サブシジョンとキュアジェットの使いどころ<医師監修>
- 2024.10.13
目次
サブシジョンはニキビ跡の凹みにはもはや必須の治療
ニキビ跡を治したいと思ってもどの治療をすればいいか分からない、どこのクリニックに相談すればいいか分からないなどのお悩みはあるのではないでしょうか。
大きく分けてニキビ跡には3種類あります。①赤ニキビ跡 ②茶色い色素沈着 ③凹み です。
今回は③のニキビ跡の凹みの治療についての内容になります。
ニキビ跡の凹みの治療は従来肌に適度なダメージを与え、創傷治癒過程で肌が再生されて凹みが滑らかになる治療、例えばダーマローラー、フラクセル、パールフラクセル、ダーマペン、ピコフラクショナル、CO2フラクショナル、ポテンツァなど、皮膚表面からのアプローチを用いる施術が一般的でした。
しかしこれらの治療は患者様への負担が大きい割に効果には限界があり、一定回数以上は改善が乏しいという課題がありました。近年、サブシジョンというニキビ跡の下にある線維を断ち切る治療で、ニキビ跡の劇的な改善が得られることから、サブシジョンを行うクリニックが増えてきました。
キュアジェット(CUREjet)とは
先端ノズルから出る秒速500mのジェットが皮膚に当たり、薬液が皮下に浸透するとともに皮膚表面付近にある線維をマイクロサブシジョンできる治療器です。
韓国のBAZ BIOMEDIC社が開発したもので、2024年の春頃に発売されました。以前からレーザーでジェットを噴射するものはありました。今回のキュアジェットは、電磁石の力でジェットを噴射する機構になり、より効率よく噴射できるようになりました。
針を使わずにサブシジョンができるとうたっておりますが、そもそも通常のサブシジョンとはターゲット部位が異なります。
ローリング型のみならずアイスピック型、ボックスカー型のニキビ跡にもしっかり効果があることが特徴的です。
サブシジョンとキュアジェットはターゲット部位と線維が異なる
サブシジョン | キュアジェット (マイクロサブシジョン) |
|
---|---|---|
ターゲット部位 | 皮膚の奥深くにある比較的太い強固な線維 | 皮膚表面近くの細かい線維 |
効果 | ローリング型>ボックスカー型>アイスピック型 | ボックスカー型、アイスピック型>ローリング型 |
治療法 | 凹みの近くから針を進入させ、線維を切断する。 | ジェットで薬剤を噴射し、薬剤が入り込むと同時に線維を切断し、凹みを盛り上がらせる。 |
まとめ
- 近年、多くの美容皮膚科でサブシジョンが広く行われるようになりましたが、サブシジョンのみでは皮膚表面近くの線維処理ができないことを歯がゆく思っている医師は少なくないはずです。特に当クリニックのようにサブシジョンの症例が多いクリニックではなおさらではないでしょうか。サブシジョンは皮下組織からのアプローチであり、サブシジョンをした後でダーマペンやピコフラクショナル、CO2フラクショナル、シルクロ、ポテンツァなどの真皮部分までに働きかける治療がセオリーではあります。ニキビ跡に効果が高いサブシジョンで、浅い層の線維の癒着を剥がすことができれば改善が早くなると考えていました。サブシジョンでは尖った針(鋭針)を使用し、出来る限り皮膚表面まで削ることも可能だからです。しかしキュアジェットの登場で皮膚表面から連続的にマイクロサブシジョンができるようになり、ニキビ跡治療が一気に進んだと思います。
強固な線維はサブシジョンを行い、表面近くの細かい線維にはキュアジェットでマイクロサブシジョンを行うことが、現状日本で受けられる治療としては最も理にかない、最高の治療法であり、患者様にとっても満足度の高い治療法であると考えます。