肝斑と赤み・血管は関係する?血管増生・炎症を伴う肝斑の治療を解説|名古屋
- 2026.10.4

肝斑は一般的に、頬骨周囲などに左右対称に広がる茶色い色素斑として知られています。
しかし現在では、肝斑の病変部ではメラニンが増えているだけでなく、真皮の血管にも変化が起きていることが分かっています。
実際、肝斑部では周囲の正常皮膚に比べて赤みが強く、真皮の血管数や血管径が増えていることが組織学的に報告されています。さらに、血管新生に関係するVEGFの発現増加も確認されています。
ただし、すべての肝斑に強い赤みがみられるわけではありません。また、肝斑のある頬が赤いからといって、その赤みがすべて肝斑に伴う血管変化とも限りません。
肝斑と赤みを考えるときには、血管の増加だけでなく、血管内皮細胞からの情報伝達、肥満細胞、慢性炎症、紫外線による真皮変化などを含めて考える必要があります。
コラム👉肝斑はなぜメラニンだけの病気ではない?基底膜・真皮・血管・肥満細胞・老化線維芽細胞まで解説|名古屋
目次
結論|肝斑には血管や炎症が関係する症例があります
肝斑患者を対象とした組織学的研究では、肝斑部は周囲の正常皮膚と比べて赤みを示す指標が高く、真皮の血管数や血管の大きさも増加していました。
さらに、血管新生に関係するVEGF(vascular endothelial growth factor:血管内皮増殖因子)の発現も増加し、血管数と色素沈着の程度との関連も報告されています。
つまり、一部の肝斑では、
メラニンの増加
+
血管の増加・拡張
+
慢性的な炎症
が同時に存在している可能性があります。
ただし、これをもって「肝斑は血管の病気」と考えるのは正確ではありません。
肝斑にはメラノサイト、ケラチノサイト、基底膜、線維芽細胞、肥満細胞、血管、炎症など複数の要素が関係しており、血管はその一部です。
なぜ血管が増えると肝斑の色に影響するのか
血管は単に皮膚へ酸素や栄養を運んでいるだけではありません。
血管の内側を構成する血管内皮細胞は、周囲の細胞へ影響を与えるさまざまな物質を分泌します。
肝斑との関係で特に注目されているのが、
・VEGF
・ET-1(エンドセリン1)
・SCF(stem cell factor)
などです。
これらを介して、真皮にある血管と表皮にあるメラノサイトが互いに影響している可能性があります。
肝斑では「茶色いメラニン」と「赤い血管」を完全に別の問題として考えない方が、病態を理解しやすくなります。
VEGFとは?
VEGFは血管新生を促す代表的な因子です。
紫外線などによって皮膚が慢性的な刺激を受けると、ケラチノサイト、線維芽細胞、肥満細胞などからVEGFが産生されます。
VEGFが増えることで新しい血管の形成や既存血管の変化が促され、肝斑部にみられる血管増生に関係すると考えられています。
肝斑部でVEGF発現が増加していることは、組織学的研究でも確認されています。
ただし、VEGFそのものを単純にメラニンを増やす物質と考えるのは正確ではありません。
血管が増え、血管内皮細胞を含む真皮環境が変化することで、周囲のメラノサイトへ影響する可能性があるということです。
ET-1は血管とメラノサイトをつなぐ物質の一つ
ET-1(endothelin-1)は血管内皮細胞やケラチノサイトなどから産生される物質です。
血管収縮との関係で知られていますが、皮膚ではメラノサイトにも作用します。
ET-1がメラノサイトの受容体に結合すると、MITFやチロシナーゼなどメラニン産生に関係する経路が活性化し、メラニン産生を促す可能性があります。
つまり、
血管内皮細胞など
↓
ET-1
↓
メラノサイトへの刺激
↓
メラニン産生
という経路が肝斑にも関係している可能性があります。
肝斑では、真皮と表皮の細胞が互いに情報を交換していると考えることが重要です。
SCF・c-KIT経路もメラノサイトを刺激する
SCF(stem cell factor)もメラノサイトへ影響する重要な因子です。
SCFはメラノサイト表面のc-KIT受容体に結合し、メラノサイトの生存や増殖、メラニン産生に関係するシグナルを活性化します。
SCFは線維芽細胞などからも産生されますが、紫外線刺激を受けた皮膚の血管・真皮環境とメラノサイトとの相互作用にも関係すると考えられています。
ここからも、肝斑を表皮のメラノサイトだけで説明するのが難しいことが分かります。
肥満細胞は色素と血管の両方に関係する
肝斑深掘り①でも解説した肥満細胞は、血管を考えるうえでも重要です。
肥満細胞はアレルギー反応などで知られる免疫細胞ですが、紫外線などの刺激によって活性化すると、ヒスタミン、トリプターゼ、VEGF、FGF、TGF-βなどさまざまな物質を放出します。ヒスタミンはメラノサイトを刺激し、トリプターゼは基底膜障害に関係する可能性があります。さらにVEGFやFGFなどは血管新生に関与します。
つまり肥満細胞は、
メラノサイト活性化
+
基底膜障害
+
血管増生
をつなぐ細胞の一つとして考えられています。
肝斑には目に見えにくい慢性炎症も関係する
肝斑は通常、ニキビや湿疹のように赤く腫れて痛む炎症性疾患には見えません。
しかし、組織レベルでは慢性的な炎症が存在することが報告されています。
肝斑部では、肥満細胞、マクロファージ、リンパ球などの増加が確認された研究があります。また、CD4陽性T細胞やIL-17、COX-2など、炎症に関係する因子が増えていたという報告もあります。
つまり、肉眼では強い炎症が見えなくても、皮膚内部では軽い慢性炎症が続いている可能性があります。
この炎症環境が、メラノサイトや血管、基底膜などへ影響していると考えられています。
「赤い肝斑」はあるの?
患者さんから「私の肝斑は少し赤い気がする」と相談されることがあります。
実際に、肝斑部で血管増生や赤みが目立つ症例は存在します。
研究では肝斑を色素優位、血管成分を伴うタイプなどに分類しようとする試みもあります。
ただし、「血管型肝斑」という独立した病型が国際的に統一され、正式な標準分類として確立しているわけではありません。
そのため当院では、
「これは血管型肝斑です」
と単純に分類するのではなく、
「この肝斑には赤みや血管成分がどの程度重なっているのか」
という見方をします。
赤みがある=肝斑の血管増生とは限らない
ここは非常に重要です。
肝斑がある頬に赤みがあっても、原因は一つではありません。
例えば、
・肝斑に伴う血管増生
・酒さ
・毛細血管拡張症
・敏感肌や皮膚炎
・摩擦による炎症
・ニキビ後の赤み(PIE・PAE)
・レーザーや光治療後の一時的な赤み
などが考えられます。
そのため、
肝斑+赤み
=血管治療
とは考えません。
赤みの分布、毛細血管の見え方、ほてりや刺激感、ニキビ歴、治療歴などを確認して、現在見えている赤みが何によるものなのかを判断します。
コラム👉ライムライトとジェネシスは赤ら顔にどう使い分ける?シミ・毛穴・肌質も含めて比較|名古屋
肝斑の血管変化はどう確認する?
肝斑の診察では、茶色い色素だけでなく赤みも確認します。
肉眼で分かることもありますが、血管の変化が分かりにくい場合もあります。
研究では、ダーモスコピー、色彩計、血管撮影、OCTなどを使用して肝斑部の血管変化が調べられています。
ダーモスコピーでは、拡張した毛細血管が確認される症例があります。
まゆりなclinicでは、実際の皮膚所見に加えて必要に応じて肌画像も確認し、色素と赤みの分布、治療前後の変化などを評価します。
ただし、画像だけで「血管型肝斑」と診断するものではありません。
血管成分への治療で肝斑は改善する?
肝斑の血管成分へアプローチすることで治療効果が高まるのではないか、という研究があります。代表的なのがPDL(パルス色素レーザー)です。PDLはヘモグロビンを標的として血管へ作用するレーザーで、赤ら顔や毛細血管拡張などに使用されます。
低出力Qスイッチ1064nm Ndレーザー単独と、PDLを追加した治療を左右の顔で比較した研究では、患者全体では大きな差が出なかったものの、ダーモスコピーで明らかな拡張毛細血管が確認された症例ではPDLを追加した側の改善が大きかったと報告されています。
これは重要な結果です。
肝斑だから血管レーザーを追加するのではなく、実際に血管成分が目立つ症例では、そこを治療する意味がある可能性を示しています。
なお、PDLは研究上の例であり、当院で行っている治療という意味ではありません。
IPL・ライムライトはどう考える?

IPLは複数の波長を含む光治療で、メラニンだけでなくヘモグロビンにも作用します。
肝斑を対象にPDLとIPLを左右の顔で比較した研究では、両方で肝斑の改善がみられ、治療後には血管新生に関係するVEGF発現の低下も報告されています。別の研究でも、IPLを用いた肝斑治療の有用性が検討されています。
一方で、当院ではライムライトを肝斑治療の第一選択としているわけではありません。
肝斑の基本治療としては、肌状態に応じてOPトーニングやピコトーニング、内服・外用、C-OPERAなどを検討します。そのうえで、これらの治療を行っても改善しにくい難治性の肝斑や、レーザートーニングが苦手な方、赤みや色むらなどが同時に目立つ方では、ライムライトを選択肢の一つとして検討することがあります。肝斑は刺激によって色調が変化することがあるため、誰にでも同じようにIPLを行うわけではありません。
肝斑の濃さ、赤み、PIHの有無、老人性色素斑やそばかすの混在、これまでの治療歴や治療反応などを確認し、適応を慎重に判断します。当院では、このように適応を選びながらライムライトを継続した症例の中で、肝斑そのものが徐々に改善したケースを多数経験しています。その理由として、IPLがメラニンだけでなく血管成分にも作用することや、赤み・色むらを含めた皮膚環境の変化が関係している可能性があります。ただし、当院での臨床経験だけからその作用機序を断定することはできません。そのため、当院でのライムライトの位置づけは「肝斑ならIPLを行う」というものではありません。
第一選択ではありませんが、難治例やレーザートーニングが苦手な方などで、肌状態を十分に確認したうえで慎重に使用する選択肢の一つと考えています。
ライムライトについて詳しく見る👉ライムライト施術ページ
ジェネシスは補助的に使用することがあります

ジェネシスは1064nm Ndレーザーをマイクロ秒領域で照射し、赤み、毛穴、肌質などに使用する治療です。
1064nm Ndのマイクロ秒照射を肝斑に使用した臨床研究もあり、単独あるいはレーザートーニングとの併用で肝斑の改善が報告されています。
ただし、現時点ではジェネシス単独を肝斑の中心治療として位置づけるほど十分なエビデンスがあるわけではありません。
当院では、肝斑そのものの色素に対してはOPトーニングやピコトーニング、内服・外用などを中心に考えます。
一方、肝斑に加えてびまん性の赤み、毛穴、肌質の乱れなどが目立つ場合には、ジェネシスを補助的に組み合わせることがあります。
ジェネシスによって肝斑が必ず悪化するわけではありませんが、肝斑は刺激や炎症の影響を受けやすいため、まれに色調が一時的に濃くなることがあります。そのため、赤みや熱感などの反応を確認しながら照射条件を調整します。
つまり、ジェネシスを「肝斑を直接消すレーザー」として使用するのではなく、肝斑と同時に存在する赤みや肌質の問題に対して、必要に応じて補助的に使用するという位置づけです。
ジェネシスについて詳しく見る👉ジェネシス施術ページ
トラネキサム酸はメラニンだけに作用するわけではない

肝斑治療で広く使用されるトラネキサム酸は、プラスミンの働きを抑えることでメラニン産生を抑制すると考えられています。
しかし、肝斑の血管や炎症との関係から見ても興味深い薬剤です。肝斑患者を対象にトラネキサム酸治療前後の皮膚組織を調べた研究では、表皮メラニンの減少だけでなく、血管数や肥満細胞数の減少も報告されています。
別の研究では、トラネキサム酸外用後にET-1発現の低下や、血管数・VEGFの減少傾向も報告されています。つまりトラネキサム酸は、単純にメラニンを作らせないだけではなく、肝斑の血管・炎症環境にも影響する可能性があります。
ただし、トラネキサム酸を使用すれば血管成分がすべて改善するという意味ではありません。内服では既往歴や血栓症リスクなども考慮し、適応を判断します。
炎症を増やしすぎないことも肝斑治療では重要
肝斑に血管や慢性炎症が関係していることを考えると、治療によって必要以上の炎症を起こさないことも重要です。肝斑が濃いからといって強いレーザーを繰り返し、毎回強い赤みや炎症が出ている状態では、その刺激自体が色調を不安定にする可能性があります。
当院では肝斑にOPトーニングやピコトーニングを使用しますが、色素の濃さだけでなく、赤み、刺激への反応、PIHの有無、治療後の回復なども確認します。
刺激への反応が強い肝斑では、Discovery PICO VarioPulseのQスイッチモードを使用するOPトーニングを選択することがあります。
刺激に配慮したOPトーニングについて👉コラム「シミ・肝斑・色素沈着はどう治療する?刺激に配慮したOPトーニングという選択肢」
C-OPERAは血管を消す治療ではありません

赤みや炎症について説明すると、C-OPERAの役割も整理しておく必要があります。
C-OPERAは、IPLや血管レーザーのように血管そのものを直接治療する機器ではありません。
当院では、肝斑治療中の保湿、鎮静、肌状態を整える目的で組み合わせることがあります。レーザー治療後に赤みや乾燥が出やすい方では、肌を整えながら次の治療へつなげる補助として使用します。血管へ直接作用する治療と、炎症や乾燥を抑えながら肌状態を整える治療は役割が異なります。
肝斑+赤みで当院が確認すること
肝斑に赤みがある場合、当院では赤いというだけで治療を決めません。
主に、
・本当に肝斑なのか
・老人性色素斑やADMが混在していないか
・赤みが肝斑部と一致しているか
・毛細血管拡張がないか
・酒さが隠れていないか
・皮膚炎や摩擦がないか
・レーザー後の炎症ではないか
・PIEなど別の赤みではないか
・これまでどの治療を受けてきたか
などを確認します。
赤みの原因が変われば、治療も変わります。
肝斑と赤みがあるときは光対策も重要
肝斑の血管増生には、長期間の光曝露も関係すると考えられています。
紫外線はメラノサイトだけでなく、血管内皮細胞、線維芽細胞、肥満細胞などにも影響します。さらに肝斑では、UVA1や可視光による色素刺激も重要です。そのため肝斑治療では、レーザーや内服だけでなく日常の光対策も欠かせません。SPF・PAによる紫外線防御を基本とし、必要に応じて酸化鉄などの顔料を含む色付き製品による可視光防御も検討します。
コラム👉日焼け止めを塗っても肝斑が濃くなるのはなぜ?可視光・UVA1・酸化鉄まで解説|名古屋
摩擦や皮膚炎による赤みも見逃さない
肝斑のある頬が赤い場合、血管増生だけでなく日常的な摩擦によって皮膚が炎症を起こしていることもあります。
洗顔、クレンジング、マッサージ、美顔器などを繰り返し、毎日頬が赤くなっているのであれば、その刺激を残したままレーザーだけを追加しても肌が安定しないことがあります。
肝斑部では刺激後の皮膚バリア回復が遅いことも報告されています。
赤みをすべて血管と決めつけず、皮膚炎やバリア機能まで含めて確認します。
コラム👉肝斑は摩擦で悪化する?洗顔・クレンジング・マスク・美顔器と皮膚バリアの関係|名古屋
血管を治療すれば肝斑は治る?
血管成分への治療だけで肝斑が治るわけではありません。
血管は肝斑を構成する要素の一つです。
肝斑治療では、
・メラニン
・紫外線・可視光
・炎症
・皮膚バリア
・血管
・ホルモン
・基底膜や真皮環境
などを総合して考えます。
血管成分を扱ったシステマティックレビューでも、トラネキサム酸や血管を標的としたレーザー・光治療には有望なデータがある一方、より質の高い臨床試験が必要とされています。
血管に注目することには意味がありますが、血管だけを追いかける治療も適切ではありません。
当院では色素と赤みを分けて経過を確認します
肝斑治療では、茶色い部分が薄くなっているかだけを確認すると、肌全体の変化を見落とすことがあります。例えば、メラニンは減っているのに赤みが強くなっている場合があります。
逆に、炎症が落ち着いて赤みが減ったことで、肝斑自体も以前より薄く見えることがあります。
当院では必要に応じて肌画像も利用しながら、色素と赤みの変化を確認します。
診断⇒治療⇒経過の検証⇒結果確認
という流れで、現在の治療を続けるのか、照射条件を変えるのか、一度休むのか、別の治療を追加するのかを判断します。肝斑治療では、何回治療したかだけではなく、実際の皮膚がどう変化しているかを見ることが大切です。
肝斑治療を強くしすぎないことも重要
肝斑は慢性的な病態であるため、治療回数が増えることがあります。
しかし、トーニングを繰り返せば繰り返すほど良くなるわけではありません。
過度な照射を続けることで色調が不安定になったり、低色素斑・色抜けが問題になったりすることがあります。
特に肝斑の赤みや刺激反応が強くなっている場合には、「まだ濃いからもっと強くする」という判断には注意が必要です。
コラム👉肝斑治療でトーニングをやりすぎるとどうなる?低色素斑・色抜け・やめどきを解説|名古屋
肝斑+赤みの治療で当院が大切にしていること
肝斑に赤みがあるとき、まゆりなclinic名古屋栄では「赤みもあるから血管治療を追加する」という一方向の判断はしません。
まず、肝斑自体の状態、赤みの原因、PIHや他のシミの混在、日常の摩擦、光対策、過去のレーザー治療歴などを確認します。
そのうえで、
肝斑の色調
→ OPトーニング、ピコトーニングなど
メラニン産生・炎症・血管に関係する要素
→ トラネキサム酸など
乾燥・刺激・治療後の鎮静
→ C-OPERAなど
難治性の肝斑、レーザートーニングが苦手な方、赤み・色むらなどが混在
→ 適応を慎重に選んでライムライト
肝斑と同時に存在するびまん性の赤み・毛穴・肌質
→ 必要に応じてジェネシスを補助的に使用
というように、その時点で何を治療するのかを整理します。
すべての方にすべての治療を行うわけではありません。
当院の肝斑治療全体の考え方👉コラム「名古屋で肝斑治療を受けるなら?レーザー・内服・外用治療の選び方を医師が解説」
よくある質問
Q1.肝斑があると血管も増えるのですか?
肝斑部では周囲の正常皮膚と比べて、真皮の血管数や血管径が増加していることが組織学的に報告されています。ただし、すべての方で肉眼的に赤みや血管が目立つわけではありません。
Q2.顔が赤ければ血管型肝斑ですか?
そうとは限りません。酒さ、毛細血管拡張症、皮膚炎、摩擦、ニキビ跡の赤みなども考える必要があります。「血管型肝斑」という独立した標準病型が確立しているわけでもないため、赤みの原因を確認します。
Q3.なぜ血管が肝斑に関係するのですか?
血管内皮細胞などからET-1やSCFといったメラノサイトに影響する因子が産生されます。また、肝斑部では血管新生に関係するVEGFの増加も報告されています。
Q4.肝斑は炎症性疾患なのですか?
一般的な湿疹のような強い炎症性疾患ではありませんが、肝斑部では肥満細胞、マクロファージ、T細胞や炎症性因子の増加など、慢性炎症に関連する変化が報告されています。
Q5.肝斑があってもライムライトを受けられますか?
受けられる場合があります。ただし、当院ではライムライトを肝斑治療の第一選択としているわけではありません。難治性の肝斑やレーザートーニングが苦手な方などで、肝斑の状態、赤み、PIH、他のシミの混在、これまでの治療反応などを確認し、適応を慎重に判断して使用します。当院では、適応を選びながらライムライトを継続する中で肝斑が改善した症例も多数経験しています。
Q6.IPLで肝斑が悪化することはありますか?
あります。肝斑は刺激や炎症の影響を受けやすいため、肌状態や照射条件によっては色調が濃くなったりPIHが加わったりすることがあります。そのため、肝斑があるというだけで一律にIPLを行うのではなく、適応を慎重に判断します。
Q7.ジェネシスは肝斑に使えますか?
ジェネシス単独を肝斑の中心治療として行うわけではありませんが、1064nm Ndのマイクロ秒照射を肝斑に使用した研究はあります。当院でも、肝斑に赤み・毛穴・肌質の問題が重なっている場合などに補助的に使用することがあります。
Q8.ジェネシスで肝斑が悪化することはありますか?
適切な条件で使用すれば肝斑が必ず悪化する治療ではありません。ただし、肝斑は刺激や炎症によって色調が変化するため、まれに一時的に濃くなることがあります。肌状態を確認しながら照射条件を調整します。
Q9.トラネキサム酸は血管にも作用しますか?
肝斑患者を対象とした組織学的研究では、トラネキサム酸治療後に血管数や肥満細胞の減少が報告されています。ET-1やVEGFなどへの影響も研究されています。ただし、血管治療薬として使用するのではなく、肝斑全体の病態に対して使用します。
Q10.赤みが強いときもトーニングを続けてよいですか?
赤みの原因や程度によります。治療による刺激が強い場合には、照射条件を調整したり一時的にレーザーを休んだりすることがあります。色だけを見て機械的に治療回数を重ねることはおすすめしません。
Q11.血管を治療すれば肝斑は再発しなくなりますか?
そうとは言えません。肝斑には光、ホルモン、メラノサイト、基底膜、真皮、炎症など多くの要素が関係します。血管成分はその一つです。
Q12.肝斑と酒さは一緒にあることがありますか?
あります。頬の赤みが肝斑による血管変化だけではなく、酒さなど別の病態による場合もあります。赤みが強い、ほてる、ヒリつく、毛細血管が目立つ場合には鑑別が必要です。
まとめ|肝斑では茶色だけでなく赤み・血管・炎症まで見る
肝斑は、メラノサイトがメラニンを多く作るだけの病気ではありません。
肝斑部では、周囲の正常皮膚と比較して血管数や血管径が増え、VEGF発現も増加していることが報告されています。
血管内皮細胞などから産生されるET-1やSCFはメラノサイトへ影響し、肥満細胞はメラニン産生、基底膜障害、血管増生の複数に関係します。さらに、肝斑部では慢性的な炎症に関連する変化も確認されています。
ただし、頬が赤いからといってすべてが肝斑に伴う血管変化というわけではありません。酒さ、毛細血管拡張、皮膚炎、摩擦、PIEなど別の原因も考える必要があります。
肝斑治療では、今見えている茶色い色素だけでなく、その下にある皮膚環境まで考えることが重要です。
まゆりなclinic名古屋栄では、肝斑の色調、赤み、治療後の反応、PIHや他のシミの混在、過去の治療歴などを確認しながら、OPトーニング、ピコトーニング、トラネキサム酸、C-OPERAなどを使い分けています。
ライムライトは第一選択ではありませんが、難治性の肝斑やレーザートーニングが苦手な方などで、慎重に適応を選んで使用することがあります。また、肝斑にびまん性の赤みや毛穴・肌質の問題が重なっている場合には、ジェネシスを補助的に組み合わせることもあります。
肝斑だから決まった一つの治療を続けるのではなく、その時点で何が肝斑を維持しているのかを確認しながら治療を選ぶことが大切です。
文責
まゆりなclinic名古屋栄
院長 加藤成貴
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