それ本当に肝斑?ADMじゃないですか?<医師監修>
- 2022.8.8
目次
両頬に左右対称の「シミ」
両側に左右対称ということで肝斑ではないですか?と来院される方が多くいらっしゃいます。しかし、シミの形や大きさを見て、発症年齢などを聞けば、だいたい分かります。案外、肝斑ではなく、ADMの場合も多いです。もちろん、それ以外にも、老人性色素斑やそばかすや脂漏性角化症の場合もあります。
ADMとは
Acquired Dermal Melanocytosisの略です。日本語では、後天性真皮メラノサイトーシスと呼ばれています。後天性太田母斑などと呼ばれることもありますが、太田母斑とは全く異なります。シミというよりもアザに近い病態です。
ADMと肝斑は好発部位が似ています。両頬骨突出部、前額外側部、鼻根部、尾翼、下眼瞼、こめかみなどです。この中でよく問題になるのが、頬骨付近の「シミ」です。
これが肝斑なのかADMなのかいわゆるシミ(老人性色素斑)なのかをしっかり診断しなければいけません。
見分け方は、ADMに関しては発症年齢が若く20歳前後です。そして、「シミ」が小さな斑(φ1~4mm)です。肝斑は、30歳以降で発症することが多く、大陸のような形をしており、あまり輪郭もはっきりせず、ぼやけています。老人性色素斑も30歳前後以降で発症することが多いです。ADMは色もやや独特です。深いところにメラニンがあるため、やや灰色や青みがかった色です。肝斑や老人性色素斑はそれに対して明るい茶色のイメージです。そばかすはADMよりもやや小さな1~3mm程度の小さな斑で、子供の時から発症するなど鑑別は比較的容易です。ADMの原因ははっきりしておりませんが、遺伝、加齢、紫外線、ホルモンバランスの乱れなどが原因と言われています。肝斑も原因ははっきりしていませんが、女性ホルモンをはじめとしたホルモンバランスの乱れと物理的な刺激(顔をゴシゴシ洗う、マスクが当たるなど)と言われております。
実際は、
ADM単独で来院される方もいらっしゃいますが、通常の老人性色素斑やそばかす(雀卵斑)などを合併してご相談に来られる方もいらっしゃいます。
ADM、肝斑、老人性色素斑はすべて治療法が異なります。したがって、合併していると治療が非常に困難な場合があります。
肝斑であれば、内服が第一選択で、それにピコトーニングを何回か行います。
ADMの場合はピコスポットで治療しますが、これも3~4回程度要します。
老人性色素斑やそばかすに対しては、ピコスポットで治す方法もありますが、炎症後色素沈着のリスクもあるので、大きな単独のシミでない場合は、ライムライトを4~5回行い、それでも残存するシミをピコスポットで治す方法がいいのではないかと考えています。その他、すぐに治したい場合は、ライムライトで軽く照射後、ピコスポットで照射する場合もあります。それぞれのシミに対して適切な治療を行う方が望ましいので、来院時にご相談下さい。
まとめ
肝斑、ADM、老人性色素斑、そばかすはそれぞれ治療法が異なります。しかし、実際には、いろいろな「シミ」が組み合わさってご相談に来られる方も多数いらっしゃるため、一つ一つ診断をして、丁寧に治していく必要があります。
前後の写真を撮影し、しっかり比較して、どの治療法が効いたかを確認していく方が望ましいでしょう。まゆりなclinicでは肌診断機(Neo VoirⅠ)があります。前後を簡単に比較できるので、適切な治療法を選択でき、患者様にもご納得いく治療ができると思っています。
Neo VoirⅠは、非常に優秀で、肉眼でははっきりしない肝斑を見つけたりすることができます。周囲がぼやけた老人性色素斑かなと思っていたものが、実は、うっすら周囲とつながっており、肝斑であることが判明したということが多々あります。その場合、治療法が全く異なるので、肌診断機があってよかった~とつくづく思っています。
文責:まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤成貴
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