ハイドロキノンとは?効果や副作用<医師監修>
- 2022.8.6
ハイドロキノンは、主にシミの改善や予防に用いられる薬です。メラニンを合成するシロチナーゼの阻害剤であり、メラニンを作るメラノサイトに対して細胞毒性を持っています。シミやそばかすの原因となるメラニンの生成を防ぐだけでなく、美白効果や今あるシミやそばかすを薄くする効果が期待できます。欧米では古くから美白治療の主流として使用されています。写真の現像にも使われています。
目次
主成分のヒドロキノン
ハイドロキノンの主成分であるヒドロキノンはイチゴ類や麦芽、コーヒー、紅茶などに含まれている天然の化合物です。「肌の漂白剤」といわれるほど強力な美白作用をもち、シミ改善や予防のために皮膚科などで処方されるほか、日本では2001年に薬事法が改正され、2002年に認可されて以来、薬局などでヒドロキノン配合の軟膏やクリームが市販されています。市販のヒドロキノン剤は通常2%-4%程度の配合濃度が低いものが多いです。ハイドロキノンは使用中および使用後は日焼け止めの使用が勧められています。低いリスクで効果的に使用するためには、医師により処方された医薬品であるハイドロキノンの使用が必要です。酸化や変質しにくい性質を利用して「新型ハイドロキノン」、「安定型ハイドロキノン」などの名称で化粧品などに配合されています。
ハイドロキノンを使用するメリット
肝斑のように刺激を与えると逆にシミを増やしてしまう種類もあります。肝斑はハイドロキノンのような外用薬やトラネキサム酸のような内服薬で治療するとリスクが比較的少なく済みます。また、レーザーでメラニンを破壊した後、シミが再発しないようにハイドロキノンが処方されることもあります。
ハイドロキノン使用で改善が期待できる症状
シミ
メラニン色素の発生を阻害するハイドロキノンの働きによってシミの改善や予防、美白効果が期待できます。
ニキビ跡(赤み)
赤みのあるニキビ跡を放置するとメラノサイトが刺激され、メラニン色素が生成されます。」メラニン色素は色素沈着を起こし、シミのような茶色に変色することがあります。ハイドロキノンはメラニン色素の発生を阻害するため茶色のニキビ跡改善に効果があるといわれています。肌がクレーター状に凸凹陥没したニキビ跡やできたばかりの進行中のニキビなどはかえって症状を悪化させるため、ハイドロキノンの使用には向いていません。
副作用
肌の炎症や赤み
短期的な副作用には炎症や赤み、かぶれがあります。ハイドロキノンは濃度が高いほど強力に作用します。使用初期は赤みが出たり、ヒリヒリしたり炎症が起きます。ハイドロキノンは朝晩洗顔後1日2回使用が一般的ですが、赤みやヒリヒリする場合は1日1回や2日に1回など使用を減らし、赤みや痛みが強い場合は使用を中止しましょう。使い続けると数週間くらいで肌に耐性ができ、赤みや痛みが出なくなります。症状が引かない場合は、ハイドロキノンの濃度を下げたり、使用を中止したり、アレルギー反応の可能性もあるため医師の診察を受けましょう。また、ハイドロキノンを3カ月以上使用しても効果が乏しい場合は使用を中止してレーザー治療など別の方法でアプローチすることも大切です。
白斑
長期的な副作用には白斑があります。ハイドロキノンの濃度が高かったり、使用期間が長かったりすると肌が白く色抜けする白斑が起きる場合があります。ハイドロキノンの作用でメラノサイトが刺激を受け細胞自体が失われた結果です。5%程度のハイドロキノンの濃度までは白斑が起きたという報告はありません。医療機関では効果と副作用のバランスを考え、4%程度の濃度のハイドロキノンを処方しています。用法用量を守れば、白斑が生じるリスクは抑えられます。
シミが濃くなる
メラニン色素には、紫外線を吸収する役割があります。ハイドロキノンを塗ることでメラニン色素が失われた状態で紫外線を浴びると、かえってダメージが大きくなりメラニンの生成が活発になり患部のシミが濃くなる可能性があります。ハイドロキノン使用中はSPF20以上の日焼け止めクリームを塗ったり、帽子や日傘で紫外線対策を行ったりすることが大切です。
発がん性の可能性
ラットやマウスを用いた動物実験では、ハイドロキノン5%濃度で発がん性が疑われています。現在、人に対する発がん性はまだ判断されていません。医療機関では4%程度の濃度のハイドロキノンを処方していますので、用量用法を守れば発がん性のリスクは低いです。
トレチノインとの併用効果
トレチノインはビタミンA誘導体で、肌に塗ることでターンオーバーを促進します。表皮の深い層にあるメラニン色素を外に押し出し色素沈着の改善が期待できる医薬品です。トレチノインは、コラーゲン生成作用でシワや角質を剥がす作用でニキビ・ニキビ跡の改善効果などが期待されています。ハイドロキノン単体での使用の場合、肌への浸透率が低いですが、トレチノインとハイドロキノンを併用することで浸透率が高まります。2つの併用は「トレチノイン・ハイドロキノン療法」と呼ばれています。
ハイドロキノンの使い方
朝晩洗顔を行った後、化粧水で顔全体を整えます。トレチノインを併用する場合は、患部にのみトレチノインを塗り、10~15分後トレチノインが浸透した後ハイドロキノンを患部より少し広めに塗ります。必要に応じて美容液やクリームで保湿を行い、紫外線対策として飲む日焼け止めを服用したり、SPF20以上の日焼け止めクリームを塗ったりしましょう。ハイドロキノンは酸化しやすい成分のため、開封後は早めに使用し冷暗所に保存しましょう。古くなったハイドロキノンは効果が落ちるだけでなく肌トラブルを招く原因になる恐れもあります。開封して数カ月以上も経過したハイドロキノンの使用は控えましょう。ハイドロキノンとトレチノインを併用する場合は1~1カ月半の間トレチノインとハイドロキノンを使用し、その後ハイドロキノンのみ約2~3カ月使用し、3カ月~4.5ヵ月後は休薬期間とします。治療が長期化する場合はこのサイクルを数回継続するケースもあります。シミなどの肌トラブルが改善した後も経過を見ながら、ハイドロキノンの使用を継続することで再発を防ぐことができます。
ハイドロキノンの使用上の注意
決められた用量用法、回数を守り使用しましょう。大変強い薬ですので使用量を誤るとかぶれや赤みなどの肌トラブルの原因になります。たくさん塗ったからといってより美白になるわけではありません。ハイドロキノン使用時は強い反応を伴いますので、1~2週間毎に医師の診察を受けましょう。ハイドロキノンを使用した後は必ずSPF20以上の日焼け止めクリームなどで紫外線対策を行いましょう。ハイドロキノン使用後、強い紫外線を浴びることで色素沈着を起こす可能性があり、シミが濃くなる原因にもなります。紫外線を浴びる場合は、朝の洗顔後にハイドロキノンを塗ることは控えましょう。また、肌の弱い方はハイドロキノンを使用する前に腕などの目立たない部位に塗って1日かぶれないか確認してから顔に使用することをおすすめします。ハイドロキノンはデリケートゾーンの黒ずみにも使用できますが、粘膜に刺激を与える可能性があるため医師による指導のもとで使用しましょう。また、妊娠中や授乳中の方は使用を控えましょう。
まとめ
ハイドロキノンの使用を検討している方は、通販や市販品ではなくクリニックで処方してもらうことをおすすめします。
まゆりなclinic名古屋栄では、カウンセリングを無料で行っています。万が一施術後の肌トラブルが起こった場合も無料で診察し、迅速に対応いたします。まずはお気軽にご相談ください。