トレチノインを塗るとお肌が若返る?!<医師監修>
- 2022.8.15
目次
トレチノイン
トレチノインはシミ、しわ、ニキビを改善することができる効果の高い治療薬です。トレチノイン(正式にはオールトランスレチノイン酸)は、ビタミンA (レチノール)の誘導体で、生理活性はビタミンA (レチノール)の50〜100倍です。トレチノインは、誰でも血液中にごく微量存在するもののため、アレルギー反応を起こすことはありません。トレチノイン含有のクリームを使用してアレルギーが起こった場合は、その他の添加物によるアレルギー反応であると言えます。トレチノインはアメリカでは、シミ、シワ、ニキビの治療医薬品として政府機関のFDA(アメリカ食品医薬品局)に認可されており、非常に多くの患者さんに皮膚の若返り・アンチエイジング薬として使用されています。現在多くの化粧品会社から、レチノール配合のクリームや美容液が市販されていますが、レチノールはトレチノインの約100分の1の生理作用程度とされており、効果がゆるやかな普段使いのアンチエイジング化粧品として使用されることが多いです。日本では自己調剤で使用されてきましたが、刺激が強く外用後に強いかぶれを起こすことが問題でした。しかし、シクロデキストリンという環状オリゴ糖で包接したシクロデキストリン包接トレチノイン(CDトレチノイン)が開発され、従来のかぶれやかさかさした感じを抑制することが可能になりました。
トレチノインの効果
シミへの効果
トレチノインはシミの改善に有効です。表皮の細胞は表皮の一番深い基底層で生まれてから、徐々に表面に押し上げられ、やがて角質となり、最後はアカとなって皮膚から剥がれます。この表皮の細胞のサイクルを皮膚のターンオーバーと呼び、約4週間かかります。大多数のシミは、表皮の一番深い基底層周辺にメラニン色素が沈着しています。この層にはメラノサイトと呼ばれるメラニンを作る細胞があります。通常市販されている美白剤にはメラノサイトがメラニン色素を作る量を減らす有効成分が含まれてはいますが、その作用が非常に弱く現在沈着しているメラニン色素を外に出すような作用はないため、すでに存在しているシミはなかなかよくなりません。トレチノインには表皮の深い層にあるメラニン色素を外に出す働きがあります。トレチノインを使用すると、肌のターンオーバーが促され、表皮の細胞に分裂し活発に増殖して押し上げられていきます。皮膚の細胞が生まれ変わると、皮膚の深い層にあるメラニン色素は外に押し出しされて、2~4週間で外に排出されます。
シワへの効果
トレチノインで期待できる効果に、しわの改善が挙げられます。トレチノインを長期間使用すると、表皮や真皮を厚くする作用があり、肌のヒアルロン酸やコラーゲン産生を促進し、真皮血管の新生により肌のハリを回復させ若返りも果たすため、しわを改善させる効果が期待できます。しわの改善にかかる期間には個人差がありますが、少なくとも3ヶ月は継続してトレチノインを使用する必要があります。
ニキビ・ニキビ跡への効果
トレチノインを使用すると、ニキビ・ニキビ跡の改善が期待できます。ニキビの原因は、皮脂の分泌量が増えることで毛穴の角質が厚くなり毛穴の出口が塞がれて炎症が起こることです。トレチノインは、皮脂腺の機能を低下させ、皮脂の分泌を抑制させるのと同時に、毛穴の出口を塞いでいる角質を剥がれやすくする効果があります。また、トレチノインはニキビ跡の赤みの改善にも有効です。ニキビ跡の赤みは、ニキビによって表皮の下で炎症を起こしていることが原因です。トレチノインを使用すれば肌のターンオーバーが促進されるため、ニキビ跡を目立ちにくくする効果が期待できます。
毛穴の開きや黒ずみへの効果
トレチノインは肌のターンオーバーを促進し、古い角質を剥がれやすくします。それによって、毛穴の黒ずみの原因である毛穴詰まりを除去する効果が期待できます。また、トレチノインを使用することで、皮脂腺の働きを抑え皮脂の分泌を抑制。皮脂による毛穴詰まりを防止する効果が期待できます。特に、鼻周りは皮脂の分泌量が多いので、トレチノインの効果が期待できる部位の1つです。トレチノインは、コラーゲンやエラスチンの産生を増やす効果も期待できます。それによってたるみ毛穴など毛穴の開きの治療が可能です。
トレチノインの使用上の注意
トレチノインを使い始めて数日から2週間前後で皮膚がカサカサしたり赤みがでたりポロポロ皮膚が剥がれたりします。トレチノインの作用で、肌のターンオーバーが早くなり、肌の古い角質が剥がれ落ち、肌が刺激を感じやすくなり痒みや赤み、乾燥症状が起こる場合があり、その症状を「レチノイド反応」と呼びます。多くの場合は一過性で、日にちが経つと症状が回復する場合がほとんどです。レチノイド反応はトレチノインを塗布してから1~3日で、症状が出始めてから3週間程がピークになります。レチノイド反応はトレチノインが効いている証拠なので、継続してトレチノインを塗布してください。その後は皮膚が順応し徐々に反応が軽くなっていきます。もし症状がひどい場合は、医療機関で相談しトレチノインの使用量を調整することも可能です。トレチノインの使用期限の目安は処方から約2か月です。冷蔵保管が必要です。妊娠中の方、授乳中の方、妊娠予定の方は使用できません。
トレチノインは市販されている?
トレチノインは非常に強い作用を持つ医療用医薬品に分類され、通販や薬局などでは市販されていません。トレチノインを処方できるのは医療機関のみです。保険適用はされず慈悲扱いです。薬局やデパートの化粧品売場などでレチノールを含む化粧品などが市販されていますが、医療機関で処方されるトレチノインの約100分の1の生理活性しかありません。個人輸入によって海外のトレチノインを購入することは可能ですが、知識がない状態でトレチノインを使用すると、強い発赤や皮むけなどの副作用を引き起こす可能性があります。通販での購入はおすすめしません。トレチノインは医療機関で処方してもらい、医師の指導のもと使用しましょう。
トレチノインとハイドロキノンの併用
トレチノインはシミやニキビ跡改善に高い効果が期待できますが、ハイドロキノンと併用することでさらに高い効果が得られます。ハイドロキノンは医薬品の美白剤で有名な薬剤です。肌のターンオーバーを促進し、シミを作り出す酵素を抑制する働きがあります。トレチノインですでに作られているメラニンの排出を促進し、ハイドロキノンで新たなメラニンの産生を抑制できます。トレチノインクとハイドロキノンを併用する場合は、1日1回、基本的に夜だけ使用します。まず、メイクを落として洗顔をします。化粧水を顔全体に塗布した後にトレチノインを気になっている部分だけに塗布します。その後ハイドロキノンを同じ場所に塗り重ねます。その後でトレチノインとハイドロキノンを塗布した部位以外に美容液・乳液を塗布します。
トレチノインの使用濃度
トレチノインの濃度は使用目的によって異なります。一般的に、ニキビやシミを改善したい場合には低濃度(0.05%など)、シミを改善したい場合には高濃度(0.4%など)で使用する場合が多いです。濃度が高いほど効果が出るわけではないので、医師と相談して使用目的や肌にあった濃度を選びましょう。
トレチノイン使用のサイクル
通常のトレチノインは使用し続けると肌に耐性ができ、期待している効果が得にくくなる場合があります。2~3ヶ月トレチノインの塗布を続け、1ヶ月ほど治療を休止後、治療を再開するというサイクルを繰り返すと効果的と言われています。また、トレチノインは医療機関でのみ取り扱いの許可された処方薬ですので医師の指示のもと使用してください。
まとめ
シミのほかニキビやシワなど様々な肌悩みに効果が期待できるトレチノインは医療用医薬品に分類され、処方できるのは医療機関のみとなっています。使用の際、炎症を起こす可能性もあるため医師と相談して適切に使用しましょう。
まゆりなclinic名古屋栄では、万が一施術で肌トラブルがあった場合も迅速に適切に診察し対応しています。その場合の診察代や治療代は無料ですので、お気軽にご相談ください。