの一部に、初期のFPHLや見つかっていない二次的原因が含まれる可能性も指摘されています。長期間抜け毛が続いている場合には、診断を一度見直すことも必要です。
休止期脱毛はいつから抜け始める?
休止期脱毛では、原因となる出来事と抜け毛の間に時間差があります。
例えば、
高熱が出た
↓
体への負担によって多くの毛髪が休止期へ移行
↓
数か月後に抜け毛が増える
という経過をとります。
そのため、「今は元気なのに、なぜ急に抜け毛が増えたのだろう」と感じることがあります。
診察では2~3か月前を中心に、場合によってはさらに前までさかのぼって、感染症、手術、出産、ダイエット、薬剤、強いストレスなどがなかったか確認します。
休止期脱毛はどのくらい続く?
原因が一時的で解消されている急性休止期脱毛では、多くの場合、時間とともに抜け毛が減り、毛周期が整っていきます。ただし、毛髪は1か月に約1cm程度しか伸びないため、抜け毛が落ち着いてもすぐに元のボリュームへ戻るわけではありません。新しく生え始めた毛が十分な長さに伸び、見た目の毛量として実感できるまでには数か月以上かかります。そのため、休止期脱毛は「抜け毛が止まるまで」と「毛量が戻ったと感じるまで」で時間差があります。
6か月以上続く場合は再評価する
抜け毛が長期間続く場合には、原因がまだ継続している可能性や、別の脱毛症が重なっている可能性を考えます。
特に、
・6か月以上抜け毛が続く
・分け目が広がっている
・髪が細くなっている
・特定の部分だけ薄い
・頭皮に赤みや痛みがある
・眉毛や体毛にも変化がある
といった場合には、FPHL、円形脱毛症、瘢痕性脱毛症など他の原因がないか確認します。
休止期脱毛ではどんな検査をする?
すべての方に同じ検査を行うわけではありません。
問診で、抜け毛が始まった時期、数か月前の体調変化、食生活、体重変化、月経、出産、薬剤などを確認します。頭皮や毛髪の状態を診察し、必要に応じて血液検査を行います。
検討する項目としては、例えば、
・血算
・鉄、フェリチン
・甲状腺機能
・ビタミンや栄養状態に関連する項目
などがあります。
症状や既往歴によって必要な検査は異なります。薄毛があるからすべての栄養素を検査するという考え方ではなく、疑われる原因に合わせて検査を選びます。
休止期脱毛の治療で最も大切なのは原因への対応
休止期脱毛では、背景に原因がある場合、その原因への対応が治療の中心になります。
例えば、急激なダイエットが原因であれば食事・栄養状態を見直します。鉄欠乏があれば原因を確認しながら必要な治療を行います。甲状腺疾患などの病気が見つかった場合には、その疾患の治療が必要です。すでに原因が解消している急性休止期脱毛では、毛周期が自然に回復するまで経過を見ることも多くあります。
すぐにHARG+などの発毛治療をする必要はある?
休止期脱毛だから全員にHARG+やACRSなどが必要になるわけではありません。
一時的な誘因が原因で、すでにその原因が解消している場合には、毛周期が戻ることで自然に改善していく可能性があります。一方で、FPHLが併存している場合や、毛髪の回復を積極的にサポートしたい場合には、薄毛の状態や希望に応じてホームケアや頭皮治療を検討することがあります。
当院ではDott Hair for Women、HARG+、ACRS、PDF-FD、キュアジェット、ヘアレーズなどを扱っていますが、休止期脱毛の原因や毛髪の状態を確認してから必要性を判断します。
💡関連コラムはこちら⇒「女性の薄毛治療は何を選ぶ?Dott Hair・HARG+・ACRS・PDF-FD・ヘアレーズを比較|名古屋」
休止期脱毛にミノキシジルは必要?
ミノキシジル外用はFPHLに対してエビデンスが確立した治療です。休止期脱毛については、原因が一時的で自然回復が期待できる場合、必ずしも全員にミノキシジルが必要になるわけではありません。FPHLを併存している場合や、薄毛の状態によっては使用を検討することがあります。休止期脱毛とFPHLの両方が疑われる場合には、抜け毛が落ち着いたあとも分け目や頭頂部の毛髪が細いまま残っていないかを確認します。
FPHLが隠れていることがある
休止期脱毛をきっかけに、それまで気づいていなかったFPHLが明らかになることがあります。例えば、もともと数年間かけて少しずつ毛髪が細くなっていた方が、感染症や急激なダイエットをきっかけに休止期脱毛を起こすと、一気に地肌が目立つようになります。
休止期脱毛が改善したあとも、
・分け目が広い
・頭頂部が透ける
・太い毛と細い毛が混在している
といった状態が残る場合には、FPHLの併存を考えます。その場合は休止期脱毛が落ち着いた後も、FPHLに対する継続治療を検討します。
当院の休止期脱毛の考え方
まゆりなclinicでは、急に抜け毛が増えた場合、まず発症時期と数か月前の出来事を確認します。出産、発熱、感染症、手術、ダイエット、薬剤、強いストレスなどの有無を聞き、頭皮や毛髪の状態を診察します。必要に応じて鉄・フェリチン、甲状腺機能などの血液検査を検討します。また、分け目の広がりや毛径不同がある場合にはFPHLが重なっていないかも確認します。原因が解消され自然回復が期待できる場合は、経過を見ながら毛髪の回復を待ちます。FPHLが併存している場合や積極的な治療を希望される場合には、Dott Hair for WomenなどのホームケアやHARG+などを含めて治療計画を検討します。
休止期脱毛についてよくある質問
Q1.急に抜け毛が増えたら休止期脱毛ですか?
休止期脱毛は代表的な原因の一つですが、すべてではありません。FPHL、円形脱毛症、甲状腺疾患などでも脱毛が起こるため、抜け方や頭皮の状態を確認する必要があります。
Q2.ストレスだけで髪は抜けますか?
強い精神的ストレスが休止期脱毛のきっかけになることはあります。ただし、ストレスだけで説明せず、栄養状態や内科的疾患など他の原因も確認します。
Q3.ダイエット後に髪が抜けることはありますか?
あります。急激な体重減少や極端な食事制限は休止期脱毛の誘因になります。特にたんぱく質や鉄などの不足にも注意が必要です。
Q4.出産後の抜け毛は元に戻りますか?
出産後の休止期脱毛は、多くの場合、時間とともに毛周期が整っていきます。ただし、もともとFPHLがある場合には、抜け毛が落ち着いたあとも薄毛が残ることがあります。
Q5.休止期脱毛は何か月で治りますか?
原因が一時的であれば、抜け毛は徐々に落ち着くことが多いですが、髪が十分に伸びて毛量が戻ったと感じるまでにはさらに時間がかかります。数か月単位で経過を見ることが一般的です。
Q6.血液検査は必要ですか?
全員に必要ではありません。鉄欠乏、甲状腺疾患、栄養状態などが疑われる場合に、症状や経過に応じて検査を行います。
Q7.休止期脱毛でもHARG+やACRSはできますか?
治療自体を検討することはできますが、まず原因の確認が大切です。一時的な休止期脱毛では自然回復する場合もあります。FPHLの併存や薄毛の程度、治療希望を確認して判断します。
Q8.半年以上抜け毛が続いています。休止期脱毛ですか?
慢性的な休止期脱毛の可能性もありますが、FPHLなど他の薄毛が隠れていることもあります。長期間続いている場合には診断を再評価することをおすすめします。
まとめ|急に抜け毛が増えたら数か月前の体調変化まで確認する
休止期脱毛は、多くの毛髪が休止期へ移行することで、頭部全体の抜け毛が増える状態です。
発熱や感染症、手術、出産、急激なダイエット、鉄欠乏、薬剤、強いストレスなどがきっかけになることがあります。原因となる出来事から実際に抜け毛が増えるまで時間差があるため、現在の体調だけではなく数か月前までさかのぼって確認することが大切です。一時的な原因が解消されている場合には、毛周期の回復とともに抜け毛が落ち着くことがあります。ただし、毛量が戻ったと実感するまでには数か月以上かかることもあります。
また、休止期脱毛をきっかけにFPHLが目立つようになるケースもあります。抜け毛が落ち着いた後も分け目の広がりや頭頂部の透け感、髪の細さが残る場合にはFPHLの併存を確認します。まゆりなclinicでは、抜け毛が始まった時期、数か月前の体調や生活の変化、毛髪の太さや分布などを確認し、必要に応じて血液検査や薄毛治療をご提案します。名古屋・栄で急な抜け毛や髪全体のボリューム低下が気になる方はご相談ください。
文責
まゆりなclinic名古屋栄
院長 加藤成貴
参考文献
- Rebora A. Telogen effluvium: a comprehensive review. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2019;12:583-590.
- Asghar F, Shamim N, Farooque U, Sheikh H, Aqeel R. Telogen Effluvium: A Review of the Literature. Cureus. 2020;12(5).
- Malkud S. Telogen Effluvium: A Review. J Clin Diagn Res. 2015;9(9).
- Starace M, Orlando G, Alessandrini A, Piraccini BM. Telogen effluvium: a 360 degree review. Ital J Dermatol Venerol. 2024;159(1):54-62.
- Ramos PM, Miot HA. Female-pattern hair loss: therapeutic update. An Bras Dermatol. 2023;98(4):506-519.
- 眞鍋 求, 坪井良治, 板見 智, 他. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版. 日本皮膚科学会雑誌. 2017;127(13):2763-2777.


















