ニキビ跡の種類はどう見分ける?アイスピック・ボックスカー・ローリング型の違い|名古屋
- 2026.9.21

ニキビ跡のクレーターには、細い穴のように見えるもの、四角くへこんでいるもの、頬全体が波打つように見えるものがあります。これらは見た目が違うだけではありません。凹みの深さや皮膚内部の構造が異なるため、適した治療も変わります。
萎縮性ニキビ跡は、代表的に「アイスピック型」「ボックスカー型」「ローリング型」の3種類に分類されます。現在もこの分類はニキビ跡を評価する基本として広く使われています。
ただし、実際の患者さんでは3種類が明確に分かれているとは限りません。同じ頬に複数タイプが存在したり、一つの凹みの中に異なる深さの線維性癒着が混在していたりすることも多いため、分類名だけで治療を決めないことが重要です。
目次
アイスピック型・ボックスカー型・ローリング型を比較
まず3種類の特徴を簡単に整理します。

医学的な分類は主に形態をもとに行われますが、実際の治療では見た目だけでなく、深さや線維性癒着まで評価します。瘢痕タイプを正しく把握することが、治療を個別化するうえで重要とされています。
アイスピック型とは?
アイスピック型は、アイスピックで刺したように見える細く深いクレーターです。
皮膚表面では小さな毛穴のように見えることもありますが、内部では奥深くまで瘢痕が続いている場合があります。
特徴は、
・入口が狭い
・比較的深い
・円形または点状に見える
・毛穴の開きと間違われやすい
といった点です。
アイスピック型では、表面の穴が小さいため軽症に見えても、実際には深さがあることがあります。そのため表面だけを見て判断すると、治療の難易度を過小評価してしまうことがあります。
毛穴とアイスピック型は何が違う?
患者さん自身では「毛穴が開いている」と思っていても、診察するとアイスピック型ニキビ跡だったということがあります。
一般的な毛穴は皮脂腺や毛包に関連する生理的な構造ですが、アイスピック型は炎症後にできた瘢痕です。
一つ一つが深く入り込み、過去に炎症性ニキビがあった場所に一致している場合には、クレーターを疑います。
ただし見た目だけでは区別しにくいケースもあり、毛穴とニキビ跡が混在していることもあります。
アイスピック型でも線維性癒着を考える
アイスピック型は細く深い瘢痕そのものが大きな問題になりますが、当院では「アイスピック型だからサブシジョンは不要」とは考えていません。
瘢痕が形成されている以上、周囲や深部に線維性組織が存在している可能性があります。
実際、2023年にCO2フラクショナルレーザー単独とサブシジョン併用を比較した研究では、ボックスカー型とローリング型ではサブシジョン併用による上乗せ効果が明確でした。アイスピック型では群間差が明確ではありませんでしたが、これはアイスピック型にサブシジョンが無効であることを示すものではありません。
当院では、アイスピック型でも深部の線維を解除しておく意味があると考え、状態に応じてサブシジョンを行います。
ただし、細く深い瘢痕そのものに対しては別の治療も必要です。
つまりアイスピック型は「サブシジョンが向かない」のではなく、「サブシジョンだけでは足りないことが多い」と考えています。
関連コラムはこちら⇒アイスピック型ニキビ跡はどう治療する?深いクレーターの治療設計を解説|名古屋
ボックスカー型とは?
ボックスカー型は、比較的境界がはっきりした凹みです。
横から見ると皮膚の一部が箱のように落ち込んでいるため、ボックスカー型と呼ばれます。
特徴は、
・凹みの境界が比較的明瞭
・底面がアイスピック型より広い
・浅いものと深いものがある
・複数がつながって大きな凹凸に見えることもある
といった点です。
同じボックスカー型でも、浅いタイプと深いタイプでは治療が変わります。
ボックスカー型では浅い線維だけを見ない
当院では、ローリング型と比較するとボックスカー型では比較的浅い位置の線維や瘢痕構造の影響が大きい病変が多いと考えています。そのため、浅い線維へのアプローチとしてキュアジェットを使用し、ジュベルックによる真皮再構築を組み合わせることがあります。
ただし、実際のボックスカー型では浅い線維だけでなく深い線維も混在していることが多くあります。その場合、表面側だけを治療しても深部から引っ張る力が残ります。
当院では、深い線維が疑われるボックスカー型では先にサブシジョンを行い、その後キュアジェットやジュベルックなどを組み合わせることがあります。
フラクショナルレーザーについても、すべてのタイプが同じように反応するわけではありません。1540nmフラクショナルレーザーを用いた研究では、ボックスカー型がローリング型やアイスピック型より良好に反応しました。
つまり「ボックスカー型」という名前だけではなく、浅さ・深さ・癒着まで確認することが重要です。
ローリング型とは?
ローリング型は、境界がはっきりせず、皮膚表面がゆるやかに波打って見えるタイプです。
真正面から見るよりも、横から光が当たったときに凹凸が強く見えることがあります。
特徴は、
・凹みが比較的広い
・境界がなだらか
・皮膚全体が波打つように見える
・表情や照明によって目立ち方が変わる
といった点です。
ローリング型では、深い位置にある線維性癒着が皮膚を下へ引っ張っている影響が大きいことが多いため、サブシジョンが重要になります。
ローリング型ではなぜサブシジョンが重要なのか
ローリング型の皮膚を表面だけ治療しても、深部から引っ張る線維が残っていれば凹みが持ち上がりにくいことがあります。
そこでサブシジョンによって深い線維性癒着を解除します。
サブシジョンとマイクロニードリングを組み合わせた研究でも、ローリング型とボックスカー型はアイスピック型より改善が得られやすかったと報告されています。
ただしローリング型でも、深い線維だけが問題というわけではありません。
浅い線維や真皮の萎縮も併存することが多いため、サブシジョン後にキュアジェット、ジュベルック、フラクショナル治療などを組み合わせます。
実際のニキビ跡は「混合型」が多い
診察で非常に重要なのが、実際の患者さんは一つのタイプだけではないという点です。
例えば同じ頬に、
・細いアイスピック型
・浅いボックスカー型
・広いローリング型
が同時に存在することがあります。
さらに一つの病変でも、浅い線維と深い線維が混在していることが多くあります。
そのため「私はローリング型だからサブシジョンだけ受ければよい」と自己判断することはおすすめできません。
医学的にも複数のニキビ跡形態が存在することを前提として、それぞれの構造に合わせて治療を組み合わせる考え方が重要とされています。
見た目だけで完全に分類できないこともある
アイスピック型・ボックスカー型・ローリング型という分類は便利ですが、境界例もあります。実際、皮膚科医同士でも形態分類が必ずしも完全には一致しないことが報告されており、形、サイズ、顔の部位などを組み合わせて評価する必要があります。
そのため当院では「これはボックスカーだからこの治療」と機械的には決めません。
診察では、
・凹みの幅
・深さ
・境界
・皮膚を伸ばしたときの変化
・深い線維性癒着の有無
・浅い線維の影響
・周囲の真皮萎縮
・複数タイプの混在
などを確認します。
この評価によって、同じボックスカー型でも治療内容が変わることがあります。
皮膚を伸ばして凹みが浅くなるかも参考になる
ニキビ跡を診察するときには、皮膚を軽く伸ばしたときに凹みがどう変化するかも参考になります。
なだらかなローリング型では、皮膚を伸展すると凹みが目立ちにくくなることがあります。一方、深いアイスピック型や境界の明瞭な深いボックスカー型では、伸ばしても凹みが残ることがあります。
ただし、これは自宅で診断するための絶対的な方法ではありません。
線維性癒着の深さや周囲の瘢痕構造も含めて診察する必要があります。
照明によってニキビ跡の見え方は大きく変わる
クレーターは、正面から均一な光を当てると浅く見え、斜めから光が当たると影ができて深く見えることがあります。
特にローリング型ではこの影響が大きく、洗面所やエレベーター、車内など特定の照明で急にニキビ跡が目立って見えることがあります。
これはニキビ跡そのものが急に悪化したわけではなく、凹凸による陰影が強調されているためです。治療前後を比較するときも、同じ照明、同じ角度、同じ表情で写真を撮影することが重要です。
3タイプと治療の考え方
当院での基本的な考え方を整理すると次のようになります。

これは「このタイプなら必ずこの施術」という対応表ではありません。
同じローリング型でも浅い線維が強い病変がありますし、ボックスカー型にも深い癒着があることが多いため、実際には病変ごとに治療内容を調整します。
ジュベルックは特定のタイプだけに使う治療ではない

ジュベルックは、アイスピック型・ボックスカー型・ローリング型という形態分類だけで適応を決める治療ではありません。ニキビの炎症によって真皮が萎縮し、コラーゲンが不足している部分では、真皮再構築を目的として治療に組み込むことがあります。
特にボックスカー型やローリング型では、サブシジョンやキュアジェットによって線維への処置を行った後に、ジュベルックで真皮の再構築を促すという考え方を重視しています。
アイスピック型でも周囲の真皮萎縮や複合的な凹凸があれば、治療選択肢になります。
つまりジュベルックは「○○型専用」というより、失われた真皮をどう再構築するかという視点で使用します。
自分でタイプを判断して施術を選ばない方がよい理由
インターネットで画像を見ると「自分はローリング型だからサブシジョン」「ボックスカーだからキュアジェット」と考えたくなるかもしれません。しかし、実際のニキビ跡では形態だけでなく線維の深さまで見なければ治療設計ができません。例えば、見た目はボックスカー型でも深い線維が強ければサブシジョンを先に行うことがあります。ローリング型でも浅い線維と真皮萎縮が残れば、サブシジョンだけでは不十分です。ニキビ跡治療は病名と施術を一対一で結びつけるのではなく、凹みを作っている構造を分解して治療することが重要です。
Q&A
まとめ|ニキビ跡は3種類に分けるだけでは治療を決められない
凹凸ニキビ跡は、代表的にアイスピック型、ボックスカー型、ローリング型に分類されます。
アイスピック型は細く深い瘢痕、ボックスカー型は境界が比較的明瞭な凹み、ローリング型は深い線維の影響でなだらかに引き込まれる凹みが特徴です。
しかし、実際のニキビ跡では複数タイプが混在し、一つの凹みの中にも浅い線維と深い線維が存在することが多くあります。
そのため当院では、タイプ名だけで施術を決めません。凹みの形、深さ、線維性癒着、真皮萎縮を確認し、サブシジョン、キュアジェット、ジュベルック、CO2フラクショナルレーザー、ピコフラクショナル、シルクロ、ダーマペンなどを必要に応じて組み合わせます。
ニキビ跡を正しく分類する目的は、「自分が何型か」という名前を付けることではありません。
その凹みがなぜできているのかを理解し、どの深さをどの治療で改善する必要があるのかを判断することが、本当の目的です。
【文責】
まゆりなclinic名古屋栄
院長 加藤 成貴
【参考文献】
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- Jennings T, et al. Acne scarring-pathophysiology, diagnosis, prevention and education: Part I. J Am Acad Dermatol. 2024.
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- Boen M, Jacob C. A Review and Update of Treatment Options Using the Acne Scar Classification System. Dermatol Surg. 2019.
- Acne Scar Treatment: A Multimodality Approach Tailored to Scar Type. Dermatol Surg. 2016.
- Fractional carbon dioxide laser combined with subcision for the treatment of three subtypes of atrophic acne scars: a retrospective analysis. Lasers Med Sci. 2023.
- Subcision and Microneedling as a Combination to Treat Atrophic Acne Scars. J Clin Aesthet Dermatol. 2019.
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
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