肝斑とADMの違いは?両頬のシミを見分けるポイントと治療法|名古屋
- 2022.8.8
目次
肝斑とADMの違いは?両頬にあるから肝斑とは限らない
「両頬に左右対称のシミがあるので肝斑だと思っていました」「肝斑だと思ってトーニングを続けているけれど、なかなか変わりません」。名古屋・栄でシミ治療のご相談を受けていると、このようなお話を伺うことがあります。両頬に左右対称の色素があると肝斑をイメージしやすいのですが、実際にはADM(後天性真皮メラノサイトーシス)の可能性があります。また、肝斑とADMが同時に存在していることもあります。
肝斑とADMは見た目が似ることがありますが、病態は異なります。肝斑は主に表皮のメラニン増加を中心に、基底膜や真皮環境、血管、炎症など複数の要因が関係する慢性的な色素異常です。一方、ADMは真皮にメラノサイトが存在する「真皮メラノサイトーシス」です。

そのため、治療も同じではありません。肝斑ではOPトーニングやピコトーニングなど刺激に配慮した治療を中心に考えますが、ADMでは真皮に存在する色素をターゲットとする色素レーザー治療が必要になります。つまり、「左右対称だから肝斑」と決めるのではなく、まず何の色素なのかを見極めることが重要です。
ADMとは?
ADMはAcquired Dermal Melanocytosisの略で、日本語では「後天性真皮メラノサイトーシス」と呼ばれます。文献ではAcquired Bilateral Nevus of Ota-like Macules(ABNOM)やHori nevusという名称が使われることもあります。
1984年に日本人を中心とした症例として報告され、青褐色〜灰褐色の小さな色素斑が、頬骨周辺、こめかみ、額、鼻翼などに左右対称に現れることがあります。組織学的には真皮内にメラノサイトが存在することが特徴です。一般的な老人性色素斑のように表皮側のメラニンが中心となるシミとは異なり、ADMでは色素がより深い真皮側に存在します。そのため、見た目も単純な茶色ではなく、灰色、灰褐色、青褐色に見えることがあります。
ADMは「普通のシミ」というより、医学的にはあざに近い真皮メラノサイトーシスの一つと考えると理解しやすいでしょう。
ADMと肝斑はなぜ間違われやすい?
ADMと肝斑が間違われやすい最大の理由は、どちらも両頬、特に頬骨周辺に左右対称に現れることがあるためです。肝斑は一般的に、薄い褐色が面状にもやっと広がり、境界がはっきりしないことが多い色素異常です。一方、ADMでは、数mm程度の灰色〜青褐色の色素斑が点状・斑状に複数みられることがあります。代表的には次のような違いがあります。
肝斑
→ 薄茶色〜褐色
→ 面状にもやっと広がることが多い
→ 境界が比較的不明瞭
→ 頬骨周辺、額、口周りなど
→ 紫外線、ホルモン、炎症、摩擦など複数の要因が関係
→ OPトーニング・ピコトーニング・内服外用などを検討
ADM
→ 灰色、灰褐色、青褐色を含むことがある
→ 小さな色素斑が点状・斑状に複数みられることがある
→ 頬骨、こめかみ、鼻翼などにみられる
→ 真皮内にメラノサイトが存在する
→ ピコスポットなどの色素レーザー治療を検討
ただし、実際の診断はこの特徴だけで決められるものではありません。色調、形、分布、発症時期、治療歴などを総合して判断します。
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「灰色っぽいシミ」はADMの可能性がある
ADMを考えるときに重要なヒントの一つが色です。皮膚の深い位置にあるメラニンは、皮膚を通して見ると青〜灰色っぽく見えることがあります。そのため、ADMでは老人性色素斑や肝斑よりも灰色、青灰色、灰褐色の印象を受けることがあります。ただし、「灰色なら必ずADM」という意味ではありません。PIHやその他の色素性病変でも色調が異なることがあります。シミ治療では、単純に「茶色いからシミ」「左右対称だから肝斑」と判断せず、色・形・分布・深さを考えることが重要です。
肝斑とADMが同時にあることもある
ここが治療上、非常に重要なポイントです。肝斑かADMかの二者択一ではなく、一人のお顔の中にADMと肝斑が混在していることがあります。さらに、老人性色素斑、そばかす、PIHなどが加わることもあります。実際、ADMに関する大規模な研究では、ADM患者の中に肝斑を併存する例が一定数確認されています。また、ADMと肝斑を併存している場合には、ADMに対するレーザー治療によって肝斑が悪化する可能性が報告されています。
そのため、
「ADMだからすぐに強いレーザーを当てる」という考え方では不十分です。
ADMの下や周囲に肝斑が混在していないかを確認し、肝斑が強い場合には、まずOPトーニングやピコトーニングなどで肝斑を落ち着かせてからADMへのスポット治療を検討することがあります。これが、ADM治療で診断と治療順序が重要な理由です。
ADMにはなぜトーニングだけでは不十分なことがある?
「肝斑だと思ってピコトーニングを何回も受けているけれど、頬の灰色っぽいシミだけ残る」というケースでは、ADMが混在している可能性を考えることがあります。肝斑とADMでは、色素が存在する位置が異なるためです。OPトーニングやピコトーニングは、低出力で広く照射しながら肝斑や色むらを徐々に整えていく治療です。一方、ADMでは真皮に存在するメラノサイト・メラニンをターゲットとする必要があります。
そのため、ADMそのものに対しては、ピコスポットなどの色素レーザー治療を検討します。
ただし、これは「トーニングがADMに全く意味がない」ということではありません。ADMと肝斑が混在している場合には、先にトーニングで肝斑や肌状態を整えてからADMへのスポット治療へ進むという治療設計があります。
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ADMはピコスポット1回で取れる?
ADMは、一般的な老人性色素斑とは異なり、複数回のレーザー治療が必要になることがあります。
2026年に発表されたADMに対するQスイッチレーザーとピコ秒レーザーの系統的レビュー・メタ解析でも、治療回数が増えるほどクリアランスが高くなる傾向が報告されています。ただし、含まれた研究の多くは症例集積であり、エビデンスの確実性は低いため、「何回で必ず消える」と一律に言うことはできません。
まゆりなclinic名古屋栄でも、ADMはピコスポットを1回照射して終了というより、一定期間経過を見ながら複数回の治療を検討します。
一度に強く治療することよりも、PIHや周囲の肝斑への影響を見ながら、必要な間隔を空けて治療することが重要です。
「ピコレーザー施術ページ」
ADM治療でもPIHに注意する
ADM治療ではPIH(炎症後色素沈着)にも注意が必要です。
ADMに対するレーザー治療後には、一時的に色素沈着が濃く見えることがあります。アジア人を対象としたADMレーザー治療の研究でもPIHが報告されています。
特に肌色が濃い方、病変が濃い方、年齢が高い方などではPIHリスクが高くなる可能性が報告されています。また、肝斑を併存している場合には、レーザー刺激による肝斑の悪化にも注意が必要です。
そのため、治療直後の見た目だけで「取り切れていない」と判断し、短期間に何度も強い照射を繰り返すことは避ける必要があります。シミ治療では「取る」ことだけではなく、治療後の色素変化を「待つ」ことも重要です。
ADMと老人性色素斑の違いは?
ADMは老人性色素斑とも治療方法が異なります。老人性色素斑は紫外線などの影響で生じることが多く、茶色〜濃い茶色で、境界が比較的はっきりしていることがあります。濃く明瞭な老人性色素斑ではピコスポットが1回で大きく改善するケースもあります。一方、ADMは真皮メラノサイトーシスであり、色素がより深い位置に存在します。そのため、同じピコスポットを使用するとしても、治療回数や治療間隔の考え方は同じではありません。
つまり、「ピコスポットを使う」という機械名が同じでも、老人性色素斑とADMでは治療設計が異なります。
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ADM・肝斑・老人性色素斑が混在している場合
実際のシミ治療では、このような混在型が珍しくありません。例えば、頬骨周辺に灰色っぽいADMがあり、その下に肝斑が広がり、さらに濃い老人性色素斑が点在しているケースです。このような場合、一つの治療ですべてを改善しようとすると無理があります。
ADM
→ ピコスポットなどの色素レーザーを検討
肝斑
→ OPトーニング・ピコトーニングなどを検討
濃い老人性色素斑
→ ピコスポットを検討
薄い老人性色素斑
→ ルビーフラクショナルを検討
そばかす・赤み・顔全体の色むら
→ IPL(ライムライト)などを検討
というように、同じお顔の中でも病変ごとに治療を分けることがあります。
まゆりなclinic名古屋栄では、必要に応じて肌診断器Neo Voir I PLUSによる撮影も行い、シミの分布や肌状態を確認します。ただし、画像診断だけで病名を決めるのではなく、医師による診察と合わせて治療方針を考えます。
「左右対称=肝斑」という思い込みをしない
肝斑の記事や広告では「左右対称に出る」という特徴がよく紹介されています。そのため、頬に左右対称の色素があると、自分で肝斑だと判断してしまうことがあります。
しかし、ADMも左右対称に現れる代表的な色素性病変です。
さらに、そばかすや老人性色素斑が左右両方にあることもあります。
重要なのは、
「左右対称かどうか」
だけではなく、
「色は茶色か、灰色か」
「面状か、点状か」
「境界はどうか」
「どこに分布しているか」
「いつ頃から目立つようになったか」
「過去の治療でどう反応したか」
まで確認することです。
「肝斑治療を続けても一部だけ残る」という場合には、ADMなど別の色素が混在していないかを再評価することも重要です。
まゆりなclinic名古屋栄ではADMをどう治療する?
当院では、ADMだから一律に同じ治療をするのではなく、肝斑や他のシミが混在していないかを確認してから治療を組み立てます。
ADM単独であれば、ピコスポットなどの色素レーザー治療を複数回行うことを検討します。
一方、ADMの周囲に肝斑が強く出ている場合には、いきなりADMを強く照射するのではなく、OPトーニングやピコトーニング、必要に応じてC-OPERA、内服・外用治療などで肝斑や肌状態を整えてからADM治療へ進むことがあります。
治療後にはPIHが生じる可能性があるため、照射後の経過を確認し、必要以上に短い間隔でレーザーを重ねないことも重要です。
つまりADM治療でも、
診断する
→ 混在している肝斑を確認する
→ 必要なら先に肌状態を整える
→ ADMへレーザー治療
→ PIHや肝斑の状態を見ながら待つ
→ 必要に応じて次の治療
という順序を大切にしています。これは当院がシミ治療全体で大切にしている「取る・待つ・守る」という考え方にもつながります。
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名古屋で「肝斑かADMかわからない」と悩んでいる方へ

「肝斑だと思っていたけれど、治療しても一部だけ残っている」「頬の灰色っぽいシミが何なのかわからない」「ADMと言われたけれど肝斑もあると言われた」。
このような場合、治療機器を先に選ぶのではなく、まず色素の種類を整理することが重要です。ADMと肝斑は見た目が似ることがありますが、病態も治療方法も異なります。また、両者が同時に存在することもあります。そのため、両頬に左右対称の色素があっても「肝斑だからトーニング」と決めつけず、ADM、老人性色素斑、そばかす、PIHなども含めて診断することが、適切なシミ治療につながります。
まとめ
肝斑とADMは、どちらも頬骨周辺に左右対称に現れることがあるため、見た目だけでは間違われやすい色素性病変です。肝斑は薄い褐色が面状にもやっと広がることが多く、OPトーニングやピコトーニングなど刺激に配慮した治療を中心に考えます。一方、ADMは真皮にメラノサイトが存在する真皮メラノサイトーシスで、灰色〜青褐色の小さな色素斑としてみられることがあり、ピコスポットなどの色素レーザー治療を複数回検討します。
さらに重要なのが、肝斑とADMが混在するケースです。ADMだけを見て強くレーザー治療を行うと、周囲の肝斑が悪化する可能性があります。
だからこそ、「左右対称だから肝斑」と決めつけず、何の色素がどこに存在しているのかを見極めることが大切です。シミ治療で重要なのは、機械の名前を先に決めることではありません。機械が先にあるのではなく、患者さまのお肌とシミが先にある。ADMの治療でも、この考え方を大切にしています。
【参考文献】
- Hori Y, Kawashima M, Oohara K, Kukita A. Acquired, bilateral nevus of Ota-like macules. J Am Acad Dermatol. 1984;10(6):961-964. PMID: 6736340. DOI: 10.1016/S0190-9622(84)80313-8.
- Park JM, Tsao H, Tsao S. Acquired bilateral nevus of Ota-like macules (Hori nevus): etiologic and therapeutic considerations. J Am Acad Dermatol. 2009;61(1):88-93. PMID: 19539841. DOI: 10.1016/j.jaad.2008.10.054.
- Therapeutic options for management of Hori’s nevus: A systematic review. Dermatol Ther. 2019. PMID: 31714651.
- A retrospective study of 1064-nm Q-switched Nd laser therapy for acquired bilateral nevus of Ota-like macules. Skin Res Technol. 2023;29(3). PMID: 36973977. DOI: 10.1111/srt.13298.
- A split-face, single-blinded, randomized controlled comparison of alexandrite 755-nm picosecond laser versus alexandrite 755-nm nanosecond laser in the treatment of acquired bilateral nevus of Ota-like macules. Lasers Surg Med. 2018. PMID: 29288102.
- Wang B, et al. Induction of melasma by 1064-nm Q-switched Nd laser therapy for acquired bilateral nevus of Ota-like macules (Hori nevus): A study on related factors in the Chinese population. J Dermatol. 2016;43(6):655-661. PMID: 26777390.
- Efficacy of Q-Switched and picosecond lasers for acquired bilateral nevus of Ota-like macules: a systematic review and exploratory dose-response meta-analysis. 2026. PMID: 42560400.
文責:まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤成貴
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
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