女性の薄毛治療にもミノキシジルは有効なの?副作用や効果を解説<医師監修>
- 2022.12.15
目次
ミノキシジルとは?
ミノキシジルは薬の名前ではなく成分の名前で、抜け毛の予防や発毛促進に効果があると言われており、今ではミノキシジルを配合した育毛剤などの外用薬が販売されています。
元々は1960年代にアメリカで高血圧症治療の血圧降下剤として血管を拡張して血液の流れをスムーズにするよう開発されたミノキシジルですが、臨床実験中に多毛症の副作用の報告が多数あり、発毛効果があるとわかった為、薄毛治療用に転用されました。
1980年代にはアメリカでミノキシジル濃度2%の育毛剤が開発されました。
ミノキシジルはAGA(男性型脱毛症)治療に効果があるとして厚生労働省で認可されています。濃度は2~5%の物が主流ですが、AGA治療専門クリニックにおいては、医師の診察次第では5%を超える濃度の物も処方出来ます。濃度が高いほど効果を見込めますが、副作用も強くなりますので自己判断で使用せずに必ず医師の診断を受けて安全に使用してください。
女性が使っても大丈夫なの?
ミノキシジルはAGAの治療として男性に使用されてきましたので、女性の薄毛治療にも有効なのか疑問に思う方も少なくないかと思います。結論から言えば、ミノキシジルは外用薬として女性の使用に問題はないですし、女性の薄毛治療にも効果が期待出来ることがわかっています。2017年に日本皮膚科学会で発表された「男性型及び女性型脱毛症ガイドライン」にて推奨度Aと最高レベルの評価を得ています。
ミノキシジルの効果
ミノキシジルの配合された外用薬を使用すると、毛母細胞が活性化されると共に血行も促進される事で、毛髪のヘアサイクルを正常化していきます。ヘアサイクルは「成長期」「退行期」「休止期」の一定周期を繰り返しています。休止期が延びるとなかなか新しい毛が生えて来ないので、毛髪量が減ってしまいます。ミノキシジルが休止期の毛根に作用する事で成長期へと促され休止期の停滞を改善出来ます。さらに毛母細胞(髪の毛を作り出す細胞)の寿命を延ばし、毛乳頭細胞(毛母細胞に栄養を供給する細胞)を増殖させ、毛髪組織の血流を改善させる作用により、毛髪の成長期間が延長すると考えられています。
また、1本1本の毛が太くなり毛髪量の増加も期待出来ますし、頭皮環境を整え、薄毛の進行を予防する効果も期待出来ます。
ミノキシジルを使用する際の注意点
まず、男性と女性では薄毛の根本的な原因が異なる事も多いため、ミノキシジルが女性の薄毛改善に効果が期待できるとは言え、期待通りの効果が得られない事もあります。
女性の薄毛の原因には様々な原因があり、ホルモンバランスの乱れや急激なダイエットやストレスによるものや甲状腺疾患により薄毛の症状が引き起こされる場合もあり、ミノキシジルの効果が期待できない事もありますし、使用そのものを避けなければならない事もあります。壮年性脱毛症と診断された方以外は使用できないので注意が必要です。女性の薄毛や抜け毛の原因は複雑ですので専門医への相談が望ましいです。
下記に当てはまる方は壮年性脱毛症の可能性が低い為使用は不可です。
・未成年の方
・妊娠・授乳中の方
・妊娠、出産で脱毛が気になった方
・ピルの服用中止に伴い脱毛が起きた方
・脱毛が急激に進み斑状に抜け毛が起きた方
・髪を強く引っ張るような髪型によって抜け毛症状が出ている方
特に妊娠の可能性がある女性の使用は注意が必要
ミノキシジルは血流を良くする効果が強いので心臓にかかる負担が大きく妊娠中に飲むと胎児の心臓に強い負担がかかる恐れがあります。授乳中の方にもミノキシジルが母乳に溶けてしまうため使用出来ません。
血圧が不安定な方は医師に相談する
ミノキシジルはもともと血圧を下げる薬として開発されたので、血圧が不安定な方が使用すると
ミノキシジルの副作用
薄毛治療に効果が期待出来る反面、副作用もあるので注意が必要です。
主に血圧が下がる事で起きる症状と血流が良くなる事で起きる症状の2つがあります。
血圧が下がる事で起きる症状
・頭痛
・めまい
・動悸
・息切れ
血流が良くなる事で起きる症状
※特に肌が弱い方に現れやすいとされています
・かゆみ
・炎症
・かぶれ
・ほてり
頭痛やめまいは血管拡張作用により毛細血管が拡張する事で頭痛を引き起こす事もあります。毛細血管の拡張により中枢の血流が低下すると血圧が低下しめまいを引き起こす事もあるので注意が必要です。
動悸や息切れは、元々ミノキシジルが降圧剤であるので、血圧が不安定な方や心疾患を抱えた方が使用すると不整脈や心機能障害が増悪する可能性もあります。持病のある方は使用前に必ず医師にご相談ください。
皮膚トラブルは肌が弱い方に起こりやすい副作用です。肌に合わないと感じた際には使用の継続を中止して受診してください。
初期脱毛が起きる!
ミノキシジルの使用後1~3カ月で初期脱毛が起こります。脱毛は一時的なものなので副作用ではありません。ミノキシジルを使用していると度々起こる現象です。新しく生えてきた
毛髪によって休止期の毛髪が押し出されて抜けている状態で、毛根が活発に活動し始めた証拠なので過度に心配する必要はありません。
濃度が低いものを使用する
ミノキシジルには女性向けと男性向けのものがあり、一般的には男性向けの製品は濃度5%ほど、女性向けの製品は濃度1%ほどと、女性向けの製品は男性向けの製品に比べてミノキシジルの配合濃度が低い傾向にあります。濃度が高い方が効果も良さそうと感じるかもしれませんが、女性が男性向けの製品を使うと副作用が強く表れて悪化させてしまう可能性があるので注意してください。
ミノキシジルの使い方
ミノキシジルは発毛効果が見込める重要な薬剤であり、薄毛治療に欠かせません。ですから早く発毛の効果を実感したいとミノキシジルをたくさん塗布したくなる事もあるかもしれませんが、効果を最大限に発揮するためには正しくご使用いただく事が大切です。
朝と夜の2回塗布する
目安は1日朝晩2回で、継続して使用します。洗髪後の頭皮が清潔な状態で塗布していただくと効果的です。髪に付かないように頭皮全体に塗りこみ、マッサージするように使用してください。ただし頭皮や髪の毛に水分が残った状態で使用すると吸収されにくいので、水分はしっかり取ってからミノキシジルを塗布してください。なお、塗布する際にてのひらの体温で頭皮を温めながらマッサージすると、ミノキシジルの浸透が良くなったり血行が促進されたりします。
ミノキシジルはどのくらい続けるの?
ミノキシジルはすぐに効果が出るものではなく、発毛効果が出るには最低でも6か月程必要です。また発毛効果を維持していくには継続しての使用が大切で、使用を中止してしまうと徐々に元に戻ってしまいます。
まとめ
女性にとって抜け毛や薄毛のお悩みは、なかなか周囲の方への相談も出来ず、とてもデリケートな問題のひとつかと思います。ですが女性にとって髪は「髪は女の命」と言われているように美の象徴でもあり、とても大切なものです。
ミノキシジルは女性の薄毛治療には欠かせません。外用薬だけでなく内服薬もございます。効果や副作用にもそれぞれ違いがございますので、ご自身の症状が適用か不安な方や副反応が心配な方は一度まゆりなclinicでカウンセリングを受けてみてください。お悩みをお伺いし、最適な治療法をご提案いたします。