唇のシミ取り後はどうなる?赤み・PIH・色抜け・再発と治療後の経過|名古屋
- 2026.9.21

唇のシミやほくろをピコスポットなどで治療した後、
「赤みはいつまで続く?」「茶色くなったのはPIH?」「白く色抜けしたように見えるけれど戻る?」「また黒くなったら再発?」と心配になることがあります。
口唇は顔の皮膚とは構造が異なり、治療後の色調変化も目立ちやすい部位です。そのため、施術直後だけを見て治療結果を判断せず、時間経過をみることが重要です。
治療後に起こり得る主な変化は、
・赤み
・一時的な濃色化や痂皮
・PIH(炎症後色素沈着)
・色素脱失
・残存
・再色素化(再発)
です。
目次
治療直後は赤みや色の変化が出る
ピコスポットなどの色素レーザーを照射すると、直後は病変が白っぽく反応したり、赤みが出たり、その後一時的に色が濃く見えたりすることがあります。
これはレーザーによってメラニンや病変組織が反応している過程であり、治療直後の見た目が最終結果ではありません。
数日間は、
・赤み
・軽い腫れ
・ヒリつき
・薄い痂皮
などがみられることがあります。
口唇は動きが多く、飲食や会話でも刺激を受けるため、無理に痂皮を剥がしたり強くこすったりしないことが大切です。
一時的に濃く見えても失敗とは限らない
レーザー照射後は、治療部分が一時的に濃く見えることがあります。
反応した色素や表皮が痂皮状になるためで、時間とともに脱落して色が薄くなっていきます。
この段階で「シミが濃くなった」「取れていない」と判断して追加照射を急ぐ必要はありません。まずは治療直後の炎症が落ち着くのを待ちます。
数週間後に茶色くなるならPIHの可能性
治療直後はいったん薄くなったのに、その後茶色くなってきた場合にはPIHを考えます。
PIHはレーザーによる炎症をきっかけにメラニン産生が増えることで生じます。
特に、
・炎症が強かった
・患部をこすった
・痂皮を剥がした
・紫外線曝露が多かった
といった場合には、色素沈着が目立ちやすくなることがあります。
PIHであれば、元の口唇メラノーシスやほくろが戻ったわけではありません。
PIHと再発は見分ける必要がある
治療後に再び茶色く見えた場合、
・PIH
・病変の残存
・再色素化(再発)
を分けて考えます。
PIHでは、治療範囲にぼんやり茶色く色が出ることがあります。
一方、残存や再色素化では、元の病変と似た位置や形で再び色が目立つことがあります。
特に色素性母斑では、見た目の色が一度消えても深部に母斑細胞が残っていれば、時間が経って再び色が出る可能性があります。
口唇メラノーシスは比較的再発しにくい
口唇メラノーシスは主に色素量の増加による病変なので、色素が十分に除去されれば良好な経過をとることがあります。
Qスイッチルビーレーザーで口唇メラノーシス8例を治療した研究では、5例が1回、3例が2回の治療で消失し、最大24か月の追跡で再発は認められませんでした。
一方、別の口唇色素沈着のレーザー研究では再発例も報告されているため、絶対に再発しないわけではありません。
ほくろは深さによって再発することがある
色素性母斑では、病変本体が母斑細胞です。
表面の色素がレーザーで取れても、深部に母斑細胞が残っていれば再び色が出ることがあります。そのため当院では、良性の口唇のほくろはまずピコスポットで低侵襲に治療し、再発を繰り返す、深さがある、ピコだけでは取り切れない場合にはCO2レーザーを検討します。
レーザー後に「色が抜けたように見える」こともある
レーザー照射後、治療した部分が周囲より白く見えることがあります。
この場合、色素脱失(hypopigmentation)の可能性を考えますが、必ずしも本当に色素が抜けているとは限りません。もともと口唇全体に色素沈着があり、その中の一部だけをレーザーで治療すると、治療した部分だけが本来の口唇の色に戻り、周囲より白く見えることがあります。
つまり、
・本当にメラニン産生が低下して白くなっている
場合と、
・周囲の色素沈着が残っているため、正常な口唇色が相対的に白く見えている
場合があります。
特に治療前から唇全体にくすみや色素沈着がある場合には、後者が起こり得ます。
そのため、「白く見える=レーザーで色が抜けてしまった」とすぐ判断せず、治療前の写真や周囲の色調と比較することが重要です。
本当に軽い色素脱失が起きても、時間とともに戻ることが多い
本当に軽度の色素脱失が起きている場合でも、すぐに永久的な色抜けと考える必要はありません。メラノサイトそのものが完全に失われたのではなく、一時的にメラニン産生が低下している状態であれば、時間の経過とともに再色素化してくることがあります。
炎症後色素脱失についてのレビューでも、多くの症例で時間経過とともに自然な再色素化がみられることが報告されています。そのため当院でも、軽度の色素脱失であれば追加刺激を加えず、まず経過を見ることがあります。
少し白く見えるからといって、すぐに別の治療を追加しないことも重要です。
本来の口唇色なのか、色素脱失なのかを経過で判断する
治療部位だけが周囲より明るい場合でも、時間とともに周囲の色素沈着が薄くなれば色調差が目立たなくなることがあります。
逆に、本当の色素脱失であっても徐々に再色素化して周囲となじんでくることがあります。
そのため、治療直後や数週間程度の色調差だけで永久的な色抜けと判断することはできません。
当院では、
・治療前の色
・治療直後の反応
・周囲の口唇色
・数週間〜数か月の経過
を合わせて評価します。
色素脱失が長期間続く場合は再評価する
一方、
・真っ白に抜けている
・境界が非常に明瞭
・長期間ほとんど変化しない
・範囲が広がっている
といった場合には、単純な一過性の色素脱失とは別に考えます。
レーザーによるメラニン・メラノサイトへのダメージが強い場合には、色素脱失が長引くことがあります。
レーザー後の色素脱失が自然改善しにくいケースでは、NB-UVBやエキシマレーザーなどによる再色素化治療が報告されています。
つまり、軽度の色抜けは自然に改善することが多い一方、すべてが必ず自然治癒するわけではありません。
色抜けを避けるためにも強く当てすぎない
色素を完全に消したいからといって、必要以上に強い照射を行えばよいわけではありません。
強すぎる照射は、
・炎症
・PIH
・色素脱失
・瘢痕
などのリスクを高める可能性があります。
唇では特に、色を取るだけでなく周囲との自然な色調差まで考える必要があります。
そのため、病変を十分に反応させながら、正常な口唇の色を必要以上に失わせないことが重要です。
PIHは自然に薄くなることもある
PIHも基本的に時間経過とともに自然に改善していきます。
ただし、
・紫外線
・摩擦
・乾燥
・口唇炎の再燃
などが続けば色素沈着が長引くことがあります。
現在も赤みや皮むけなどの炎症が続いている場合には、色素治療よりまず炎症を落ち着かせることが重要です。
再発したらすぐ再照射する?
必ずしもすぐには行いません。
再び色が出てきた場合には、
・PIHなのか
・病変が残っていたのか
・本当に再発したのか
を確認します。
PIHに対して強いピコスポットを追加すれば、さらに炎症を起こす可能性があります。
一方、口唇メラノーシスや色素性母斑の色素が明らかに再び目立っている場合には、再照射を検討できます。
何度も同じ場所が再発するなら深さを考える
特にほくろの場合、ピコスポットで一度きれいになっても何度も同じ場所から色が戻る場合には、深部に母斑細胞が残っている可能性を考えます。
その場合には、何度も同じ色素だけを治療するより、CO2レーザーで病変組織そのものを蒸散することを検討します。CO2レーザーはピコスポットより再発しにくい傾向がありますが、再発が完全になくなるわけではありません。
また口唇では、瘢痕、凹み、ひきつれ、輪郭変化などの整容面も考える必要があります。
そのため、再発率だけで治療法を決めず、病変の深さと整容性の両方から治療を選択します。
治療後の経過を簡単に整理すると

唇の治療後は摩擦を避ける

治療後は、
・患部をこすらない
・痂皮を無理に剥がさない
・乾燥させすぎない
・刺激の強い化粧品を避ける
ことが重要です。
唇は食事や会話で動くため完全に刺激を避けることはできませんが、意図的に触ったり皮をむいたりしないことが大切です。
口唇ヘルペスが再活性化することもある
口唇へのレーザー刺激をきっかけに、口唇ヘルペスが再活性化することがあります。
口唇色素沈着に対するレーザー治療の報告でも、治療後にherpes labialisが再活性化した症例があります。過去に口唇ヘルペスを繰り返している場合には、治療前に医師へ伝えてください。
Q&A
まとめ|治療後の「濃い・白い」をすぐ失敗と判断しない
唇のシミ・ほくろ治療後には、
・赤み
・痂皮
・一時的な濃色化
・PIH
・色素脱失
・残存
・再色素化(再発)
などが起こることがあります。
特に、治療部位が白く見える場合には、本当に色素が抜けている場合と、治療した部分だけ本来の口唇色に戻り、周囲より明るく見えている場合があります。
本当に軽度の色素脱失が起きていても、メラノサイトの機能が回復すれば時間とともに再色素化することが多いため、すぐに追加治療を行わず経過を見ることも重要です。
一方、長期間真っ白な状態が続く場合や、病変が何度も同じ場所から再発する場合には改めて評価します。口唇メラノーシスでは色素が十分に除去されれば良好な経過をとることがありますが、色素性母斑では深部に母斑細胞が残ることで再発する可能性があります。
そのため、
治療直後の変化はまず待つ
→ PIH・本来の口唇色・色素脱失・残存・再発を見分ける
→ 必要な場合だけ次の治療を行う
という順番が重要です。
唇は「色を取ること」だけでなく、自然な色調・形・質感を保つことまで含めて治療結果を考える部位です。
【文責】
まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤 成貴
【参考文献】
- Madu PN, Syder N, Elbuluk N. Postinflammatory hypopigmentation: a comprehensive review of treatments. J Dermatolog Treat. 2022.
- Alotaibi A, et al. Post-Inflammatory Hypopigmentation: Review of the Etiology, Clinical Manifestations, and Treatment Options. J Clin Med. 2023;12:1243.
- Gupta G, MacKay IR, MacKie RM. Q-switched ruby laser in the treatment of labial melanotic macules. Lasers Surg Med. 1999;25(3):219-222.
- Efficacy of 532-nm Q-switched Nd Laser in the Treatment of Lip Melanosis. 2021.
- Gupta G, Williams RE, Mackie RM. The labial melanotic macule: a review of 79 cases. Br J Dermatol. 1997.
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
わからないことや不安なことがあれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。医師の視点から、科学的根拠に基づいて丁寧にお応えします。








