加齢臭について<医師監修>
- 2022.7.23
目次
イントロダクション
年齢を重ねると臭いが気になるようになります。
30歳代後半ぐらいになって、臭いがすると、世間一般的には、一括りで、「加齢臭」と呼ばれておりますが、実は、臭いにもたくさん種類があります。
臭いの種類
「加齢臭」、「ミドル脂臭」「疲労臭」「ダイエット臭」「病気による臭い」、、、。
今回は、ひとつひとつについて詳しく説明させて頂きます。それぞれ原因が違うので対策も少しずつ違いますので、自分がどの臭いなのか、分類してみて下さい。
加齢臭
好発年齢、性別:40~50代の男女
臭い:油臭さ+青臭さ
場所:背中、胸
原因:パルミトオレイン酸と過酸化脂質が分解・酸化されたノネナールという成分
年齢を重ねると、皮脂の中の成分であるパルミトオレイン酸と脂肪酸、過酸化脂質が増加します。これが、分解・酸化されてできるのがノネナールです。
ストレスや活性酸素が増えて、過酸化脂質が増加します。生活習慣病にも関連していて、肉類を食べることが多い、アルコール過剰摂取、喫煙、睡眠不足、運動習慣がないことで、皮脂の中に脂肪分が増加します。脂肪分が増えることで、ノネナールの量も増加します。
対策:肉類や脂質(マヨネーズやバターなど)が多いものを減らす、野菜や果物を多めに摂取する。アルコールはほどほどに。運動習慣をつける。禁煙する。
ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化作用のあるものを摂取する。
ポリフェノールは抗酸化作用を持ちます。緑茶(カテキン)、ゴマ(セサミノール)、大豆(イソフラボン)などのポリフェノールを多く含んだ食品を摂取する。コエンザイムQ10 のサプリメントなども抗酸化作用があるのでいいと言われております。
ミドル脂臭
好発年齢、性別:30~50代半ばの男女
臭い:使い古した油のような臭い
場所:後頭部や首の後ろ
原因:乳酸が常在菌(ブドウ球菌など)によって代謝されたもの(ジアセチル)
加齢臭と似て非なるものです。糖分や脂質の多い食事を摂取していると血行や代謝が低下して皮脂が過剰になります。皮脂が多いとブドウ球菌などの皮膚常在菌が繁殖しやすくなります。血行が悪いと、血中酸素濃度が低下して乳酸が発生しやすくなります。
アルコールの過剰摂取や喫煙なども血行が悪化する原因となります。
この状態で、乳酸が分解され、ジアセチルが生成され、ミドル脂臭が発生するのです。
対策:肉類や脂質が多いものの摂取を制限し、野菜中心の食生活にする。アルコールや喫煙を控える。乳酸は疲労時に増加するため、できるだけ疲れやストレスをためないようにする。
運動不足やエアコンの部屋にいると汗をかく機会が少ないと、汗腺が衰えて、老廃物が出にくくなります。すると、毛穴に乳酸がたまり、常在菌と反応しやすくなります。運動習慣をつけることで、汗腺の機能を保つようにする。
疲労臭
好発年齢、性別:全年齢
臭い:アンモニア臭(ツンと鼻をつくような臭い)
場所:全身
原因:アンモニア
からだが疲れている時に発生する臭いです。体内でアンモニアは発生するのですが、通常はすぐに肝臓で代謝されます。しかし、疲れている時は、肝臓が十分に機能しなくなり、アンモニアが代謝しきれず、汗と一緒に排出されます。
対策:からだをしっかり休めて、ストレスをためないようにする。
ダイエット臭
好発年齢、性別:全年齢
臭い:アンモニア臭(ツンと鼻をつくような臭い)
場所:全身
原因:アンモニア
食事制限だけで痩せようとすると、体内にケトン体という臭い物質が発生し、体臭や口臭が甘酸っぱい臭いになることがあります。
ケトン体は、運動で消費できます。ダイエット中は運動をすると、体重も減るし、独特な臭いもしにくくなります。食事面では、野菜、果物、海藻類などのアルカリ性の食品を摂取すると、ダイエット臭を予防できます。
対策:ダイエットは食事だけではなく運動もする。野菜や果物や海藻を摂取する。
病気による臭い
好発年齢、性別:全年齢
臭い:病気による
場所:病気による
原因:病気による
腎機能障害:アンモニア臭
脂漏性皮膚炎:油っぽい臭い
歯周病:腐敗臭
副鼻腔炎:腐敗臭
胃腸障害:腐敗臭、酸っぱい臭い
パーキンソン病:ムスクのような臭い
甲状腺機能亢進症:脂の臭い
糖尿病:甘酸っぱい臭い
便秘:便の腐敗臭
対策:原因疾患の治療
まとめ
加齢臭は40~50代、ミドル脂臭は30~50代の好発年齢です。つまり、40代前後になると、臭いがします。しかし、いろいろ上には記載しましたが、実際、臭いも正確に区別できるわけではないので、どちらにも対応できる対策をするべきであると考えます。もちろん病気を抱えている場合は、その病気を治すことに専念してください。
ミドル脂臭や加齢臭が出るだろう年齢の方がすべき対策をまとめて記載しておきます。
〇食生活の改善
・肉類や油類を減らす。
・ビタミンCやビタミンEやポリフェノール類などの抗酸化物質が入った食事を心掛ける。
―ビタミンC:柑橘類、キウイ、いちご、野菜(ブロッコリー、パプリカ、トマトなど)など
―ビタミンE:玄米、ゴマ、ナッツ類、アーモンド、魚介類、アボカド、かぼちゃ、うなぎなど
―ポリフェノール:緑茶(カテキン)、ゴマ(セサミノール)、大豆(イソフラボン)
・クエン酸を多く含む梅干しやレモンを食べる。(クエン酸は疲労回復を促します。)
・食物繊維を多く含む食品を食べる(老廃物を便として排出しやすくなります。)
〇運動習慣をつける。
・汗をかく習慣をつけて老廃物を出すようにする。
・運動でケトン体が消費されるのでケトン臭がなくなる。
〇ストレスをためない、疲れたら休む。
・ストレスで皮脂が増加します。
・質が良い十分な睡眠を心掛ける。
〇清潔にする。
・汗をかいたら早めに汗拭きシートで汗をふき取る。
・衣類をその日のうちに洗う。
・衣類に消臭スプレーをかける。
・シャンプーは1日1回する。(洗いすぎると皮脂が増えます。)
・ボディソープを泡立てて臭いが出やすい部分をしっかり洗う。
・イソプロピルメチルフェノールやグリチルリチン酸ジカリウムなどの殺菌成分が配合されたボディソープを使用する。
〇サプリメントを飲む。
・ビタミンCやビタミンEのような抗酸化作用のあるビタミン剤を内服する。
・コエンザイムQ10のような抗酸化作用があるサプリメントを内服する。
・シャンピニオンを含んだサプリメントを内服する。(腸内で悪臭成分と結合し、臭いがしない成分に変える。)
・ラクツロースやセンスピュールを含んだサプリメントを内服する。(腸内でアンモニアの吸収をおさえ、腸内環境を整える。)
・ビフィズス菌をはじめとする善玉菌が入った薬を内服する。又は、ヨーグルトを食べる。(腸内環境を改善することで悪臭物質を出す悪玉菌を減らす。)
・オリゴ糖を摂取する。(善玉菌であるビフィズス菌の栄養になります。)
文責:まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤成貴