ルビーフラクショナルの使いどころ<医師監修>
- 2025.4.27
ルビーフラクショナルとは
ルビーフラクショナルとは、従来のQスイッチルビーレーザーにフラクショナル型のレンズを装着し、小さなドット状(点状)に照射していく方法です。
ルビーレーザーの波長である694nmというのは黒色のメラニンに選択性が高いため、シミには最適な波長であることが知られています。ドット状に照射することで組織にダメージを起こしにくく、かさぶたができない、ダウンタイムを気にする必要がほぼない、色素沈着が生じにくい点が特長です。
ルビーフラクショナルとIPL(ライムライト、フォトフェイシャル、フォトシルク、ルメッカ、BBLなど)との違い
回数を要することと、色素沈着がほぼないことは共通していますが、施術目的がやや異なります。
IPLに関しては、シミ治療にも用いられますが基本的には肌質改善をベースとしたシミ改善や赤ら顔改善、ニキビ治療というイメージです。シミの治療と言えば、ピコレーザーやルビーフラクショナルレーザーなどのレーザーが基本になります。
IPLでシミを治そうとする場合、ある程度の濃さがあり、比較的浅い層にあるシミは剝がれ落ちますが、薄いシミを除去するとなるとなかなか難しいことが多いです。
実際シミが多い場合は、浅い層にあるシミと深い層にあるシミが混在しているため、シミが残ることが多いです。
IPLでシミを治そうとする場合は、3~5回で満足に取れなければピコレーザーやルビーフラクショナルに切り替えることがあります。その場合、IPLは無駄だったのかというとそうではなく、肌質改善効果があるためレーザー後の色素沈着(特にピコスポットの場合)が生じにくくなります。
IPL→3~5回→残存するシミに対してピコスポットまたはルビーフラクショナル(※)
※色素沈着を起こしたくない場合は、ルビーフラクショナルを3~5回繰り返す
※短期間で治療したい方はピコスポット
ルビーフラクショナルとピコスポットの違い
ルビーフラクショナルはドット状に照射します。ピコレーザーは、面状に照射します。ドット状に照射することのメリットは、レーザー照射後に生じるダウンタイムがほとんどないこと、色素沈着がないことです。デメリットは、点状照射は一度でシミ全体を照射することができないため、回数が必要になることです。
理論上は、ドットの面積がシミ全体の40%であるため、40%×3=120%になり3回で全体を照射できることになりますが、同じ部分を重複照射することもあるため、5回程度必要になることも多々あります。
ちなみにピコスポットで生じた色素沈着は、適切なスキンケアをしていれば1~2ヶ月程度はピークで、その後徐々に消退し、6~9ヶ月以内に消えます。
ルビーフラクショナルとピコフラクショナル、CO2フラクショナルとの違い
ルビーフラクショナルは、シミ治療に用いられる施術です。ピコフラクショナルやCO2フラクショナルは、ニキビ跡や毛穴目立ちを治す施術になります。『フラクショナル』という言葉は同じですが、使いどころが全く違います。
ルビーフラクショナルは肝斑に注意
基本的には、ルビーフラクショナルを肝斑治療に積極的に使用することはありません。ある程度のご年齢になりますと、肝斑を含めた色々な種類のシミが混在しています。そのため、ルビーフラクショナルを肝斑がある方に使うこともありますが、ピコトーニングやトラネキサム酸内服を併用した上でのルビーフラクショナルになります。
ルビーフラクショナルは器械の種類も重要
機種によっては、ドットの面積が異なります。30%程度の機種が多い中、当院のルビーフラクショナルは40%になります。小さすぎると回数を要します。大きすぎても面状照射に近くなり、ダウンタイムが長くなり色素沈着も出やすくなります。
ルビーフラクショナルはどんな方が適応か
①ダウンタイムが取れない方
②色素沈着が嫌な方
③回数がかかってもいい方
④ピコスポットをするまでもない全体に生じた点状または斑状のシミ
⑤ピコスポットをしてから1年程度経過した後の再発したシミ
⑥以前にピコスポットをして残ったシミ
一度でシミを取り切りたい方は、ピコスポットが適応になります。ダウンタイムが確保できない方や色素沈着したくない方はルビーフラクショナルがおすすめです。
ただし、ルビーフラクショナルは点状照射であるため、回数が必要になります。
また、④、⑤、⑥に関しては、シミ治療経過を知り、肌診断器などによる評価が必要になる場合があり、さまざまな判断基準があります。例にあげるとシミ取りレーザー後の色素沈着は基本的に9ヶ月程度で消失します。そのため、その後に残るシミは取り残しまたは再発という判断になります。しかし、最長2年程度続く場合があります。その場合肌診断器で評価すると、案外、炎症後色素沈着だったということがまれにあります。その場合はピコトーニングが適応になり、ルビーフラクショナルは適応にはなりません。
まとめ
ルビーフラクショナルは全ての方に適応というわけではありません。シミ治療専門クリニックで適応を判断してもらい、治療することが大切です。特に肝斑合併をしている場合は特に注意が必要です。適応の器械で、かつ適切なレーザー出力が必要になります。
なんとなくで器械を選び、軽くシミに当てておくでは治療にならないどころか悪化してしまうこともあるのです。それでは時間とお金の無駄になってしまいます。
ルビーフラクショナルについて
詳しくはこちら