ニキビ跡のクレーターは治せる?原因・種類・治療法を医師が解説|名古屋
- 2026.9.21
目次
ニキビ跡のクレーターは治せる?原因・種類・治療法を医師が解説
「ニキビ跡のクレーターはもう治らないのでしょうか?」という相談は少なくありません。
結論からいうと、クレーター状のニキビ跡は治療によって改善を目指せます。ただし、一つの治療を数回受ければすべて平らになるような単純な病変ではありません。クレーターでは、ニキビの炎症によって真皮が失われているだけでなく、瘢痕組織による線維性癒着が皮膚を下へ引っ張っていることがあります。さらに同じ凹みの中でも、浅い線維と深い線維が混在していることが多くあります。そのため当院では、クレーターの形だけでなく、深さ、線維性癒着、真皮の欠損を確認し、皮膚の層ごとに治療を組み立てています。

なぜニキビ跡がクレーターになるのか
炎症性ニキビが真皮まで強く波及すると、毛包周囲のコラーゲンや皮膚組織が破壊されます。その後の修復が十分でなければ、失われた部分が元の高さまで戻らず、凹んだ瘢痕として残ります。さらに治癒の過程で瘢痕組織が形成されると、線維によって皮膚が深部へ固定されることがあります。
つまり、クレーターを治療するときには「凹んでいる部分を増やす」のではなく、
・皮膚を下へ引っ張る線維を解除する
・失われた真皮を再構築する
・皮膚表面の凹凸を整える
という複数の工程が必要になります。
この構造の違いが、クレーター治療を一つの施術だけで完結しにくくしている大きな理由です。
クレーターは自然に治るのか
できたばかりのニキビ跡では、炎症や赤みが引くことで凹みが少し目立たなくなることがあります。しかし、すでに真皮が欠損して萎縮性ニキビ跡になった部分が、時間だけで完全に平らな皮膚へ戻ることは期待しにくくなります。一方で、「クレーターになったら治らない」という意味でもありません。線維性癒着を解除し、真皮のコラーゲン再構築を促し、表面の凹凸を少しずつ整えることで改善を目指せます。
重要なのは、クレーターを一つの病変として扱わないことです。
アイスピック型・ボックスカー型・ローリング型の違い
萎縮性ニキビ跡は、代表的にアイスピック型、ボックスカー型、ローリング型に分類されます。この分類は治療方法を考えるうえで基本になります。
アイスピック型
皮膚表面の入口は小さいものの、細く深く入り込んでいるタイプです。
深い瘢痕そのものへの治療が必要になるため、サブシジョンだけですべてを改善することは難しい傾向があります。
ただし、アイスピック型だから線維性癒着がないわけではありません。当院では周囲や深部にも線維が存在すると考え、まずサブシジョンをしておくことには意味があると考えています。
そのうえで、CO2フラクショナルレーザー、ピコフラクショナル、シルクロ、キュアジェット、ジュベルックなどを状態に応じて組み合わせます。
ボックスカー型
境界が比較的はっきりしており、四角くくぼんだように見えるタイプです。浅いものから深いものまであります。
当院では、ローリング型と比較すると浅い位置の線維の影響が大きい病変が多いと考えており、キュアジェットやジュベルックを治療に組み込みます。
ただし実際には深い線維も混在していることが多いため、ボックスカー型でもサブシジョンを併用することがあります。
ローリング型
境界がなだらかで、皮膚が波打つようにへこんで見えるタイプです。
比較的深い位置の線維性癒着が皮膚を下へ引っ張っている影響が大きく、サブシジョンが特に重要になります。

クレーターの形だけで治療を決めない
アイスピック型、ボックスカー型、ローリング型という分類は分かりやすい一方、実際のニキビ跡は教科書のようにきれいに分かれているわけではありません。
一つの頬に3種類が混在することもありますし、一つの凹みの中に浅い線維と深い線維が存在することも多くあります。
そのため、
ローリング型だからサブシジョンだけ
ボックスカー型だからキュアジェットだけ
アイスピック型だからサブシジョンはしない
とは考えません。
当院では、形態を確認したうえで「どの深さの線維がこの凹みを作っているのか」を考えます。
深い線維をサブシジョンで解除する
サブシジョンは、凹みの下にある線維性癒着を針やカニューレで切離する治療です。
特にローリング型では、深い位置の線維が皮膚を引っ張っている影響が大きいため、サブシジョンが治療の重要な部分になります。深い癒着が残ったままCO2フラクショナルレーザーやダーマペンなどを繰り返しても、皮膚を下へ引っ張る構造自体は残ります。
まずその線維を解除して、皮膚が持ち上がりやすい環境を作るという考え方です。
サブシジョンは萎縮性ニキビ跡に広く使用され、単独だけでなく他の治療との併用についても多く検討されています。
アイスピック型にもサブシジョンは行う
アイスピック型は、サブシジョンが向かないタイプとして説明されることがあります。
確かに、アイスピック型では細く深い瘢痕自体への治療が必要なため、サブシジョンだけで治療を完結させることは難しいと考えます。
しかし、「サブシジョンだけでは足りない」と「サブシジョンをしても意味がない」は別の話です。
2023年に413人を対象としてCO2フラクショナルレーザー単独とサブシジョン併用を比較した研究では、全体として併用治療の方が良好で、特にボックスカー型とローリング型で上乗せ効果が明確でした。アイスピック型では群間差が統計学的に明確ではありませんでしたが、サブシジョンそのものが無効であることを示した研究ではありません。
実際のアイスピック型にも周囲や深部の線維性癒着が存在すると考えられるため、当院ではまずサブシジョンを行っておくことには意味があると考えています。アイスピック型は「サブシジョンが効かない」のではなく、「サブシジョンだけでは治療しきれないことが多い」と考える方が、当院の治療方針に近いです。
浅い線維にはキュアジェットを使う
サブシジョンが深い線維を解除する治療であるのに対し、当院では浅い位置の線維に対してキュアジェットを使用します。特にボックスカー型では、ローリング型より浅い線維の影響が大きい病変が多く、キュアジェットの適応を考えやすくなります。ただし、ボックスカー型でも浅い線維だけでできているわけではありません。深い線維も混在していることが多いため、必要に応じて先にサブシジョンを行います。当院では、深い線維をサブシジョンで解除したうえでキュアジェットを行った方が、浅い部分への治療も生かしやすいと考えています。つまり、サブシジョンとキュアジェットはどちらか一方を選ぶ治療ではなく、治療する深さが異なります。
ジュベルックで失われた真皮を再構築する
線維を解除しても、それだけで失われた真皮が十分に再生されるとは限りません。
そこで重要になるのが真皮の再構築です。
当院では、ローリング型、ボックスカー型をはじめとする萎縮性ニキビ跡にジュベルックを使用します。ジュベルックはPDLLAと非架橋ヒアルロン酸を含む製剤で、コラーゲン産生を促し、萎縮した真皮の再構築を目的として使用します。特にキュアジェットとジュベルックを組み合わせることで、浅い線維へアプローチしながら真皮の再構築を狙うことができます。2026年には、PDLLA製剤であるジュベルックとサブシジョンを組み合わせた萎縮性ニキビ跡へのアプローチも報告されています。ただし小規模な報告であり、今後さらに検討が必要な領域です。当院では、サブシジョン、キュアジェット、ジュベルックを別々の治療として考えるのではなく、深部の癒着解除、浅い線維への治療、真皮再構築というそれぞれの役割で組み合わせています。
サブシジョン後に非架橋ヒアルロン酸を入れる理由
サブシジョンで線維性癒着を切離しても、治癒過程で再び同じ部分が癒着すると、凹みが戻る可能性があります。当院では必要に応じて、サブシジョン後に非架橋ヒアルロン酸を使用します。単純にヒアルロン酸で凹みを膨らませることが目的ではなく、切離した部分にスペースを作り、再癒着を抑える目的があります。サブシジョンとヒアルロン酸などのフィラーを組み合わせる治療は、サブシジョン単独より治療効果を高め、再陥凹を防ぐ可能性が報告されています。
CO2フラクショナルレーザーやピコフラクショナルは何のために行う?
クレーターでは線維性癒着だけでなく、皮膚表面の凹凸や真皮そのものの萎縮も問題になります。そこで当院では、CO2フラクショナルレーザー、ピコフラクショナル、シルクロ、ダーマペンなども組み合わせます。これらは皮膚へ微細な刺激を与え、創傷治癒反応を利用してコラーゲン再構築を促す治療です。CO2フラクショナルレーザーについても、2026年の組織学的研究でアイスピック型、ボックスカー型、ローリング型すべてに瘢痕深度の減少が確認されています。瘢痕タイプによって組織学的な反応が異なることからも、ニキビ跡の深さや形態に応じた治療設計が重要です。ただし、深い線維性癒着がある病変にフラクショナルレーザーだけを繰り返すのではなく、必要であれば先にサブシジョンを行います。
一番強いレーザーを選べばいいわけではない
クレーターが深いと、「一番強いレーザーを当てれば早く治るのではないか」と考える方もいます。しかし、皮膚が深い線維で固定されているのであれば、表面へ強いレーザーを照射しても原因となる構造は残ります。一方、表面側の再構築が必要な病変にサブシジョンだけを繰り返しても十分とは限りません。
治療機器の強さを比べるより、
深い線維を解除する
浅い線維を治療する
真皮を再構築する
表面を整える
という役割を分けて考えることが重要です。
クレーター治療は何回必要?
必要回数は一律ではありません。
クレーターの種類、深さ、数、線維性癒着の強さ、過去の治療歴などによって大きく変わります。また、施術直後は腫れによって凹みが浅く見えるため、その時点だけで効果を判断することはできません。皮膚の再構築には時間がかかるため、経過を確認しながら次の治療を決めます。特に複数のタイプが混在するニキビ跡では、一つの施術を何回繰り返すかではなく、どの問題がまだ残っているのかを確認しながら治療内容を変えていくことが重要です。
当院のクレーター治療の考え方
当院では、クレーターを皮膚の深さごとに分けて考えます。

実際には、一つのクレーターに複数の問題が重なっていることが多いため、これらを必要に応じて組み合わせます。
「サブシジョンがいい」「ジュベルックがいい」「CO2フラクショナルレーザーがいい」という施術単位の比較ではなく、何を改善するためにその治療を行うのかを明確にすることが重要です。
Q&A
まとめ
ニキビ跡のクレーターは、皮膚表面だけの問題ではありません。真皮の欠損、深い線維性癒着、浅い線維性癒着、表面の凹凸などが重なってできています。
ローリング型では深い線維の影響が大きく、ボックスカー型では比較的浅い線維の影響が大きい傾向がありますが、実際には浅い線維と深い線維が混在していることが多くあります。アイスピック型にも線維性癒着が存在する可能性があるため、当院ではサブシジョンを治療選択肢から外しません。深い線維にはサブシジョン、浅い線維にはキュアジェット、真皮再構築にはジュベルック、表面の凹凸にはCO2フラクショナルレーザーやピコフラクショナルなど、それぞれ役割があります。クレーター治療で重要なのは、一つの施術を繰り返すことではなく、今どの構造が改善を妨げているのかを確認しながら治療を組み立てることです。
【文責】
まゆりなclinic名古屋栄
院長 加藤 成貴
【参考文献】
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- Ahramiyanpour N, et al. Subcision in acne scarring: A review of clinical trials. J Cosmet Dermatol. 2023;22(3):744-751.
- Li X, et al. Fractional carbon dioxide laser combined with subcision for the treatment of three subtypes of atrophic acne scars: a retrospective analysis. Lasers Med Sci. 2023;38:195.
- Yi KH, et al. Gas subcision with PDLLA (Juvelook): Evaluating a hybrid mechanical-biologic approach for atrophic acne scars. JPRAS Open. 2026.
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
わからないことや不安なことがあれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。医師の視点から、科学的根拠に基づいて丁寧にお応えします。








