唇のほくろにCO2レーザーは使う?ピコスポットとの違いと再発・瘢痕リスクを解説|名古屋
- 2026.9.20

唇のほくろを取る方法として、CO2レーザーを思い浮かべる方も多いと思います。
しかし当院では、良性と判断できる口唇の色素性母斑であれば、最初からCO2レーザーで蒸散するのではなく、基本的にはまずピコスポットを行います。
CO2レーザーを検討するのは、主に、
・ピコスポットで十分に取り切れなかった
・病変に深さがある
・深部の母斑細胞が残っていると考えられる
・ピコスポット後に再発を繰り返す
といったケースです。
口唇は瘢痕やひきつれ、輪郭変化が目立ちやすい部位だからこそ、必要以上に組織を削らず、まず低侵襲な方法から治療することを重視しています。
目次
ピコスポットとCO2レーザーは何を狙っている?
両者は同じ「レーザー」でも、治療の考え方が異なります。
主にメラニンを標的として色素成分へ作用する
ピコスポット
組織中の水分に吸収され、病変そのものを蒸散する
CO2レーザー
という違いがあります。
色素が強い平坦〜軽度隆起のほくろでは、まずピコスポットで十分に改善できることがあります。一方、病変が深く、色素だけを狙っても母斑細胞が残る場合には、CO2レーザーで組織そのものを除去する意味が出てきます。
当院では「ほくろ=最初からCO2」にはしない
一般的に、ほくろ治療ではCO2レーザーがよく使用されます。
しかし口唇では、単純に「ほくろだから削る」という考え方にはしていません。
口唇は、
・輪郭が重要
・少しの凹みでも目立ちやすい
・瘢痕やひきつれが形態に影響しやすい
という特徴があります。
そのため当院では、色素レーザーで対応できる病変を最初からCO2で蒸散する必要はないと考えています。まずピコスポットで色素成分へアプローチし、それで十分に改善できれば、正常な口唇組織をできるだけ温存できます。
CO2レーザーを検討するのは「深さ」が問題になるとき
色素性母斑では、病変の深さによって治療反応が変わります。
junctional nevusのように比較的浅い位置に母斑細胞が存在する病変では、色素レーザーで反応しやすい傾向があります。一方、compound nevusやintradermal nevusでは、母斑細胞がより深い真皮側まで存在します。2026年のsystematic reviewでは、intradermal nevusはjunctional nevusより再発率が有意に高く、深い母斑細胞が残存しやすいことがその理由として挙げられています。
このような深い病変では、表面の色素だけが薄くなっても、病変本体が深部に残ることがあります。
ピコレーザーで一度取れても再発することがある
ピコスポットで色がきれいに消えても、それだけで母斑細胞が完全になくなったとは限りません。
深部に母斑細胞が残っていれば、時間の経過とともに再び色が出ることがあります。
色素性母斑へのレーザー治療では、深部の母斑細胞が残存することによる再発が以前から課題とされてきました。 acquired melanocytic neviのsystematic reviewでも、レーザー治療では病変の深さによってクリアランスが変わり、深い病変ほど完全除去が難しいことが示されています。そのため、当院では1回再発しただけで直ちにCO2レーザーへ切り替えるとは限りません。再び色素成分が主体であれば、もう一度ピコスポットを行うこともあります。
再発を繰り返す場合はCO2レーザーを検討する
一方で、
「ピコスポットをして一度薄くなる」
→「しばらくすると再び色が出る」
→「再照射してもまた戻る」
という経過を繰り返す場合には、深部に母斑細胞が残っている可能性を考えます。
このような場合には、色素だけを何度も狙うより、病変そのものを蒸散できるCO2レーザーを検討します。
つまり当院では、
まずピコスポット
→ 残存や再発を確認
→ 深さがある、再発を繰り返す場合にCO2
という順番で考えています。
CO2レーザーは最初から使う治療というより、ピコスポットだけでは病変本体を十分に処理できないと判断したときの次の選択肢です。
CO2レーザーは深い病変にアプローチできる
CO2レーザーは10,600nmの波長を持ち、水分へ強く吸収されます。
レーザーエネルギーによって病変組織を蒸散させるため、色素の有無にかかわらず、隆起や厚みのある組織そのものを除去できます。
2026年のmelanocytic nevus治療に関するmeta-analysisでは、CO2レーザーの臨床的クリアランス率は82.9%、再発率は12.9%と報告されています。完全切除より再発率は高いものの、レーザー治療の中では良好な美容的満足度も報告されています。
ただし、これは口唇に限定したデータではありません。
CO2でも再発がゼロになるわけではない
「CO2レーザーなら深く削れるから絶対に再発しない」と考えるのも正確ではありません。
深い母斑細胞が残れば、CO2レーザー後でも再発する可能性があります。
前述のmeta-analysisでも、CO2レーザー後の再発率は12.9%で、外科的切除の2.1%より高い結果でした。
つまり、
外科的切除
→ 完全除去・病理診断には最も確実
CO2レーザー
→ 美容面を考慮しながら病変を深く除去できるが再発はあり得る
という違いがあります。
唇ではCO2を深くやりすぎないことも重要

再発を避けようとして、必要以上に深くCO2レーザーを照射すればよいわけではありません。
口唇では、
・凹み
・瘢痕
・ひきつれ
・赤唇縁の変形
・質感の違い
などが美容上問題になる可能性があります。
そのため、当院ではCO2レーザーを使用する場合にも、病変の深さを見ながら必要な範囲を少しずつ蒸散することを重視します。
「絶対に一度で根こそぎ取る」ことより、口唇の形態を守ることも重要です。
外側・赤唇部・口腔粘膜側で考え方が少し違う
口唇は一つの組織ではありません。
皮膚側、赤唇部、口腔粘膜側では組織構造や治癒の仕方が異なります。
特に外側から赤唇縁にかかる病変では、瘢痕や輪郭変化が目立ちやすいためCO2レーザーは慎重に使用します。一方、口腔粘膜側では、病変によってCO2レーザーを選択しやすい場合もあります。つまり、同じ「唇のほくろ」でも、どこにあるかによってCO2レーザーの使いやすさは変わります。
ピコとCO2はどちらが優れている?
優劣ではなく、狙うものが違います。

つまり、当院では「色素ならピコ、深さが問題になればCO2」という考え方が基本です。
CO2に切り替えるタイミングをどう判断する?
単純に「2回ピコしたらCO2」という決まりではありません。
確認するのは、
・再発までの期間
・病変の隆起
・残っている色素量
・触ったときの厚み
・病変の大きさ
・口唇のどの部位にあるか
などです。
例えば、ピコスポット後に長期間きれいな状態が続き、少し色が戻っただけであれば、再度ピコスポットを選択することがあります。
一方、短期間で何度も同じ病変が再発したり、隆起や深さが明らかであれば、CO2レーザーへ切り替える理由が強くなります。
何度も再発する場合は診断そのものも見直す
色素性母斑として治療している病変が、通常とは異なる再発を繰り返す場合には、治療方法だけでなく診断そのものを見直すことも重要です。
特に、
・急速に大きくなる
・形が変化する
・色が不均一になる
・出血する
・境界が不規則になる
といった変化があれば、美容レーザーを繰り返すべきではありません。
当院では、少しでも悪性を疑う所見がある場合にはレーザー治療を行わず、皮膚科などで病理診断を含めた精査を優先します。
Q&A
まとめ|当院では「まずピコ、深さや再発が問題ならCO2
唇のほくろにCO2レーザーを使用することはありますが、当院では最初からCO2レーザーを第一選択にすることは基本的にありません。
良性と判断でき、色素成分が強い口唇の色素性母斑では、まずピコスポットで低侵襲に治療します。
その後、
ピコで十分に改善
→ 経過観察
色素が再び出た
→ 状態によって再度ピコ
深さがある
ピコで取り切れない
再発を繰り返す
→ CO2レーザーを検討
という流れで治療を組み立てています。
CO2レーザーは病変組織そのものを蒸散できるため、深い母斑には有用です。一方、口唇では瘢痕やひきつれ、輪郭変化なども考慮する必要があります。
そのため、「完全に取り切ること」だけでなく、「できるだけ唇の形や質感を保ちながら治療すること」も重要です。
当院では、ピコスポットとCO2レーザーを競合する治療としてではなく、まずピコで低侵襲に治療し、それで不足する深さをCO2で補うという順番で使い分けています。
【文責】
まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤 成貴
【参考文献】
- Aesthetic techniques for melanocytic nevus management: clinical outcomes, cosmetic satisfaction, and safety—a systematic review and meta-analysis. Front Med. 2026.
- Lasers and Acquired Melanocytic Nevi: A Systematic Review. Dermatol Surg. 2026.
- Sardana K, et al. Optimal management of common acquired melanocytic nevi (moles): current perspectives. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2014.
- Araghi F, et al. Laser treatment of benign melanocytic lesion: a review. Lasers Med Sci. 2022.
- Paasch U, et al. S2k guideline: Laser therapy of the skin. J Dtsch Dermatol Ges. 2022.
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
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