多汗症・ワキガの疑問にQ&A形式でお答えします。<医師監修>
- 2022.12.26
目次
Q1.ワキガと多汗症は何が違うのですか?
A.ワキガはアポクリン腺が主原因、多汗症は、エクリン腺が主原因の病態です。
多汗症は、単純に汗が多いことです。汗の量は、主にエクリン腺から出る汗が影響します。
汗腺には、エクリン腺とアポクリン腺があります。エクリン腺は、さらさらした汗です。アポクリン腺は、脂質やたんぱく質を含む汗です。多汗症の場合、エクリン腺から出る汗が多いことが原因となっている場合がほとんどです。アポクリン腺から出る汗は少ないものの、アポクリン腺から出る汗に細菌が繁殖すると特有の臭いを発生します。これがワキガです。
Q2. 突然ワキガが発症することはあるのですか?
- あり得ます。
ワキガはアポクリン腺の数に影響されますが、子供の頃は臭いがなかったものの、思春期に汗腺の活動性が上がって、汗の分泌が増すなどすると、突然、ワキガの臭いを放つようになります。一方、大人になって突然発症することはまれですが、妊娠やストレスなどをきっかけにホルモンバランスが崩れ、軽度のワキガで気づかない程度のものが、自覚できるような臭いになることはあります。
Q3.ワキガはうつりますか?
A.うつりません。
ワキガはアポクリン腺から分泌される汗に細菌が繁殖するものです。ワキガはアポクリン汗腺の数に依存するので、体質といえるでしょう。したがって、うつるものではありません。
Q4. ワキガは遺伝するのですか?
- 遺伝します。(常染色体優性遺伝)
ワキガはアポクリン腺から出る汗が原因なので、このアポクリン腺の数が多ければワキガになりやすくなります。アポクリン腺の数は遺伝的に決まってしまうので、片方の親がワキガの場合、その子供は50%、両親ともワキガの場合は80%の確率でワキガになります。
Q5 . ワキガは男性が多い?女性が多い?
- 男女比は1:1です。
遺伝的なものなので、男女は関係ありません。しかし、女性のほうが臭いを気にして治療する方が多いので、女性のほうが多いのではないのかと誤解されていることもあるようです。
Q6.自分でワキガかどうかわかりません。どうすればいいですか?
A.セルフチェック表がありますので、一度チェックしてみてください。
セルフチェックで当てはまる数が多ければ、ワキガである確率が高くなります。また、医療機関では、ガーゼテストなどで、客観的にワキガであるかどうかを判定してもらえます。
Q7.自分で何か対策できますか?
- できますが、完全に臭いを消すものではありません。
以下にワキガの臭いがあまり出ないようにする対策法を示します。
- 肉類や乳製品や脂が多い食品を食べ過ぎない。
アポクリン腺からの脂質の分泌が多くなり、細菌が繁殖しやすくなります。蛋白質を摂取するときは、大豆などの植物性蛋白質や、海産物などの脂質が少ないもので摂取するとよいでしょう。
- アルコールを飲みすぎない。
アルコールは、汗腺を刺激します。アルコールを減らすことで、臭いも軽減します。
- ストレスを軽減する。
これは、現代社会においてかなり難しいことですが、ストレスがあると交感神経が活発になり、汗が出やすくなり、臭いも悪化します。ストレスを発散する時間を確保するなどしてもいいかもしれません。
- 汗をかく習慣をつける。
汗をかくと、毛穴に詰まった老廃物が外に排泄されます。老廃物が少ないと細菌が繁殖しにくくなり臭いも軽減します。定期的な運動習慣を身に着けることも大事になってきます。
- 制汗剤・デオドラントを使う。
薬局で多種多様な制汗剤が売られています。自分にあった制汗剤を使用するとよいでしょう。
- ミョウバン水
お肌を酸性の状態に変化させる作用があります。細菌が繁殖しにくくなりある程度消臭できます。ミョウバン水には、血管収れん作用があるので、汗の分泌自体を抑える作用もあります。
- 医療脱毛をする。
医療脱毛は毛の黒にレーザーが反応し、毛根を破壊する治療です。アポクリン腺は、毛がある部分に開口しているので、脱毛レーザーを当てることで、ある程度のアポクリン腺を破壊することもできます。また毛もなくなるので、細菌も繁殖しにくくなります。
Q8 . ワキガは自然に治りますか?
A.治りません。
アポクリン腺の数が減ることはないので、自然に治ることはありません。ホルモンなどの関係で多少軽減することはあると思います。
Q9.スソワキガって何ですか?
- 陰部のワキガのことです。
ワキガの方の10%程度の方がスソワキガも合併していると言われています。スソワキガもミラドライやハイフドライや手術で治療できます。
Q10 .子供のワキガも治療できますか?
- できます。ただし、小学生低学年以下の場合、根治的な治療よりも塗り薬などを使うといいでしょう。
ワキガの根治治療は、ミラドライ、ハイフドライ、手術いずれも多少の痛みは伴います。あまりに低年齢の場合、治療の意味が理解できず、途中で治療を中断せざるを得なくなるかもしれませんので、しっかり、治療の意味が理解できるような年代(小学生の高学年以上)になってから、根治的治療を行うといいでしょう。
Q11 .ワキガを治療すると、他の部位の汗が多くなりますか?
- ほとんど気にならない程度です。
代償性の発汗は多少ある可能性はあります。ただし、脇の面積が少ないことから破壊する汗腺の数も少ないので、それによる他部位の代償性発汗はほぼ自覚はしないと考えられます。
Q12 .汗が出なくなると、体の老廃物をデトックスできなくなりますか?
- 問題ありません。
老廃物は基本的に尿や糞便で排泄されます。汗からは数%排泄されますが、脇以外にも汗腺はありますので、大きな問題にはなりません。
Q13.ボトックスは、どれぐらい期間効果がありますか?
A.3~4か月程度です。
夏の間だけなどよく汗をかく時期などに注射するといいと思います。しかし、毎年、注射するのは、大変なので、できれば根治的な治療(ミラドライ、ハイフドライ、手術など)をおすすめします。
Q14.ミラドライとビューホットの違いを教えてください。
- ミラドライは、マイクロ波で、ビューホットは、ラジオ波です。
一般的に、ミラドライの方が、圧倒的に効果があると言われています。原理はさておき、ミラドライは、厚労省の承認機器で効果が証明されていますが、ビューホットは、承認機器でもありません。またビューホットは、針を刺して治療する方法なので、傷跡が残る可能性があります。
Q15.根治的な治療(ミラドライ、ハイフドライ、手術)以外の治療を教えてください。
- ボトックスと塗り薬と内服薬があります。
- ボトックス注射
- パースピレックス(外用)
- 塩化アルミニウム液(外用)
- エクロックゲル(外用)
- ラピフォートワイプ(外用)
- プロバンサイン内服
いずれも一時的な効果しか期待できませんが、ミラドライやハイフドライや手術などの侵襲的な治療に抵抗がある方には、良いと思います。
Q16.おすすめの治療法は何ですか?
- ミラドライです。
低周波で、ダウンタイムもほとんどなく、しっかり効果が出るからです。手術は、必ず傷跡が残ります。ダウンタイムも長く、治療後の痛みも長く続きます。最悪、皮膚の壊死を起こすこともあります。また皮膚のひきつれが生じると、見た目が非常に悪くなります。
その他、ビューホットは効果が乏しく、ボトックスや塗り薬、飲み薬は一時的な効果なので、長い人生を考えると、ミラドライが一番いいのではないでしょうか。まゆりなclinicでは、ミラドライにハイフドライを合わせて相乗効果を出す方法も用意しています。
まとめ
多汗症やワキガのお悩みがある方は多数いらっしゃいます。困っているのであれば、やはり根治的な治療をおすすめします。
一回治療すれば、半永久的に効果は持続するため、今後の人生で困らなくなることを考えるとかなりおすすめです。
また金銭面でも、ボトックスや、制汗剤を長期間使い続けることなどを考えると、コスト的にもお得になります。