アイスピック型ニキビ跡はどう治療する?深いクレーターの治療設計を解説|名古屋
- 2026.9.23
ニキビ跡の中でも、「毛穴のような小さな穴が深く残っている」「細いクレーターがなかなか改善しない」という場合、アイスピック型ニキビ跡の可能性があります。
アイスピック型は、皮膚表面の入口は小さいものの、瘢痕が奥へ細く深く続いていることが特徴です。
そのため、皮膚表面だけを広く再構築する治療や、サブシジョンだけで十分に改善させることは難しい場合があります。
一方で、当院では「アイスピック型にはサブシジョンをしない」とは考えていません。
深いクレーターにも周囲や深部の線維性癒着が存在すると考えられるため、まずサブシジョンで解除できる深い固定を解除し、そのうえで細く深い瘢痕そのものへ別の治療を重ねていきます。
アイスピック型は「一つの施術が効かないニキビ跡」というより、複数の深さを治療する必要があるニキビ跡と考える方が実際の治療に近いです。
目次
アイスピック型ニキビ跡とは?

アイスピック型は、アイスピックで皮膚を刺したように見える細く深い萎縮性ニキビ跡です。
表面の開口部が狭いため、正面から見ると小さな毛穴のように見えることがあります。
しかし、内部では瘢痕が深い位置まで続いている場合があります。
代表的な特徴は、
・入口が狭い
・深さがある
・点状、小さな穴のように見える
・毛穴と間違われやすい
・表面を引っ張っても完全には消えにくい
といった点です。
アイスピック型、ボックスカー型、ローリング型という分類は、萎縮性ニキビ跡を治療するうえで現在も基本となる考え方です。
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なぜアイスピック型は治療が難しいのか
一番の理由は、瘢痕が細く深いことです。
例えばローリング型では、比較的広い範囲の皮膚が深い線維によって引き込まれていることが多いため、サブシジョンによってその固定を解除することが治療の中心になります。
一方、アイスピック型では、深い固定だけではなく、細い柱状の瘢痕そのものが残っています。
そのため、
深い線維を解除する
だけではなく、
細く深い瘢痕を再構築する
という両方のアプローチが必要になります。
実際、CO2フラクショナルレーザーを用いた121人の研究でも、ローリング型はアイスピック型より治療反応が良好でした。これはアイスピック型では、通常のフラクショナル治療だけでは改善しにくい構造があることを示す一つの材料です。
アイスピック型にもサブシジョンをしておく意味がある
アイスピック型はサブシジョンの効果が低い、あるいは適応ではないと説明されることがあります。
当院では、もう少し柔軟に考えています。
確かに、サブシジョンは細く深い瘢痕そのものを削ったり蒸散したりする治療ではありません。
そのため、サブシジョンだけでアイスピック型を十分に改善することは難しいと考えます。
しかし、瘢痕が形成されている以上、周囲や深部にも線維性組織が存在している可能性があります。
その部分を先にサブシジョンで解除しておくことで、皮膚が深部へ固定された状態を改善し、その後に行うCO2フラクショナルレーザーやピコフラクショナルなどの治療を生かしやすくなると当院では考えています。
つまり、
アイスピック型
→ サブシジョンが効かない
ではなく、
アイスピック型
→ サブシジョンだけでは足りない
という考え方です。
アイスピック型では「深部」と「瘢痕そのもの」を分けて治療する
当院では、アイスピック型を一つの層だけで考えません。
深部・周囲の線維性癒着
→ サブシジョン
細く深い瘢痕
→ CO2フラクショナルレーザー、アブレーショナル・ピコフラクショナルなど
浅い線維・局所的な瘢痕
→ キュアジェット
真皮萎縮
→ ジュベルック
表面・周囲の皮膚再構築
→ ノンアブレーショナル・ピコフラクショナル、ダーマペンなど
というように役割を分けます。
一つのアイスピック型ニキビ跡でも、これらが複数重なっていることがあります。
CO2フラクショナルレーザーはアイスピック型に効く?

CO2フラクショナルレーザーは、アイスピック型を含む萎縮性ニキビ跡の治療に使用されます。
皮膚へ微細な蒸散孔を作り、その周囲の熱作用と創傷治癒反応を利用してコラーゲン再構築を促します。
CO2フラクショナルレーザーのニキビ跡に対する有効性はメタ解析でも確認されています。
ただし、瘢痕タイプによって反応には差があります。
先ほどの121例の研究では、ローリング型の方がアイスピック型よりCO2フラクショナルレーザーへの反応が良好でした。
これは「CO2フラクショナルレーザーがアイスピック型に効かない」という意味ではなく、アイスピック型では深さに対して追加の工夫が必要になりやすいということです。
深い瘢痕には局所的にしっかり反応させる考え方もある
アイスピック型では、顔全体を均一にフラクショナル照射するだけではなく、深い瘢痕そのものへより集中的にアプローチする考え方があります。
CO2レーザーをアイスピック型へ局所的に照射したランダム化試験では、アイスピック型ニキビ跡の改善が報告されています。
当院でも、深いニキビ跡では「全顔に同じ治療をする」より、一つ一つの瘢痕の形や深さを見て治療を組み立てることが重要だと考えています。
ピコフラクショナルにも2種類ある
当院ではピコフラクショナルを一括りにしていません。
ノンアブレーショナル・ピコフラクショナルと、アブレーショナル・ピコフラクショナルがあります。
- ノンアブレーショナル・ピコフラクショナル
皮膚表面への侵襲を比較的抑えながら真皮へ微細な刺激を加え、コラーゲン再構築を促します。
ピコフラクショナルは萎縮性ニキビ跡に対して有効で、2023年のメタ解析では他のフラクショナルレーザーと同程度の改善を示しながら、PIHや疼痛が少ない傾向が報告されています。
アイスピック型の深い穴そのものだけを治療するというより、周囲の真皮や全体の肌質再構築にも利用します。
- アブレーショナル・ピコフラクショナル
当院では、より積極的に微細な損傷を作り、深い凹凸へアプローチする目的でアブレーショナル・ピコフラクショナルも使用します。
アイスピック型のように深さがある病変では、ノンアブレーショナルタイプだけではなく、より積極的な治療を組み込むことがあります。
どちらが常に上ということではなく、治療歴、深さ、PIHリスク、ダウンタイムなどから選択します。
キュアジェットはどこで使う?
アイスピック型でも、瘢痕の周囲や比較的浅い位置には線維性組織があります。
当院では、このような浅い線維や局所的な瘢痕へのアプローチとしてキュアジェットを使用することがあります。
サブシジョンが深い線維を解除する治療であるのに対し、キュアジェットはより浅い線維へアプローチする位置づけです。
アイスピック型でも、
サブシジョンで深部の固定を解除
→ キュアジェットで浅い線維へアプローチ
というように、深さを分けて治療します。
おすすめコラム👉キュアジェットとサブシジョンはどう違う?浅い線維・深い線維とニキビ跡治療の使い分け|名古屋
ジュベルックも組み合わせる
アイスピック型は、穴そのものだけを見れば細く深い病変ですが、その周囲には真皮萎縮を伴っていることがあります。
そのため当院では、ジュベルックによる真皮再構築も治療へ組み込むことがあります。
ジュベルックはキュアジェットで導入する場合もあれば、注射で直接注入する場合もあります。
アイスピック型だからジュベルックが不要ということではありません。
深い瘢痕そのものへの治療と、周囲の真皮を再構築する治療は目的が異なります。
ダーマペンだけでは難しいことがある
ダーマペンにも萎縮性ニキビ跡を改善する効果があります。
ただし、アイスピック型は細く深い構造なので、表面から均一にマイクロニードリングを行うだけでは深い瘢痕へ十分にアプローチできないことがあります。
2024年のsplit-face研究でも、CO2フラクショナルレーザーとマイクロニードリングの双方でニキビ跡は改善しましたが、アイスピック型は両治療とも他のタイプより反応が小さい傾向でした。
そのため、ダーマペンが悪いのではなく、アイスピック型では別の作用機序も組み合わせる必要があるということです。
アイスピック型だから強い治療だけをすればいいわけではない
深い瘢痕を見ると、「できるだけ強いレーザーを当てればよい」と考えたくなるかもしれません。
しかし、強い治療を繰り返せば比例して改善するわけではありません。
治療強度を上げるほど、
・赤み
・疼痛
・PIH
・ダウンタイム
なども増える可能性があります。
CO2フラクショナルレーザーと他治療を比較した研究でも、CO2は有効な一方、治療方法によって疼痛やダウンタイムに違いがあります。最新のメタ解析でも、フラクショナルCO2レーザーは有効性のシグナルがある一方、他のアブレーショナルフラクショナルレーザーより疼痛や回復期間が大きいことが示されています。
深いから強くする、ではなく、何が深さを作っているのかを見て治療することが重要です。
アイスピック型でも治療を途中で切り替える
アイスピック型でも、一つの治療をずっと続ける必要はありません。
CO2フラクショナルレーザーで改善している間は続けてもよいですし、アブレーショナル・ピコフラクショナルで変化が出ているのであれば継続してもよいと考えます。
一方、変化がプラトーになった場合には、別の作用機序へ切り替えます。
例えば、
サブシジョン
→ 深部の固定を解除
アブレーショナル・ピコフラクショナル
→ 深い瘢痕を再構築
変化が鈍る
→ CO2フラクショナルレーザーへ
周囲の真皮萎縮が残る
→ ジュベルックへ
浅い線維が残る
→ キュアジェットへ
というように、その時点で残っている問題を確認して治療方法を変えます。
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シルクロはアイスピック型の最初の治療にはあまり使わない
シルクロなどのニードルRFにも、萎縮性ニキビ跡を改善する効果があります。
ただし当院では、深いアイスピック型が多く残っている段階では積極的に第一選択にはしていません。
ニードルRFは真皮へ熱を加えてリモデリングを促す治療であり、細く深い瘢痕そのものを除去したり、深い線維性癒着を広く切離したりする治療ではないためです。
当院では、サブシジョンやフラクショナル治療などで深い凹凸がかなり改善してきた後、残った細かな凹凸や質感を整える仕上げとしてシルクロを使用することがあります。
当院のアイスピック型治療を整理すると
すべてを同じ日に行うという意味ではありません。
治療反応を見ながら、その時点で残っている構造へ順番にアプローチします。
アイスピック型は何回治療すればいい?
一律には決められません。
アイスピック型は、
・瘢痕の数
・深さ
・過去の治療歴
・周囲の真皮萎縮
・線維性癒着
によって治療回数が変わります。
また、一つの施術だけを何回続けるかより、どの段階で別の作用機序へ切り替えるかが重要です。
数回行って明らかに反応が鈍くなっているにもかかわらず、同じ治療だけを繰り返す必要はありません。
Q&A
Q1. アイスピック型ニキビ跡は治りますか?
完全に元の皮膚へ戻せるとは限りませんが、複数の治療を組み合わせることで凹みを目立ちにくくすることは可能です。
Q2. アイスピック型にはサブシジョンは効きませんか?
当院ではそう考えていません。サブシジョンだけでは不十分になりやすいものの、周囲や深部の線維性癒着を解除しておく意味はあると考えています。
Q3. アイスピック型にはCO2フラクショナルレーザーがいいですか?
有効な治療選択肢です。ただしCO2だけで十分とは限らず、サブシジョンやピコフラクショナル、キュアジェット、ジュベルックなどを組み合わせることがあります。
Q4. ピコフラクショナルは使いますか?
使用します。当院にはノンアブレーショナルタイプとアブレーショナルタイプがあり、瘢痕の深さやダウンタイムなどに応じて使い分けます。
Q5. ダーマペンだけでも改善しますか?
改善する可能性はありますが、アイスピック型は細く深いため、ダーマペンだけでは十分でないことがあります。
Q6. キュアジェットはアイスピック型にも使いますか?
使うことがあります。比較的浅い線維や局所的な瘢痕へアプローチする目的で使用します。
Q7. ジュベルックは使いますか?
真皮萎縮やコラーゲン不足がある場合に使用します。キュアジェットで導入する場合もあれば、注射で直接注入することもあります。
Q8. シルクロは使いますか?
使用することはありますが、当院では深い凹凸が強い段階より、ある程度改善した後の細かな凹凸や質感の仕上げとして使うことが多いです。
まとめ|アイスピック型は「深いから治らない」のではなく、治療する層が多い
アイスピック型ニキビ跡は、皮膚表面では小さな穴に見えても、瘢痕が深い位置まで続いていることがあります。そのため、サブシジョンだけ、ダーマペンだけ、CO2フラクショナルレーザーだけという単独治療では、十分に改善しにくいことがあります。
当院では、アイスピック型でも周囲や深部にある線維性癒着をサブシジョンで解除しておくことを重視しています。そのうえで、細く深い瘢痕そのものにはCO2フラクショナルレーザーやアブレーショナル・ピコフラクショナル、浅い線維にはキュアジェット、真皮萎縮にはジュベルック、周囲の皮膚再構築にはノンアブレーショナル・ピコフラクショナルなどを組み合わせます。つまり、アイスピック型は「サブシジョンが効かない」のでも、「レーザーを強くすれば治る」のでもありません。深部の固定、細く深い瘢痕、浅い線維、真皮萎縮を分けて考え、それぞれに異なる方法でアプローチすることが重要です。
また、一つの治療で改善が続いている間は継続してよいですが、反応がプラトーになれば別の作用機序へ切り替えます。アイスピック型ニキビ跡では、何か一つの「最強の治療」を探すより、今残っている構造を一つずつ減らしていく治療設計が重要だと当院では考えています。
【文責】
まゆりなclinic名古屋栄
院長 加藤 成貴
【参考文献】
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