プロのシミ治療テクニック<医師監修>
- 2024.12.15
目次
シミの治療を甘くみてはいけない
多くの方がシミのご相談でご来院くださり肌治療経過を診させて頂くことが多いのですが、つくづく思うことは「シミの治療は甘く見てはいけない」ということです。
今回は、シミの治療のポイントとピットフォールをお伝えしたいと思います。
まずは診断ですが、診断なくして治療はできません。そして、治療器の選択と照射エネルギー量(フルエンス)の決定、アフターフォローを一貫して行うことがシミ治療の基本になります。
何の器械を使うか、どのモードで、エネルギー量(フルエンス)はどの程度にするかも非常に大切です。肌診断器を使い、治療方針を決めて、結果を見て次の治療を考えます。
簡単に取れるシミ(と言っても適切な治療選択をしなければ取れませんが、、、)は、一回の施術で何もなかったかのようにキレイに取れます。こういったシミに関しては、初診時に分かります。そうではないシミ(難治性のシミ)の治療に適切な治療戦略を組むことがプロの役割になります。
ピコレーザーの種類でも結果は大きく異なる
ピコレーザーの効果がないということでQスイッチレーザーを使用しているクリニックもあるようです。これは、ピコレーザーの種類と出力の問題であると考えます。
当院のピコレーザーであるエンライトンSR、ディスカバリーピコバリオパルスの場合、間違いなくピコレーザーの方がQスイッチレーザーに勝るということが言えます。つまり、“施術後のテープ貼付なしで炎症後色素沈着をなるべく起こさず、シミを除去できる”という点では、Qスイッチレーザーとは比較になりません。シミ除去の大御所の先生方も、Qスイッチレーザー派からピコレーザー派に移行しているようです。ピコレーザーの評価が分かれる理由は、パルス幅の短縮にこだわりを持ち続けたピコレーザーを使用していることが原因の可能性が高いと考えます。
理論的には、パルス幅を短くすれば短くするほどピークパワーを上げることができ、さらにシミ周囲の組織の障害をしないため炎症後色素沈着が少ないということが想定されます。しかし、現実的にはパルス幅が短すぎては肝心のシミが取れないことが分かってきたのです。
他のコラムでも触れましたが、ピコレーザーのパルス幅は短すぎてもダメなのです。(このように理論的な想定と臨床的な結果が異なることはシミ治療に限らず実際の医療では少なくありません。)
2024年の10月に当院に導入された日本で二台目となるディスカバリーピコバリオパルスに関しては、パルス幅が可変式の業界初のピコレーザーです。当院では、ディスカバリーピコバリオパルスを使う際は、エンライトンSRと同等のパルス幅でシミ治療を行います。そのことで、エンライトンSRと同等の治療効果を得ることができます。ちなみに導入前にディスカバリーピコバリオパルスでパルス幅を短くしてシミ除去のデモンストレーションを行いましたが、案の定エンライトンSRに比べ劣る結果になりました。
肌診断器による撮影は必須
肌診断器なしでは治療できません。当院では多くのシミ治療をしていますが、肉眼で判断するには限界があることは十分分かっています。薄いシミの場合は、境界が肉眼では分かりにくく、照射範囲がはっきりしませんが、肌診断器による撮影写真をみればどこまでの範囲かが明瞭になります。
そのためピコスポット治療をする際は、肌診断器による撮影写真を見てシミの位置を確認しながら照射します。それだけではなく、肝斑合併の老人性色素斑などの治療の場合、どの程度の肝斑であるかは治療のスケジュールに影響を与えます。
仕上げのルビーフラクショナル
基本的には、シミはピコスポットやピコトーニングで治すことを基本とします。全体的に綺麗になった後に、さらに綺麗なお肌を目指す場合はルビーフラクショナルを使用することがあります。または、ダウンタイムをなるべく少なくシミを治したい方にもルビーフラクショナルが選択される場合があります。ただし、ルビーフラクショナルは複数回照射が必要です。
シミ取り前後のメディケーション
トラネキサム酸とビタミンC、ビタミンEなどの内服をすると肝斑には効果的です。
ピコスポット後の炎症後色素沈着にも効果的です。
シミ取り後の経過
シミに対するピコレーザー照射の後は、約1ヶ月後に来院していただきます。肌診断撮影でbefore/afterをチェックします。色味が残っている場合は、炎症後色素沈着なのか残存しているのかが分かります。
ADMなどの場合は、この時点では判断が難しい場合があるので、4~6ヶ月後に再度来院していただき、肌診断撮影を行います。その時の状態で再照射をするかどうかを決めます。
まとめ
単にシミを取るといっても色々なシミの種類があり、重症度も異なります。今回は、レーザー治療(特にピコスポット)を中心に記載しましたが、ニードルRFやC-OPERAなどを使用して難治性のシミ(特に肝斑)を治す方法もあります。こちらはまたの機会に記載します。