ビオチンとは

「ビオチン」の名前はお聞きしたことはありますでしょうか。ビオチンとは、ビタミンB群に属する水溶性ビタミンの一種です。ビタミンHと呼ばれたり、ビタミンB7とも呼ばれていた物質です。ビタミンの中でもあまり有名ではないので、聞いたこともない方もいらっしゃると思います。

アミノ酸や糖の代謝を促してエネルギーを作り出す役割をしていますが、美容にもとても重要な役割を果たしています。

ビオチンの役割は主に以下の2つです。

• 糖の代謝を助ける。
• 皮膚・粘膜・髪の毛・爪の健康維持。

今回は、ビオチンの美容効果を中心にお伝えします。

 

ビオチンの美容効果

皮膚や粘膜の維持や爪や髪の毛の健康に関わっています。不足すると十分なアミノ酸が生成できなくなりアトピー性皮膚炎、肌荒れ、ニキビなどの皮膚症状や脱毛、白髪などの毛髪症状を起こします。また食欲不振やうつなどの症状が現れます。まれにですが、膠原病などの免疫疾患になる場合もあります。皮膚炎を改善したい人や髪の毛、爪などの不調を改善したい人にも欠かせない成分です。ビオチンはかゆみの原因であるヒスタミンの作用を抑えることもできるので、アトピー性皮膚炎やその他の皮膚炎にも効果が期待できます。しつこい皮膚炎がある方はビオチン血中濃度が低い場合もあり、その場合、補充することで、改善が期待できます。

 

こんな人にはビオチンを

・白髪が増えてきた。

・最近、毛髪が薄くなってきた、毛髪が細くなってきた。

・爪が良く割れる。

・アトピー性皮膚炎

・ニキビがなかなか改善しない。

・何らかの湿疹・皮膚炎がある。

・気分がすぐれない。                                                                             

 

 保険診療での適応症

・急性湿疹

・小児湿疹

・尋常性ざ瘡（ニキビのこと）

・接触性皮膚炎

・慢性湿疹

 

その他の効果

※不足すると、下記のような症状を生じることがあり、ビオチンを摂取することで改善が期待できます。

・萎縮性舌炎

・顔面蒼白

・むかつき、吐き気、食欲不振

・性感異常

・前胸部の痛み

・リウマチやシェーグレン症候群、クローン病などの免疫不全症

・1型または2型の糖尿病

・肥満症

・憂うつ

 

ビオチンを補いたい方へ

普通の食事をしていれば、ほとんどの方はビオチン不足にはなりません。しかし、極度の偏食傾向がある方、抗けいれん薬を長期間内服している方、長時間経静脈栄養のみの方、血液透析をされている方 、慢性下痢、抗生剤内服で腸内細菌叢が乱れている方、マルチプルカルボキシラーゼ欠損症の方は不足している可能性があるので、適宜補充する必要があります。キノコ類や肉類、穀類、豆類、種実類、卵類、魚介類などには、ビオチンが多く含まれています。意外なことに、野菜にはあまりビオチンが含まれておりません。ちなみに、生卵の卵白にはビオチンの吸収を阻害するアビジンが含まれるため、たくさん生の卵白ばかり食べる場合は要注意です。（滅多にいないと思いますが…。）熱を入れれば、アビジンが変性するのでビオチンの吸収阻害はしなくなります。

 

ビオチンの内服、注射

一度に大量に摂取しても不要な分は排泄されてしまうので日常的に摂取する心がけが必要です。逆に、摂取しすぎても問題になることはありません。なぜなら、前述のようにビオチンを大量摂取したとしても排泄物として外に出されてしまうだけだからです。

内服のビオチンの場合、すぐに排泄されてしまうので、1日に1回まとめて内服するより、3回に分けて内服するほうがいいと考えます。できれば食後の方が、吸収率が良いので食後30分以内に内服してください。すぐに血中濃度を上げて、体の隅々まで届けたい時は、注射や点滴がおすすめです。

 

まとめ

ビオチンは、あまりメジャーなビタミンではないですが、しっかり仕事をしています。基本的に通常の食事をしていれば不足することはないと言われていますが、ニキビ、慢性湿疹・皮膚炎や糖尿病などの生活習慣病、気分不良などがあった場合、ビオチンの薬剤やサプリメント、注射などで改善する可能性があり、一つの選択肢として考えて頂くとよいでしょう。ニキビが今一つ治らない場合などお困りの場合も是非ご相談ください。

文責：まゆりなclinic名古屋栄　　院長　加藤成貴