男性にも肝斑はある?老人性色素斑との違いと、頬のシミを全部同じようにレーザーしてはいけない理由|名古屋
- 2026.9.18

「男性だから肝斑ではない」とは限りません。肝斑は女性に多い色素性疾患ですが、男性にも発症します。男性肝斑では頬骨周囲に広がるmalar patternが多く、紫外線曝露や家族歴との関連も報告されています。男性の頬には、老人性色素斑、肝斑、PIH、ADMなどが同時に存在することもあり、茶色い部分を全部同じ「シミ」と考えて同じレーザー・同じ照射方法で治療するのは適切ではありません。
目次
男性にも肝斑はあります
肝斑は後天性の色素沈着症で、頬骨部、額、鼻周囲などに左右対称性の褐色斑として現れます。男性では女性より頻度は低いものの、臨床像や病理学的特徴は基本的に共通しています。200例の肝斑患者を調べた研究では41例が男性で、男性ではmalar pattern(頬骨部型)が61%、centrofacial pattern(顔面中央型)が29.3%、mandibular pattern(下顎型)が9.7%でした。紫外線曝露と家族歴が重要な関連因子として報告されています。
男性肝斑の見た目
男性の肝斑では、左右の頬骨まわりに境界がはっきりしない茶色い色素が、面状に広がることがよくあります。老人性色素斑のように「丸い濃いシミが1個ある」というより、頬に薄くもやっと色が広がって見えるのが典型的です。
前述した男性肝斑41例の研究では、malar pattern(頬骨部型)が61%と最も多く、centrofacial pattern(顔面中央型)が29.3%、mandibular pattern(下顎型)が9.7%でした。
また、上記とは別の男性肝斑50例を対象とした研究でも、malar pattern(頬骨部型)が52%と最も多く、34%では日光曝露によって肝斑が悪化すると報告されています。
つまり、研究によって割合には多少の差がありますが、男性肝斑でも頬骨周囲に分布するタイプが最も多いという点は共通しています。
例えば、
・老人性色素斑+肝斑
・PIH+肝斑
・ADM+肝斑
といった混在があります。
そのため、男性だからという理由で肝斑を除外せず、シミの分布・境界・左右差まで確認することが重要です。
老人性色素斑と男性肝斑はどう違う?
老人性色素斑は慢性的な紫外線曝露と関連することが多く、比較的境界が明瞭な円形〜不整形の色素斑としてみられます。一方、肝斑は左右対称性があり、境界がやや不明瞭で、面状に広がる傾向があります。
| 特徴 | 老人性色素斑 | 肝斑 |
|---|---|---|
| 分布 | 単発~多発 | 両頬など左右対称 |
| 境界 | 比較的明瞭 | 比較的不明瞭 |
| 形 | 点・斑状 | 面状 |
| 主な背景 | 紫外線・加齢 | 紫外線・遺伝など複数端子 |
| ピコスポット | 適応になることがある | 一律にスポット照射しない |
実際には両者が重なっていることもあるため、典型像だけで判断できない場合があります。
頬のシミを全部同じようにレーザーしてはいけない
ここが最も重要です。老人性色素斑は、ピコスポットなどで病変を狙って治療することがあります。一方、肝斑は老人性色素斑のように「1個のシミを高出力スポット照射で取る」病変ではありません。肝斑は紫外線、メラノサイトの活性化、表皮・真皮環境、血管成分など複数の要因が関与する慢性・再発性の色素性疾患です。2025年に公表された国際的なDelphi consensusでも、広域スペクトラムの日焼け止めを基本とし、外用治療やトラネキサム酸などを中心に、レーザーは難治例などで慎重に検討する位置づけとなっています。
したがって、男性の頬に複数の茶色い病変があっても、
・明確な老人性色素斑
・背景の肝斑
・PIH
・ADM
を分け、それぞれに適した治療を選びます。
「全部レーザーをしてはいけない」という意味ではなく、全部を同じレーザー・同じ出力・同じ照射方法で治療してはいけないという意味です。
男性肝斑の原因はホルモンだけではない
肝斑というと女性ホルモンをイメージしやすいですが、男性肝斑でもホルモン異常が必ず認められるわけではありません。
27例の男性肝斑を調べた研究では、紫外線曝露が66.6%、家族歴が70.4%にみられ、ホルモン因子は主要な役割を示さなかったとされています。 また、50例の男性肝斑を調べた別の研究では、健常男性との間にホルモン値の有意差を認めませんでした。
一方で、過去にはLH上昇やテストステロン低値を報告した小規模研究もあり、男性肝斑のホルモン関与については研究結果が一様ではありません。
したがって、男性肝斑を「ホルモンの病気」と単純化するのではなく、紫外線、遺伝的素因、皮膚刺激など複数の要因を考えます。
紫外線対策は男性肝斑でも重要

男性肝斑の研究では紫外線曝露との関連が繰り返し報告されています。 治療を行っていても強い紫外線曝露が続けば、色素沈着が再び目立つ可能性があります。
日焼け止めに加え、帽子、日傘、長時間の直射日光を避けるなどの物理的遮光も重要です。
男性肝斑はどう治療する?
男性だから特別な肝斑治療を行うわけではありません。男性でも肝斑として診断し、肌状態に合わせて治療します。
当院では、
・OPトーニング
・ピコトーニング
・ダブルピコ
・C-OPERA
・トラネキサム酸などの内服
・システアミンなどの外用
を組み合わせることがあります。
☞OPトーニング
当院ではDiscovery PICO VarioPulse TechnologyのQスイッチモードを利用したOPトーニングを行っています。1ショットのエネルギーを2つのパルスに分割するデュアルパルス照射で、肝斑、PIH、色ムラなどに使用します。
☞ピコトーニング
低出力のレーザーを広範囲へ照射し、肝斑や色ムラを徐々に改善します。ピコスポットとは目的も照射方法も異なります。
☞内服・外用
肝斑ではトラネキサム酸、システアミンなども選択肢です。国際コンセンサスでも遮光と外用治療が基本とされ、トラネキサム酸も治療選択肢として扱われています。
当院では肝斑を一つの治療だけで考えない

肝斑は慢性・再発性で、関与する要因も一つではありません。そのため当院では、必要な治療を少しずつ小出しにするのではなく、肌状態を確認しながら複数のアプローチを早い段階から組み合わせることがあります。
例えば、
OPトーニングまたはピコトーニング+C-OPERA+内服+外用
というように治療を並行して行うことがあります。
ただし、「治療を多くすればよい」という意味ではありません。肝斑の状態、肌質、炎症、PIHの有無などを見ながら必要な治療を選びます。
老人性色素斑が肝斑の上に重なっている場合は?
男性でもよく問題になるのが、肝斑の背景に濃い老人性色素斑が点在しているケースです。
この場合、すべてを肝斑として扱うのでも、すべてをピコスポットで取るのでもありません。
背景の肝斑を評価したうえで、境界が明瞭な老人性色素斑については、病変や治療時期を見ながらピコスポットなどを検討します。
重要なのは、どこまでが老人性色素斑で、どこからが肝斑なのかを見分けることです。
PIHが混ざっていることもある
男性では髭剃り、ニキビ、毛包炎などによるPIHが混在することもあります。PIHと肝斑はいずれも輪郭がぼんやりした褐色調として見えることがあるため、炎症歴や分布を確認します。PIHは老人性色素斑のようにピコスポットで取る病変ではありません。当院では、炎症が落ち着いた後にOPトーニング、ピコトーニング、C-OPERA、外用などを状態に応じて使用します。
ADMとの鑑別も重要
頬骨周囲に灰色〜青褐色の点状色素がみられる場合にはADMも鑑別します。ADMは真皮側にメラノサイトが存在するため、肝斑とは病態も治療方法も異なります。
男性の頬に褐色〜灰色の色素がある場合、「肝斑か老人性色素斑か」の二択ではなく、ADMやPIHまで含めて考えることが重要です。
男性肝斑は1回で消える?
基本的に1回で取り切る病変ではありません。
肝斑は慢性・再発性の色素性疾患であり、国際コンセンサスでも長期的な管理が重要とされています。 トーニング、内服、外用、遮光などを組み合わせながら徐々に改善させ、再燃を抑えていく考え方が基本になります。
よくある質問(Q&A)
まとめ|男性の頬のシミは全部同じようにレーザーしない
肝斑は女性だけの色素性疾患ではなく、男性にも発症します。特に両頬に左右対称性があり、輪郭がはっきりしない褐色斑が広がっている場合には、男性でも肝斑を考えます。
男性の顔には、老人性色素斑、肝斑、PIH、ADMなどが混在していることがあります。そのため、頬の茶色い部分を全部同じ「シミ」と考えて、同じレーザー・同じ出力・同じ照射方法で治療するのは適切ではありません。
まゆりなclinic名古屋栄では、濃い老人性色素斑、背景の肝斑、PIH、ADMなどを見分けたうえで、それぞれに適した治療を選択します。肝斑についてはOPトーニング、ピコトーニング、C-OPERA、内服、外用などを肌状態に応じて組み合わせます。
男性のシミ治療でも、重要なのは「どのレーザーを使うか」より先に、何のシミなのかを見分けることです。
【文責】
まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤 成貴
【参考文献】
- Sarkar R, Puri P, Jain RK, et al. Melasma in men: a clinical, aetiological and histological study. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2010;24(7):768-772.
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- Sarkar R, Desai SR, Sinha S, et al. Delphi consensus on melasma management by international experts and Pigmentary Disorders Society. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2026;40(4):680-692.
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
わからないことや不安なことがあれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。医師の視点から、科学的根拠に基づいて丁寧にお応えします。








