若い世代でも増加傾向の帯状疱疹の検査(デルマクイックVZV)について<医師監修>
- 2024.6.16
目次
帯状疱疹とは
帯状疱疹は、主に小児期に罹患する水ぼうそうと同じウイルス(Varicella-zoster virus:VZV)で起こる皮膚の病気です。
体の左右どちらか一方の神経に沿って、痛みを伴う赤い発疹と水泡が集簇して帯状になることから帯状疱疹と呼ばれています。80歳までに約3人に1人が発症すると言われています。
皮膚の病変のみならず重症化すると、脳炎、髄膜炎、肺炎などを起こすこともあります。疲れているときや睡眠不足など免疫力が低下しているときに発症しやすくなります。
帯状疱疹ワクチンもあるので発症する前に帯状疱疹ワクチンをしておくとよいでしょう。
ちなみに帯状ではなく、丸型や不定形に集簇していることも多く、必ずしも帯状というわけではありません。
また体幹だけではなく、顔、頭部、四肢などに生じることもあります。
私が救急診療をしていた時に、帯状疱疹ウイルスによる髄膜炎を診断したことがあります。はじめは、顔の一部がひりつくという訴えで近医を受診し、治らないので救急外来を受診しました。受診した頃には、意識朦朧状態で、髄液検査で、帯状疱疹ウイルスによる髄膜炎であることが判明しました。髄膜炎の診断がついてから、即治療を開始しましたが、軽度の高次機能障害を残してしまいました。苦い思い出です。最近では、タレントの益若つばささんも帯状疱疹に罹患され、若い人も帯状疱疹になるということが周知されてきているようです。
益若つばさ、帯状疱疹の現状報告「ずーーっと痒い」「クリスマス以来まだメイクできない」
(日刊スポーツ記事より引用)
帯状疱疹の診断と治療について
帯状疱疹は、発症早期に治療をした方がいいと考えられています。なぜならば帯状疱疹後には、帯状疱疹後の神経疼痛などの合併症を生じる場合が多いからです。早めに治療することで合併症を予防することができるのです。治療は、内服薬を中心として外用薬を併用することもあります。最近は若い方でも帯状疱疹にかかる方が多くいらっしゃいます。
体幹に多くできるイメージがありますが、お顔にできる場合もあります。お顔にできると、色素沈着や痛み、神経麻痺による顔のゆがみなど見た目に関するデメリットも多いです。
デルマクイックVZVについて〈マルホ社の調査(HPより)〉
デルマクイックVZVは、帯状疱疹であるかどうかの診断補助ツールになります。帯状疱疹の水泡から液を拭って、検査をするものです。
どんな検査でも感度も特異度も100%の検査はありません。つまり、陽性がでたからといって絶対に帯状疱疹とも言えないですし、陰性だからといって帯状疱疹ではないとも言えないのです。
下にマルホ(デルマクイックVZVの製造元)の治験データをお示しします。
まとめ
帯状疱疹の診断であまり苦慮することはありませんが、非典型的な発疹の出方や、ごく初期段階の時、重症例の時など治療を開始するにあたり、可能なかぎり診断を確定しておきたいと考えます。最近は、当院でも帯状疱疹で来院される方が増えていますが、デルマクイックVZVは非常に有用な補助ツールになっています。