女性の薄毛の原因は?FPHL・FAGA・休止期脱毛の違い|名古屋
- 2026.10.2

女性の薄毛について調べると、「女性AGA」「FAGA」「FPHL」「びまん性脱毛」など、さまざまな言葉が出てきますが、これらは完全に同じ意味ではありません。特に注意したいのが、女性の薄毛=すべてFAGAではないということです。
女性では、FPHL(女性型脱毛症)のほかにも、休止期脱毛、栄養状態や体調変化に伴う脱毛、甲状腺疾患などを背景とする脱毛、牽引性脱毛、円形脱毛症など、さまざまな原因で髪が薄くなることがあります。さらに、女性では男性のAGAのようにM字や頭頂部だけが明瞭に薄くなるとは限らず、頭部全体が「びまん性」に薄く見えることもあります。
そのため、女性の薄毛治療では、最初から「AGAだから発毛治療をする」と考えるのではなく、どのように薄くなっているのか、いつから始まったのか、抜け毛が急に増えたのか、髪そのものが細くなっているのか、背景に体調変化や病気がないかを確認することが重要です。
目次
まず整理したいFPHL・FAGA・びまん性脱毛・休止期脱毛の違い
女性の薄毛では用語が混在しており、患者さんだけでなく医療情報でも分かりにくくなっていることがあります。まず、それぞれの意味を整理します。

ここで特に重要なのが、FPHLとびまん性脱毛の関係です。FPHLでは前頭部から頭頂部を中心に毛髪密度が徐々に低下し、全体的に薄く見えることがあります。つまり、FPHLも「びまん性に薄く見える」ことがあります。一方で、休止期脱毛でも頭部全体がびまん性に薄くなります。
そのため、びまん性脱毛=FPHLではありません。「びまん性」は薄毛の見え方を表している場合があり、その原因としてFPHLや休止期脱毛など複数の病態が考えられます。
FPHLとは?
FPHLはFemale Pattern Hair Lossの略で、日本語では「女性型脱毛症」などと呼ばれます。女性の薄毛の中でも代表的な病態の一つです。
FPHLでは、毛包が徐々に小さくなる「ミニチュア化」が進み、太く長い毛髪が少しずつ細く短い毛髪へ変化していきます。その結果、分け目が広くなった、頭頂部の地肌が透ける、髪全体のボリュームが減った、1本1本の髪が細くなったと感じるようになります。
典型的には前頭部から頭頂部、頭頂外側にかけて毛髪密度が低下しますが、男性AGAのように生え際が大きく後退するとは限りません。前頭部の生え際を比較的保ちながら、中央の分け目が広くなっていくパターンもよくみられます。
FAGAとFPHLは同じ?
FAGAはFemale Androgenetic Alopeciaの略です。直訳すると「女性の男性型脱毛症」に近い言葉で、女性の薄毛について以前から広く使用されてきました。
一方、現在はFPHLという表現も広く使用されています。その理由の一つは、女性型脱毛症では男性AGAほどアンドロゲンの関与が明確ではないケースが多いためです。
男性AGAでは、DHT(ジヒドロテストステロン)などアンドロゲンの関与がよく知られています。しかし女性のFPHLでは、明らかな高アンドロゲン血症がなくても発症する方が多く、病態は男性AGAと完全に同じとは考えられていません。
そのため、FAGA、女性型AGA、FPHLは近い意味で使われることもありますが、より広く女性特有のパターン脱毛を表す言葉としてFPHLが用いられることがあります。
当院では、患者さん向けの説明では基本的に「女性の薄毛」という言葉を使用し、病態を説明する際にはFPHLという表現を中心に使用します。
女性の薄毛はすべてFPHLではない
女性の薄毛で最も避けたいのは、「女性で髪が薄い=FPHL」と最初から決めつけることです。女性の薄毛には、FPHL以外にもさまざまな原因があります。
代表的なものとして、休止期脱毛、鉄欠乏など栄養状態に関連する脱毛、甲状腺機能異常などに伴う脱毛、急激な体重減少、出産後の脱毛、薬剤による脱毛、牽引性脱毛、円形脱毛症、瘢痕性脱毛症などがあります。
そのため、女性の薄毛治療では「発毛させる治療」だけでなく、まず原因を考えることが重要です。
休止期脱毛とは?
休止期脱毛は、多くの毛髪が一度に休止期へ移行することで、抜け毛が増える状態です。
FPHLとの大きな違いの一つは、FPHLでは髪が徐々に細くなり密度が低下するのに対し、休止期脱毛では、ある時期から抜け毛そのものが増えることです。
休止期脱毛のきっかけとしては、強いストレス、高熱や感染症、手術、出産、急激なダイエット、栄養状態の変化、薬剤、内科的疾患などがあります。ただし、慢性的な休止期脱毛では明確なきっかけが分からないこともあります。
また、FPHLと休止期脱毛が同時に存在していることもあります。例えば、もともとFPHLによって髪が細くなっている女性が、体調不良や急激なダイエットをきっかけに休止期脱毛を起こし、一気に薄毛が目立つようになることもあります。
「びまん性脱毛」は一つの病名とは限らない
「びまん性脱毛」という言葉は、女性の薄毛を説明するときによく使われます。びまん性とは、一か所だけではなく広い範囲に広がっているという意味です。
そのため、頭頂部だけが丸く脱毛する、生え際だけが後退するというより、頭部全体の毛量が減った、全体的に地肌が透けるという状態を「びまん性」と表現することがあります。
ただし、びまん性に薄くなる原因は一つではありません。FPHLでもびまん性に見えることがありますし、休止期脱毛でも頭部全体が薄くなります。したがって、「びまん性脱毛だからこの治療」と決めるのではなく、なぜびまん性に薄くなっているのかを考えることが重要です。
FPHLと休止期脱毛はどう見分ける?
実際には完全に簡単に見分けられるわけではありませんが、診断を考えるうえでは次のような違いがあります。

ただし、両方が同時に存在することもあるため、表だけで自己診断することはできません。
女性の薄毛では「いつから・どのように」が重要
診察では、現在の頭皮を見るだけでなく、薄毛がどのように始まったかを確認します。
特に重要なのが、いつから気になり始めたか、徐々に薄くなったか、急に抜け毛が増えたか、分け目が広くなったか、生え際が変化したか、出産や更年期との関係、急激なダイエットをしていないか、大きな病気や手術がなかったか、新しく始めた薬がないか、月経異常がないか、多毛やニキビなど高アンドロゲンを疑う症状がないか、などです。
FPHLは問診と視診、必要に応じたダーモスコピーなどから診断することが多く、すべての女性に詳細なホルモン検査が必要なわけではありません。一方、多毛、強いニキビ、月経不順など高アンドロゲンを疑う所見がある場合には、卵巣・副腎などを含めた評価が必要になることがあります。
必要に応じて血液検査を考える
女性の薄毛では、背景に内科的な問題が隠れている場合があります。
症状や経過によっては、貧血、鉄の状態、甲状腺機能、栄養状態、ホルモン関連項目などを確認することがあります。
ただし、すべての薄毛に同じ血液検査が必要というわけではありません。急激に抜け毛が増えた場合や、全身症状を伴う場合、月経異常などがある場合には、FPHLだけで説明せず、別の原因も考える必要があります。
女性の薄毛治療は原因によって変える
女性の薄毛では、原因を考えずに同じ治療を行うのではなく、状態に応じて治療を選択します。FPHLでは、毛髪のミニチュア化を抑えながら、毛髪の成長を促す治療を考えます。一方、休止期脱毛では、原因となる体調変化や栄養状態などがあれば、まずそこを見直すことが重要です。
日本皮膚科学会の2017年版ガイドラインでは、女性型脱毛症に対するミノキシジル外用は推奨度Aとされています。一方、フィナステリドおよびデュタステリドの内服は、女性型脱毛症に対して推奨されていません。
当院では、女性の薄毛の状態や希望に応じて、Dott Hair for Womenなどのホームケア、HARG+、ACRS、PRF-FD、キュアジェットによる製剤導入、ヘアレーズなどを組み合わせて治療を検討します。
ただし、これらを最初からすべて行うわけではありません。FPHLが主体なのか、抜け毛が主体なのか、内服・外用への希望があるのかなどによって治療計画を変えます。
女性の薄毛では「発毛」だけでなく進行を抑えることも重要
薄毛治療では、治療を始めれば一気に毛量が元通りになると思われることがあります。しかし、FPHLのように毛包のミニチュア化が進行する病態では、現在残っている毛髪を維持し、さらに細くなるのを抑えることも重要な治療目的です。
そのため、「まだ完全に薄くなっていないから治療しなくていい」ではなく、分け目が以前より広くなった、髪が細くなった、頭頂部の地肌が透けるようになったという段階で一度評価することにも意味があります。
女性の薄毛についてよくある質問

まとめ|女性の薄毛は「AGA」と一括りにしないことが重要
女性の薄毛にはさまざまな原因があります。代表的なFPHLでは、毛包のミニチュア化によって髪が徐々に細くなり、前頭部から頭頂部を中心に毛髪密度が低下します。一方、休止期脱毛では、体調変化や出産、ストレスなどをきっかけに抜け毛が増えることがあります。
また「びまん性脱毛」は一つの病名というより、頭部全体が広く薄く見える状態を表す言葉として使われることがあります。そのため、FPHL、FAGA、びまん性脱毛、休止期脱毛をすべて同じものとして扱わないことが重要です。
女性の薄毛治療では、何が原因なのか、髪が細くなっているのか、抜け毛が増えているのか、背景に体調変化がないかを確認し、その状態に合った治療を選択します。
まゆりなclinicでは、女性の薄毛を単に「女性AGA」として一括りにせず、薄毛のパターンや経過を確認したうえで、ホームケア、注入治療、機器治療などを状態に応じて検討します。名古屋・栄で分け目の広がり、頭頂部の薄毛、抜け毛などが気になる方はご相談ください。
監修医師

まゆりなclinic名古屋栄 院長
<経歴>
三次救急病院、美容皮膚科・美容外科クリニックで、内科・外科・救急医療から美容医療まで幅広い診療経験を積む。2022年に「名古屋・栄の美容皮膚科」としてまゆりなclinic名古屋栄を開院。
医学的根拠に基づき、「本当に良いと思えるものだけを提供すること」を信条とし、効果が不確かな施術は採用せず、自ら体験して効果を実感できた医療だけを厳選して導入しています。
特にシミ取りレーザー(ピコレーザー)ニキビ跡治療(フラクショナルレーザーやクレーター状のニキビ跡に対する剥離治療[サブシジョン]など)、ヒアルロン酸やボトックスを用いた注入治療医療ダイエット(脂肪溶解注射・GLP-1など)を得意としており、一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提供しています。
わからないことや不安なことがあれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。医師の視点から、科学的根拠に基づいて丁寧にお応えします。
参考文献
- 眞鍋 求, 坪井良治, 板見 智, 他. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版. 日本皮膚科学会雑誌. 2017;127(13):2763-2777.
- Ramos PM, Miot HA. Female Pattern Hair Loss: a clinical and pathophysiological review. An Bras Dermatol. 2015;90(4):529-543.
- Vujovic A, Del Marmol V. The Female Pattern Hair Loss: Review of Etiopathogenesis and Diagnosis. Biomed Res Int. 2014;2014:767628.
- Fabbrocini G, Cantelli M, Masarà A, et al. Female pattern hair loss: A clinical, pathophysiologic, and therapeutic review. Int J Womens Dermatol. 2018;4(4):203-211.
- Bhat YJ, Saqib NU, Latif I, et al. Female Pattern Hair Loss—An Update. Indian Dermatol Online J. 2020;11(4):493-501.
- Malkud S. Telogen Effluvium: A Review. J Clin Diagn Res. 2015;9(9).








